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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09 |
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管理番号 | 1310844 |
審判番号 | 取消2013-300716 |
総通号数 | 195 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2016-03-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2013-08-26 |
確定日 | 2016-02-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4514650号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4514650号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「KIRIN」の文字を横書きしてなり、平成12年8月1日に登録出願、第5類「歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用おしめ,人工受精用精液,はえ取り紙,防虫紙」、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓,医療用手袋,家庭用電気マッサージ器,しびん,病人用便器,耳かき」及び第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、同13年10月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、平成25年9月10日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」(以下「請求に係る商品」という。)について取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、答弁に対する弁駁書及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲2第号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、第9類の指定商品中、請求に係る商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁書に対する弁駁 (1)「携帯電話機用ストラップ」に係る使用の事実について ア 被請求人は、本件商標の使用者は、商標権者の子会社である「キリンビール株式会社」の子会社である「キリンアンドコミュニケーションズ株式会社」(以下「本件使用者」という。)であり、「通常使用権者」に該当する旨を主張している。 しかし、提出された乙第3号証及び乙第4号証においては、そのような各々子会社の関係にあるとの記載はない。 また、乙第5号証及び乙第6号証においては、答弁書作成の弁理士が捺印した写真報告書に、商標の使用者の商標権者との関係としてそのように記載しているのみで、証拠としての客観的な信憑性に疑義があるものである。 さらには、いずれの証拠においても、商標権者が、本件商標の使用を本件使用者に許諾した事実の立証はされていないものである。 したがって、本件使用者による使用は、商標権者から本件商標の使用の許諾を受けた通常使用権者としての使用とは認められないものである。 イ 本件商標の使用について、被請求人は、キリンビールの工場内の売店で販売している「携帯電話機用ストラップ」又はその包装に「KIRIN」(以下「使用商標1」という。)の商標を付したものを販売し、販売のために展示している旨主張している。 しかし、それらの「携帯電話機用ストラップ」は、キリンビールの缶ビールのラベル部分に記載の聖獣を立体形状にしたもの、また、キリンビールの缶ビールそのものを模したものから成るものである(乙5ないし乙9)ことからすれば、それらにおいて識別標識の目印として機能している部分は、「聖獣」の立体形状の部分、また、当該缶ビールの銘柄である「ラガー(LAGER)」、「一番搾り」の部分といえるものである。 現に、それらの「携帯電話機用ストラップ」の取引において、それらは、「聖獣ストラップ」、「缶型ストラップ(ラガー)」、「缶型ストラップ(一番搾り)」、「ネックストラップ ラガー」と表示され、「聖獣」、「ラガー」、「一番搾り」の部分を識別標識の目印として取引されているものである(乙5ないし乙12)。 一方、「携帯電話機用ストラップ」に付された「KIRIN」の文字は、本製品はキリンビールの缶ビール等の形状を玩具的に模したところに面白味があるのであって、キリンの製品のパロディー商品であることを表すために「KIRIN」と表示したものであり、需要者をしてその商品の商標として認識されるものではない。 ウ キリンビールの工場内の売店で使用される包装用袋、包装用紙にも使用商標1が付されているが、多種商品を扱う売店における統一的な包装用袋、包装用紙に使用商標1が付されていても、それは、「携帯電話機用ストラップ」という特定の商品の目印というよりは、キリンビール株式会社の社名の略称として、会社の名称を表示するために使用されているにすぎないと理解、認識されるものである。 