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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
審判 一部申立て  登録を維持 W36
管理番号 1308517 
異議申立番号 異議2014-900244 
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2016-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-29 
確定日 2015-12-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5673941号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5673941号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5673941号商標(以下「本件商標」という。)は、「pCAT」の欧文字を標準文字により表したものであり、平成25年12月16日に登録出願され、第36類「スマートフォン・タブレット型コンピュータ・パーソナルコンピュータを介して行うクレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算・決済,その他のクレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算・決済,電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,クレジットカードの利用に関する情報の提供,クレジットカードの発行の取次ぎ,クレジットカードの発行会社に代わってする会員の募集及び会員の管理」及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、平成26年5月19日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は別掲1のとおりであり(以下「引用商標」という。)、引用商標の商標権は、現に有効に存続しているものである。
また、申立人の引用する使用商標3件は別掲2のとおりである。以下、引用各使用商標を「引用使用商標1」などといい、これらを併せて「引用使用商標」という。

3 申立て理由要旨
(1)引用使用商標の著名性
ア 申立人について
申立人は、1925年に設立されたアメリカ合衆国イリノイ州に本拠を置く企業であり、主に建設機械及び鉱業設備機器などの製造・技術において世界をリードしている。申立人は、世界200か国以上で、各国のディーラー・ネットワークを通じ同社製品の販売やサービス・融資を行い、また、世界1500以上の系列店ではレンタルサービスも行っている(甲3)。日本では、1963年に三菱重工業との合弁会社としてキャタピラー三菱株式会社を設立、1987年に合併により新キャタピラー三菱株式会社を発足し、2008年に社名をキャタピラージャパン株式会社(以下「キャタピラージャパン」という。)に変更して現在に至っている(甲7)。
申立人は、同社の事業について引用使用商標を長期に亘り使用してきたものである。
申立人の事業業績については、我が国の新聞・雑誌・インターネット等の各種メディアにおいても日常的に記事が掲載されている(甲8?20)。なお、2008年から2012年までの全世界における申立人の売上高(単位:米ドル建)は、約350億米ドルないし約660億米ドルである。
イ 引用使用商標
申立人は世界各国で建設機械や鉱山機械等の製造・販売を行っているところ、ほぼ全ての製品に引用使用商標を付して販売し、サービスについても引用使用商標を用いて業務を提供してきた(甲3、21?23)。また、1949年以来、申立人は、引用使用商標を、単なる商標の枠を超え、トレードドレス(自他商品・役務識別力を有するデザイン・イメージ)として、申立人の業務に係る商品・役務について使用してきた(甲41)ほか、ドメイン名について「cat.com」を使用し(甲42、21)、ニューヨーク証券取引所で申立人を識別するために付される記号(ティッカーシンボル)として「CAT」が使用されている(甲43)。
引用使用商標は、申立人の業務に係る商品・役務を示すものとして、米国(甲44、45、48の1?5)、ドイツ(甲46)、スペイン(甲47)の各国特許庁の決定又は各国裁判所の判決などにおいて周知・著名なものと認定されている。
ウ 日本における引用使用商標を付した商品及びその宣伝広告
日本についてみると、キャタピラージャパンにより、主に建設機械や鉱山機械等の販売、一般消費者向け商品の製造・販売(甲30)、重機のリース(甲31)及び金融サービス等がなされているところ、カタログ・ウェブサイトに示すとおりその製品や広告には引用使用商標が付されている(甲3、7、24?29、32?40)。
