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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
管理番号 1299572 
異議申立番号 異議2014-900238 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-26 
確定日 2015-04-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5674190号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5674190号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5674190号商標(以下「本件商標」という。)は、「LARCUM KENDALL」の欧文字を横書きしてなり、平成25年12月12日に登録出願され、第14類「宝飾品,宝玉及びその原石,指輪,ブレスレット,イヤリング,ネックレス,ペンダント,カフスボタン,時計,機械式時計,自動巻時計,時計鎖,文字盤,時計の部品及び附属品,時計バンド,置き時計,キーホルダー,宝石箱,時計用箱及び時計ケース」を指定商品として、同26年5月2日に登録査定、同月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する国際登録第986364号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、2008年4月8日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)10月2日に国際商標登録出願され、第14類「Precious metals, unwrought or semi-wrought; key rings (trinkets or fobs) of precious metal; jewellery cases (caskets) of precious metal; jewellery, precious stones; horological and chronometric instruments.」を指定商品として、平成22年8月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 商標の類似
(1)引用商標は、図形と欧文字「L.KENDALL」とからなるが、その構成に照らし欧文字「L.KENDALL」は、引用商標の要部であるから、本件商標とは、以下に述べるとおり、類似する。
ア 引用商標を使用した商品と本件商標を使用した商品との間に出所について誤認混同のおそがあるときは、引用商標と本件商標とは、相互に類似する商標である。
そして、かかる出所の混同のおそれとは、ある日ある場所で引用商標を使用した商品(例えば「時計」)に接した需要者が、別の日別の場所で本件商標を使用した商品(例えば「時計」)に接したときに、この時計は、この間見た時計と同じ出所(製造社又は販売者)の時計ではないのか、と思うおそれがあるときに存在することとなる。
イ 引用商標を使用した商品(例えば「時計」)に接した需要者は、「L.KENDALL」を出所表示として認識する。そして、「L.KENDALL」が、欧米人の氏名(名前+姓)を示すものであり、「L.」が名前の頭文字を取って「.」を付した略記であることを認識する。これは、我が国における欧米人の氏名のアルファベット表記についての知識の普及に照らせば、当然の事である。
ウ 「LARCUM KENDALL」が欧米人の氏名であることは、我が国において、公知の事であるから、「L.KENDALL」は、「LARCUM KENDALL」の名前「LARCUM」を「L.」と略したものと認識される。
そして、「KENDALL」という姓は、我が国において欧米人の姓として極めて珍しいものであり、需要者の注意を強く惹くものであり、「KENDALL」は、支配的な要素である。
(2)外観及び称呼類似
本件商標中の「KENDALL」の欧文字と引用商標中の「KENDALL」の欧文字とは、外観において類似する。さらに称呼「ケンドール」においても類似する。
(3)観念類似
氏名は人を特定する手段であるが、姓をもって人を特定することは、周知のことである。例えば、日本名では「青木」さん等々、欧米人の名では、「Cardin」氏等々。同じ姓の人が関連する分野に何人も居る場合を除いて、我々は、姓で個人を特定するのである。そして、「KENDALL」は、日本人にとって極めて珍しい外国人の姓であり、「KENDALL」という姓の人が関連する分野(時計や宝飾品の製造販売)に何人も居るということはあり得ないことであり、いわんや、「KENDALL」姓の人で「LARCUM」以外の「L」で始まる名前を持つ人と「LARCUM」という名前を持つ人とが関連する分野に居るということはあり得ないことであり、日本人にとって、「L.KENDALL」は「LARCUM KENDALL」の名前「LARCUM」を「L.」と略記したものであり、「L.KENDALL」と「LARCUM KENDALL」とは同一人を示すものである。
よって、本件商標は、観念においても引用商標と類似する。
(4)まとめ
以上のとおり、「L.KENDALL」を付した商品(例えば「時計」)に、ある日ある場所で、例えば日本橋三越の時計売場で、接した需要者が、別の日別の場所で、例えば、銀座松屋で、「LARCUM KENDALL」を使用した時計に接した時に、当該需要者は、「LARCUM KENDALL」は「L.KENDALL」の「L」で始まる名前を省略しないで表示したものであるから、その時計は、同一の製造者又は販売者の製造又は販売に係るものであろうと、自然に認識する。
したがって、本件商標は引用商標と、外観、称呼及び観念において類似し、出所について誤認混同を生ずるおそれがあるから、引用商標に類似する。
2 指定商品の類似
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品に類似する。
3 引用商標の先願先登録
引用商標の国際商標登録出願日及び設定登録日は、本件商標の出願登録日及び登設定登録日に先立つ。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「LARCUM KENDALL」の欧文字を横書きしてなるものであって、その構成中に半角程度のスペースがあるとしても、各構成文字は同じ書体、同じ大きさをもってまとまりよく一体的に表され、その構成文字全体から生じる「ラーカムケンドール」の称呼も、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、その構成上、仮に、西欧人の人名を想起させるものであるとしても、申立人は、これが特定の人名を表すものとして、あるいは、「LARCUM KENDALL」が著名であり、「LARCUM」の文字を除いた部分はその略称と解すべきである旨の主張及び証左の提出をしていない。
そして、職権調査によってもそれを認め得る事実は発見できないことから、本件商標は、特定の人名を想起させることはないというべきである。
してみれば、本件商標の一体的に表された構成及び称呼においては、その構成文字全体が特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応する「ラーカムケンドール」の称呼のみを生じるものであり、また、一種の造語として認識され特定の観念を生じないものと認められる。
2 引用商標について
引用商標は、別掲に示すものであるところ、その図形部分からは特定の称呼及び観念は生じるといえず、また、下段部の「L.KENDALL」の文字部分から、「エルケンドール」の称呼が生じ、ここから特定の観念が生じるとの証拠の提出はなく、また、その事情も認められない。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、外観上明らかに区別し得る構成のものである。
また、本件商標から生じる「ラーカムケンドール」の称呼と、引用商標から生じる「エルケンドール」の称呼は、構成音数が相違するばかりでなく、前半部における「ラーカム」と「エル」の音の顕著な差異があることから、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が著しく相違し、明瞭に聴別することができるものである。
さらに、本件商標と引用商標とは、両者が特定の観念を有しないものであるから、観念上、両商標が相紛れるおそれがあるということはできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできないものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似するということができないものであるから、たとえ、その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであったとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)



異議決定日 2015-03-24 
出願番号 商願2013-97675(T2013-97675) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W14)
T 1 651・ 262- Y (W14)
T 1 651・ 263- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤村 浩二 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2014-05-30 
登録番号 商標登録第5674190号(T5674190) 
権利者 フォートウェイ リミテッド
商標の称呼 ラーカムケンドール、ラーカム、ケンドール 
代理人 古木 睦美 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 

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