したがって、使用商標1は、「携帯電話機用ストラップ」の識別標識の目印として、つまり商標として使用されているものではない。 エ 以上のことから、本件商標は、通常使用権者により、「携帯電話機用ストラップ」に使用されているとは認められないものである。 (2)「ICカード」に係る使用の事実について ア 使用している文字は、商標として使用されているものではないこと 本件の「ICカード」については、その表面の右上に「社員」及び「グループ共通ICカード」の記載がある(乙15)ことから、キリングループの会社で共通に使用される社員証であると認められるものである。 したがって、その「ICカード」の表面の左上に大きく書かれた「KIRIN」の文字は、明らかにキリングループの名称を表示するために使用されているものである。 つまり、その「KIRIN」の文字は、キリングループの社員であることを表示するために付されたものであり、「ICカード」という商品を識別するための商標として付されているものではない。 イ 以上のことから、本件商標は、被請求人により、「ICカード」に使用されているとは認められないものである。 (3)「CCD(固体撮像素子)カメラから送られてきた映像を処理する画像処理装置を利用したびん・缶等の自動検査機械器具」(以下「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」という。)に係る使用の事実について ア 「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」の使用に係る「KIRIN TECHNO-SYSTEM(Techno-System)」(以下、「KIRIN TECHNO-SYSTEM」を「使用商標2」といい、「KIRIN Techno-System」を「使用商標3」という。)は、一体の商標であること イ 被請求人は、キリンテクノシステム株式会社が、「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に、「KIRIN」と「TECHNO-SYSTEM(Techno-System)」という、独立した2つの商標を同時に使用しているから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している旨を主張している。 しかし、乙第35号証において示されている商標(使用商標2)は、「KIRIN TECHNO-SYSTEM」の英文字を一連に書したものであることから、全体として一体のものと把握されるものであり、全体として当該商品を扱っているキリンテクノシステム株式会社の名称を表示しているものと容易に理解、認識されるものである。 したがって、使用商標2は、全体として会社の名称を表示する一体の商標として使用されているものであり、本件商標とは異なるものである。 ウ また、乙第28号証及び乙第36号証において示されている使用商標3は、「KIRIN」と「Techno-System」を二段書きにしたものであるところ、乙第28号証は、キリンテクノシステム株式会社のホームページであり、それらの英文字の右に「キリンテクノシステム」と記載されていることから、また、乙第36号証においては、それらの英文字の下に「キリンテクノシステム株式会社」と併記されていることから、当該英文字は全体として、キリンテクノシステム株式会社の英語名称を表示しているものと容易に理解、認識されるものである。 したがって、使用商標3は、全体として会社の名称を表示する一体の商標として使用されているものであり、本件商標とは異なるものである。 エ 使用商標2及び3は、本件商標と社会通念上同一性がないこと 使用商標2は、「KIRIN TECHNO-SYSTEM」の英文字を一連に書したものであり、使用商標3は「KIRIN」と「Techno-System」を二段書きにしたものであり、全体として「キリンテクノシステム」の称呼及び「キリンテクノシステム株式会社」の観念を生ずるものである。 これに対して、本件商標は、「KIRIN」の欧文字からなるものであり、「キリン」の称呼及び「(中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物の)『麒麟』」の観念を生ずるものであるから、使用商標2及び3と本件商標とは、外観、称呼及び観念上、明らかに非類似である。 したがって、使用商標2及び3で使用されている英文字は、会社の名称を表示する一体の商標として使用されているものであり、本件商標とは異なるものであり、本件商標と社会通念上同一と認められるものでもないことから、本件商標を「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に使用している事実は認められないものである。 3 口頭審理陳述要領書 (1)「携帯電話機用ストラップ」に係る使用について ア 被請求人が提出した証拠によっては使用の事実が確認できないこと 乙第5号証及び乙第6号証の写真報告書については、写真の撮影時期は「平成25年12月4日」と記載されているが、これは本件の要証期間後の日付であるから、証拠として認められないものであり、本当に要証期間内に使用されたか確認できないものである。 