エ 申立人の金融業務について
申立人は、申立人専門の金融会社を設立し、日本及び世界各国において、キャタピラー製品を購入する顧客に対する金融業務も行っている。世界的には、申立人の完全子会社として1981年に米国テネシー州に設立されたキャタピラーファイナンシャルが、専属金融サービス会社として、世界中のキャタピラーの顧客に30年以上もの間、金融サービスを提供してきた(甲32)。我が国においては、「キャタピラーファイナンス株式会社」を通じて、日本全国でキャタピラー製品を購入する顧客に有利な金融商品を紹介する金融業務を行っている(甲32)。かかる国内外における金融サービスの提供にあたっても、申立人は引用使用商標を継続して使用してきた(甲32?40)。
オ 小括
以上述べたように、本件商標の出願日である平成25年12月16日よりはるか以前から、申立人は、その提供する商品・役務及び業務、すなわち、建設機械、鉱業設備機器、ディーゼル及び天然ガス・エンジン、産業用ガス・タービンの製造販売、製品のレンタルサービス、金融サービス(ファイナンス業)、ヘルメット・グローブ・ナイフ等の作業用具やパーカ・シャツ・キャップ・靴等のアパレル製品やサングラス・バッグ・アクセサリー類・ゴルフボール・時計・おもちや・トランプ・折り畳み椅子・カレンダー・マグカップ・傘など実に多岐に亘る商品・役務の製造・販売・提供について、長年に渡り継続して引用使用商標を使用してきた。かかる事実からすれば、引用使用商標は、申立人の業務に係る商品・役務について、本件商標の出願日以前から、取引者・需要者間において周知・著名であったというべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 本件商標と引用使用商標との類似性の程度
本件商標は、大文字で書された「CAT」の部分が看者の目を引くものであって、該文字部分は引用使用商標1と同一であり、また、引用使用商標2及び3を構成する文字「CAT」とも同一であるから、本件商標と引用使用商標は外観上近似している。
称呼については、本件商標からは「ピーキャット」「ピーシーエーティー」の称呼が生じるものであり、他方、引用使用商標からは「キャット」「シーエーティー」の称呼が生じるから、「ピーキャット」「ピーシーエーティー」の称呼と「キャット」「シーエーティー」の称呼を対比するに、それぞれ「キャット」と「シーエーティー」の部分が共通する。
したがって、本件商標及び引用使用商標に接する取引者・需要者が称呼上、両商標を容易には区別し難い。
よって、本件商標と引用使用商標は、外観及び称呼において近似しており、本件商標及び引用使用商標に接する取引者・需要者が本件商標と引用使用商標を相紛らわしく認識するおそれがあるというべきである。
混同を生ずるおそれ
(ア)引用使用商標は、建設機械、鉱業設備機器、ディーゼル及び天然ガス・エンジン、産業用ガス・タービン、製品のレンタルサービス、金融サービス(ファイナンス業)等について、周知・著名性を有する。
(イ)引用使用商標は、申立人の創造したものであり、独自性・独創性は極めて高い。
(ウ)本件商標と引用使用商標とは近似している。本件商標は申立人の周知・著名商標を一部に有していると認識され、申立人の周知・著名商標のシリーズ商標の一つと誤認される場合もある。
(エ)引用使用商標は、ペットネームではなく、営業主体であるキャタピラー社の名称の略称又はその一部を表示するいわゆるハウスマークであって、建設機械等の業界のみならず、広く一般社会において現実の取引で使用されてきた結果、申立人を指標するものとして、強い出所表示力を発揮するものとなっている。
(オ)申立人は、国内外において多角的経営を行っている。特に、本件商標の指定役務と関連性のある金融サービス(ファイナンス業)については専門会社を設立してサービスを提供していることから、本件商標の指定役務の取引者層・需要者層と申立人の業務に係る商品・役務の取引者層・需要者層は共通している可能性がある。
(カ)本件商標の指定役務の取引者層・需要者層と申立人の業務に係る商品・役務の取引者層・需要者層は共通する可能性がある。
(キ)引用使用商標は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして、世界中で一般の取引者・需要者の間に広く認識されている著名商標であり、申立人の提供する商品・役務に係る信用が化体していることから、本件商標の登録が維持されると、申立人と何ら関係のない者により、申立人の意図とは無関係に、申立人が引用使用商標を使用している商品・役務とその取引者層・需要者層を共通にする商品・役務について、引用使用商標と類似する本件商標が自由に使用され、引用使用商標の希釈化が生じ得るおそれがある。
(ク)本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する取引者・需要者が、恰も申立人または、申立人の子会社、系列会社、資本又は業務提携をしている会社等(経済的又は組織的に申立人と何等かの関係がある者)が提供している役務であると誤認するおそれがある。
