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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W141825303543
管理番号 1299574 
異議申立番号 異議2014-900261 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-22 
確定日 2015-04-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5678212号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5678212号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5678212号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1(1)のとおりの構成からなり、平成25年10月7日に登録出願、第14類、第18類、第25類、第30類、第35類及び第43類に属する別掲1(2)に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同26年3月27日に登録査定され、同年6月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が、シャンパーニュ(シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒)に使用して周知、著名となっているとする商標は、次のアないしエ(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)のとおりである。
ア 登録第2207572号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 SALON
指定商品 第33類に属する商標登録原簿に記載の商品
イ 登録第4567331号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第33類に属する商標登録原簿に記載の商品
ウ 登録第4683100号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第33類に属する商標登録原簿に記載の商品
エ 国際登録第944133号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定商品 第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品
(2)具体的な理由
ア 引用商標の周知性
(ア)申立人は、シャンパーニュの製造、販売などを行っている会社である。シャンパーニュ愛飲家であったウジェーヌ・エメ・サロンが1911年に造り上げたシャンパーニュが「SALON」であり、この「SALON」は、メゾン(シャンパーニュメーカーのブランド)の名称としても採択されている(甲7)。
上記「SALON」は、ほかのメゾンとは異なる大きな特徴がある。それは、a)わずか1種類のシャンパーニュしか造らないということ、b)最高のぶどうが収穫できた年にだけ造り、販売の際には、必ずヴィンテージシャンパーニュとして流通するものであること、c)一般的なヴィンテージシャンパーニュの瓶熟期間が3年のところ、サロンでは最低でも約10年近く瓶内熟成を経てからリリースするということである(甲7)。
(イ)「SALON」は、その際立った完全主義のために高価ではあるものの、約100年間で30数回しか販売されていないという希少性もあいまって、かえって注目を集め、世界中に愛好家を有し、世界中で広く販売されているものである。
この点、「SALON」は、我が国でも輸入、販売され、需要者の間で大きな関心を集めており、各種ウェブサイトや雑誌で広く、引用商標が付された商品写真を掲載して紹介、販売がなされている(甲7?甲9)。
また、引用商標を使用した商品「SALON」は、2011年度にJALのファーストクラスの機内食に採択され、その後も継続して搭載されており(甲10)、さらに、我が国におけるレストランやホテルでも提供されている(甲11)。
(ウ)引用商標(引用商標3を除く。)は、商品「SALON」の商標として、商品ラベルや化粧箱(紙箱)、木箱などにおいて必ず用いられているほか、引用商標は、広告や雑誌記事においても広く用いられているものである。
そうすると、引用商標は、上記商品の需要者が商品にアクセスする際に、必ず目にするものであり、商品購入の際の目印として認識されるものである。
(エ)以上によれば、引用商標は、いずれも我が国の需要者の間で広く認知されているものであり、周知、著名となっていると判断されるべきものであって、本件商標が出願された平成25年10月7日時点において、既に申立人の業務に係る商品を表示する商標として、また、その商品の分野を超えて、我が国を含む世界各国で需要者の間に広く認識されていたものというべきものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性
(ア)本件商標は、その構成中の「SALON」の文字が大きめの文字で書されていることに加え、ほかの文字から独立して最上位に配されていることから、容易に独立して認識されるものである。
他方、引用商標1は、「SALON」の文字からなるものである。
よって、本件商標と引用商標1とは、「サロン」の称呼及び観念において共通するものであり、両者は、類似する。
(イ)本件商標は、「SALON」の文字とともに、中央部に該文字の略4倍で書された「S」の文字を有してなるところ、当該「S」の文字は、その上端部分及び下端部分が外に向かって広がるように図形化されている。
他方、引用商標2及び引用商標3においても、「SALON」の文字とともに、中央部に該文字の略4倍で書された「S」の文字を有してなるところ、当該「S」の文字は、その上端部分及び下端部分が外に向かって広がるように図形化されている。
そして、本件商標と引用商標2及び引用商標3とでは、「SALON」の文字の位置などの差異はあるが、いずれも「SALON」の文字を有しているという点、当該文字に隣接して略4倍の大きさで書された「S」の文字が配されているという点並びに「S」の文字の上端部分及び下端部分について図形化が施されているという点において共通性を有するものである。
よって、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、互いに類似するものと判断されるべきものであり、仮に、非類似であるとしても、それぞれの構成中の特徴的な部分を共通にするものであり、両者は、極めて近似するものである。
