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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 130
管理番号 1305047 
審判番号 取消2013-301113 
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-12-19 
確定日 2015-08-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2202894号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2202894号商標(以下「本件商標」という。)は、「花鳥風月」の文字をゴシック体により縦書きした構成からなり、昭和62年10月12日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、同22年3月31日に、「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」を含む第30類をはじめ、第29類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。
そして、本件審判請求の登録日は、平成26年1月15日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」についての登録を取り消すとの審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁、平成26年11月13日付け口頭審理陳述要領書による陳述及び同年12月25日付け及び同27年5月30日付け上申書において、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。なお、本件審決においては、上記上申書において証拠方法として提出された甲第1号証を甲第3号証、甲第2号証を甲第4号証、甲第3号証を甲第5号証として記載する。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第30類「サンドイッチ,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁、口頭審理陳述要領書による陳述及び上申書
(1)被請求人は、その業態について、昭和29年創業の懐石料理屋で高級食材を使用した各種調理済み食品の製造販売会社であり、電話やインターネット等で各種の注文を受け、予算に合わせるなどして応じることもあると主張するが、そのような業態もあり得るものとして容認する。
(2)被請求人は、そのパンフレットやホームページに掲載している商品は、その取扱商品の極一部にすぎないと主張するが、本件商標の使用との因果関係は全く証明されていない。
(3)被請求人は、本件商標は被請求人の業務に係る単一商品に固定した商標に止まらず、被請求人の商品のカテゴリー若しくはグレードを示唆する商標であると主張するが、本件審判の請求を覆す根拠を都合よく誘導するためのものであり、その証拠能力は一切有していない。
(4)被請求人は、乙第1号証が2013年5月注文の子供パーティー用に使用された「青山御前 花鳥風月」と銘打ったサンドイッチであると主張するが、容器とその中のサンドイッチは証拠能力に欠けているものであり、本件審判の対策として急造したものであるということを否定し得ていない。また、その使用年月日は改ざんできる程度の証拠であり、立証性に欠ける。
(5)乙第2号証及び乙第3号証は、その場で適宜調理されて提供されるもの(第43類)の調理内容を紹介するためのカタログ及びパンフレットであり、乙第2号証における「青山御前 花鳥風月」の表示中「花鳥風月」の文字は、カタログ中に紹介する各名称の料理を総称しているとしても、あくまで、料理名の紹介頁が主体であり、個々の固有名称も割り当てられていない付け足し料理を紹介する頁に、その都度、状況に応じて調理する「サンドイッチ」が掲載されている事実をもって、本件商標を想起し得る消費者の存在は、到底想定し得ない。
(6)被請求人は、本件商標は第30類に属する商品についての使用であると主張しているが、第43類「飲食物の提供」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」における使用との相違の解説・陳述がなされていない。

第3 被請求人の答弁、口頭審理陳述要領書による陳述及び上申書
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を、審判事件答弁書、同年10月31日付け口頭審理陳述要領書による陳述、同年11月27日付け、同年12月12日付け、同27年3月19日付け及び同月25日付け上申書において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。
1 審判事件答弁書
被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内に、商標権者が日本国内において、請求に係る指定商品中、第30類「サンドイッチ」について本件商標を使用したことを証明する。
(1)被請求人は、昭和29年の創業以来、高級食材を使用した弁当を主軸とする各種調理済みの食品の製造販売会社として、宮内庁をはじめとする多くの需要者に広く知られている。被請求人の取扱商品やサービスは、会議向け、お祝い・記念日向け、謝恩会・歓送迎会向け、法事向け及びケータリング等の各種注文に応じる形態をとっている。被請求人の業務に係る商品の注文は、電話・インターネットを通じて行われるものであり、特に電話による注文は、幅広く注文者の要望を取り入れるために、注文者を訪れ、打合せを行い、注文者の予算に合わせて調整することも行っている。そのため、パンフレットやホームページのカタログに掲載した商品やその名称は顧客の利便性のために例示したものであり、被請求人の取り扱う商品の一部である。
