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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20156267 審決 商標
不服201421754 審決 商標
不服201417746 審決 商標
不服201418463 審決 商標
不服2015143 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W41
管理番号 1306566 
審判番号 不服2014-26706 
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-26 
確定日 2015-09-24 
事件の表示 商願2013- 63567拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「防災検定」の文字を標準文字で表してなり,第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成25年8月15日に登録出願され,指定役務については,原審における同26年2月19日付け手続補正書により,第41類「防災に関する知識の教授,防災に関する資格検定試験の実施,防災に関する資格の認定及び資格の付与,防災に関するセミナーの企画・運営又は開催,防災に関するシンポジウム・研修会の企画・運営・開催又はこれらに関する情報の提供,防災に関する電子出版物の提供,防災に関する電子出版物の企画又は制作,防災に関する図書及び記録の供覧,防災に関する図書の貸与,防災に関する書籍の企画又は制作,防災に関する映画の上映又は制作,防災に関する教育用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),防災に関するイベントの企画・運営又は開催」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『防災に関する知識についての検定試験』の意味合いを容易に理解させる『防災検定』の文字を標準文字で表してなるものであるから,これをその指定役務中,例えば,『防災に関する知識についての検定試験のための知識の教授,防災に関する知識についての資格検定試験の実施,防災に関する知識についての資格の認定及び資格の付与,防災に関する知識についての検定試験のためのセミナーの企画・運営又は開催,防災に関する知識についての検定試験を内容とする電子出版物の提供』等に使用しても,単に役務の質(内容)を表示するにすぎず,自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものといえる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は,上記1のとおり「防災検定」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「防災」の文字は,「災害を防止すること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味する語として,また,「検定」の文字は「一定の基準に照らして検査し,合格・不合格・価値・資格などを決定すること。検定試験の略。」(同前)を意味する語として,それぞれ広く知られているものである。
そうすると,「防災」と「検定」の両語を結合した本願商標は,「防災に関する検定試験」の意味合いを容易に理解させるものである。
そして,近年,防災に関する意識が高まる中,本願指定役務との関係においては,拒絶査定時に示した証拠のとおり,「防災検定」の文字が,防災の知識に関する検定試験を表すものとして使用されている事実があることが確認できる。
また,一般的に「知識の教授,資格検定試験の実施,資格の認定及び資格の付与,セミナーの企画・運営又は開催,シンポジウム・研修会の企画・運営・開催又はこれらに関する情報の提供」の役務においては,検定試験の名称,あるいは,当該試験によって取得可能な資格の名称などを,教育の場におけるカリキュラムや各種講座,各種セミナーに冠して,「○○検定講座」「○○検定セミナー」のように,その提供される役務の内容の表示とすることがしばしば行われているところである。
してみれば,本願商標は,これをその指定役務中,「防災に関する検定試験」及びこれに関連する役務(例えば,「防災に関する知識の教授,防災に関する資格検定試験の実施,防災に関する資格の認定及び資格の付与,防災に関するセミナーの企画・運営又は開催,防災に関するシンポジウム・研修会の企画・運営・開催又はこれらに関する情報の提供」)について使用しても,これに接する取引者,需要者は,役務の質(内容)を表示するものとして認識するに止まるものであるから,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は,『防災に関する検定』という程度の漠然とした意味合いを想起させることはあるとしても,『防災』の語は,その意味する範囲が広く,人によって想起するものは異なり,『防災に関する検定』とか『災害を防止するための知識・能力に関する検定試験』と言っても,どの様な内容の役務であるかは判然としないものであるから,本願商標は何らかの特定の役務の質を直接的に言い表しているとはいえない」旨主張する。
しかしながら,「防災」の文字が「災害を防止すること。」を意味する語として,また,「検定」の文字が「検定試験の略。」の意味を有する語として,それぞれ広く知られており,さらに,本願指定役務との関係において,「防災検定」の文字が,防災の知識に関する検定試験を表すものとして使用されていることは上記(1)で述べたとおりである。そして,本願指定役務の中には,「防災に関する資格試験及び資格の認定に関連する役務」も含まれていることから,本願商標をその指定役務に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,「防災に関する検定試験」の意味合いを理解するにすぎず,すなわち,本願商標は,役務の質(内容)を表示するものとして認識するにとどまるといわざるを得ない。
イ 請求人は,「各種検定試験や,資格試験の名称として,本願商標と同一の名称が使用されている事例は見当たらない」旨,及び「『防災検定』の語を検索エンジン『Google』を用いて検索すると,上位20件中,計15件は請求人に係る『ジュニア防災検定』に関係するページが表示され,上記検索結果における請求人以外の『防災検定』は,何れも無料で提供されるクイズ形式のものであって,『検定』の語を『検定試験』というよりも,『クイズ』とか『ゲーム』といった意味合いで使用しているものといえる」旨主張する(甲1ないし甲3,甲5)。