(ウ)本件商標と引用商標4とは、中央部に大きく「S」の文字が配されている点並びに当該文字の上端部分及び下端部分が外に向かって広がるように図形化されているという点において共通している。
そして、本件商標と引用商標4とでは、ほかの図形的又は文字的な要素における差異はあるが、両者の構成中、最も目立つ特徴的な部分において共通性を有するものであり、両者は、極めて近似するものである。
ウ 本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る商品との関連性
本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標に係る商品「シャンパーニュ」(以下「使用商品」という。)とは、いずれも非類似である。
しかしながら、本件商標の指定商品及び指定役務中、第30類に属する商品は、使用商品と同様、「飲食物」に属するものであり、いずれも人間が摂取するものという点で共通している。
同じく、第35類に属する役務中の「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、その役務の提供において取り扱われる商品である「菓子及びパン」、「清涼飲料及び果実飲料」及び「茶・コーヒー及びココア」に着目すると、いずれも「飲食物」に属するものであり、使用商品とは人間が摂取するものという点で共通している。
エ まとめ
引用商標の高い周知・著名性、本件商標と引用商標との高い類似性及び近似性からすると、申立人以外の者が本件商標を上記の「飲食物」とは無関係の商品又は役務について使用したとしても、需要者が申立人の業務に係る商品又は役務とその出所について混同を生ずるおそれがあると判断されるべきものである。少なくとも、申立人以外の者が本件商標を「飲食物」に関連する上述した商品又は役務について使用した場合には、需要者が申立人の業務に係る商品又は役務とその出所について混同するおそれがある。
さらに、いわゆる広義の混同を考慮した場合、本件商標がその指定商品又は指定役務について使用されたときは、需要者が申立人の業務に係る商品又は役務であるとその出所について混同を生ずることは明らかである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)申立人は、1900年代の初頭からシャンパーニュの製造、販売などを行っている会社である。
申立人が製造、販売するシャンパーニュは、良質のぶどうが収穫された年にだけ生産され、引用商標が使用されている(甲7、甲8、ほか)。
(イ)使用商品は、遅くとも2011年に日本航空の国際線ファーストクラスで提供され(甲10)、現在も提供されている。なお、2007年から提供していた旨記載されたウェブページもある(甲10)。
(ウ)使用商品は、遅くとも2012年から我が国のレストランやホテルで提供されており(甲11)、現在は、インターネットにおける複数の通販サイトでも販売されている(甲8)。
しかしながら、使用商品の我が国における販売量、販売総額などの販売実績は確認できない。
イ 上記アの事実によれば、申立人が引用商標を使用商品について使用していることは認められるものの、使用商品の我が国における販売実績が確認できず、ほかに、引用商標が、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたと認め得る事実は見いだせないから、引用商標は、本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、別掲1(1)のとおりの構成からなるところ、引用商標1は、前記2(1)アのとおり、「SALON」の文字からなるものであり、また、引用商標2ないし引用商標4は、それぞれ、別掲2ないし別掲4のとおりの構成からなるものであって、本件商標と引用商標とが、仮に、類似するものであるとしても、上記(1)イのとおり、引用商標は、いずれも本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているということはできないものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品又は指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品又は役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標ということはできないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
(1)本件商標


(2)本件商標の指定商品及び指定役務並びに商品及び役務の区分
第14類「貴金属,宝玉及びその模造品,キーホルダー,宝石箱,身飾品,時計」
第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,毛皮」
第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,パスタソース」
第35類「商品の販売に関する情報の提供,競売の運営,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与」


別掲2(引用商標2)

(色彩は原本参照)

別掲3(引用商標3)
【立体商標】

(色彩は原本参照)

別掲4(引用商標4)

(色彩は原本参照)



異議決定日 2015-03-23 
出願番号 商願2013-77962(T2013-77962) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W141825303543)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田村 正明
田中 敬規
登録日 2014-06-20 
登録番号 商標登録第5678212号(T5678212) 
権利者 株式会社ジュン
商標の称呼 サロンアダムエロペ、アダムエロペ、エス、ファッションホームシングスペーストリーアンドティー、ホームシングスペーストリーアンドティー、ファッションホームシングスペーストリーティー、ホームシングスペーストリーティー、ファッションホームシングス、ホームシングス、ペーストリーアンドティー、ペーストリーティー 
代理人 潮崎 宗 
代理人 小出 俊實 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 幡 茂良 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉田 親司 

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