(2)本件商標の使用について
本件商標は、例えば、「四季御膳」や「青山御膳」等の御膳名とともに使用されて、料理のカテゴリー若しくはグレードなどを示唆する商標として機能しているものであり、その意味合いから「花鳥風月」は、季節に限定されることなく、かつ、それにふさわしい商品に使用されている。
(3)乙第1号証は、2013年5月に注文を受けた、小分けされた子供パーティー用の「青山御前 花鳥風月」であり、その商品は「サンドイッチ」である。
そして、被請求人は、サンドイッチ、中華まんじゅう、ちまきを含む菓子類等を、古くからケータリング、会議及び会合等のために、顧客の注文により、小分け又は一括して製造販売しているものであり、乙第1号証は、小分けされたサンドイッチであり、「青山御前」とともに「花鳥風月」の商標が付された包装により顧客に届けられる。乙第2号証及び乙第3号証に例示する中華まんじゅうや菓子類等も、小分け包装注文には「花鳥風月」の商標を使用して販売することもある。
2 平成26年10月31日付け口頭審理陳述要領書及び同年11月27日付け、同年12月12日付け上申書
(1)乙第1号証について
被請求人は、乙第1号証における写真のサンドイッチが、注文され、配達されたことを乙第1号証の(3)ないし(7)及び乙第7号証において証明する。
乙第1号証に記載された「西内 ○」は、顧客注文に対応して、懐石料理、弁当、パーティー料理等がつくられる、被請求人が所有する「菊露居工房」の工場長であり、乙第1号証の写真は、その工場の事務所で撮影されたものである。「菊露居工房」において、多種にわたる完成商品を一つごとに写真撮影することは、通常頻繁に行われるものではないが、2013年5月3日にフォーラムエイトに届けたサンドイッチは、関連会社に委託したものを「菊露居工房」で小分け、包装、発送した商品であること、及び被請求人が行っている顧客との対面相談による受注においてサンプルとして示すことができることから、「菊露居工房」で発送直前に工場長が撮影したものであり、他の料理サンプル写真とともに、整理し保存されていた。(なお、答弁書において証拠方法として提出された乙第1号証に記載された撮影日について、「2013年5月4日」の記載は「2013年5月3日」の誤記であった旨を主張する撮影者の釈明書が乙第1号証の(7)として提出されている。)
(2)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証のカタログに掲載された商品は、季節を問わない料理として取り揃えているもので、これらの料理を「花鳥風月」としてまとめて展示しているものであるから、乙第2号証に掲載した各種料理は、サンドイッチも含め、全て青山御膳の「花鳥風月」の範疇にある料理である。また、「花鳥風月」の付される商品は一定の基準以上の高級性のある料理であり、その表示は一定以上の品質保証機能が働いている。そして、掛け紙は、完成した商品が容器に入れられ、蓋をした後、その蓋の上から掛けられるものであり、本件のサンドイッチの掛け紙に、「青山御前 花鳥風月」の文字が使用される。
乙第3号証は、被請求人の取扱商品一般を示すために提出する。
(3)被請求人業務に係るサンドイッチの取引態様及び商標の使用態様
被請求人は、注文内容に応じてサンドイッチを作り、注文先に届ける取引業態をとっており、その包装はサンドイッチの値段に応じて2種類又は3種類に分かれ、一定の基準により、低額のサンドイッチは、プラスチックの容器に入れ、高額のサンドイッチは折り箱詰めにして、その上から、本件商標の掛け紙を帯状に掛け、あるいは折り箱のサイズや形状によっては蓋に貼付して、注文先に届ける。現在、「花鳥風月」の掛け紙は、単価840円以上のサンドイッチに使用しているものであり、このことは、包装作業が行われる菊露居工房の作業場壁に常時貼られている一覧表(乙7)により確認できる。
(4)乙第4号証について
株式会社サンシャインエンタプライズ(以下「サンシャインエンタプライズ」という。)の商品納入確認書及び受領書により、購入者であるサンシャインエンタプライズに、「花鳥風月」のサンドイッチが、2度にわたり配送されたことを立証する。
(5)本件商標を「商品」に使用していることについて
被請求人は、自己の商品を製造し、販売する者であり、商標は、その自己の商品の包装に付さる。そして、その対価は、本件サンドイッチの価格であり、これは、商標法第2条第1項第1号に該当する。また、被請求人は、サンドイッチを顧客が定めた日時と場所に特別仕様の車で配送するが、その配送は、注文された商品の販売に付随して提供されるサービスであり、独立して対価を得て取引されるサービスではない。また、被請求人は、自社商品のみを取り扱うため、多様な他社商品を取り扱う小売業には該当しない。
被請求人は、本件商標を店舗の看板、配送用車両、ショッピングカート等には一切使用していないものであり、「サンドイッチ」という自社商品の包装折箱上の掛け紙に印刷され、顧客に渡されるものであるから、顧客は、商品の正面に本件商標を認識することができる。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、審判請求の登録前3年以内に、請求に係る指定商品中、第30類「サンドイッチ」について、商標権者により使用された事実がある。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出に係る各乙号証によれば以下の事実が認められる。
(1)被請求人の業務に係るパンフレットである乙第2号証及び乙第3号証の(1)によれば、被請求人は、工場「菊露居工房」を所有し、各種料理及び各種の折り箱入りの弁当を製造し販売していることが認められる。
(2)乙第4号証は、サンシャインエンタプライズの竹岡氏による「商品納入確認書」及び「受領書」であり、被請求人は、平成25年(2013年)2月25日に単価840円の「ハイクラスサンド 8個」及び同年3月9日に単価1575円の「サンドイッチ弁当 38個」をサンシャインエンタプライズに納品したこと及び当該サンドイッチは被請求人の商標「花鳥風月」の表示がされていたことが認められる。