イ 写真自体についても、撮影の日付がプリントされておらず、写真の撮影者も氏名が記載されているのみで、何者か不明である。 ウ また、写真に掲載の携帯電話機用ストラップ、包装用袋、包装用紙についても、それらが単独で撮影され、背景がないため、本当に当該工場内の売店で使用されているものであるから、確認できないものである。 エ 乙第7号証及び乙第8号証においては、「携帯電話機用ストラップ」に表示された商標は確認できないものである。 オ 乙第10号証及び乙第11号証においては、「KIRIN」の欧文字の表示がないため、使用商標1が使用されたことが確認できないものである。 カ 乙第12号証については、写真が掲載されているが、販売実績表の下に後から付け足したものと思われるものであり、不自然である。 また、写真自体に撮影日はプリントされていないため、要証期間内のものであるか確認できないものである。 キ したがって、使用商標1は、本件使用者により、要証期間内に使用されていたものであるか確認できないものである。 ク 以上のことから、使用商標1は、「携帯電話機用ストラップ」の識別標識の目印として、つまり商標として使用されているものではない。 (4)まとめ 以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標に係る商標権者及び通常使用権者によって、本件商標を、日本国内において、本件審判の請求登録前3年以内にその請求に係る「電気通信機械器具」に属する「携帯電話機用ストラップ」及び「電子応用機械器具及びその部品」に属する「ICカード、画像処理装置を利用した自動検査機械器具」について使用しているとは認めることができないものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁及び口頭審理における陳述において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第46号証(枝番号を含む。)を提出している。 1 本件商標の使用の事実 (1)「携帯電話機用ストラップ」に係る使用の事実について ア 「携帯電話機用ストラップ」は、「電気通信機械器具」に属する商品である(乙1及び乙2)。 イ 本件使用者は、工場見学者向けのキリングループ商品、キリンオリジナルグッズの商品開発、販売およびショップ運営等を事業内容とする株式会社であるところ(乙3)、キリンビール工場内の売店であるキリンビアパーク取手及びキリンビアパーク名古屋において、「携帯電話機用ストラップ」及びその包装に使用商標1を付したものを販売し、販売のために展示している(乙4ないし乙8)。 ウ 販売されている「携帯電話機用ストラップ」は、「聖獣ストラップ」、「缶型ストラップ(ラガー)」、「缶型ストラップ(一番搾り)」及び「ネックストラップ ラガー」の4種類であり、商品又はその包装に使用商標1が付されている(乙5、乙6、乙9)。 エ 本件使用者は、キリンビアパーク取手において、平成25年3月30日に「聖獣ストラップ」を、平成25年8月11日に「缶型ストラップ(ラガー)、缶型ストラップ(一番搾り)」を、顧客に販売している(乙10 なお、同号証の手書きの「Tショップ」とは、「取手工場」を示す。)。 オ 本件使用者は、キリンビアパーク名古屋において、平成25年1月13日に「ネックストラップ ラガー」を、同年2月2日に「聖獣ストラップ」を、同年4月24日に「聖獣ストラップ」を、同年4月27日に「ネックストラップ ラガー」を、同年5月4日に「缶型ストラップ(一番搾り)、缶型ストラップ(ラガー)」を、同年6月22日に「ネックストラップ ラガー」を、顧客に販売している(乙11、なお、同号証の手書きの「Nショップ」は、「名古屋工場」を示し、「缶ストラップ IS」は「缶型ストラップ(一番搾り)」を示す。)。 カ 本件使用者は、平成24年4月に、「聖獣ストラップ」、「缶型ストラップ(ラガー)」、「缶型ストラップ(一番搾り)」及び「ネックストラップ(ラガー)」を含む工場見学ショップの商品に係る広告物を配布しており、当該広告物には、前記各商品が価格とともに掲載されている(乙7)。具体的には、商品カタログ中には、「15 聖獣ストラップ ¥400」、「33 缶型ストラップ ラガー・一番搾り ¥250」、「34 ネックストラップ ラガー ¥1,260」と記載されており、工場見学ショップ商品価格表中には、「15 聖獣ストラップ ¥400 ¥360」、「33 缶型ストラップ(ラガー・一番搾り) ¥250 ¥220」、「34 ネックストラップ ラガー ¥1,260 ¥1,130」と記載されている。 キ 本件使用者は、平成24年7月に、「聖獣ストラップ」、「缶型ストラップ(ラガー)」、「缶型ストラップ(一番搾り)」及び「ネックストラップ(ラガー)」を含む工場見学ショップの商品に係る広告物を配布しており、当該広告物には、前記各商品が価格とともに掲載されている(乙8)。 具体的には、商品カタログ中には、「16 聖獣ストラップ ¥400」、「34 缶型ストラップ ラガー・一番搾り ¥250」、「35 ネックストラップ ラガー ¥1,260」と記載されており、工場見学ショップ商品価格表中には、「16 聖獣ストラップ ¥400 ¥360」、「34 缶型ストラップ(ラガー・一番搾り) ¥250 ¥220」、「35 ネックストラップ ラガー ¥1,260 ¥1,130」)と記載されている。 