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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W17
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W17
管理番号 1300634 
審判番号 不服2014-6836 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-14 
確定日 2015-04-08 
事件の表示 商願2012-104084拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「パイプガード」の片仮名を標準文字で表してなり、第17類及び第19類に属する願書記載の商品を指定商品として、平成24年12月25日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、当審における平成26年4月14日付け手続補正書により第19類に属する商品が削除された結果、第17類「プラスチック基礎製品」となったものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は『パイプガード』の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の『パイプ』の語は『管』、『ガード』の語は『保護するもの』の意味をそれぞれ有する語として親しまれているものであって、これら両語を組み合わせた全体の構成からは、『管を保護するもの』程の意味合いを理解・把握させるにすぎないものである。そして、『パイプ』と『ガード』の両語を結合した表現形態によって、上記とは別の語義や観念が生ずるとみる特段の事情は見受けられず、また、水道等の配管に関する分野においては、保冷・保温・断熱効果あるいは安全性の確保等の目的で、管を保護する為の商品が存在し、それら商品の品質を『パイプガード』と称して取引されている実情がある。してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、管を保護するための商品に使用するときには、単に商品の用途・品質を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は、「パイプガード」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「パイプ」の片仮名は「空気・ガス・液体などを通し、他に導くための管。」、「ガード」の片仮名は「守ること。保護すること。防護また、それをする人や物。」(大辞林第3版 株式会社三省堂発行)の意味を有し、我が国において広く親しまれた語であるから、本願商標は、「パイプ」の文字と「ガード」の文字からなるものと容易に理解されるものであり、その構成全体から「管を保護するもの」の意味合いが容易に想起されるものといえる。
また、原査定において示したインターネット調査の結果及び当審における職権調査による別掲のとおりの証拠によれば、管を覆って熱や衝撃等から保護するための材料(商品)が一般に取引されており、これらにはプラスチック製のものも多く、さらに、このような管の保護材を表す語として「パイプガード」の語が使用されている実情もうかがえる。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者においては、「管の保護材としての使用(加工)に適したプラスチック基礎製品」程の意味合いを理解するにとどまるというべきであるから、本願商標は、単に商品の品質又は用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎない商標であるというのが相当である。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願の指定商品は、前記1のとおり「プラスチック基礎製品」に補正されており、該商品は、「プラスチック製品」のうち、成型等の加工を何ら施さない原料、特定の用途に供される最終製品を除いた半加工品を指し、特定の用途に供される最終製品は含まれないところ、原査定において示された取引の実情は、明らかに特定の用途に供される最終商品である管を保護するための商品に関するものであり、「プラスチック基礎製品」を取り扱う業界において、「パイプガード」の文字が、不特定多数の者によって、商品の用途・品質等を表すものとして、取引上、一般に使用されているとの事実は見当たらず、また、「パイプガード」の文字から「管を保護するもの」の意味合いが生じるとしても、加工前の半加工品である「プラスチック基礎製品」との関係においては用途・品質等を直接的かつ具体的に表示するものではない旨主張している。
しかしながら、請求人の主張のとおり、プラスチック基礎製品が半加工品であり、それ自体は最終製品としての管の保護材には該当しないものであるとしても、プラスチック基礎製品から管の保護材に最終的に加工する業者等が、その原材料として、管の保護材に加工するのに適した素材や形状からなる商品を求めることはいうまでもなく、かつ、上記(1)のとおり、「パイプガード」の文字が「管を保護するもの」の意味合いを容易に想起されるものであることからすれば、本願商標を「プラスチック基礎製品」に使用しても、これに接する需要者は、その商品が「管の保護材としての使用(加工)に適したプラスチック基礎製品」であることを理解、認識するというのが自然である。
さらに、管の保護材には単独又は主たる素材としてプラスチックが用いられることが多いこと、管の保護材の形状は、管状、帯状、フィルム状のように比較的単純な形状のものが一般的であるから、半加工品から最終製品への加工度もさほど高いものとはいい難いこと、「パイプガード」の文字が管の保護材を表すものとして使用されている実情があることは、原査定において示したインターネット調査の結果に加え、当審における職権調査による別掲のとおりの証拠においても確認できる。
そして、たとえ、「パイプガード」の文字が、プラスチック基礎製品の品質を表すものとして実際に使用されていないとしても、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである。」(東京高裁、平成12年(行ケ)76号判決)と判示されている。
よって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

