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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W14
管理番号 1300765 
異議申立番号 異議2014-900107 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-14 
確定日 2015-04-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5641079号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5641079号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5641079号商標(以下「本件商標」という。)は、「SOFITEL」と「ソフィテル」の文字を二段に書してなり(下段の「ソフィテル」の文字は、2ないし3文字程度右にずれて記載されている。)、平成25年8月5日に登録出願、第14類「時計」を指定商品として、同年11月27日に登録査定、同26年1月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)
1 本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が運営する世界的なホテルチェーンの代表的出所識別標識として、申立人及びその親会社であるフランス法人アコー(ACCOR)により永年にわたり使用され、世界的に広く知られるに至っている引用商標「SOFITEL」と類似するものであり、また、本件商標の指定商品は申立人の事業と密接な関連性を有するものである。
したがって、本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について誤認・混同を生じるおそれが極めた高い。よって、本件商標は商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当する
2 本件商標の出願の経緯に鑑みれば、本件商標権者が著名な引用商標を剽窃し、これに化体した業務上の信用にただ乗り(フリーライド)して不正の利益を得ようとする不正の意図を以て本件商標の登録に及んだことは明らかであり、本件商標権者による本件商標の使用及び登録は、国際信義に反し、公正な取引秩序、公の秩序をも害するものである。よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号又は同第19号に該当する。
3 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号又は同第19号に違反するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである。

第3 本件商標の取消理由
審判長は、平成26年9月26日付けで商標権者に対し、理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は、次のとおりである。
1 標章「SOFITEL」の周知・著名性について
(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。
ア 申立人は、親会社であり世界有数のホテル事業者であるフランス法人ACCOR(アコー)を中心とするホテルチェーン、アコーグループに属し、主としてホテルチェーン「SOFITEL」の運営を行っていること(甲6、申立人の主張)。
イ ホテルチェーン「SOFITEL」の2013年頃のホテル数は、ヨーロッパに32、アジアに26など世界に合計111であり、16のホテルが開業準備中であったこと(甲12)。
ウ ホテルチェーン「SOFITEL」は、「Sofitel Legend」「Sofitel So」の派生ブランドを含め、2013年(平成25年)8月頃において、世界40か国に、ホテル数120、部屋数31,000を保有し、2015年にホテル数を150とすることを目標に、17のホテルを建設中であったこと(甲9)。
エ ホテルチェーン「SOFITEL」は、そのホテル名に「SOFITEL(Sofitel)」の文字を冠し、パンフレットや広告に「SOFITEL」の文字を大きく、「LUXURY HOTELS」の文字を小さく二段に表した標章を使用していること(甲9、甲12、甲24?29、甲33?37)。
(2)ホテルチェーン「SOFITEL」の売上高、利用客数などは確認できないものの、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願の月(平成25年8月)に、世界40か国に120のホテルを有していること、ホテル名に「SOFITEL(Sofitel)」の文字を冠していること、パンフレットや広告に「SOFITEL」と「LUXURY HOTELS」の文字からなる標章(「LUXURY HOTELS」の文字は小さい。)を使用していることをあわせみれば、標章「SOFITEL」は、本件商標の登録出願の日前から、申立人及びその親会社ACCORのホテル事業に係る役務(宿泊施設の提供など)を表示する商標として、欧州や東南アジアにおける需要者の間に広く認識されている商標であって、その状況は本件商標の登録査定日はもとより、現在まで継続しているものと判断するのが相当である。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記第1のとおり「SOFITEL」と「ソフィテル」の文字からなり、その構成文字に相応し「ソフィテル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そして、本件商標の構成中「SOFITEL」の文字は、上記1(2)のとおり欧州及び東南アジアにおける需要者の間に広く認識されている商標「SOFITEL」(以下「引用商標」という。)と同一の綴りであり、また、本件商標の構成中「ソフィテル」の文字は、本件商標の欧文字部分の読みを表したものであるとともに、引用商標の読みを片仮名表記したものと認められるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観において「SOFITEL」の構成文字を、称呼において「ソフィテル」を共通にするものであり、観念において比較することができず明確に区別できないものであるから、両者の外観、称呼及び観念を総合してみれば、両者は相紛らわしい類似の商標というべきものである。
そして、引用商標「SOFITEL」が造語であること、さらには、商標権者は、平成7年に、本件商標の欧文字部分と同一の綴りである「SOFITEL」の文字を商標とし、第14類「時計」を指定商品とする商標登録出願をし、平成10年に、「SOFITEL」が当該出願に対する登録異議申立人(ACCOR社)の著名な商標であり出所の混同が生じるおそれがあるとする異議決定がなされたこと(甲5)をあわせみれば、本件商標は、商標権者が引用商標の存在を知ったうえで、それに化体された業務上の信用と顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的など、不正の目的をもって使用するものといわざるを得ないものである。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものに該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものといわなければならない。

第4 商標権者の意見
審判長は、上記第3の取消理由に対して、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
上記第3のとおり、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものに該当するというべきであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2014-12-01 
出願番号 商願2013-63668(T2013-63668) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (W14)
最終処分 取消  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大森 健司
渡邉 健司
登録日 2014-01-10 
登録番号 商標登録第5641079号(T5641079) 
権利者 株式会社クレファー
商標の称呼 ソフィテル 
代理人 辻居 幸一 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 中村 稔 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 藤倉 大作 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 松尾 和子 

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