(3)乙第1号証の(1)及び(2)は、「菊露居工房」の工場長が撮影した「サンドイッチ」の写真及びその撮影内容、撮影者、撮影場所、撮影日が記載された書面であるところ、その写真には、木箱風の箱に入ったサンドイッチ及びその蓋が写り込んでいて、その蓋の掛け紙(以下、「本件包装紙」という。)には、5個の円を組み合わせた図形の右肩に、異なる短冊内に明朝体の「青山御前」の文字及び毛筆体の「花鳥風月」の文字(以下、「使用商標」という。)がそれぞれ、縦書きに表示されていて、両文字部分は、視覚上分離して看取されるものである。そして、「菊露居工房」の工場長は、上記写真は、乙第1号証(枝番号を含む。)において2013年5月4日に撮影した「サンドイッチ」の写真であることを述べているところ、平成26年12月12日付け上申書により提出された同氏の「釈明書」(乙1の(7))において、その撮影日が2013年5月3日の誤記であったことが記載されているものであるから、乙第1号証の(1)及び(2)の写真は、少なくとも、2013年5月上旬に撮影されたものであることを認めることができる。
(4)乙第1号証の(3)は、被請求人の「受注チェックリスト(納品日別)」であるところ、被請求人は、平成25年5月1日に「フォーラムエイト」から単価840円の「ハイクラスサンド」を10個、同年5月3日を配達日として受注したものであり、乙第1号証の(6)は、「受領書」であり、平成25年5月3日にフォーラムエイトが単価840円の「ハイクラスサンド」を10個受領していることから、被請求人は、平成25年5月3日に単価840円の「サンドイッチ」をフォーラムエイトに販売したものと認めることができる。
2 判断
(1)以上の事実によれば、被請求人は、平成25年2月25日及び3月9日に、商標「花鳥風月」を表示した単価840円及び1575円の「サンドイッチ」をサンシャインエンタプライズに納品していることから、上記日時に商標「花鳥風月」が付された「サンドイッチ」を販売したことが認められる。
(2)被請求人は、単価840円以上のサンドイッチについて、本件包装紙を使用している旨述べているところ、このことは、上記(1)の事実とも符合すること、及び本件包装紙に係る乙第1号証の(1)及び(2)の写真は平成25年5月上旬に撮影されたものであることから、これらを併せ考慮すると、被請求人は、平成25年5月3日にフォーラムエイトに販売した単価840円の「サンドイッチ」(以下「本件商品」という。)に、本件包装紙を使用していたことを推認し得るものである。
そして、本件商標は、上記第1のとおり、「花鳥風月」の文字をゴシック体により縦書きしてなるものであるところ、本件包装紙に表示された使用商標は、「花鳥風月」の文字を毛筆体により縦書きしたものであるから、書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
(3)「サンドイッチ」は、レストラン等で提供される場合があるほか、市場において弁当類又はパンとともに一般的に流通し販売されている食品であるから、独立して商取引の対象となる「商品」であり、被請求人は、平成25年5月頃に使用商標を表示した単価840円の「ハイクラスサンド」を販売(納品)したことが認められるから、被請求人は、その業務に係る商品「サンドイッチ」を表示するものとして使用商標を使用していたものとみるのが相当である。
そうすると、被請求人は、その「サンドイッチ」の包装に使用商標を付したものを譲渡したことが認められるから、この行為は本件商標が「商品」について使用されたものであるというべきである。
(4)以上によれば、被請求人は、平成25年5月に、「サンドイッチ」に本件商標と社会通念上同一の商標を表示して、これを譲渡したものであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、請求に係る指定商品である「サンドイッチ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
(5)請求人の主張について
請求人は、被請求人の本件商標の使用態様は、第43類「飲食物の提供」及び第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の使用との相違が、明確に解説されていないと主張するが、被請求人は、各種の折り箱入りの弁当を製造、販売していると認めることができるものであり(乙3の(1))、サンドイッチは、一般に、器に入れて携える食品として、弁当とともに、市場で取引される流通性・代替性のある「商品」たり得る物である。そして、本件商品のサンドイッチの包装に付された使用商標は、被請求人の業務に係る商品の出所を表示するものとして認識されるものといえる。
したがって、上記のとおり、被請求人は、要証期間内に、使用商標を付して商品「サンドイッチ」を販売したことを証明したものである。
よって、使用商標は、被請求人により第30類に属する商品「サンドイッチ」に使用されたというべきでるから、上記請求人の主張は採用できない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2015-06-10 
結審通知日 2015-06-15 
審決日 2015-06-30 
出願番号 商願昭62-113484 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (130)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 1990-01-30 
登録番号 商標登録第2202894号(T2202894) 
商標の称呼 カチョウフーゲツ 
代理人 佐々木 實 
代理人 打越 佑介 
代理人 下坂 スミ子 

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