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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900210 審決 商標
異議2014900208 審決 商標
異議2014900252 審決 商標
異議2014900186 審決 商標
異議2014900102 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1297370 
異議申立番号 異議2014-900105 
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-04 
確定日 2015-02-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5649383号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5649383号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5649383号商標(以下「本件商標」という。)は、「Quartz」の欧文字と「クォーツ」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成25年7月25日に登録出願、第3類「せっけん類,自動車用洗剤」を指定商品として、同26年1月27日に登録査定、同年2月14日に設定登録されたものである。

2 引用登録商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第1947114号商標(以下「引用登録商標」という。)は、「QUARTZ」の欧文字を横書きしてなり、昭和59年12月19日に登録出願、第5類「グリ-ス、潤滑油、その他の工業用油、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年4月30日に設定登録され、その後、平成20年8月6日に、指定商品を第4類「工業用ガソリン,モーターオイル,ギヤオイル,衝撃吸収用オイル,車両用グリース,その他の工業用油,工業用油脂,燃料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由要旨
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人トタル エス アー(TOTAL SA)、引用登録商標及び「QUARTZ」商標の周知性
ア 申立人のトタル エス アー(TOTAL SA)は、フランスのパリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業であり、申立人は、国際石油資本であって、スーパーメジャーと呼ばれる6社のうちの一つであり、トタルグループのリーディングカンパニーである(甲3及び甲4)。
イ トタルグループは、全世界における全業種のブランドランキングで72位に位置し(甲5)、世界第5位の石油及び天然ガスの総合的国際的な企業グループであり、世界130か国以上で業務を行なっており、その従業員は、9万7,000人を超える(甲3及び甲4)。
トタルグループは、多くの石油関連製品を製造、販売しているところ、その中でも、申立人が製造し、申立人の「TOTAL」の社標(商標)及び「QUARTZ」の商標(プロダクトマーク)(以下、該プロダクトマークと引用登録商標とをあわせて「引用商標」という。)の下に販売する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)(以下、「使用商品」ともいう。)は、フランスの世界的な自動車メーカーであるプジョー社及びシトロエン社の指定するエンジンオイルであって、国際的な広がりを有するものである。
そして、トタルグループは、世界中で、使用商品の販売促進のため、極めて大きな努力をしてきており、我が国においては、東京都港区赤坂に本店を有するトタル・ルブリカンツ・ジャパン株式会社(以下、「トタル・ルブリカンツ・ジャパン」という。)が販売し(甲3、甲4、甲10及び甲11)、広く積極的に告知広告をしている。
したがって、引用商標は、我が国において、申立人が製造し、トタル・ルブリカンツ・ジャパンが販売する使用商品を表すものとして、本件商標の登録出願前から周知である。
ウ 引用商標が、申立人の製造する使用商品に使用する商標として、我が国において周知であることは、以下の事実からも明白である。
(ア)甲第8号証は、「Yahoo!JAPAN」(対象言語を日本語に絞り込み)を用いて「QUARTZ TOTAL」の語を検索した結果である約369,000件のうち、上位50件のリストを打ち出したものである。
また、甲第9号証の1ないし9は、上記検索結果のうちの上位9件を打ち出したものであって、「TOTAL」の社標(商標)と「QUARTZ」の商標(プロダクトマーク)を付した使用商品が表示され、紹介されている(甲9の4)。
(イ)甲第10号証の1ないし48は、トタル・ルブリカンツ・ジャパンが2005年から2013年にかけて行った使用商品についての自動車愛好家向けの雑誌等への広告である。上記広告のうち、甲第10号証の1、3ないし5、7、11、14、15、17、22、34及び35は,使用商品がプジョー社及びシトロエン社が推奨(認証)するエンジンオイルであることを示しており、いずれにも、「TOTAL」と「QUARTZ」の表示があるエンジンオイルが明瞭に表示されている。
(ウ)使用商品は、1985年以来、我が国に輸入販売されており、その最近4年間の売上高は、以下のとおり、大きなものであり、我が国においては、850もの店で取り扱われている(甲11)。
2009年 1億4,415万円
