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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09
管理番号 1307396 
審判番号 取消2014-300372 
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-05-20 
確定日 2015-10-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第4369658号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4369658号商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4369658号商標(以下「本件商標」という。)は、「マイクロビジョン」の片仮名を標準文字で書してなり、平成9年12月22日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,回転変流機,調相機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知器,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,消防艇,スプリンクラー消火装置,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,レギュレーター,アーク溶接機,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム,磁気カード,液晶を用いてなるテレビジョン受信機・液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」を指定商品として、同12年3月24日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成26年6月6日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書(補充を含む。)及び平成27年3月26日付け上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
被請求人は、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の概念に含まれる商品「視覚装置」(以下、「本件商品1」という。)に「マイクロビジョン-21」という商標を付し、同概念に含まれる商品「視覚装置の制御ボード」(以下「本件商品2」という。なお、以下、本件商品1及び本件商品2をまとめて「本件商品」という場合もある。)に「μVisionボード」という商標を付し販売していること、販売時期は前者が2007年4月、後者が2011年4月より現在に至るまでであることを主張している。
しかしながら、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件商標が審判の請求登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)にその指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に使用されたことが何ら立証されていない。
(1)乙第1号証
乙第1号証は、産業用ロボットの製品カタログの写しである。被請求人は、この中に「このカタログ記載のデータは2007年4月現在のものです」との記載があることをもって、本件商標が少なくとも2007年4月には、本件商品1に使用されたと主張している。
しかし、この製品カタログが2007年4月に発行されたものであるかは、その他に何ら裏付けがない。また、この製品カタログが広告目的でその被請求人の顧客に実際に配布されたかも不明である。さらには、例え、この製品カタログが2007年4月に発行・配布されたものであったとしても、これは要証期間内のものではない。
よって、乙第1号証により、本件商標が本件商品1、ひいては取消請求に係るその指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとはいえない。
ア 本件商品1(視覚装置)について
被請求人は、「視覚装置」と称する商品が「電子応用機器たるカメラやモニター、ロボットコントローラに電気的結合を行うことで使用する装置」であるから、本件取消請求に係る商品、第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」のうち「電子応用機械器具及びその部品」に該当すると主張している。
しかし、被請求人は、「視覚装置」なる商品が具体的に一体どういう機能を有するものかについて一切説明をしておらず、乙第1号証にも記載がない。一般的に、産業用ロボットと共に使用されるカメラは、CCDカメラやCMOSカメラが多く(甲2及び甲3)、これは、撮影した画像を電気的な信号に変換し、それを他の機器に伝送する装置であり、モニターは、このようなカメラから送られた電気信号を画像に再変換して映し出す装置であり、いずれも「通信機械器具」にあたるものであって(甲4)、「視覚装置」に接続されるこれらのカメラ及びモニターは、「電気通信機械器具」の範ちゅうに属するものである。
イ 乙第1号証に表示された商標について
本件商標は、「マイクロビジョン」の欧文字8字を標準文字で表してなる商標である。「マイクロビジョン」なる成語は辞書等に掲載されておらず、造語からなるものであり、そこから何の観念も生じない。また、本件商標からは「マイクロビジョン」の称呼が生じる。
一方、乙第1号証に表されている商標は、「マイクロビジョン-21」(以下「使用商標1」という。)を同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で横書きしてなる商標である。被請求人が提出した証拠によれば、使用商標1以外に「マイクロビジョン」という表示が使用されている商品はない。「マイクロビジョン」と「21」はハイフンで連結されることにより全体として一体不可分のまとまりをもった一つの商標として捉えられる。ハイフンの後ろに表された「21」は、それ以外の数字や欧文字を付して使用されている例が乙各号証に見当たらないことから、「-21」の部分が、シリーズ化された商品名のうちの規格・品番等を表す記号・符号とは考え難い。世上一般にも、「21」の文字は、「21世紀」を表す特別な意味を有する語として使われており(甲9及び甲10)、使用商標1は、「-21」の部分が商品の記号や符号であるとは認められず、「マイクロビジョン-21」はその全体をもって一体不可分の一つの商標を表したものと把握すべきである。このような一体不可分の構成態様からなる商標からは「マイクロビジョンニジュウイチ」の称呼のみが生じ、また、「マイクロビジョン-21」なる成語は辞書等に掲載されておらず、何の観念も生じない。
そこで、本件商標と使用商標1を比較すると、外観は、「-21」の文字の有無という差異があり、両者は同一でない。称呼は、語尾の「ニジュウイチ」の語の有無という差異があり、両者はこの点でも同一とはいえない。観念についても、両者とも何ら観念を生じず、観念上の同一性は認められない。
そうすると、使用商標1は、本件商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても同一とはいえず、商標法50条1項括弧書きに照らしても本件商標と使用商標1が社会通念上同一の商標ということはできない。