ク 平成24年の販売実績として、「聖獣ストラップ」は、1,928個販売され、「缶型ストラップ(ラガー)」は、3,007個販売され、「缶型ストラップ(一番搾り)」は、2,676個販売されている(乙12)。 ケ 平成25年の販売実績(1月?11月)として、「聖獣ストラップ」は、1,244個販売され、「缶型ストラップ(ラガー)」は、2,039個販売され、「缶型ストラップ(一番搾り)」は、2,048個販売され、「ネックストラップ ラガー」は、273個販売されている(乙12)。 コ 本件商標と使用商標1とは、外観において同視できるとともに、同一の「キリン」の称呼及び同一の「(中国で聖人の出る前に現れると称する想像上の動物の)『麒麟』」の観念を生ずる商標であるため、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。 サ 本件使用者は、被請求人のグループ会社である。 すなわち、本件使用者は、本件商標の商標権者である被請求人の子会社である「キリンビール株式会社」の子会社である(乙3ないし乙6)。 もっとも、本件使用者は、被請求人と独立した事業を営む会社であることは明らかであり、被請求人のグループ会社とはいえ、本件商標の商標権者である被請求人から本件商標を使用することにつき許諾がなされた上で、「携帯電話機用ストラップ」及びその包装に使用商標1を付する行為等ができるという関係にある。 そして、本件使用者は、被請求人から前記の許諾を得た上で、前記各行為をしているのであるから、本件商標に関し、商標法第50条に規定する「通常使用権者」である。 シ したがって、本件商標に係る通常使用権者が、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る「電気通信機械器具」に属する「携帯電話機用ストラップ」に本件商標を使用していることは、明らかである。 (2)「ICカード」に係る使用の事実 ア 「ICカード」は、「IC(集積回路の英語Integrated Circuitと略)を組み入れたカード」であり(乙13)、「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品「集積回路」に類似する商品である(乙1、乙14)。 イ 被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である「KIRIN」の文字を「ICカード」に付し、キリングループ各社に販売している(乙15)。 当該「ICカード」の管理・メンテナンス等の業務については、キリングループ各社の業務システムの企画・開発・運用・保守、キリングループ全体の情報インフラ環境の構築・維持・管理等を事業内容とする株式会社である「キリンビジネスシステム株式会社」に委託している(乙15、乙16)。 当該「ICカード」の裏面には、「発行者」として「キリンビジネスシステム株式会社」が掲載されているが、「ICカード」の管理・メンテナンス等を業務委託している関係で同社を発行者に指定しているものであり、「ICカード」の販売者は被請求人である。 当該「ICカード」の請求書の発行業務については、キリングループ共通の経理、人事、総務、調達、不動産の標準定型サービス・専門サービス提供等を事業内容とする株式会社である「キリンビジネスエキスパート株式会社」(東京都中野区中野)に委託している(乙第19号証 キリンビジネスエキスパート株式会社のホームページ 会社概要)。 ウ 平成25年4月1日に、被請求人は、キリンビール株式会社北海道千歳工場に対して、「KIRIN」の文字が付された「ICカード」を販売している(乙15)。 エ 被請求人は、平成25年6月20日に、キリンビール株式会社北海道千歳工場に対して、同年3月16日から同年6月15日までに販売した「ICカード」について費用を請求している(乙23)。 なお、このような取引は、他の工場やグループ会社にも同様になされている(乙24ないし乙26)。 オ 「KIRIN」の文字が付された「ICカード」は、被請求人によって、キリングループの各社に対して販売がなされるものであるが、その取引が被請求人のグループ会社との間のものであったとしても、当該取引は、法律上別個の法人間における商取引と認め得るものであって、事業の独立性を否定することはできないものである(乙27)。 カ したがって、本件商標に係る商標権者である被請求人が、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る「電子応用機械器具及びその部品」に属する「ICカード」に本件商標を使用していることは、明らかである。 (3)「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に係る使用の事実 ア 「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」は、製PETメーカーや飲料・食品メーカーにて万全の品質管理と生産性向上の為に利用される統計処理画面等を有する高速空PET外観検査機である(乙28)。 