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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900343 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1304214 
異議申立番号 異議2015-900018 
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-09-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-01-19 
確定日 2015-07-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第5710396号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5710396号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5710396号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年2月7日に登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同26年8月28日に登録審決、同年10月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「EM」、「Audy」及び「オーディ」の文字部分が3段に表されており、また、それらの文字の大きさ、文字種、デザイン化の程度が相違することから、それぞれが視覚上分離して把握され、特に「Audy」の文字が最も注意を引く要部となるものであるから、該文字部分から「アウディ」の称呼が生じるものである。
イ 引用商標
申立人が引用する国際登録第657259号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、銀色の4つの輪を一列に並べた図形の下に「Audi」の文字を書してなり、2008年(平成20年)3月7日に国際商標登録出願(事後指定)、第2類、第7類、第9類、第12類、第14類、第16類、第18類、第25類、第27類、第28類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年2月12日に設定登録されたものであり(甲2)、その商標権は現に有効に存続しているものである。
また、本件商標の指定商品の第9類「電子応用機械器具及びその部品」と引用商標の指定商品中の第9類「Electrotechnical and electronic apparatus and instruments included in this class」(参考和訳:電気(電子)技術式及び電子式の機械器具(本類に属するもの。))とは同一又は類似の商品である。
ウ 「Audy」と「Audi」との類似性
本件商標と引用商標の構成中、看者の目を最も引く要部となる文字「Audy」と「Audi」とを比較すると、いずれの語句からも「アウディ」の称呼が生ずることは明白である。
また、両者は構成4文字中、先頭から3文字「Aud」を共通にし、末尾「y」と「i」のみの差異となる。かかる差異は、同一の称呼を生ずることもあいまって、しかも、以下の(2)アに示す申立人の略称「アウディ(Audi)」の著名性からも、一見して判別することは非常に困難であり、両者が外観上、類似することは明白である。
さらに、観念については、いずれも辞書類に記載されていないことより比較することはできないが、同一の称呼を生ずることから、同一又は近似の語であると認識されるものである。
エ まとめ
以上のとおり、両商標の要部である「Audy」と「Audi」とは、称呼が同一であり、外観が類似し、観念は比較できないものの、同一の称呼を生ずることから近似したものであると捉えられるものである。
したがって、本件商標と引用商標は、商標及び指定商品において類似するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人の略称「アウディ(Audi)」の著名性
(ア)申立人は、ドイツ・バイエルン州のインゴルシュタットに本社を置く自動車メーカーである(甲3)。
日本においては、1967年から販売を開始しており、当初は代理店経由での販売であったが、1998年にはアウディジャパン株式会社を設立し、自ら販売網を構築している。
(イ)東京及び大阪のモーターショーへの出展も、過去に遡り確認できるものだけでも、東京モーターショーには第32回(1997年)、第33回(1999年)、第35回(2001年)、第37回(2003年)、第39回(2005年)、第40回(2007年)、第42回(2011年)、第43回(2013年)に、大阪モーターショーには第1回(1999年)、第3回(2005年)、第5回(2007年)、第7回(2012年)、第8回(2013年)というように継続して出展している(甲7)。
その他、新聞・雑誌への掲載や広告、テレビCMなど積極的に営業活動を行っている。
(ウ)新規登録台数については、2008年には16,040台で、輸入車に占める割合が7.8%であったが(甲3)、2011年には上半期だけで10,085台と、順調に売上を伸ばしている(甲8)。
さらに、2014年には、国内販売、世界販売台数ともに過去最高となり、アウディジャパン株式会社は過去42か月、申立人は過去59か月連続で前年を上回る好調な実績を継続している(甲9、甲10)。
以上のとおりであるので、申立人であるアウディ社は既に周知・著名となっている。
イ 電子機器と自動車との関係
自動車部品と電子機器とは非常に密接した関係にあり、電子機器なしに自動車を完成させることが出来ないことは周知の事実である(甲11)。そのため、著名な「アウディ」と同一の称呼を生ずる「Audy」の文字を電子機器に使用した場合、取引者・需要者が申立人に関連する機器であると混同する危険性が極めて高い。
ウ 「Audi」と「Audy」との混同のおそれ
申立人は、「Audi」の綴りを含む日本国における登録商標及び国際登録を多数所有している。近年は自動車以外の商品・役務も業務として行うため、自動車以外の指定商品・役務においても多数の登録商標を所有している。
インターネット検索で本件商標の要部である「audy」を検索すると、申立人である「audi」での検索結果が表示される(甲12)。このことは、「アウディ」の称呼を生ずる「Audi」と「Audy」の末尾の「i」と「y」の違い程度は大多数の者が注意を払っていないこと、及び「アウディ」と言えば、申立人の「Audi」を指すと認識されるほど申立人に知名度があることを裏付けるものである。
したがって、「Audy」を「電子応用機械器具及びその部品」に付して使用した場合、取引者・需要者は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずる危険性が極めて高い。
さらに、申立人の自動車のモデル名の中には「RS4」、「TT」などがあり、本件商標の構成中の「EM」については、取引者・需要者が申立人の自動車の新モデルに関連するものと誤認する危険性が高く、本件商標はその構成全体から、申立人の新モデルに関するロゴと誤認される危険性が極めて高いものである。
エ まとめ
本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は引用商標を想起、連想させるものと認められ、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるというべきである。
(3)むすび
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、外観及び称呼において相紛らわしい類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の取引者、需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