ウ 上記ア及びイに述べたとおり、乙第1号証により、本件商標が本件商品1、ひいては、取消の請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとはいえない。
(2)乙第2号証ないし乙第4号証
ア 本件商品2(視覚装置の制御ボード)について
被請求人は、「視覚装置の制御ボード」と称する商品がカメラを制御するものであるから、本件取消請求に係る第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」のうち「電子応用機械器具及びその部品」に該当すると主張する。
しかし、乙第2号証及び乙第3号証よりすれば、本件商品2は画像処理装置であることが明白である。これがカメラを制御するための「視覚装置の制御ボード」であるとしても、それは「カメラ」という「電気通信機械器具」の制御を行うための専用品であって、電子の作用を応用した通信機械器具であることに変わりはなく、「電気通信機械器具」の範ちゅうに属する。特許庁の審査実務においても「監視用ビデオカメラ制御装置」が電気通信機械器具の範ちゅうに属する商品とされている(甲12)。
以上のとおり、本件商品2は「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品ということはできない。
イ 製品カタログ写しに表示された商標について
本件商標の外観・称呼・観念は上記(1)イのとおりであるところ、乙第2号証ないし乙第4号証に表示された商標は「μVisionボード」のギリシャ文字1字、欧文字6字、片仮名3字を同じ書体、同じ大きさで横書きしてなる商標(以下、「使用商標2」という。)である。使用商標2は、そのまとまりのよさから全体としてー体不可分の一つの商標と捉えるのが自然であり、使用商標2からは、その構成文字に相応して、「ミュービジョンボード」の称呼が生じる。特に、「μ」は広辞苑第六版によれば、「ミュー」という読みしか掲載されておらず(甲11)、我が国における一般的な読みは「ミュー」であると認められる。なお、仮に、万が一、「μ」が「マイクロ」と読まれることがあるとしても、使用商標2は、全体的に見て冗長なものではなく、まとまりよく一体的に表されており、そこから「ボード」の語が捨象されて「マイクロビジョン」と略称される理由は何も存在しない。また、「μVisionボード」なる成語は辞書等に掲載されておらず、何の観念も生じない。
そこで、本件商標と使用商標2を比較すると、外観は、構成文字が全く異なり、両者は同一でない。称呼は、使用商標2から少なくとも「ミュービジョンボード」の称呼が生じ、本件商標の称呼「マイクロビジョン」と一対一の関係にないことから、両者は同一とはいえない。観念は、両者とも何ら観念を生じず、同一性は認められない。
以上のとおり、使用商標2は、本件商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても同一とはいえず、商標法50条1項括弧書きに照らしても本件商標と使用商標2とは社会通念上同一の商標ということはできない。
なお、たとえ、使用商標2から「ボード」の語が捨象されることがあったとしても、本件商標「マイクロビジョン」と使用商標2中の「μVision」の部分とは、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものでもなければ、同一の観念が生じるものでもない。また、称呼も一対一の関係にあるものではなく、いずれにしても、本件商標と使用商標2とは社会通念上同一の商標ということはできない。
(3)製品カタログについて
ア 乙第2号証について
被請求人は、乙第2号証は製品カタログの写しであり、この中に「このカタログの記載データは、2011年4月現在のもの」との記載があることをもって、本件商標が少なくとも2011年4月には、本件商品2に使用されたと主張している。
しかし、乙第2号証の製品カタログが2011年4月に発行されたものであるかは、その他に何ら裏付けがない。また、この製品カタログが広告目的で被請求人の顧客に実際に配布されたかも不明である。そして、乙第2号証に掲載された「μVisionボード」なる商品が現実に販売等されたかどうかについても、被請求人による立証が何らされておらず疑義がある。さらには、たとえ、この製品カタログが2011年4月に発行・配布されたものであったとしても、要証期間内のものではない。
イ 乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証は製品カタログの写しであり、この中に「このカタログの記載データは、2012年5月現在のもの」との記載があることをもって、本件商標が少なくとも2012年5月には、本件商品2に使用されたと主張している。
しかし、乙第3号証の製品カタログが2012年5月に発行されたものであるかは、その他に何ら裏付けがない。また、この製品カタログが広告目的で被請求人の顧客に実際に配布されたかも不明である。そして、乙第3号証に掲載された「μVisionボード」なる商品が現実に販売等されたかどうかについても被請求人による立証が何らされておらず疑義がある。
このような不十分な書証をもってしては、本件商標が取消請求に係るその指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に使用されたことの証拠とはならない。
ウ 乙第4号証について
被請求人は、乙第4号証は製品カタログの写しであり、この中に「このカタログの記載データは、2013年5月1日現在のもの」との記載があることをもって、本件商標が少なくとも2013年5月1日には、本件商品2に使用されたと主張している。
しかし、この製品カタログが2013年5月1日に発行されたものであるかは、その他に何ら裏付けがない。また、この製品カタログが広告目的で被請求人の顧客に実際に配布されたかも不明である。そして、乙第4号証に掲載された「μVisionボード」なる商品が現実に販売等されたかどうかについても被請求人による立証が何らされておらず疑義がある。
エ 上記アないしウによれば、本件商標が本件請求に係るその指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に要証期間内に使用されたことが立証されているとは到底いえない。
3 口頭審理陳述要領書(補充を含む。)における主張
(1)被請求人の主張の要点について
被請求人は、乙第1号証、乙第5号証、乙第10号証及び乙第11号証を提出し、使用商標1や、「マイクロビジョン」の商標(以下、「使用商標3」という。)が、筐体を有する「視覚装置」(本件商品1)に使用されていると述べているにすぎない。その余については、「μVision-21」(使用商標2)等の、本件商標と社会通念上同一とはいえない商標が使用されていたことに言及するのみである。
しかしながら、この筐体を有する「視覚装置」は、「電子応用機械器具及びその部品」の概念に含まれるものといえるものではない。
また、乙各号証を総合、精査しても、被請求人が使用商標1や使用商標3を、本件商品1に使用したのが要証期間内であることは、何ら立証されていない。
(2)本件商品について
本件商品は、カメラで捉えたアナログ信号を、位置情報(X-Y座標からなる)を表すデジタル信号に変換し、それを、ロボットを実際に動作させるコントローラーに伝送するというものである。つまり、これは「視覚装置」が、カメラの捉えた画像情報をデジタル化処理し、ロボットを制御するコントローラーに伝送する「画像処理装置」であることを示すことにほかならない。このような「画像処理装置」が「電気通信機械器具」の概念に包含される商品であることは、先の弁駁書において請求人が述べたとおりである。