しかしながら,商標法第3条第1項第3号の趣旨は,同号列挙のものは通常,商品や役務を流通過程又は取引過程に置く場合に必要な表示であるから,何人も使用する必要があり,かつ,何人もその使用を欲するものであるから一私人に独占を認めるのは妥当でなく,また,現実に使用され,あるいは,将来一般的に使用されるものであることから,出所識別機能を認めることができないものと解されるところ,上記(1)のとおり,本願商標を構成する「防災検定」の文字全体からは,「防災に関する検定試験」の意味を容易に理解させるものというのが自然である。
そうすると,本願商標は,その指定役務の提供者,需要者において,当該役務の質(内容)を表示するものとして認識されることは,上記認定のとおりである。
ウ 請求人は,「『検定』の語の前に,検定の内容であると認識させる様な言葉を結合させた商標が,本願の指定役務の分野において,多数登録されている」こと,また,請求人に係る『ジュニア防災検定』,『中学防災検定』及び『高校防災検定』の商標が登録されていることから,本願商標も登録されるべき旨主張する。
しかしながら,本願商標が,自他役務の識別標識としての機能を果たすものであるか否かは,本願商標自体の具体的な構成とその指定役務との関係から,審決時において,指定商品及び指定役務の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであって,他の商標登録の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
エ 請求人は,「拒絶査定における3件の引用例のうち,実際に『防災検定』と称されて使用されている例と言えるのは,2件目の四国新聞社のウェブサイト上の使用例のみであり,その他,『防災検定』の語が,多数の自治体その他の機関によって,普通に使用されている状況は見当たらない」旨主張する。
しかしながら,拒絶査定において挙げている証拠は,「防災検定」の文字に他の文字が結合しているものが含まれているとしても,いずれも,「防災検定」の文字部分が,「防災に関する検定試験」の意味合いにおいて使用されているものというのが相当である。
また,自治体による「防災検定」の使用例が少数であるとしても,本願商標が,「防災に関する検定試験」の意味合いを理解させるにとどまるものであることは,上記(1)で述べたとおりである。
オ 請求人は,「昨年5月の団体設立と同時に,小中学生向けに『ジュニア防災検定』の事業を開始した。当該『ジュニア防災検定』は,多くのメディアに取り上げられ,多数の公的機関の後援を受けている。また,個人のみならず多数の学校や自治体にも取り入れられ,受験者は最終的に6000人に達する見込みで,請求人に係る事業として周知である」旨,また,「請求人は『ジュニア防災検定』事業に続き,『中学防災検定』や『高校防災検定』の事業も企画しており,将来的には,総合的な防災教育の取り組みとして『防災検定』の商標を使用することを具体的に構想している」旨を主張する(甲4)。
しかしながら,本願商標が,役務の質(内容)を表示するものとして認識されることは,上記(1)のとおりであって,たとえ,上記「ジュニア防災検定」が,請求人の使用に係るものとして広く知られているものであり,請求人が将来的に「防災検定」の語を総称的に使用することを構想しているとしても,そのことにより上記判断が左右されるものではない。
そして,本願商標をその指定役務に使用するときには,「防災に関する検定試験」の意味合いを理解させるものであり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないことは,上記(1)で述べたとおりである。
カ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用することができない。
また,その他の請求人の主張をもってしても,原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(拒絶査定時に示した新聞記事及びインターネット情報)
(1)2009年12月7日付け読売新聞東京朝刊 31頁 「横浜・南消防署が防災検定 正しい災害用伝言ダイヤルは?=神奈川」の見出しのもと,「『食用油が過熱して火災になった場合の間違った対応策はどれか』『正しい災害用伝言ダイヤルの番号は』。あまり知られていない消防や火災の知識を問う検定試験が6日,横浜市南区の区役所で行われ,市民23人が挑戦した。この検定は,同市の南消防署が企画した『みなみ消防・防災検定』。防災の知識を問う検定は市内では初めてという。検定の時間は40分で,質問に対して五つの選択肢から解答する。・・参加者には得点に応じて特級?3級の認定書が贈られた。」との記載がある。
(2)「四国新聞社」のウェブサイトにおいて,「三木町,小中生に防災検定/地震,津波の対応学ぶ」の見出しのもと,「三木町は,防災教育の充実を図るため,小中学生全員を対象に町独自の「防災検定」を実施する。南海地震で想定されている揺れや津波の到達時間など基本的な知識や,発生時の避難行動で重要なポイントなどを検定方式で学び,「命を守るため」の実践的な防災力を身に付けてもらう。・・東日本大震災を受け,いざという時に役立つ知識を児童生徒に習得させるのが目的。検定は町と学校などが作成しており,来年度早々にも実施する予定。検定は初級,中級,上級の3段階。」との記載がある。
(http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/education/20120316000185)
(3)「特定非営利活動法人 検定協議会」のウェブサイトにおいて,「キッズ防災検定実績平成25年度」の見出しの下,「・・キッズ防災検定とは 兵庫県下の小学生を対象とした検定です。阪神・淡路大震災で得た知識,経験を色あせないものとし,後世に伝えていくために,『キッズ防災検定』は平成21年度より開始致しました。・・平成25年度今年度は,66校の小学校でキッズ防災検定を実施して頂きました。」との記載がある。
(http://kentei.npo-npo.com/kids_result25.html)

審理終結日 2015-07-22 
結審通知日 2015-07-24 
審決日 2015-08-07 
出願番号 商願2013-63567(T2013-63567) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 前山 るり子
小林 裕子
商標の称呼 ボーサイケンテー 
代理人 亀川 義示 

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