(1)「Audi」及び「アウディ」の周知性について
ア 申立人提出の証拠、同人の主張及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。
申立人は、1909年に設立されたドイツ・バイエルン州に本社を置く自動車メーカーであり、我が国において申立人の製造販売に係る自動車は1967年から販売が開始され、1998年及び2007年にそれぞれ設立されたアウディジャパン株式会社及びアウディジャパン販売株式会社が輸入販売を行っている(甲3)。また、申立人は、東京モーターショーに1997年(平成9年)の第32回から2013年(平成25年)の第43回までの8回、大阪モーターショーに1999年(平成11年)の第1回から2013年(平成25年)の第8回までの5回出展し、出品者等として、「Audi AG」、「アウディ AG」、「AUDI」、「アウディ」などと紹介されている(甲7)。そして、アウディジャパン株式会社の2014年(平成26年)の国内新車販売台数は3万台を超えており(甲9)、また、当合議体の職権調査によれば、日本自動車輸入組合のホームページにおいて、Audi(アウディ)は、我が国における外国メーカー車新規登録台数(乗用車)の4位(2011年度ないし2014年度)であったことが認められる。
イ 上記アの事実からすれば、「Audi」及び「アウディ」は、いずれも本件商標の登録出願の日前から、登録査定日はもとより現在においても継続して、申立人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして、また、申立人の略称として、需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は、別掲1のとおり、「EM」の欧文字をゴシック体で表し、これを囲うように、その下方に2倍程度の大きさの異なる書体をもって表された「Audy」(各文字は白抜きの縁取りがされている。)の欧文字を表し、さらにその下に「オーディ」の片仮名をゴシック体で横書きしてなるものである。
そして、本件商標の構成中の「EM」の欧文字部分は、極めて簡単でありふれた標章といえる欧文字2字の一類型であり、また、中央部分の「Audy」の欧文字は、辞書類への載録が認められない一種の造語として認識されるものであり、さらに、これに近接して表された「オーディ」の片仮名は、「Audy」の欧文字の読みを特定したものとみるのが自然である。
そうすると、本件商標は、構成全体としてまとまりの良い印象を与えるものであるとみるほか、中央部分に顕著に表された「Audy」の文字部分が、他の文字部分から分離して観察されることも少なからずあるものというのが相当である。
してみれば、本件商標は、構成全体から生じる「イーエムオーディ」の称呼が生じるほか、その構成中の「Audy」の欧文字に相応した称呼が生じるものといえるものであり、我が国において親しまれた英語の発音に倣って「オーディ」の称呼が生じ、かつ、該欧文字の下にその読みを特定したと認められる「オーディ」の片仮名が表されていることを併せみれば、該欧文字部分からは「オーディ」の称呼のみが生じるものというべきである。また、本件商標は特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標は、別掲2のとおり、銀色の4つの輪を隣り合う2つの輪の一部が重なるように横一列に並べた図形と、その下に赤で彩色した「Audi」の欧文字からなるものであるところ、その構成中の「Audi」の文字は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品又は申立人の略称を表示するものとして、「アウディ」の称呼とともに需要者の間に広く認識されているものであるから、引用商標の構成中、「Audi」の文字部分が独立して自他商品、役務の識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「アウディ」の称呼を生じ、「(申立人の業務に係る商品(自動車)のブランド名又は略称としての)Audi(アウディ)」の観念を生じるものというべきである。
ウ そうすると、本件商標と引用商標とは、その構成全体の外観において、文字の構成及び図形の有無における差異を有するものであるから、明らかに区別し得るものであり、また、本件商標の構成中の「Audy」の欧文字と引用商標の「Audi」の欧文字とは、いずれも4文字という短い文字構成において、「y」と「i」の明らかな差異を有するものであるから、外観上、見誤るおそれはなく、区別し得るものである。
また、本件商標の構成全体から生じる「イーエムオーディ」の称呼と引用商標から生じる「アウディ」の称呼とは、音の数及び構成において明らかな差異を有するものであるから、紛れるおそれはない。また、本件商標から生じる「オーディ」の称呼と引用商標から生じる「アウディ」の称呼とは、いずれも3音という短い音構成において、語頭の2音に「オー」と「アウ」の差異を有するものであるから、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、本件商標は特定の観念を生じないものである一方、引用商標は「(申立人の業務に係る商品(自動車)のブランド名又は略称としての)Audi(アウディ)」の観念を生じるものであるから、両者は、観念において紛れるおそれはない。
してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標といわなければならない。
なお、申立人は、本件商標の構成中「Audy」の欧文字から「アウディ」の称呼が生じる旨を主張しているが、申立人からは、その具体的理由については何ら述べるところがなく、本件商標の構成中の「Audy」の欧文字からは、「オーディ」の称呼のみを生じるものというべきであることは上記(2)アのとおりであるから、申立人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)のとおり、「Audi」及び「アウディ」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、また、申立人の略称として、需要者の間に広く認識されているものである。
しかしながら、本件商標と引用商標とは、上記(2)ウにおいてした本件商標と引用商標との類否判断と同様の理由により、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
そうすると、「Audi」及び「アウディ」が本件商標の登録出願前から、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、申立人の商標又は申立人(の略称)を想起又は連想するものということはできない。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして申立人の商標又は申立人(の略称)を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきでものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標



2 引用商標(色彩については原本参照。)



異議決定日 2015-07-23 
出願番号 商願2013-8106(T2013-8106) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 手塚 義明
浦辺 淑絵
登録日 2014-10-17 
登録番号 商標登録第5710396号(T5710396) 
権利者 株式会社イーエムシステムズ
商標の称呼 イイエムオーディ、イイエムアウディ、オーディ、アウディ 
代理人 特許業務法人森本国際特許事務所 
代理人 松尾 誠剛 

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