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審決分類 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W07
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W07
管理番号 1307462 
審判番号 不服2014-25519 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-12 
確定日 2015-11-13 
事件の表示 商願2013-78624拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第7類「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」を指定商品として、平成25年10月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、ありふれた氏の一つと認められる『新田』に通じる『NITTA』の欧文字を表示してなるものであるから、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、出願人が提出した証拠によっては、本願商標と証拠において使用されている商標とが同一であるとは認めることができず、また、本願商標がその指定商品に使用されて需要者に認識されていることを客観的に証明するには十分とはいえないから、商標法第3条第2項の要件を満たすものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第4号該当性について
本願商標は、別掲のとおり、「NITTA」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「N」及び「A」の文字の上部を平らに、また、「T」の縦棒を中央から右又は左にずらして表し、ややデザイン化した書体からなるものの、商標全体としては、そのデザイン化の程度は格別特異なものともいえないものであるから、普通に用いられる方法の範囲内で表された標章と認められるものである。
そして、「新田」の文字は、我が国においては、氏を表す語として一般に用いられているものとみるのが相当であり、また、一般の商取引においては、氏は必ずしも漢字だけで表すものではなく、ローマ字で表す場合も決して少なくないものである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、これをありふれた氏である「新田」をローマ字で表したもの、すなわち、ありふれた氏普通に用いられる方法で表示したものと理解し、認識するにすぎないといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 出願人(請求人)は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により、商標登録を受けることができる旨主張し、証拠方法として資料1ないし資料103を提出している。
そこで、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについてみるに、出願人の主張及び提出に係る証拠並びに当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(ア)出願人は、1885年に創業、1888年に国内で最初に動力伝導革用ベルトの製造に成功し、1945年に株式会社新田帯革製造所を設立し、社名を1965年に新田ベルト株式会社に、さらに、1982年にニッタ株式会社に変更し、現在は、「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」を含む工業用ベルトを主とする工業製品を製造、販売する企業である(資料1?6)。
また、出願人は、動力伝導革用ベルトの製造に成功した後、ゴムベルト、ニカワ、ゼラチンなどに事業領域を拡大し、現在は、「創業125年の伝統を誇るベルト大手」と評される東京証券取引所市場第一部の上場企業である(資料3?6)。
(イ)出願人は、「工業用品ゴム・樹脂ハンドブック」の2009年版及び2013年版に、ゴムベルトの生産会社として挙げられた10社のうちの1社として、また、樹脂コンベヤベルトの主要メーカーの1社として掲載されている(資料4、資料6)。
(ウ)当審における職権調査によれば、出願人は、工業又は化学分野において発行部数の多い「日刊工業新聞」や「化学工業日報」等の日刊業界新聞において、「大手ベルト3社」や「伝動ベルト3社」のうちの1社として、また、日本経済新聞、日経産業新聞、日本証券新聞等の日刊経済新聞において、「伝導用ベルトの大手」として、多数の記事に取り上げられている事実が見受けられる。
また、2008年1月1日付け及び同年11月17日付けの「ゴム報知新聞」並びに2010年2月15日付け、同年5月10日付け、2011年9月5日付け、同年11月7日付け及び2013年12月2日付けの「ゴムタイムス」の工業用ベルトや業績に関する記事において、出願人が、「ニッタ」及び「ニッタ(株)」の表示で取り上げられている(資料8?14)。
(エ)出願人の2011年度から2013年度の連結売上高は、毎年500億円以上であり、2011年度の連結売上高は、ゴム製品製造業において、第17位である(資料3、資料4、資料7)。
(オ)出願人は、「NITTA」の欧文字をややデザイン化した書体で表してなる本願商標と同一といえる態様からなる商標(以下「使用商標」という。)を逆ひょうたん型の図形商標又は「GROUP」の欧文字とともに、商品カタログ(資料83?86、資料88?94、(カ)参照)、新聞における宣伝広告(資料15?23、(キ)参照)、出願人のホームページに表示している。
(カ)1993年5月、同年11月、1998年2月、同年9月、2002年9月、2005年9月、2010年4月、2012年10月、2013年9月、同年5月に作成された「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」の商品カタログの表紙には、使用商標が表示されており、その印刷部数は、各回1000部ないし3000部である(資料83?86、資料88?94)。
(キ)2009年3月16日付け、2012年1月16日付け及び2013年12月2日付けの「ゴムタイムス」、2009年1月1日付け、2011年9月19日付け及び2012年4月23日付けの「ゴム報知新聞」、2011年6月7日付けの「日刊工業新聞」、2012年5月25日付けの「ゴム化学新聞」並びに2013年6月25日付けの「物流機械新聞」の業界新聞各紙に掲載された出願人の商品の広告には、使用商標が表示されている(資料15?23)。
そして、当審における職権調査によれば、「ゴムタイムス」及び「ゴム報知新聞」は、それぞれ、毎号3万8000部及び2万5000部程度発行される週刊業界新聞である。
(ク)出願人は、本社を大阪に、また、事業所を東京、名古屋、北陸、静岡、福岡、奈良、名張、高知及び北海道に置き、これらの事業所から日本各地の機械器具を取り扱う事業者等へ製品の販売を行っている(資料7)。
(ケ)出願人は、2007年ないし2014年の間の発注書又は注文書により、青森、茨城、東京、長野、静岡、愛知、奈良、広島、小倉、福岡、熊本等の日本各地から、「動力伝導用ベルト」及び「運搬用ベルト」の発注を受け(資料24?54、資料57?82)、納品を行っている(資料55、資料56)。
(コ)本願の指定商品「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」の主な需要者、取引者は、該商品を部品に用いた機械器具を取り扱う企業である。
イ 以上のことからすると、出願人は、1945年から「新田」ないし「ニッタ」をその社名に使用し、また、遅くとも1993年から現在まで約22年間継続して、「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」について、本願商標と同一である使用商標を使用したものであり、定期的に作成された使用商標を付した商品カタログを全国の事業所を通じて配布したことが推認される。また、出願人は、継続して上記商品の宣伝広告を行い、2007年ないし2014年の間に全国から商品の発注を受けて、販売したことが認められ、加えて、書籍、経済新聞及び業界新聞の記述から、工業用ベルトを取り扱う業界において、パイオニア的存在であり、主要メーカーの1社として取引者、需要者に認識されていることがうかがえる。
さらに、職権調査によれば、出願人以外の者が「NITTA」の文字を本願の指定商品について使用している事実は発見できなかった。
してみれば、本願商標は、その指定商品「動力伝導用ベルト,運搬用ベルト」について、出願人により使用をされた結果、需要者が出願人の業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当であるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備している。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審決日 2015-10-27 
出願番号 商願2013-78624(T2013-78624) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (W07)
T 1 8・ 14- WY (W07)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青野 紀子松浦 裕紀子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 藤田 和美
堀内 仁子
商標の称呼 ニッタ 
代理人 竹原 懋 
代理人 川崎 実夫 
代理人 稲岡 耕作 

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