当該商品は、「画像処理用コンピュータープログラム及びソフトウェア」(乙29)、「データ処理用ソフトウェア、データ処理用プログラム」(乙30)、「データ処理装置」(乙31)であり、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものであるから、「電子応用機械器具」に属する商品である。 イ キリンテクノシステム株式会社(以下「本件第2使用者」という。)は、総合検査機の製造及び販売等を事業内容とする株式会社であるところ、本件第2使用者は、使用商標3を付した「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」の製造、販売、広告宣伝活動をしている(乙28)。 また、使用商標2は、前記商品の一部に付され、また前記商品の取扱説明書の一部にも付されている(乙35)。 そして、具体的な取引の事実について説明すると、本件第2使用者は、平成25年4月8日に、「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」の取引に関する請求書が発行されている(乙36)。当該請求書の右上方にも、使用商標3が付されている。 ウ 本件第2使用者は、被請求人のグループ会社である。 本件第2使用者は、本件商標の商標権者である被請求人の子会社である「キリンビール株式会社」の子会社である(乙28、乙35)。 もっとも、本件第2使用者は、被請求人と独立した事業を営む会社であることは明らかであり、被請求人のグループ会社とはいえ、本件商標の商標権者である被請求人から本件商標を使用することにつき許諾がなされた上で、使用商標2及び3を付し、「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」の製造、販売、広告宣伝活動ができるという関係にある。 そして、本件第2使用者は、被請求人から前記の許諾を得た上で、前記各行為をしているのであるから、本件商標に関し、商標法第50条に規定する「通常使用権者」である。 エ 本件第2使用者は、「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」の操作部及び取扱説明書に、「KIRIN」の文字と「TECHONO-SYSTEM」の文字を使用している(乙35)。 また、前記商品が紹介されるホームページ上で、「KIRIN」の文字と「Techono-System」の文字を使用している(28)。 しかしながら、「KIRIN」の文字と「TECHONO-SYSTEM」及び「Techono-System」の文字とは、書体や大きさ、文字間の間隔も異なり外観上容易に分離して観察できる態様であり、また、「KIRIN」の文字がキリングループの各社が統一的に使用する代表的出所標識であるから(乙3、乙4、乙16、乙19、乙37)、「KIRIN」の文字は、出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分である。 そうすると、本件第2使用者は、「KIRIN」の文字と「TECHONO-SYSTEM」及び「Techono-System」の欧文字からなる商標という、独立した2つの商標を同時に使用しているに過ぎないものであるから、本件第2使用者は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているものである。 オ したがって、本件商標に係る通常使用権者が、本件審判の請求登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る「電子応用機械器具」に属する「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に本件商標を使用していることは、明らかである。 (4)結語 以上のとおり、本件商標に係る商標権者及び通常使用権者は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその請求に係る商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に属する商品に使用しているから、請求人の主張は当を失するものである。 2 口頭審理陳述要領書 (1)商品「携帯電話機用ストラップ」に係る使用について 被請求人は、キリングループに属する本件使用者に、本件商標の使用を黙示で許諾し使用を継続させているものであり、本件使用者が通常使用権者であることは、乙第3号証、乙第3号証の1、乙第4号証、乙第47号証から容易に確認できるものであり、グループ会社の通常使用権については、その関係性ゆえに通常使用権の許諾関係が容易に否定できないことは、繰り返し判断されている御庁審判部の審決例からも容易に理解できるものである(乙39、乙42)。 したがって、本件使用者は、通常使用権者であると確認できるものである。 (2)商品「ICカード」に係る使用について ア 乙第15号証の社員証は、被請求人とは別法人のキリンビール株式会社の社員証であり、商標権者である被請求人の社員証ではない。 イ また、乙第23号証ないし乙第26号証は、別法人であるキリンビール株式会社及びキリンビールマーケティング株式会社宛ての請求書であり、商標権者である被請求人宛ての請求書ではない。