また、本件商品が「制御装置」にあたると仮定しても、一般的に「制御装置」は、その制御の対象となる商品と同一の区分及び類似群に属するとされているところ(甲13)、「工業用ロボット」は第7類に属する商品であり(甲14)、そうであれば、被請求人が「ロボットの制御装置」であると主張する「視覚装置」なる商品は、第7類に属する商品であって本件商標の指定商品に含まれない商品ということになる。
なお、被請求人は、乙第6号証を提出して、「画像処理用コンピュータプログラム」に言及しているが、「視覚装置」が「コンピュータプログラム」でないことは一目瞭然である。
(3)乙第5号証
乙第5号証は、産業用ロボットの製品カタログの写しであるところ、同号証には「このカタログ記載のデータは2007年3月現在のものです。」の記載があることから、該カタログは要証期間前のものと認められる。被請求人は、「乙第5号証は2007年3月の発行であるが、このカタログは商品『マイクロビジョン』に関しては2012年10月まで使用されていた。」と述べているが、その証拠は何ら提出していない。
よって、乙第5号証により、本件商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとはいえない。
(4)乙第7号証
乙第7号証は、商品の出荷実績を示す表の写しであるところ、同号証は、製品出荷の計上を示すにすぎない、自社内に限定される書類であって、客観性に乏しく、実際の商取引において、本件商標を請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用したことを証明するものとはいえない。また、同号証において「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」という表示が品名として使用されている事実が認められるが、この表示と本件商標が同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
よって、乙第7号証により、本件商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとは到底いえない。
(5)乙第8号証
乙第8号証は、2012年3月6日発行の「株式会社デンソー」の「受領書(工機)」であるところ、同号証において、「μVision一式」という表示が品名・型式として使用されている事実が認められるが、この表示と本件商標が同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
よって、乙第8号証により、本件商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとはいえない。
(6)乙第9号証
乙第9号証は、2012年4月17日発行の「(株)豊通マシナリー」への「納品書」であるところ、同号証において、「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット/VC-21WPD」という表示が品名・型式として使用されている事実が認められるが、この表示と本件商標が同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
よって、乙第9号証により、本件商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとはいえない。
(7)乙第10号証
乙第10号証は、株式会社デンソーの工機部で用いられている「イントラネット」の印刷資料とのことである。しかしながら、株式会社デンソーは、被請求人の親会社であり(甲15)、この印刷資料は、いわば、被請求人と特別な利害関係を有する者の社内に限定されたネットワークから印刷された資料であって、客観性、信憑性に乏しく、実際の商取引において、本件商標を請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用したことを証明するものとはいえない。
また、同号証において、「μVision15」及び「μVision21」という表示があるものの、これらの表示と本件商標が同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
さらに、被請求人は、当該「イントラネット」に乙第5号証の商品カタログがリンクされており閲覧可能である旨述べているが、要証期間前の乙第5号証を、社内限定の「イントラネット」で閲覧可能であることを立証したところで、本件商標を要証期間内に商取引において実際に使用したことの立証にはならない。
また、乙第10号証の1/2ページによれば、このイントラネットの日付が「2014.11.10」となっており、そもそも、2014年11月10日に印刷された資料は要証期間内のものではない。
そして、乙第10号証は、被請求人が作成したと思しき流れ図であるところ、これが「視覚装置」の製造中止時点と被請求人が主張する2012年10月2日当時のイントラネットの内容を表しているかについても、何ら立証がされていない。加えて述べるならば、2012年に廃番になった商品をいつまでもイントラネットとリンク付けしているということが不自然である。
以上のことから、乙第10号証により、本件商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとは到底いえない。
(8)乙第11号証
乙第11号証は、産業用ロボットの製品カタログの写しであるところ、同号証には「このカタログ記載のデータは1995年9月現在のものです。」との記載があることから、該カタログは要証期間前のものと認められる。
よって、乙第11号証により、本件商標が指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に、要証期間内に使用されたことが立証されているとは到底いえない。
(9)乙各号証について
ア 「RC7Mコントローラー」につながる機器として、過去に小型視覚装置「マイクロビジョン-21」が販売されていた(乙1)。小型視覚装置「マイクロビジョン-21」は、正式には「μVision21Super」の品名で使用されていた(乙5)。
しかしながら、乙第1号証及び乙第5号証は、要証期間外の証拠である。
イ 要証期間内である2011年6月から2012年10月において、「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」が販売された(乙7)。また、上記販売における一受領書には、「μVision一式」との記載があり(乙8)、一納品書には、「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」の記載がある(乙9)。
乙第7号証ないし乙第9号証によれば、要証期間内において、「μVision-21Super」なる品名の商品(これは小型視覚装置と推定される)が販売されたことがうかがえる。
なお、上記の2011年6月から2012年10月の取引が、その4年以上も前の2007年3月ごろ作成されたのカタログ(乙5)に基づいて行われたことの客観的な立証は何らされていない。乙第7号証ないし乙第9号証には「μVision」の文字を含む商品名が表示されているのみであり「マイクロビジョン」という商標が使用されていたことの証拠にはならない。また、被請求人は、乙第5号証のカタログは2012年10月まで使用されていた旨述べているが、その証拠も何ら提出されてはいない。
ウ「μVisionボード」というコントローラ増設ボードが存在し(乙2ないし乙4)、該商品は「RC7Mコントローラー」に内装される視覚機能用拡張(増設)ボードのようであり(乙4)、「μVision-21Super」の代替品として需要が多くなったことから、2011年4月以降は、カタログでは「μVisionボード」のみを掲載している(乙2ないし乙4)。