2010年 1億7,680万円
2011年 2億1,294万円
2012年 2億1,952万円
(エ)申立人は、我が国を始めとする全世界において、「TOTAL」からなる商標及び「TOTAL」を含む商標を国際分類の第1類ないし第21類、第25類及び第27類ないし第43類に属する商品及び役務について、1,221件登録し(甲6)、また、「QUARTZ」からなる商標を第4類に属する商品について、138件登録している(甲7)。
(オ)以上に述べたとおり、引用商標は、我国において、申立人が製造し、トタル・ルブリカンツ・ジャパンが販売する潤滑油(モーターオイル、エンジンオイル)の商標として本件商標の出願前より周知である。
(2)本件商標と引用商標との類似性
本件商標は、その構成態様からして、「Quartz」及び「クォーツ」の文字が要部であることが明白であり、「クォーツ」の片仮名が「Quartz」の欧文字の読みを表すものであることが明白である。他方、引用商標は、「QUARTZ」の欧文字からなるものである。
したがって、本件商標は、申立人が潤滑油に使用する引用商標と類似するものである。
(3)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との関連性
本件商標の指定商品は第3類「せっけん類,自動車用洗剤」であるところ、本件商標の商標権者は、自動車のコーティング及び修理工場を経営しており、同修理工場では商標「Quartz」を使用したコーティング剤等を販売している(甲12)。
他方、引用登録商標の指定商品は第4類「工業用ガソリン,モーターオイル,ギヤオイル,衝撃吸収用オイル,車両用グリース,その他の工業用油,工業用油脂,燃料」であり、さらに、申立人が製造し、トタル・ルブリカンツ・ジャパンが販売する引用商標を使用した使用商品は、自動車の修理又は整備に使用する商品であり、メーカーや販売店からオートセンターや自動車修理工場に販売され、同所で自動車の修理や整備に使用されるものであり、使用商品は、自動車の修理又は整備と密接に関連するものである。
そして、本件商標の第3類の指定商品「自動車用洗剤」は、自動車の修理や整備に使用する商品であり、メーカーや販売店からオートセンターや自動車修理工場に販売され、同所で自動車の修理や整備に使用されるものであり、自動車の修理又は整備と密接に関連するものであり、使用商品とは、流通経路、用途、使用される場所を共通にし、使用商品と密接に関連する商品である。
(4)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 本件商標は、上述のとおり、引用商標と類似する。
イ 使用商品は、上述のとおり、本件商標の第3類の指定商品「自動車用洗剤」と密接に関連するものである。
加えて、本件商標の商標権者は、商標「Quartz」を付した自動車用コーティング剤などの車の修理、整備用の商品を販売している。
ウ 引用商標は、我国において本件商標の登録出願の前から周知なものである。
エ 本件商標は、その指定商品中の「自動車用洗剤」に使用されたときは、申立人又は申立人と経済的に関連する者が提供する商品であるとの誤認混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当する。
(5)結論
よって、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当するものであるから、その登録を取消すべきものである。

4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、「Quartz」の欧文字と「クォーツ」の片仮名を二段に横書きしてなるところ、その構成中の「Quartz」の欧文字部分は、「石英、水晶」の意味を有する英語として親しまれたものであり、また、「クォーツ」の片仮名部分も、欧文字部分の表音にして、外来語として親しまれた語であるから、その構成全体として、「クォーツ」の称呼及び「石英、水晶」の観念が生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、「QUARTZ」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「クォーツ」の称呼及び「石英、水晶」の観念が生じるものである。
(3)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の主張及び甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、フランスのパリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業であり、国際石油資本であって、スーパーメジャーと呼ばれる6社のうちの一つである(甲3及び甲9の8)。
(イ)申立人は、世界第5位の石油及び天然ガスの総合的な多国籍企業であり、世界150か国以上に販売拠点があり、我が国においては、東京都港区赤坂に本店を置くトタル・ルブリカンツ・ジャパンが申立人の商品を販売している(甲3及び甲4)。
(ウ)引用商標は、自動車用の潤滑油について、本件商標の登録出願前に使用されている(甲3、甲9の6及び7並びに甲10)。
(エ)引用商標は、トタル・ルブリカンツ・ジャパンにより、2005年から2013年にかけて、使用商品について使用され、自動車愛好家やモータースポーツファン向けの雑誌等において広告宣伝されている(甲10)。
(オ)使用商品は、プジョー社及びシトロエン社が推奨(認証)するものである(甲10の1、3ないし5、7、11、14、15、17、22、34ないし36及び40)。
(カ)引用商標が使用された使用商品は、2009年ないし2012年の間の各年において、約1億4,000万円ないし約2億2,000万円の売上高があり、また、我が国において、850の店舗で取り扱われているとの主張がされている(甲11及び申立の趣旨)。
