• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W05
審判 査定不服 外観類似 登録しない W05
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W05
管理番号 1298336 
審判番号 不服2014-4527 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-08 
確定日 2015-02-09 
事件の表示 商願2012-98726拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「しんのうくろにんにく」、「神農黒にんにく」及び「Sinnoukuroninniku」の各文字を3段に表してなり、第5類、第29類、第31類及び第32類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年11月21日に登録出願、その後、本願の指定商品は、同25年4月9日及び同26年3月8日受付けの手続補正書により、最終的に第5類「にんにくを主原料とし粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・丸剤状・液状又はカプセル状にした加工食品,にんにくを使用したサプリメント」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第4300240号商標(以下「引用商標」という。)は、「神農霊芝」の文字を標準文字で表してなり、平成9年9月17日に登録出願、第30類「乾燥した霊芝草を原料とした粉状又はチップ状の加工食品」を指定商品として、同11年7月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「しんのうくろにんにく」、「神農黒にんにく」及び「Sinnoukuroninniku」の各文字を3段に表してなるところ、上段の平仮名は、中段の「神農黒にんにく」の文字の振り仮名を表し、下段は、その欧文字を表したものと看取されるものである。
また、本願商標の指定商品は、「にんにくを主原料とし粒状・粉末状・顆粒状・錠剤状・丸剤状・液状又はカプセル状にした加工食品,にんにくを使用したサプリメント」である。
ところで、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、近年の高齢化社会や健康志向に伴い、サプリメントが数多く製造、販売されているところ、その原材料の有する様々な効能が注目され、各効能を有するサプリメントにあっては、その商品を宣伝・広告される時には原材料の効能なども併せて説明されている実情がうかがわれる。
そして、本願商標の構成中、「黒にんにく」の文字についてみると、別掲1のとおり、にんにくを加工して黒くしたにんにくを表示するものとして紹介され、ポリフェノールが豊富なため健康維持に良いとされ、黒にんにくを原材料とするサプリメントとして販売されているといえる。
してみれば、本願商標の構成中、平仮名及びローマ字表記した「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字は、「黒にんにく」に通じるものといえる。
以上からすると、本願商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「黒にんにく」、「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字は、その指定商品の原材料を表したものと容易に認識するものである。
そうすると、本願商標は、全体の文字に相応した「シンノウクロニンニク」の称呼のほか、「神農」、「しんのう」及び「Sinnou」の文字に自他商品の識別機能を有するものと理解し、該文字に相応して「シンノウ」の称呼をも生じ得るとみるのが相当である。
また、「神農」の文字は、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」(広辞苑第六版)の意味を有する語といえるから、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じる。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「神農霊芝」の文字を標準文字により表してなるところ、引用商標の構成中、「霊芝」の文字についてみると、「マンネンタケ(万年茸)の漢名。瑞草とされる。」(広辞苑第六版)の意味を有し、別掲2のとおり、霊芝は、霊芝草とも呼ばれ、サプリメントの原材料とされ、その効能として、免疫力の調整作用や血糖値の調整作用、血圧降下、血栓を防ぐ、高脂血症やB形肝炎の改善などがあるものとして知られているといえる。
また、引用商標の指定商品は、「乾燥した霊芝草を原料とした粉状又はチップ状の加工食品」である。