エ 上記アないしウによれば、(ア)小型視覚装置について、商標「μVision-21Super」が使用されたこと、(イ)コントローラ増設ボードについて、商標「μVisionボード」が使用されたことはうかがえるが、(ウ)小型視覚装置及びコントローラ増設ボードについて、本件商標が使用されたことは何ら証明されていない。
4 平成27年3月26日付け上申書における主張
(1)乙第5号証のカタログ配布の事実について
被請求人は、乙第5号証のカタログを2007年に配布した会社名として31社を列挙している。しかしながら、該カタログがこれらの会社に配布されたことを裏付ける証拠は何ら提出されていない。
よって、該カタログが実際に配布されたことが立証されているとは到底いえない。
(2)乙第12号証及び乙第13号証について
乙第13号証は、産業用ロボットの製品カタログであるところ、同号証には「このカタログ記載のデータは2010年3月現在のものです。」の記載があることから、該カタログは要証期間前のものと認められる。また、同号証において、「μVision-21Super」の表示が認められるが、この表示と本件商標が同一又は社会通念上同一の商標ということはできない。
乙第12号証は、2010年3月29日に発行された「乙第13号証のカタログの印刷に関する請求書」であり、該号証をもって、2007年3月に発行された乙第5号証のカタログが1万部印刷されたことを立証しようとしている。
しかしながら、乙第12号証は、あくまで乙第13号証のカタログが1万部印刷されたことを示しているにすぎず、乙第5号証とは無関係であり、乙第5号証が1万部印刷されたことの立証はできておらず、被請求人が主張するような推測もできない。
以上より、乙第12号証及び乙第13号証によっては、要証期間内に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標が請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」等に使用されたことが立証されているとはいえない。
(3)乙第14号証及び乙第15号証について
乙第14号証は、乙第7号証ないし乙第9号証に記載されている商品「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」あるいは「μVision一式」の内容を示す「部品表」とのことである。乙第14号証は2008年4月3日の承認印が押印されていることから、要証期間外の同日に社内で承認を受けたものと見受けられる。
乙第15号証は、いつ発行された資料であるかも特定できないが、被請求人によれば、乙第14号証に記載されている「プロセッサアッセンブリ,ビジョン」の図面とのことである。
被請求人は、これらの証拠により、乙第7号証ないし乙第9号証に記載されている商品「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」あるいは「μVision一式」」のセット内容に乙第5号証に掲載された商品「視覚装置」が含まれていることを立証し、乙第7号証ないし乙第9号証の取引が乙第5号証のカタログに基づいて行われたことを立証しようとしているようである。
確かに、乙第15号証と乙第5号証に表れた両図面は同じ製品のようであり、「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」あるいは「μVision一式」のセット内容に「視覚装置」が含まれていることが推測される。
しかしながら、乙第14号証及び乙第15号証には、いずれも本件商標の表示がなく、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用していたとは認められず、これらによっては、乙第7号証ないし乙第9号証の取引が乙第5号証のカタログに基づいて行われていたことの立証は何らされていない。
よって、乙第14号証及び乙第15号証により、要証期間内に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標が商品「視覚装置」あるいは請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」等に使用されたことが立証されているとはいえない。
(4)乙第16号証について
ア 要証期間内の証拠ではないことについて
乙第16号証は、「株式会社デンソーの社内イントラネット」(乙10)のログ取得画面とのことである。同画面の右下(乙16の1)には「2015/02/18」の表示があることから、該表示画面は要証期間後のものと認められる。また、乙第16号証の2ないし10については、その表示日、印刷日が不明である。被請求人は、乙第16号証により、要証期間内において、イントラネットに乙第5号証のカタログがリンクされていたことを立証し、リンクされた乙第5号証のカタログに11件のアクセスがあったことを立証しようとしている。
しかしながら、乙第16号証の1は要証期間後に表示、印刷されたものであり、乙第16号証の2ないし10についてはその表示日、印刷日が不明であることから、乙第16号証の1に表示されているURL「http://133.192.106.121/vision/kiki/01_VisionSystem/011uVision21/uvision21.pdf」が、要証期間内においてもイントラネットにリンクされていたのか不明である。また、要証期間内において、上記URLに乙第5号証のカタログが本当にリンクされていたのかを裏付ける証拠も何ら提出されていない。
よって、乙第16号証により、要証期間内に実際に乙第5号証のPDFファイルがイントラネットにリンクされており、それが閲覧されていたということが立証されているとはいえない。
イ 内容が編集された可能性が否めないことについて
乙第16号証の8ないし10は、その左上方の「MIFES for Windows」の文字より、テキストエディタ「MIFES」に入力された文字列であると認められ、このテキストエディタによれば、容易に内容の編集が可能である(甲16)。
よって、乙第16号証の8ないし10は、その内容が編集された可能性が否定できないものであり、これらの証拠により、要証期間内において、イントラネットにリンクされた乙第5号証のカタログに実際にアクセスがあったことが充分に立証されているとはいえない。
ウ 広告的使用でないことについて
仮に、要証期間内において、イントラネットにリンクされた乙第5号証のカタログに実際にアクセスがあったとしても、「視覚装置」をすでに購入した親会社が「視覚装置」の寸法確認をする目的で作成したページであることが一目瞭然であり、このような目的のためにイントラネットにアップロードされたカタログによっては、商標法第2条第3項第8号に規定するような、商標の広告的な使用がされたとはいえない。
なお、被請求人の主張によれば、未だにイントラネットから乙第5号証のカタログのリンクが削除されていないとのことであるが、そうであるならば、商品「視覚装置」の生産が2012年10月に中止されたにもかかわらず、イントラネットに掲載され続けたことになり、これは、商品を販売するための広告目的で掲載されていないことを明白に示しており、上記の請求人の主張を裏付けるものである。
以上より、乙第16号証により、要証期間内に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標が商品「視覚装置」あるいは指定商品「電子応用機械器具及びその部品」等に使用されたことが立証されているとはいえない。
(5)乙第5号証において「マイクロビジョン」が商標として使用されていないことについて