管を保護するための商品に係る取引の実情
(1)プラスチック基礎材料に係る素材を用いた管の保護材
ア 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「積水化学工業\エスロン保温チューブ STQ」の見出しの下、「●特長」の欄に「保温テープ巻きが不要のワンタッチ型保温チューブです。」、「●用途」の欄に「一般水道配管(鋼管、銅管、VP塩ビ管)」及び「●材質」の欄に「電子線架橋発泡ポリエチレン」の記載、並びに管状の保護材の商品写真がある。
(http://www.monotaro.com/g/00408381/)
イ 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「nitoms(ニトムズ)\配管保護テープ No.303」の見出しの下、「●特長」の欄に「巻きやすい非粘着タイプの配管保護専用テープです。」、「●用途」の欄に「配管の保温・保護・識別に。\屋外配管の簡易防水用に。\湿気の多い地下室などの配管のサビ防止に。」及び「●基材」の欄に「塩化ビニル」の記載、並びに帯状の保護材の商品写真がある。
(http://www.monotaro.com/g/00007103/)
ウ 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「エアロフレックス\エアロフレックス チューブ」の見出しの下、「●特長」の欄に「冷水、温水パイプ用に開発された独立気泡構造の、軽い柔軟な特殊エラストマーで作られています。\耐候性・耐紫外線性・耐防湿性に優れています。」、「●用途」の欄に「水道管の防霜、防氷用に。\冷水管及び冷媒管の防露や熱吸収を防ぎ、温水管の熱発散を防ぎます。」及び「●材質」の欄に「ネオプレンスポンジ(ネオプレン発泡体)」の記載、並びに管状の保護材の商品写真がある。
(http://www.monotaro.com/g/00249775/)
エ 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「日東電工\防食用ビニルテープ No.51」の見出しの下、「●特長」の欄に「巻き付け作業がしやすい、防食・保護用ビニールテープです。\耐久性・防食性に優れ、各種鋼管の防錆・防食に効果を発揮します。\防食テープNo.51は、各種パイプラインの防食と保護を目的に開発された防食テープです。」、「柔軟なフィルムと厚い粘着剤で構成され、・・・」、「●用途」の欄に「各種鋼管の防錆・防食用。\各種パイプラインの防食・保護。\鉱山・化学工場など過酷な条件下でのパイプの防食・保護。」及び「●基材」の欄に「ポリ塩化ビニール(PVC)」の記載、並びに帯状(フィルム状)の保護材の商品写真がある。
(http://www.monotaro.com/g/00391984/)
オ 「INABA DENKO」のウェブサイトにおいて、「断熱パイプカバー PMQ:INDEX(ドレン配管用保温材/断熱材)」の見出しの下、「保温材表面に保護フィルムを貼ったドレン管(塩ビ管)用の保温材/断熱材です。」及び「特長」の欄に「断熱性に優れた発泡ポリエチレン仕様です。」の記載、並びに管状(フィルム状)の保護材の商品写真がある。
(http://www.inaba-denko.com/jp/pro/pmq/index.html)
(2)管の保護材について「パイプガード」の使用例
ア 「daisho-kokan.co.jp」のウェブサイトにおいて、「パイプガードキャップ(PGC)」の見出しの下、「◎電線管切断面に押し込むだけで、管内への小動物の侵入や糞、又ほこりのを防ぎ電線管を保護します。\◎材質はポリエチレン樹脂で破損したり外れにくく、電線管終端にしっかり密着します。」の記載、及びパイプの断面の蓋の形状の保護材の商品写真がある。
(http://www.daisho-kokan.co.jp/pgc.html)
イ 「ストア・エキスプレス」のウェブサイトにおいて、「パイプガードフィルム」の見出しの下、「●素材/ポリウレタン製」及び「●貼り付けるパイプの長さに合わせて、ハサミなどでカットしてご利用ください」の記載、並びにフィルム状の保護材の商品写真がある。
(https://www.store-express.com/CGI/shopping/product_detail.cgi?ctg_cd=001005008unit_id=4J-208-6)
ウ 「ROYAL」のウェブサイトにおいて、「PGF-T パイプガードフィルム」の見出しの下、「品番詳細」の項に「■Hバースチールおよびハンガー陳列用パイプ製製品の塗装仕上げ品(メッキにクリア塗装したもの含む、弊社オリジナルカラーではクロームを除く全ての表面処理カラー)における、ハンガー着脱時の衝撃や摩擦による塗膜はがれを抑制するための、耐磨耗性の高いキズ防止用透明フィルム」及び「●材質」の欄に「非塩ビ系樹脂」の記載、並びにフィルム状(帯状)の保護材の商品写真がある。
(http://aa-system.net/search/popup.php?mode=detailitem_cd=PGF-T)
エ 「株式会社シービーエム」のウェブサイトにおいて、「KMパイプガード」の見出しの下、「剥き出しの足場等が出っ張っていると危険です。\クッション性があるので、ぶつかった時のショックをやわらげます。」の記載、及び管状の保護材の商品写真がある。
(http://www.cbm-inc.co.jp/1164/)
オ 「卸値通販のホームメイキング」のウェブサイトにおいて、「パイプガード 黄/黒 25本入 他」の見出しの下、「クッション材使用のため安全確保できます」、及び管状の保護材の商品写真がある。
(http://www.homemaking.jp/product_info.php?products_id=38446)


審理終結日 2015-01-15 
結審通知日 2015-01-23 
審決日 2015-02-16 
出願番号 商願2012-104084(T2012-104084) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W17)
T 1 8・ 272- Z (W17)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小出 浩子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 浦辺 淑絵
根岸 克弘
商標の称呼 パイプガード 
代理人 福田 純一 
代理人 村下 憲司 

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