ウ 結論
したがって、本件商標がその指定役務に使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者が申立人又はこれに関連する者の業務に係る役務であるかの如くその出所について混同する可能性は非常に高い。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否
(ア)外観
本件商標は、ローマ字の小文字「p」とローマ字の大文字「CAT」を組み合わせた「pCAT」からなることから、大文字で書された「CAT」の部分が看者の目を引き、本件商標中「CAT」の部分は引用商標を構成する文字部分「CAT」と同一である。
したがって、本件商標と引用商標は外観上近似している。
(イ)称呼
本件商標からは「ピーキャット」「ピーシーエーティー」の称呼が生じるのに対し、引用商標からは「キャット」「シーエーディー」の称呼が生じるところ、「ピーキャット」と「キャット」を比較すると「ピーキャット」の4音中3音が、同一の音であり、音の順番も同じである。また、「ピーシーエーティー」と「シーエーティー」を比較すると「ピーシーエーティー」の4音中の3音が、同一の音であり、音の順番も同じであるから、本件商標及び引用商標に接する取引者・需要者が称呼上も両商標を容易に区別できず、相紛らわしく認識するおそれがある。
(ウ)他人の周知・著名な登録商標と結合した商標
他人の周知・著名な登録商標と結合した出願商標は、原則として、周知・著名な登録商標と類似するものと取り扱われているところ、本件商標の出願日以前から「CAT」が申立人の商標として周知・著名であったものであり、本件商標「pCAT」は、ローマ字の小文字「p」とローマ字の大文字「CAT」との組み合わせからなることから、小文字部分と大文字部分を容易に別のものと認識することができる上、そのうち大文字の「CAT」の部分は引用商標を構成する文字と一致する。
(エ)したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標である。
イ 指定役務の類否
本件商標の指定役務中、第36類の役務は引用商標の指定役務と抵触する。
ウ 結論
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第8号の該当性について
「CAT」は、申立人の英語ウェブサイトのドメイン名として使用されており、また、ニューヨーク証券取引所における申立人のティッカーシンボルであることも周知の事実であるから、本件商標の出願日以前から現在に至るまで、我が国においても申立人名称の著名な略称として広く知られていた。本件商標は、その申立人名称の著名な略称を含む文字よりなるものであり、かつ、申立人の承諾を得たものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、その指定役務中、第36類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第15号、同第11号及び同第8号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)引用使用商標の著名性について
ア 申立人は、1925年に設立された企業であり、主に建設工事及び鉱業設備機器、ディーゼルなどを製造、販売しているものであり、世界200か国以上で申立人製品の販売やそのサービスが提供されている(甲3、7)。
そして、申立人は世界各国で引用使用商標2又は3を使用して鉱山機械、建設機械等の製造・販売を行っているところ(甲21?23)、海外の多くの国において、同商標は鉱山機械、建設機械等について周知性を獲得しているものと認められるが、その他の商品・役務については、甲各号証のみによっては、周知性を獲得しているものと認められない。
イ 我が国においては、申立人は、昭和38年(1963年)に三菱重工業との合弁会社としてキャタピラー三菱株式会社を設立し、昭和62年(1987年)に合併により新キャタピラー三菱株式会社を発足し、その後、平成20年(2008年)に社名をキャタピラージャパン株式会社(キャタピラージャパン)に変更しているが(甲7)、遅くとも昭和56年には「ブルドーザー」などについて引用使用商標1の使用を開始し(甲26)、少なくとも平成元年までは「ブルドーザー、油圧ショベル、掘削機械、積込機械」などの商品に付して継続使用していると認められる(甲50、51)が、遅くとも平成20年8月からは引用使用商標3の使用が油圧ショベルについて開始され(甲20)、その後も、ブルドーザー、ダンプトラック、ホイールローダなどの建設機械や鉱山機械等に引用使用商標3が使用される(甲24、25、27)のに伴い、引用使用商標1は製品に付す態様での使用はなくなったが、広告においては機種の記号とともに継続して使用されている(甲24、28、54等)。