乙第5号証のカタログ第17頁の「マイクロビジョン」と表示されている紺色の帯部分は、同カタログの他の頁にも複数存在し、その各帯部分を見ると、第1頁の紺色の帯部分には「ロボット」、第2頁の紺色の帯部分には「コントローラー」、「FA関連商品」、「視覚装置(オプション)」、「ロボット周辺機器」とそれぞれ記載されており、全て商品の一般名称であることが確認できる。つまり、乙第5号証のカタログにおける紺色の帯部分は、その下に紹介する商品の一般名称を記載する部分として統一されており、第17頁の紺色の帯部分に記載された「マイクロビジョン」も、他の紺色の帯部分と同様に、商品の一般名称であると捉えるのが自然である。
また、乙第5号証の第17頁は、小型視覚装置を紹介するページであることから、「小型視覚装置」の大きな見出しがあり、その右隣に商標「μVision-21 Super」の表示がある。その下の帯内に小さく「マイクロビジョン」の表示が確認できるが、「マイクロビジョン」は「micro vision」に通じ、「micro」は「超小型の」の意義を有し、「vision」は「視覚」の意義を有する。商標「μVision-21 Super」との文字の大きさの違いからみても、「マイクロビジョン」の語は、商標として使用されているものではなく、上段の「小型視覚装置」を英訳したものを片仮名表記した商品の一般名称として使用されたものである。
よって、乙第5号証に表示された「マイクロビジョン」は、商標として使用されているものではない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人提出に係る証拠方法によっては、本件商標が請求に係る指定商品について要証期間内に使用されたものとは認められない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び平成27年2月20日付け上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標が使用された事実について
乙第1号証のとおり、少なくとも2007年4月には、取扱商品の1つである視覚装置(本件商品1)について、本件商標を使用して「マイクロビジョン-21」(使用商標1)の名称で日本国内にて販売を開始している。
また、乙第2号証ないし乙第4号証のとおり、2011年4月より現在に至るまで、この視覚装置の制御ボード(本件商品2)についても「μVisionボード」(使用商標2)の名称で日本国内の販売を継続している。
この本件商品1及び本件商品2は、乙第1号証及び乙第2号証に示すとおり、両方ともカメラによる視覚を用いたロボット作業に供せられる装置に与えられた名称であり、筐体を有するものを「マイクロビジョン-21」と表記し、制御ボードのものを「μVisionボード」と表記していることから、「μVisionボード」の「μ」については「マイクロビジョン-21」の「マイクロ」に相当することになるので「マイクロ」と呼称され、「Vision」については「マイクロビジョン-21」の「ビジョン」に相当することになるので「ビジョン」と呼称され、実際の販売において「μVisionボード」は「マイクロビジョンボード」と呼称されて取り扱われている。
したがって、本件商標は、2011年4月より現在に至る3年以上の間、継続して日本国内で使用している事実がある。
(2)本件商品1は、電子応用機器たるカメラやモニター、ロボットコントローラに電気的結合を行うことで使用する装置であるので、「電子応用機械器具及びその部品」に該当する。また、本件商品2についても、同じく電子応用機器たるロボットコントローラに電気的結合され、カメラを制御する制御ボードであるので、「電子応用機械器具及びその部品」に該当致する。
したがって、本件商標は、指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」に使用されている。
2 口頭審理陳述要領書における主張
(1)本件商品1の説明
ア 乙第1号証は、本件商品1の使用実例を示すものである。乙第1号証のシステム構成に示されるように、「デンソーロボットシリーズ」は「RC7Mコントローラー」により制御されるが、制御機能はニーズに応じて拡張することが出来る。本件商品1の主たる用途は、小型視覚装置として、この「コントローラー」の機能拡張に用いられるものであり、「カメラケーブル」を介して「カメラ」と接続され、「カメラ」からの信号に基づいて「デンソーロボットシリーズ」を制御する信号を作り出すこととなる。すなわち、本件商品1は「コントローラ」に接続し、「コントローラ」と「本体間ケーブル」を介して繋がった「デンソーロボットシリーズ」の動きを制御する。
イ 乙第5号証は、2007年3月に発行された「デンソーロボット」の総合カタログであるが、カタログ17頁に、視覚装置(オプション)として「小型視覚装置マイクロビジョン-21」の応用例が記載されている。この応用例は、乙第2証及び第3号証に説明された例と同様である。本件商品1のプログラムは、「プログラム言語は、JISで標準化されたロボットプログラミング言語に準拠しており、用途に応じて、視覚検査・計測などを自由にプログラミング可能であり、また、一度作成したプログラムを登録できるライブラリー機能の活用で、容易で効率的なプログラム開発を実現。」できるものである。
なお、本件商品1の主な用途は、「デンソーロボットシリーズ」の機能拡張であるが、本件商品1は、「デンソーロボットシリーズ」と組み合わせることなく、視覚装置として単独でも機能し得る。この場合は、乙第1号証のシステム構成では、商品「マイクロビジョン」の信号は「デンソーロボットシリーズ」の「コントローラー」ではなく、「プログラマブルコントローラー」に出力される。
乙第5号証の応用例の、「品種、良・不良品判定位置検出」に用いられたときは、「事前に登録したモデルと、ワークの形状をパターンマッチング(モデルサーチ機能)し、一致度合から品種や良・不良品を判定する。またワークの位置・角度の検出も可能」とする。また、「品番判定」では、「全方向、高速読み取り可能な2次元コード(QRコード)の認識で製品毎の識別」を行う。さらに、本件商品1の制御信号は「BNC同軸ケーブル」を介して「モニター」に出力され、「モニター」で目視することも可能である(乙1のシステム構成)。
ウ このように、本件商品1は、カメラからのアナログ信号を入力して制御用の信号を作成する視覚装置であり、主たる用途であるロボット制御では、制御信号を作り出し、その信号をロボットの「コントローラ」へ出力している。
(2)本件商品1が「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに入ることについて
ア 請求人は、甲第2号証及び甲第3号証を用いて、カメラが「通信機械器具」にあたると主張するが、本件商品1はCCDカメラ等自体ではなく、CCDカメラからのアナログ信号に基づき制御用信号を作成する制御装置である。そして、その主たる用途は産業用ロボットの動作制御である。
なお、甲第4号証は、「通信機器」が「情報を電気的に遠距離の場所に伝える装置。」であるとの記載はあるが、カメラやモニターとの関係は不明である。さらに、本件商品1のような制御用の信号を出力する装置は、信号の作成に特徴があり、単に情報を遠距離に伝えるだけの装置ではない。
イ 請求人が「CCDカメラ」等に関する特許庁の審査実務であるとして提示する甲第6号証も、単に「CCDカメラ」が「電気通信機械器具」に含まれる審査事例を示すにすぎない。甲第8号証に関しては「画像処理装置」が具体的にどのような商品を指定商品としているのか明らかでないが、請求人が甲第12号証として提示した2004-088006号は指定商品に「CCDカメラ」や「CCDカメラを利用した資料等の撮像出力装置」を含むものであり、同様に、「CCDカメラ」が「電気通信機械器具」に含まれる審査事例を示すにすぎない。