被請求人が、キリンビール株式会社と全くの別法人であることは、乙第4号証のグループ会社一覧の頁に別法人として記載されていることから明らかである。 ウ そして、その取引が被請求人のグループ会社との間のものであったとしても、当該取引は、法律上別個の法人間における商取引と認め得るものであって、事業の独立性を否定することはできないものであることは、平成26年12月26日提出の審判事件答弁書で述べたとおりである(乙27、乙52)。 エ 新たに提出する乙第44号証は、前記キリンビール株式会社以外に「KIRIN」の表示が使用されたICカードを購入した会社(キリンホールディングス株式会社、キリンビバレッジ株式会社、キリンビールマーケティング株式会社、キリンビジネスエキスパート株式会社、キリングループロジスティクス株式会社、キリンビジネスシステム株式会社、キリンアンドコミュニケーションズ株式会社及びキリンメンテナンス・サービス株会社)の社員が所有するICカードを示す画像である。 同号証から、「KIRIN」の文字が付された「ICカード」の購入者は、被請求人と別法人であるキリンビール株式会社その他のキリングループ会社の複数の法人であることは明らかである。 (3)商品「画像処理装置を利用した自動検査機械器具」に係る使用について 被請求人は、「キリンテクノシステム株式会社」や「キリンテクノシステム」が商号又は商号の略称として一体不可分のものであることを必ずしも否定するものではないが、乙第28号証、乙第35号証及び乙第36号証の「KIRIN Techno-System」又は「KIRIN TECHNO-SYSTEM」につき一体不可分とする見解については強く反論するものである。 ア 乙第28号証、乙第35号証及び乙第36号証の「KIRIN Techno-System」又は「KIRIN TECHNO-SYSTEM」をみると、「KIRIN」の部分と「TECHNO-SYSTEM」あるいは「Techno-System」の部分とは、大きさ、書体、間隔において明らかに相違し、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない態様である。 そうすると、「KIRIN Techno-System」又は「KIRIN TECHNO-SYSTEM」に接する取引者、需要者は、「KIRIN」の文字自体が慣れ親しまれ、しかも「KIRIN」が企業名としても広く浸透していることも相俟って、「KIRIN」の英文字部分に着目して、称呼、観念し取引にあたる場合も決して少なくないものといえる。 イ 乙第38号証の4頁には、KIRINブランド事業においてKIRINブランドシンボルを使用するグループの会社としてキリンテクノシステム株式会社が記載され、キリンテクノシステム株式会社がKIRINブランドシンボルと事業会社名を併記して使用するグループとして整理されているとおり、乙第28号証、第35号証及び乙第36号証における「KIRIN」の表示は、KIRINブランドシンボル、すなわち本件商標そのものである。 ウ そして、「KIRIN」の表示部分は、KIRINブランドの事業においてKIRINブランドシンボルを使用するグループ会社の代表的出所表示であり(乙3,乙4、乙16、乙19及び乙37)、また、本件審判請求に係る指定商品について防護標章がなされているほど著名性を有しているから(乙45)、「KIRIN」の部分は、出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分といえる。 エ たとえ、乙第28号証及び乙第36号証の使用態様において「KIRIN」と「Techno-System」の各表示が企業名を表示しているものとしても、「KIRIN」の表示部分は、乙第38号証のKIRINブランドシンボルそれ自体の使用にほかならず、これに接する取引者・需要者によって、「キリンテクノシステム」と一連に称呼、観念されるのみならず、「KIRIN」の表示部分を捉えて、単に「キリン」と称呼、観念され得るものである。同様に、乙第35号証の使用態様においても、「KIRIN」と「TECHNO-SYSTEM」の各表示が横並びになっているに過ぎず、単に「キリン」と簡略化されて称呼・観念され得るものである。 それゆえ、「KIRIN Techno-System」又は「KIRIN TECHNO-SYSTEM」について、「KIRIN」の部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められることは明らかであるから、「KIRIN」単独の商標の使用と目するのは何ら不自然ではなく、またそのように解するのが相当である。 オ このような視点で「KIRIN Techno-System」又は「KIRIN TECHNO-SYSTEM」の使用態様を見ると、KIRINブランドシンボルを容易に把握でき、あるいは強調される態様であり、これに接する取引者・需要者は、「KIRIN」の表示が使用されていることを容易に埋解することができるものである。そのような場合には、「KIRIN」単独の商標の使用と目されるものであり、前記のとおり、「KIRIN」の表示は、本件商標と社会通念上同一の商標であるから、本件商標の使用と目するのが相当である。 カ したがって、使用商標2及び3が構成全体を一体不可分とするものであることを前提に、本件商標とは社会通念上同一の商標と認めることはできないとした見解は、当を失するものである。 (4) 結語 以上のとおり、平成26年12月26日提出の乙第1号証ないし乙第37号証、新たに提出する乙第3号証の1、乙第38号証ないし乙第46号証の8によって、本件商標に係る商標権者及び通常使用権者は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において、本件商標をその請求に係る指定商品「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」に属する商品に使用しているから、商標法第50条第1項及び同第2項の規定により、本件審判請求に係る指定商品について、その登録を取消し得ないものであることは明白である。 第4 当審の判断 1 本件商標の使用について、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件使用者について 本件使用者は、広報事業として、ブルワリーツアー事業、キリンビール工場見学運営のほか、ショップ事業として工場見学向けのキリンビール商品、キリンオリジナルグッズの商品開発、販売及びショップ運営等を行っている。そして、本件使用者は、被請求人であるキリン株式会社と同一グループ会社である(乙3、乙3の1、乙4、乙38)。 (2)「携帯電話機用ストラップ」に係る使用について ア 乙第5号証は、キリンビール株式会社取手工場内のキリンビアパーク取手において陳列されたとされる「携帯電話機用ストラップ(ラガー、キリン一番搾り、聖獣)」の写真、その陳列状態の写真及び売店で使用されたとする包装用袋・用紙の写真等(いずれも写し、以下同じ。)が表示されている「写真報告書(1)」であり、「携帯電話機用ストラップ」の紐の部分及び包装紙(台紙)には「KIRIN」の表示がある。撮影時期は、平成25年12月4日付けであり、本件審判請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)外である。 イ 乙第6号証は、キリンビアパーク名古屋において陳列されたとされる「携帯電話機用ストラップ(キリン一番搾り、ラガー、聖獣)」の写真、その陳列状態の写真、キリンビアパーク名古屋の看板写真及び売店で使用されたとする包装用袋の写真等が表示されている「写真報告書(2)」であり、「携帯電話機用ストラップ」の紐の部分及び包装紙(台紙)には「KIRIN」の表示がある。撮影時期は、平成25年12月3日であり、要証期間外である。 ウ 乙第7号証は、本件使用者が2012年4月に作成した、「工場見学ショップ 商品のご案内」であり、該ショップで取り扱う商品が2葉目から掲載され、3葉目の15(○の中に15、以下同じ。)には、「聖獣ストラップ」の写真、5葉目の33には、「缶型ストラップ(ラガー・一番搾り)」(以下「聖獣ストラップ」及び「缶型ストラップ」(ラガー・一番搾り)を「使用商品」という場合がある。)の写真が表示されている。3葉目の15の「聖獣ストラップ」と乙第5号証の4葉目の「携帯電話機用ストラップ」及び乙第6号証の4葉目の「携帯電話機用ストラップ」は、その色彩及び形状からみて、同一の「聖獣ストラップ」と認められるものである。また、乙第7号証5葉目の33の「缶型ストラップ」と乙第5号証2葉目、4葉目及び乙第6号証の2葉目、3葉目の「携帯電話機用ストラップ」は、その色彩及び形状からみて、同一の「缶型ストラップ」と認められるものである。 エ 乙第8号証は、本件使用者が2012年7月に作成した「工場見学ショップ 商品のご案内」であり、該ショップで取り扱う商品が2葉目から掲載され、3葉目の16の「聖獣ストラップ」と乙第5号証の4葉目の「携帯電話機用ストラップ」及び乙第6号証の4葉目の「携帯電話機用ストラップ」は、その色彩及び形状からみて、同一の「聖獣ストラップ」と認められるものである。また、乙第8号証5葉目の34の「缶型ストラップ」と乙第5号証2葉目、4葉目及び乙第6号証の2葉目、3葉目の「携帯電話機用ストラップ」は、その色彩及び形状からみて、同一の「缶型ストラップ」と認められるものである。 オ 乙第10号証は、作成日を2013年12月17日とする「電子ジャーナル」であり、販売された商品のリストがレシート状に表示され、1葉目の「2013年3月30日(土)11:05 NO:0001」には「0601聖獣ストラップ 内 ¥400」の記載、2葉目の「2013年8月11日(日) 15:23 NO:0001」には「0601缶ストラップラガー 内 ¥250」及び「0601缶ストラップ一番搾り内 ¥250」の記載がある。 カ 乙第11号証は、作成日を2013年12月17日とする乙第10号証と同様の「電子ジャーナル」であり、2葉目の「2013年2月2日(土) 16:12 NO:0001」、3葉目の「2013年2月2日(土) 13:39 NO:0001」及び4葉目の「2013年4月24日(水) 16:58 NO:0001」には、いずれも「0601聖獣ストラップ 内 ¥400」の記載がある。また、6葉目及び7葉目の「2013年5月4日(土) 11:45 NO:0001」及び「2013年5月4日(土) 14:38 NO0001」には、いずれも「0601缶ストラップ IS 内 ¥250」及び「0601缶ストラップ ラガー 内 ¥250」の記載がある。 