このように、申立人は、主に建設機械や鉱山機械等の販売及び、その他、申立人の商品専門の金融サービス及びリースの提供等がなされているところ(甲32?40)、その製品や広告には引用使用商標が使用されている(甲3、7、24?29)。
ウ しかしながら、引用使用商標が、建設機械・鉱山機械に使用する商標として、長年の間使用されてきたものであることを認めることができるが、その他、引用使用商標を使用する金融サービス、リース等は、申立人の機械及びその機械購入者を対象としているものであるから、前記役務に係る引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の機械が含まれる建設機械の需要者の間には、相当程度認識されていたものということはできるとしても、金融サービス等の一般需要者の間に広く認識されていたということはできない。
なお、申立人が、ベルト、サングラス、時計、おもちゃ等、多岐にわたる商品に引用使用商標を付して販売していると主張して提出する甲第30号証は、英語で記載されたウェブサイトであって、また、これらの商品について我が国における販売の事実等は不明であるから、これにより、引用使用商標が、一般需要者においても広く知られているものと認めることはできない。
また、申立人は、「CAT」を、同人のホームページのドメイン名及びニューヨーク証券取引所における申立人のティッカーシンボルとして登録し、使用しているから、一般の消費者層にも申立人の略称として著名であると主張するが、申立人が「cat.com」をドメイン名及び「CAT」をニューヨーク証券取引所における申立人のティッカーシンボルに使用しているとしても(甲42、43)、提出された証拠には、「CAT(cat)」が申立人の略称として具体的に使用されているものではなく、ニューヨーク証券取引所における符丁を一般の需要者が広く認識しているものとは到底容認しがたいものであるから、「CAT」が申立人の略称として著名であるとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「pCAT」の欧文字により、まとまりよく一体に表されているものであるところ、その構成全体として特定の意味を有しない造語と認められるものであり、これを「p」の文字部分と「CAT」の文字部分に分離し、後者のみを分離抽出して認識しなければならない事情は認められず、これより生ずる称呼「ピーキャット」も淀みなく一気一連に称呼し得るものである。
したがって、本件商標は、その構成全体として一体のものとして認識し、把握されるものとみのが自然であり、構成文字全体に相応して「ピーキャット」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないとみるのが相当である。
そして、引用商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、デザイン化された「C」「A」「T」の欧文字と三角図形を一体に組み合わせた構成からなるロゴタイプとして認識されるものであり、これらの構成からは、デザイン化された欧文字「C」「A」「T」が、猫を意味する「cat」をデザインしたものとまでは理解されるといえないものであり、当該ロゴタイプが「キャット」の称呼及び「猫」の観念を生じるものというべき特段の実情もないから、引用商標は、「シーエーティー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないというべきである。
そこで、本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、その構成は、それぞれ、上記のとおりであるところ、「pCAT」の欧文字からなる前者と全体として一体のロゴタイプとして認識される後者とは、外観上においては顕著な差異を有するから、外観上、十分区別することができる。
次に、本件商標から生ずる称呼「ピーキャット」と引用商標から生ずる称呼「シーエーティー」とを対比すると、両者は、構成音が明らかに相違するから、称呼上、十分聴別することができる。
また、本件商標と引用商標とは、いずれも観念を生じないものであり、観念において、互いに紛れるおそれがあるような特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標と引用使用商標1とは、「CAT」の構成文字を共通にするが、本件商標が4文字構成であるのに対して、引用使用商標1が3文字構成であって、いずれも構成文字数が少ないものであるところ、外観の類否判断において重要な位置を占める語頭部分において「p」の文字の有無の差異を有するものであるから、外観上、十分区別することができる。
そして、本件商標から生ずる称呼「ピーキャット」と引用使用商標1から生ずる称呼「キャット」とを対比すると、両者は、「キャット」の称呼を共通にするが、本件商標が4音構成であるのに対して、引用使用商標1が2音構成であって、いずれも構成音数が少ないものであるところ、称呼の類否判断において重要な位置を占める語頭部分において「ピー」の構成音の有無の差異を有するものであるから、称呼上、十分聴別することができる。