そうとすると、引用商標の構成中、「霊芝」の文字は、その指定商品の原材料を表したものとして認識されるものといえるから、全体の文字に相応した「シンノウレイシ」の称呼のほか、「神農」の文字に自他商品の識別機能を有するものと理解し、該文字に相応して「シンノウ」の称呼を生じ得るとみるのが相当であり、「神農」の文字は、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」(広辞苑第六版)の意味を有する語といえるから、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じる。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、その構成全体の比較においては相違するものの、「黒にんにく」、「くろにんにく」及び「kuroninniku」の文字又は「霊芝」の文字部分がそれぞれ原材料を表したものと認識されるものであるから、両商標は、「神農」の文字部分に自他商品の識別標識を有するとみるべきであって、これより、該文字部分に相応する「シンノウ」の称呼を生じ、かつ、「中国古伝説上の帝王。三皇の一人。」程の観念を生じるといえるから、両商標は、称呼及び観念を同一にするものである。
さらに、本願商標の構成中の「神農」の文字部分は、引用商標の「神農」の文字と同一であって、本願商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるものであり、称呼及び観念を同一にするものであるから、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれがある類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、上記のとおり、その原材料において、にんにくと霊芝(草)の違いがあるとしても、両指定商品は、健康維持のために摂取するサプリメントといえるものであり、互いに類似する商品といえる。
なお、請求人(出願人)は、過去の登録例を参考にすれば、サプリメントの分野における商取引の特殊性に鑑み、「前部の文字部分プラス原材料名の表示」からなる商標は一体不可分の商標として一連に称呼・観念されているから、本願商標と引用商標は、同一又は類似の商品に使用しても需要者・取引者をして彼此混同のおそれのない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標の類否の判断は、過去の登録例、審決例等に拘束されることなく、該出願についての登録査定時又は審決時において、その判断の対象となる商標が使用される商品に係る取引の実情等をも併せ考慮して、個別具体的に判断されるべきものであるところ、サプリメントを取り扱う業界においては、各種の効能を有する原材料を用い各種のサプリメントが製造、販売され、例えば、別掲2(1)のとおり、各種原材料の「ネイチャーズ・ハーブ印」のサプリメントが販売されていることから、本願商標と引用商標とは、自他商品の識別機能を有する「神農」に着目し、「黒にんにく」及び「霊芝」を原材料とするその指定商品に使用する時には、取引者及び需要者は、「神農印の黒にんにく」又は「神農印の霊芝」と容易に理解するというべきであって、これを常に一体不可分でみなければならない特段の事情は見いだせない。
したがって、上記においてした認定、判断のとおりであるから、請求人の主張を採用することができない。
(4)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「黒にんにく」について
(1)2006年11月12日付け「読売新聞」(東京朝刊 8頁)に「黒にんにく配合のサプリメント発売へ/ファンケル」の見出しの下、「ファンケルはサプリメント『無添加熟成 黒にんにく』を21日は発売する。約1か月間熟成させた『黒にんにく』のパウダーを配合した。1日あたりの摂取目安は4粒で、生ニンニク3片分のポリフェノールを取ることができるという。」の記載がある。
(2)2009年2月27日付け「日本食糧新聞」に「日本製粉、機能性健康食品『深層熟成 黒にんにくもろみ酢』発売」の見出しの下、「・・・フルーティーで甘酸っぱい発酵黒ニンニク、まろやかな味わいの沖縄もろみ酢、アマニ油、筋肉のエネルギー源BCAA、ビタミンB群がたっぷり入ったぜいたくなサプリメント。心身ともに疲れやすい現代人を強力にバックアップする。」の記載がある。
(3)2012年10月4日付け「朝日新聞」(西部夕刊 7頁)に「健康食品、戦国時代 九州発が全国シェア2割 市場頭打ち・飲料大手本腰【西部】」の見出しの下、「■九州の健康食品会社の売り上げ」として「10 イング(鹿児島県姶良市) 56薩摩黒にんにく卵黄」の記載がある。
(4)2014年9月3日付け「読売新聞」(広告のページ 32頁)の「ヒット商品発見」として「スタミナ補給に好適。『発酵黒にんにく』(大玉の粒タイプ)/生にんにくの約5倍のポリフェノール」の見出しの下、黒にんにくの説明及び写真が掲載されている。