ウ 請求人は、産業用ロボットの分野において画像処理装置を「視覚装置」と称しているとして、甲第7号証を提示するが、まず、甲第7号証の「ロボット視覚装置NV-AX」が如何なる装置であるのか不明である。この視覚装置が本件商品1と同様の制御装置であったとしても、それは制御装置を視覚装置と称しているのみであって、ロボットの制御装置が電気通信機械器具に含まれるとの証左となるものではない。
そもそも、「電気通信機械器具」には「映像周波機械器具」が含まれ、例示として「DVDプレーヤー、DVDレコーダー、デジタルフォトフレーム、ビデオカメラ、ビデオディスクプレーヤー、ビデオテープレコーダー」と共に「デジタルカメラ」が含まれており、「CCDカメラ」はその範ちゅうとして「電気通信機械器具」に含まれたにすぎない。それに対し、「第9類 電気応用機械器具」(審決注:「電気応用」は「電子応用」の誤記と認める。)には、「電子計算機及びその周辺機器」、「電子回路」、「電子計算機用プログラム」が含まれている。本件商品1は、カメラ単体でなく、制御用の信号を出力する電子回路であり、その主たる用途はロボットの制御である。したがって、電子応用機械器具の範ちゅうに含まれるものであることは明らかである。
なお、本件商品1と同様の「画像処理用コンピュータプログラム」は特許庁の審査実務でも「電子応用機械器具及びその部品」に含まれている(乙6)。
(3)本件商標の使用実績
ア カタログでの使用
本件商標は、本件商品を販売するカタログで用いられている。「デンソーロボット」総合カタログ(乙5)の第17頁には、本件商品1の写真が掲示されており、カタログの左上には本件商品1が片仮名8文字からなる使用商標3で販売されていることが明記されている。
なお、本件商品1の外面には、「DENSO」のロゴ、及び「μVision-21」のロゴが付されており、「μVision」は「マイクロビジョン」と呼称されている。
イ 「デンソーロボット」総合カタログの要証期間内の使用実績
乙第5号証のカタログは、2007年3月の発行であるが、このカタログは本件商品1に関しては2012年10月まで使用されていた。その理由は、本件商品1を記載したカタログとしては、乙第5号証が最新のものだからである。
乙第1号証のシステム構成に示すように、「コントローラー」(RC7Mコントローラー)は、筐体タイプの商品(本件商品1)を接続することも、「視覚ボード」(本件商品2)を内部に組み込むことも出来る。そして、実際の需要としては本件商品1より本件商品2の方が多くなっていた。そのため、2011年4月、2012年5月、2013年5月のカタログ(乙2ないし乙4)では、本件商品2を記載しているものの、本件商品1の商品説明は割愛している。なお、商品「μVisionボード」は「マイクロビジョンボード」と呼称している。
ただし、RC7Mコントローラーは現在でも販売しており、本件商品1の販売も2012年10月までは継続していた。本件商品2のみでなく、本件商品1の販売を2012年10月まで継続していた理由としては、本件商品1の置き換え、「RC7Mコントローラー」でのボード増設が容量的に一杯となっていた場合や、本件商品1の単体での使用等がある。
乙第7号証は、要証期間である2011年6月以降2012年10月迄の商品「マイクロビジョン」の出荷実績を示す表であるが、要証期間内に17台の商品「マイクロビジョン」を出荷している。なお、出荷履歴は電子情報で記録されており、乙第7号証はそれをプリントしたものである。
乙第8号証は、出荷実績(乙7)のうち、2012年3月26日に株式会社デンソー西尾製作所へ納品された実績を示す受領書である。乙第7号証と乙第8号証との関係は、乙第8号証で「品名・型式」を「μVision一式」としていること、乙第8号証の見積書No.と乙第7号証の手配No.が共に「ZZ2012-02-201-000」であること、及び「注文No.B201203 002536」が一致することで確認できる。
乙第9号証は、出荷実績(乙7)のうち、2012年4月17日に株式会社豊通マシナリーに納品した実績を示す納品書である。乙第7号証と乙第9号証との関係は、乙第9号証で「品名・型式」を「μVision-Super(デバイスネット)CD標準セット」としていること、デンソー品番が「104639-2050」であること、乙第9号証の伝票No.と乙第7号証の納品書No.が共に「ZZ12040570」であること、及び「注文No.120000060000601」が一致することで確認できる。
上記カタログは、取引において現実に使用されている。乙第10号証は、株式会社デンソーの工機部で用いられているイントラネットであり、同イントラネットのホームページのメニューには「視覚装置の部屋」のボタンがあり、このボタンをクリックすると「視覚装置の部屋」の画面に移り、同画面の「視覚機器の寸法」のリンク文字をクリックすると「視覚関連機器の寸法」の画面に移る。この画面から「1.視覚装置」をクリックすると、「視覚装置寸法」の画面に移り、同画面の「PDFファイル」のリンク文字をクリックすると乙第5号証の17頁の画像を見ることが出来る。
(4)本件商標「マイクロビジョン」と数字「21」との関係
ア 上記(3)のとおり、本件商品のカタログでは片仮名8文字からなる「マイクロビジョン」の商標(使用商標3)を用いており、数字「21」は付加されていない。
ただし、このカタログでは、「μVision-21」の商標も使用されているので、数字「21」の意味を以下に説明する。
乙第11号証は、1995年9月に発行された「デンソーロボット」の総合カタログであるが、カタログの15頁には、本件商品1が使用商標3で販売されていることが記載されており、併せて「μVision-15」の商標も使用されている。この様に、1995年当時の商品「マイクロビジョン」には「15」の数字が付されていた。そして、乙第5号証17頁の写真と乙第11号証15頁の写真との対比より、数字「21」が付された商品「マイクロビジョン」は、数字「15」の付された商品「マイクロビジョン」に比べて小型化されていることが分かる。
すなわち、乙第11号証に示される商品「マイクロビジョン」の初期のバージョンは「15」の符号を用い、乙第5号証に示す新しいバージョンは「21」の符号を用いて、製品の識別ができるようにしている。
上述した乙第10号証の「視覚関連機器の寸法」の画面でも、「μVision15」と「μVision21」が記載されており、「μVision」の後に続く数字「21」は商品「マイクロビジョン」のバージョンを示す記号として用いられていることが分かる。
なお、数字「21」が付された商品「マイクロビジョン」は2001年より販売されている。
3 平成27年2月20日付け上申書の要旨
(1)乙第5号証のカタログの頒布実績
2007年にカタログを配布した会社名は、(株)旭商工社、(株)井高、岩谷産業(株)、(株)ウエノ、(株)エヌ・ピー中根屋、(株)業電社、黒田電気(株)、(株)国興、サンコー商事(株)、サンワテクノス(株)、(株)ジーネット、住友商事北海道(株)、第一実業(株)、大信精機(株)、(株)デンソー中部、(株)デンソー東京、(株)東陽、トキワェンジニアリング(株)、常盤油機(株)、(株)鳥羽洋行、豊田通商(株)、(株)ナ・デックス、日本機材(株)、光伝導機(株)、松下食品システム(株)、(株)三田商会、明治電気工業(株)、(株)ライト、ワシノ商事(株)、ライト電気(株)、トッキ・インダストリーズ(株)である。
乙第5号証カタログの印刷に関する請求書は、社内の保存期間の7年を経過して破棄済みのため、代わりに平成22年(2010年)3月29日に発行された「デンソーロボット総合カタログ」の印刷に関する請求書(乙12)を提出する。これより「デンソーロボット総合カタログ」は1万部印刷されたことが確認できる。