キ 乙第12号証は、作成日を2013年12月13日、作成者をキリンアンドコミュニケーション(株)とする「KIRINストラップ類販売実績」であって、2012年及び2013年(1?11月)における「聖獣ストラップ」、「缶型ストラップ(ラガー)」、「缶型ストラップ(一番搾り)」販売実績(販売数量、売上金額)表であり、その表の下には、それぞれの商品の写真が表示されている。 2 前記1で認定した事実を総合して以下のとおり判断する (1)「通常使用権」について 本件使用者は、商標権者と同一グループの会社であること及びキリングループ全体としてのブランド展開(「KIRIN/キリン/麒麟」の使用区分)について「キリングループV1マニュアル」(2014年5月20日発行)が規定されていること及びそのブランド事業を構成する法人の一つとなって事が認められ(乙3、乙3の1、乙4、乙38)、さらに、同一グループ内において商標の使用を許諾することは一般に行われていること、そして、以下のとおり、要証期間内に、本件商標と社会通念上、同一と認められる使用商標1を使用していたことから、本件使用者であるキリンアンドコミュニケーション株式会社は、本件商標について、商標権者から黙示の使用の許諾を受けていた通常使用権者であるとみて差し支えないものである。 (2)「携帯電話機用ストラップ」に係る使用商標1の使用について 本件使用者は、2012年4月及び同年7月付けの「工場見学ショップ 商品のご案内」(乙7、乙8)において、「ショップではキリンオリジナルグッズ、キリングループ会社の商品を販売しております。」との記載があり、商品カタログとして「使用商品」が写真とともに表示されているものである。 そして、使用商品は、乙第5号証及び乙第6号証における紐の部分に「KIRIN」の表示がある携帯電話機用の「聖獣ストラップ」及び「缶型ストラップ」とその色彩及び形状からみて同一の商品といえるものであり、乙第12号証に掲載された両商品の写真を合わせ考慮すると、使用商品は、乙第5号証及び乙第6号証の態様で、携帯電話機用の「聖獣ストラップ」は、2013年3月30日、同年2月2日、同年4月24日に販売されたこと、携帯電話機用の「缶型ストラップ」は、2013年8月11日、同年5月4日に販売されたことが推認される(乙10、乙11)。 したがって、通常使用権者である本件使用者は、キリンビール株式会社の工場内にあるショップにおいて、使用商標1がその紐の部分及び包装紙(台紙)に付された携帯電話機用のストラップである「使用商品」を、要証期間内に販売していたものと認めることができ、この行為は、商標法第2条第3項第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」に該当するものである。 (3)本件商標と使用商標1について 本件商標と使用商標1とは、いずれも「KIRIN」の構成文字及びその書体も同一にするものであるから、使用商標1は、本件商標と同一の商標と認められるものである。 (4)使用商品について 通常使用権者である本件使用者が使用商標1を使用しているとする「使用商品」は、上記(2)のとおり、「携帯電話機用ストラップ」であり、本件審判の請求に係る指定商品である「電気通信機械器具」に含まれるものである。 3 請求人の主張 請求人は、「携帯電話機用ストラップ」に付された「KIRIN」の文字は、キリンビール株式会社の社名の略称として、会社の名称を表示しているに過ぎす、需要者をしてその商品の商標として認識されるものではない旨主張する。 しかしながら、「携帯電話機用ストラップ」に付された「KIRIN」の文字が、被請求人の商号の略称であるとしても、そのことをもって、商標としての使用を否定することはできず、上記2(2)のとおり、商標の使用に該当するものであるから、請求人の主張は理由がない。 4 むすび 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が取消審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(使用商標) (色彩は、原本を参照すること。) 別掲3(使用商品) (色彩は、原本を参照すること。) |
審理終結日 | 2015-08-26 |
結審通知日 | 2015-08-28 |
審決日 | 2015-09-25 |
出願番号 | 商願2000-84698(T2000-84698) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z09)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津金 純子 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
手塚 義明 堀内 仁子 |
登録日 | 2001-10-19 |
登録番号 | 商標登録第4514650号(T4514650) |
商標の称呼 | キリン |
代理人 | 飯島 紳行 |
代理人 | 小出 俊實 |
代理人 | 潮崎 宗 |
代理人 | 藤森 裕司 |
代理人 | 橋本 良樹 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |
代理人 | 石川 義雄 |
代理人 | 幡 茂良 |
代理人 | 吉田 親司 |