イ 引用商標の周知著名性について、上記アにより認定した事実によれば、以下のとおり認められる。
(ア)引用商標は、我が国において、遅くとも本件商標の登録出願の前である2005年(平成17年)以降、自動車用の潤滑油について使用されており、使用商品は、主に自動車愛好家やモータースポーツファン向けの雑誌において、プジョー社及びシトロエン社が推奨(認証)する自動車用のエンジンオイルとして紹介されたり、広告宣伝されたりしているものの、これをもって、使用商品が自動車用品の一般の需要者の間においてまで広く広告宣伝されているとは認めることはできない。
なお、自動車用の潤滑油は、通常、依頼を受けた自動車の保守・修理店やディーラー等が交換や補充等するものであるから、自動車用品の一般の需要者が自ら商品を購入して使用することは多くないとみるのが相当である。
(イ)申立人は、2009年ないし2012年の各年における使用商品の売上高を挙げるものの、その売上高が、他の同種商品との比較やランキングにおいて、上位に位置するものであることを確認できる証拠の提出はなく、職権をもって調査しても、使用商品の売上高が上位を占めていると推認し得る事実を把握することはできなかった。
(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時、自動車愛好家やモータースポーツファンの間においては一定の周知性を獲得していたといえるとしても、本件商標の指定商品や自動車用品の一般の需要者の間においてまでその周知性が及んでいたということはできない。
(4)本件商標と引用商標の使用商品の関連性について
申立人は、本件商標の指定商品中の「自動車用洗剤」と使用商品とは、商品の用途及び流通経路を共通にするものであるから、密接に関連する商品である旨主張している。
そこで、「自動車用洗剤」と使用商品の関係についてみるに、「自動車用洗剤」は、自動車の車体等を洗浄するための化学的製品であり、その製造業者により製造され、自動車用品店や生活雑貨用品を取り扱うホームセンター等において販売されている商品である。一方、使用商品は、エンジン内部の摩擦熱の発生や摩耗を抑止するための潤滑油であって、工業用油(潤滑油)の製造業者により製造され、自動車用品店及び自動車の保守・修理店やディーラー等において取り扱われ、販売されているものである。そして、使用商品は、自動車の保守・管理にも使用されるものであって、その交換や補充は、通常、自動車の保守・修理店やディーラー等が顧客の依頼を受けて行うというのが一般的であって、一般の需要者が、自家用車の保守・管理のために自ら該商品を購入して使用することは多くないというのが実情である。
そうすると、両商品は、自動車用品店において販売されることがある点で一部共通するものの、その具体的な目的、用途、製造部門、主たる流通経路等異なるものであるから、その商品の性質、用途又は目的等における関連性は低いといわざるを得ないものである。
その他、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品について、密接な関係を有するとしなければならない商品の関係も見出すことができない。
(5)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標は、上記(3)のとおり、自動車愛好家やモータースポーツファンなどの限られた範囲において知られているとしても、本件商標の指定商品や自動車用品の一般の需要者の間においてまで広く認識されるに至っていたということはできないものである。しかも、本件商標の指定商品中の「自動車用洗剤」と使用商品とは、上記(4)のとおり、その具体的な目的、用途、製造部門、主たる流通経路を異にし、その商品の性質、用途、目的等における関連性は低いといわざるを得ないものであり、その他の指定商品を含め、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは相紛れるおそれがない非類似の商品である。
加えて、本件商標と引用商標には、外観上、本件商標の欧文字部分の「Quartz」と引用商標の構成文字である「QUARTZ」とが同じ綴りであり、その文字に相応して生ずる称呼及び観念も同じであるという共通性はあるとしても、それは「石英、水晶」を意味する一般的な既成の英語であり、創造性や独創性の高い部分が共通しているものではない。
そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、それに接する取引者、需要者が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起するとは考え難いといわざるを得ないから、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということはできないものである。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2015-01-28 
出願番号 商願2013-57970(T2013-57970) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小林 裕子平松 和雄 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 林 栄二
中束 としえ
登録日 2014-02-14 
登録番号 商標登録第5649383号(T5649383) 
権利者 寺園 馨
商標の称呼 クォーツ、クオーツ 
代理人 佐藤 雅巳 
代理人 古木 睦美 
代理人 ▲高▼山 嘉成 

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