乙第12号証で印刷したとするカタログ(乙13)は、その目次に相当する1頁及び2頁より、乙第5号証カタログと同様のカタログであることが認められ、最終頁の記載に「このカタログ記載のデータは2007年3月現在のものです。」とあり、乙第12号証の請求書に係るカタログであることが確認できる。なお、乙第13号証のカタログでは、コントローラに「μVisionボード」が組み込まれ、それ以外の周辺機器として「μVision-21Super」(商品「マイクロビジョン」)が接続できることが2頁に示されている。
この乙第13号証のカタログの印刷実績より、同様のカタログである乙第5号証のカタログも1万部印刷したことが充分推測できる。
(2)乙第7号証ないし乙第9号証の商品が乙第5号証のカタログ掲載の商品であること
乙第14号証として、品名「μVisionSuper(デバイスネット)CD標準セット」の部品表を提出する。部品表は、品番「1046-2050」で乙第7号証と共通し、品名として、「セットアッセンブリ,ビジョン」とされている。この部品表に示されている部品符号1は、「プロセッサ アッセンブリ,ビジョン」であり、これが乙第5号証のカタログに記載された視覚装置「マイクロビジョン」を指している。このことを明らかにするため、構成部品品番「463900-2020」の図面を乙第15号証として添付する。この図面が乙第5号証のカタログ18頁の商品「マイクロビジョン」の図面と同一であることが確認できる。
部品表に記載のセットとしては、他に部品符号2の日本語でCDに記録された「ディスク,オフラインプログラミング」(ドライバソフト)と、同じく日本語でCDに記録された「取扱説明書」、及びペーパー製「取扱説明書」があり、これらの4点で構成している。
(3)乙第5号証のカタログでの「マイクロビジョン」(使用商標3)が商品の出所を示すものであること
乙第5号証のカタログは、その1頁及び2頁が目次となっており、商品カテゴリーとして、「ロボット」、「コントローラ」、「視覚装置」、「ロボット周辺機器」及び「FA関連商品」が掲載されていることから、商品の一般名称は「視覚装置」であることは明らかであり、「マイクロビジョン」が商品の一般名称として用いられていることはない。より具体的には、一般名称「ロボット」に含まれる多種類の商品の識別に、「VMシリーズ」、「VSシリーズ」、「VPシリーズ」、「HMシリーズ」、「HSシリーズ」、「XYC-4シリーズ」があるのと同レベルで、一般名称「視覚装置」の商品には「マイクロビジョン-21」の標章が用いられており、カタログの2頁では「マイクロビジョン-21」が商品の識別に用いられている。
このように、乙第5号証のカタログにおける使用商標3の使用法は、決して商品の一般名称として用いられているのではない。使用商標3の使用法は本件商品1の商品識別用に用いられており、併せて、「μVision」の読み方が「マイクロビジョン」であることを示している。
(4)イントラネット(乙10)で乙第5号証のカタログが要証期間に使用されていたこと
本件商品1をユーザーである株式会社デンソーが購入する際に基本仕様を把握しておく必要があるのは当然であり、主な処理機能、分解能(処理画面数)等の基本仕様、及び本件商品1の外形形状や外形寸法は乙第5号証のカタログを参照することとなる。
乙第16号証のログ記録によれば、イントラネットで要証期間内に実際に乙第5号証のカタログが、要証期間内に11件のアクセスがある事が確かめられる。
4 まとめ
以上のとおり、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出した乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証は、産業用ロボット「デンソーロボット」のカタログ写しであるところ、第2葉目の「RC7Mコントローラー」の「システム構成」の中に、「小型視覚装置 マイクロビジョン-21」の記載とその下部に筐体の装置の写真が掲載されている。
そして、このカタログの第1葉目には「このカタログ記載のデータは2007年4月現在のものです。」と記載されている。
(2)乙第2号証は、「DENSO www.densorobotics.com」のカタログ写しであるところ、第2葉目の「μVisionボード」の欄に「特長:視覚機能をコントローラ本体に内蔵でき、設備の省スペース・省配線が可能 デンソーロボットと同じプログラミング言語で、視覚検査・計測などをプログラミング可能」等の記載とともに商品の写真が掲載されている。
そして、このカタログの第3葉目には「このカタログの記載データは、2011年4月現在のもので、予告なく変更することがございます。」と記載されている。
(3)乙第3号証は、「DENSO www.densorobotics.com」のカタログ写しであるところ、第2葉目の「μVisionボード」の欄には、乙第2号証のカタログの記載と同じ記載と商品の写真が掲載されている。
そして、このカタログの第3葉目には「このカタログの記載データは、2012年5月現在のもので、予告なく変更することがございます。」と記載されている。
(4)乙第4号証は、「DENSO www.densorobotics.com」のカタログ写しであるところ、第2葉目の「ロボットコントローラ RC7M」の見出しの下、システム構成の欄の「コントローラ増設ボード」の5段目に「μVisionボード」の記載があり、その第3葉目には「このカタログの記録データは、2013年5月1日現在のもので、予告なく変更することがございます。」と記載されている。
(5)乙第5号証は、産業用ロボット総合カタログ「デンソーロボット」のカタログ写しであるところ、第3葉目右下の「視覚装置(オプション)」の欄に、「小型視覚装置 マイクロビジョン-21」の記載とその下部に筐体の装置の写真が掲載されている。また、第4葉目には、「小型視覚装置μVision-21Super」の見出し及び「マイクロビジョン」の片仮名が記載され、筐体の装置の写真が掲載されている。
そして、このカタログの第6葉目には「このカタログ記載のデータは2007年3月現在のものです。」と記載されている。
(6)被請求人の主張によれば、乙第7号証は、2011年6月以降2012年10月までの商品「マイクロビジョン」について、17件の出荷実績を示す表であるところ、例えば、上から11行目には、「手配No.」を「ZZ201202-201-000」、「品番」を「104639-2050」、「型式」を「-VC-21XPD」、「品名」を「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」、「出荷予定」を「2012/3/27」、「売上日」を「2012/3/26」及び「注文No.」を「B201203002536」等とする記載がある。
(7)乙第8号証は、発行日を2012/03/06とする「DENSO受領書(工機)工機購入品」とするものであるところ、「注文No.」の欄に「B201203 002536」、「品名・型式」の欄には「μVision一式」、「ミツモリショNO.ZZ-2012-02-201-000」及び「納期」の欄に「2012/03/27」の記載があり、下部には、「上記物品受領いたしました。株式会社デンソー」の記載と「12.3.30」の日付の受領印が押印されている。
(8)被請求人の主張によれば、乙第10号証は、株式会社デンソーの工機部で用いられているイントラネット(ホームページ)の写しであるところ、該ホームページには、「視覚装置の部屋」の見出しの下、「視覚装置(μVisionIII)」、「視覚機器の寸法」等の表題があり、「視覚関連機器の寸法」の欄の「1.視覚装置」には「μVision15」及び「μVision21」の記載があり、次頁に「小型視覚装置μVision-21Super」の見出しの乙第5号証のカタログ17頁と同じ内容が掲載されている。