また、本件商標と引用使用商標1とは、本件商標が観念を生じないものであるから、観念において紛れないものである。
したがって、本件商標と引用使用商標1とは、別異の商標というべきものであり、類似性の程度は極めて低いものである。
次に、引用商標と引用使用商標2及び3とは、引用使用商標2及び3が別掲2(2)及び(3)のとおりの構成からなるものであるから、同一又は酷似しているものである。
そうすると、本件商標と引用使用商標2及び3との類似性の程度の判断は、本件商標と引用商標との類否判断の結果を参考にすることができるから、別異の商標というべきものであり、類似性の程度は極めて低いものである。
してみると、引用使用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、建設機械の需要者の間には、相当程度認識されていたものということはできるとしても、我が国において、広く認識されていたとまでいうことはできないものであり、本件商標は、引用使用商標と類似の程度が低く別異の出所を表示する商標として看取されるものであり、さらに、引用使用商標が使用されている建設機械と本件商標の指定役務とは、その産業分野において関連性も高くはないから、これらを総合して考慮するならば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する需要者、取引者が引用使用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について誤認混同を生ずるおそれもないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第8号の該当性について
申立人は、「CAT」の欧文字が、申立人の英語ウェブサイトのドメイン名として使用されており、また、ニューヨーク証券取引所における申立人のティッカーシンボルとして使用されているとして、我が国において申立人名称の著名な略称として広く知られている旨主張する。
しかしながら、企業名称の略称がドメイン名の一部に使用されることがあるとしても、企業のドメイン名が常にその企業名称の略称であるとは限らないばかりでなく、ドメイン名の全てが我が国において広く知られているという事情も認められないから、申立人の英語ウェブサイトのドメイン名の一部に「cat」の文字が使用されているとしても、「CAT」の欧文字が我が国において申立人名称の著名な略称として広く知られている根拠とすることはできず、また、ニューヨーク証券取引所におけるティッカーシンボルが我が国において企業名称の著名な略称として広く知られているとすべき事情も認められないから、「CAT」の欧文字が、ニューヨーク証券取引所において申立人のティッカーシンボルとして使用されているとしても、我が国において申立人名称の著名な略称として広く知られている根拠とすることはできないというべきである。
申立人は、上記主張事実以外に「CAT」の文字が我が国において申立人の略称として広く使用され知られている事実を立証していない。そうすると、「CAT」の欧文字は、甲各号証によっては、我が国において申立人の著名な略称と認めるに足りない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標
登録番号 商標登録第4688554号
商標


指定役務及びその区分 第36類「資金の貸付け」
出願日 平成13年6月4日
登録日 平成15年7月4日


別掲2 引用使用商標
(1)引用使用商標1
「CAT」

(2)引用使用商標2



(3)引用使用商標3


(色彩については原本を参照されたい。)


異議決定日 2015-12-09 
出願番号 商願2013-98610(T2013-98610) 
審決分類 T 1 652・ 263- Y (W36)
T 1 652・ 262- Y (W36)
T 1 652・ 271- Y (W36)
T 1 652・ 261- Y (W36)
T 1 652・ 23- Y (W36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 下山 月菜小俣 克巳 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 堀内 仁子
藤田 和美
登録日 2014-05-30 
登録番号 商標登録第5673941号(T5673941) 
権利者 ルミーズ株式会社
商標の称呼 ピイキャット、ピイシイエイテイ 
代理人 津国 肇 
代理人 達野 大輔 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 栃木 順子 
代理人 柳町 亜友美 
代理人 特許業務法人 津国 
代理人 山村 大介 

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