(5)「黒にんにく専門店/つうはん本舗」のウェブサイト(http://kuro-ninniku.net/black-garlic/kuro)の「『黒にんにく』って何だろう??」として「『熟成まるごと黒にんにく』は外側の皮はほんのりと茶色く、中身はまっ黒。これは、もともと中身が黒い品種のニンニクを使用しているわけではありません。青森県産のにんにくを厳密に管理された温度・湿度の中で有機米を素材に発酵させた玄米発酵液と遠赤外線を利用してじっくりと熟成させるという特殊な製法で加工しています。その結果白いにんにくが徐々に黒くなって、ポリフェノール・アミノ酸がたっぷりで美味しいプルーンのような『熟成まるごと黒にんにく』ができあがります。」と掲載されている。
(6)「黒にんにくの効能の真実!驚くべき力とは?」のウェブサイト(http://黒にんにくの効能.com/)には、「健康をサポートする黒にんにくパワー」が掲載されている。
(7)「農業生産法人 有限会社柏崎青果」のウェブサイト(http://www.aomori96229.jp/kuro.html)には、「黒にんにく商品」として「熟成/おいらせ/黒にんにく」及び「1日1片 元気の素」と掲載されている。
2 霊芝について
(1)2001年4月30日付け「日本食糧新聞」に「通販で全国発売、サプリメント『ネイチャーズ・ハーブ』発売(サントリー)」の見出しの下、「▽『ネイチャーズ・ハーブ〈プロポリス〉』=『プロポリス』と『エキナセア』入り。健康維持に。・・・「▽『同〈霊芝〉』=健康維持に。・・・▽同〈ギムネシル〉=糖分の取り過ぎをカバー・・・」の記載がある。
(2)2004年4月30日付け「毎日新聞」(東京朝刊 10頁)に「[毎日起業家新聞]サプリメント通信販売、一気に11品目--三和実業」の見出しの下、「自社ブランドはこのほか、昨年から先行販売してきた健康食品『にんにく五源』、台湾の名茶でアイスでも楽しめる『高山茶』、ベータカロチンが豊富な『モロヘイヤEX』、ミツバチが作るプロポリスの純粋原液『すこやか』の四つ。また、ウコンやアガリクス、霊芝など6品目も仕入れ販売する。」の記載がある。
(3)2004年8月18日付け「朝日新聞」(東京朝刊 1頁)に「サプリメント戦争(天声人語)」の見出しの下、「普通の食事以外のもので、栄養補給をする。このサプリメント(栄養補助食品)の市場が急成長している。・・・ビタミン剤各種、いちょう葉エキス、アガリクス、高麗人参(にんじん)、田七人参、大豆レシチン、エゾウコギ、スッポン生血、葉酸、ブルーベリーエキス、牛黄、霊芝、ウコン、ソバ若葉等々」の記載がある。
(4)「霊芝(レイシ)・漢方の効果と効能 免疫力を高める-サプリメントラボ」のウェブサイト(http://www.mit-japan.com/ndl/ndl/reisi.htm)には、「霊芝(レイシ)・漢方の効果と効能」として「霊芝の効果は免疫力の調整作用。・・・その他にも血糖値の調整作用、血圧降下、血栓を防ぐ、高脂血症やB型肝炎の改善など様々です。霊芝の有効成分は主にβグルカンとトリテルペンです。」と掲載されている。
(5)「株式会社北海道霊芝」のウェブサイト(http://www.hokkaido-reishi.com/newsrelease/newsrelease_22.html)のニュースリリースに「霊芝(れいし)の効果」として「霊芝には、カルシウムやリン、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルの他、β-Dグルカンなどの有効成分が豊富に含まれており、以下のような健康に対する効果が期待できます。」の掲載がある。
(6)「薬 ケンコーコム」のウェブサイト(http://www.kenko.com/product/seibun/sei_824001.html)における「霊芝(レイシ)」の項に「霊芝はサルノコシカケ科に属する担子菌類の一品種です。梅などの古木10万本に2ー3本しか採取できないという希少品種で、めったに人目にふれることがありませんでした。和名はマンネンタケといいます。」と紹介され、「【ケース販売】喜喜萬年(ききまんねん)霊芝飲料190g×30本」、「森川健康堂 アガリクス鹿角霊芝 90球」、「日産 霊芝 粒状 2粒×50袋」など霊芝エキスを含むサプリメントが紹介されている。
(7)「上薬研究所」のウェブサイト(http://www.joyakuken.co.jp/)の「霊芝(レイシ)とは」の項に「万年茸(マンネンタケ・サルノコシカケ科)、霊芝草(れいしそう)などとも呼ばれるキノコです。」の掲載がある。


審理終結日 2014-12-05 
結審通知日 2014-12-08 
審決日 2014-12-22 
出願番号 商願2012-98726(T2012-98726) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W05)
T 1 8・ 262- Z (W05)
T 1 8・ 263- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
手塚 義明
商標の称呼 シンノウクロニンニク、シンノークロニンニク、シンノー、ジンノー、クロニンニク 
代理人 武蔵 武 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