(9)乙第11号証は、総合カタログ「デンソーロボット」のカタログ写しであるところ、第3葉目左下の「小型視覚装置(マイクロビジョン)」の欄に、「●面積計算、重心計算、主軸角計算、エッジ検出などを高速に処理する専用ハード、●専用ティーチングペンダントにより現場でのプログラムの作成・修正が容易、●ロボットとの連係プレーを容易に実現する視覚処理命令」の記載とともに、筐体の装置の写真が掲載されている。
そして、このカタログの第6葉目には「このカタログ記載のデータは1995年9月現在のものです。」と記載されている。
(10)乙第12号証は、平成22年3月29日付けの株式会社電広エージェンシーから被請求人にあてた「請求書」であるところ、「媒体名・件名」の欄の2行目には「デンソーロボット 総合カタログ1003 印刷費」、「放送・掲載・納入日」の欄には「1002-037 3月19日納品」、「数量」の欄には「10000」等の記載がある。
(11)乙第13号証は、産業用ロボット/10.3 総合カタログ「デンソーロボット」のカタログ写しであるところ、第1葉目左下に「このカタログ記載のデータは2010年3月現在のものです。」の記載があり、第2葉目右上「システム構成」の欄に周辺機器の一つとして「μVision-21 Super」の表示とともに、筐体の装置の写真が掲載されている。
(12)乙第14号証は、品番を「104639-2050」とする部品表であるところ、注記として「1.標準日本語セットCD版である。」の記載、「取扱説明書」、「ディスク,オフライン プログラミング」等の記載がある。また、乙第15号証は、構成部品品番「463900-2020」の図面である。
そして、乙第14号証の上部に「DENSO 2008.04.03 技術管理部 ENG.ADMIN.DEPT.」の記載があり、また、乙第15号証の下部に「08/04/03」の記載がある。
(13)乙第16号証の1ないし10は、乙第10号証におけるイントラネット(ホームページ)へのアクセスの記録等を示すものである。これによれば、要証期間内に11件の検索が行われた記録がある。
2 上記1からすれば、次の事実を認めることができる。
(1)商標権者は、1995年9月現在のデータ、2007年3月現在及び2007年4月現在のデータを下に、総合カタログ「デンソーロボット」を作成し、該カタログには、「マイクロビジョン」(使用商標3)又は「マイクロビジョン-21」(使用商標1)の表示がされた「小型視覚装置」(本件商品1)が紹介されている(上記1(1)、(5)及び(9))。
また、2011年4月現在のデータを下に、「DENSO www.densorobotics.com」のカタログを作成し、該カタログには、「μVisionボード」の表示とともに商品の紹介がされている(上記1(2))。
しかしながら、上記カタログはいずれも要証期間(2011年6月6日ないし2014年6月5日)前に作成されたものと認められ、該カタログ等が要証期間内において頒布若しくは展示をされたことを認め得る証拠は見いだせない。
(2)商標権者は、2012年5月現在のデータ及び2013年5月1日現在のデータを下に、「DENSO www.densorobotics.com」のカタログを作成し、該カタログには、「μVisionボード」(使用商標2)の表示とともに「視覚装置の制御ボード」(本件商品2)が紹介されている(上記1(3)及び(4))。
(3)商標権者は、2011年6月以降2012年10月迄の間に、「品名」を「μVision-21Super(デバイスネット)CD標準セット」とした商品を17件出荷し、その一つと認められる、注文No.「B201203 002536」は、「品名・型式」を「μVision一式」として2012年3月27日に株式会社デンソーに納品されたものといえる(上記1(6)及び(7))。
しかしながら、出荷された商品に本件商標が付されていたことは不明であり、取引書類においても本件商標の表示は認められない。
3 判断
(1)使用商標1ないし使用商標3について
ア 使用商標1及び使用商標3について
使用商標1は、「マイクロビジョン-21」の文字からなるところ、その構成中後半の「-21」はハイフンの後に数字が記載されているにすぎないものであるから、識別標識として機能する部分は構成中前半の「マイクロビジョン」の文字部分にあるものといえる。
また、使用商標3は「マイクロビジョン」の文字からなるものである。
そうとすれば、「マイクロビジョン」の文字からなる本件商標と使用商標1及び使用商標3は、「マイクロビジョン」の文字及び「マイクロビジョン」の称呼を同じくするものであるから、使用商標1は本件商標と社会通念上同一と認められる商標であり、使用商標3は本件商標と同一の商標と認められる。
イ 使用商標2について
使用商標2は、「μVisionボード」の文字からなるものであるから、「マイクロビジョン」の文字からなる本件商標とは、構成文字も明らかに相違し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえない。
なお、被請求人は、使用商標2について、その構成中「μVision」の文字部分について「マイクロビジョン」の称呼が生じるものである旨主張しているが、「μ」の文字はギリシャ文字であり、その読みは「ミュー」である(広辞苑第六版)から、使用商標2はその構成文字から「ミュービジョンボード」の称呼が生じるものといえる。
そうとすれば、本件商標から生じる「マイクロビジョン」の称呼とは明らかに相違するものであるから、被請求人の主張は認められない。
(2)使用時期について
使用商標1及び3を表示した、本件商品1を紹介しているカタログは、上記2(1)のとおり、1995年9月、2007年3月及び4月頃に作成されたものと認められるが、いずれも要証期間前のものである。
なお、被請求人は、上記2(3)のとおり、使用商標2を使用した本件商品2を要証期間内に出荷した旨主張しているが、上記(1)イのとおり、使用商標2は本件商標と社会通念上同一と認められる商標とはいえないものであるから、これをもって、本件商標を使用したものということはできない。
そうとすれば、商標権者が、本件商品1を要証期間内において、譲渡等したこと、広告に標章を付して展示し又は頒布したことは何ら証明されていないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を要証期間内に使用していた事実は証明されていない。
(3)小括
そうとすれば、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」について、いずれの使用も証明していないから、商標法第50条第2項に係る所定の要証事項を証明したものということはできない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品,磁気カード,液晶を用いてなるモニター及び液晶を用いてなるその他の映像・画像等表示機械器具」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-08-06 
結審通知日 2015-08-12 
審決日 2015-08-31 
出願番号 商願平9-188345 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘鈴木 慶子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 2000-03-24 
登録番号 商標登録第4369658号(T4369658) 
商標の称呼 マイクロビジョン、ビジョン 
代理人 稲岡 耕作 
代理人 竹原 懋 
代理人 川崎 実夫 

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