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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W01
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない W01
管理番号 1294915 
審判番号 不服2013-12660 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-03 
確定日 2014-11-27 
事件の表示 商願2012-53955拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「TP-759」の文字を標準文字で表してなり、第1類「ゴム及びプラスチック混合物用可塑剤,ゴム及びプラスチック用可塑剤,可塑剤,化学品」を指定商品とし、平成24年7月4日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『TP』及び『759』の文字を『-』(ハイフン)で結合させた『TP-759』の文字を標準文字で表してなるところ、一般に、欧文字や数字は商品の管理のための記号、符号等として、あるいは、シリーズ商品を識別するための記号等として普通に採択、使用されることが多く、欧文字2字と数字をハイフンで結合した標章も上記の記号等として取引上普通に使用されているものである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、極めて簡単で、かつ、ありふれた記号、符号の類型の一つにすぎないものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、長年の継続的な使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり商標法第3条第2項が適用される旨を述べ資料を提出するが、これをもって、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているものとは未だ認めることはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「TP-759」の文字を標準文字で表してなるところ、本願の指定商品を取り扱う業界においては、欧文字2字と数字をハイフンで結合して組合せてなる標章は、商品の品番、型式又は規格を表示するための記号、符号として取引上一般に使用されているものである。
そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、商品の品番、型式又は規格を表示する記号、符号の一類型と看取、理解されるにとどまるというのが相当である。
してみれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ず、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人は、本願商標が、出願人(請求人)により、その指定商品「可塑剤」について、長年にわたって使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり、商標法第3条第2項の要件を具備するものであるから、登録を受けることができるものである旨主張するとともに、甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
イ そこで、請求人の主張及び提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)Thiokol Chemical Corp.(以下「チオコール社」という。)は、1950年後半に、可塑剤のTPシリーズを、株式会社野村事務所(以下「野村事務所」という。)を通じて日本に輸出販売した。その後、チオコール社は再編や買収等がされ、2012年に、出願人は、可塑剤に係る事業を買収し、該事業を継承した。
(イ)甲第1号証、甲第5号証並びに甲第10号証(一部、甲第1号証と同じ。)は、2002年及び2004年の野村事務所と、当時、TP可塑剤を取り扱っていたRohm and Haas LLC(以下「ローム・アンド・ハース社」という。)との間の可塑剤に関する取引に係る書類であり、品名として、「可塑剤 TP-759」が記載されている。
甲第4号証の1及び2は、請求人が、「本願商標が使用される商品の詳細」とのみ説明する書面であり、「信頼のブランドThiokol社製品」として、「耐寒、耐熱、耐油可塑剤 TPシリーズ」の見出しの下、該シリーズ商品として「TP-95」、「TP-90B」、「TP-759」が、それぞれの商品の性質とともに記載されている。
甲第6号証は、「TP PLASTICIZERS(可塑剤)」の英語のカタログであり、表題右下に「Thiokol/CHEMICAL DIVISION」と表示され、チオコール社のTP可塑剤の説明とともに、「TP-759」の文字及びその商品の性質等が記載されている。
(ウ)甲第7号証の1は、「ポリマー辞典」(株式会社大成社発行 平成5年増補1版)の写しであり、「資料編」に、「Morton社製品TP可塑剤」として、「可塑剤TP-95、759、90B」の性質及び「メーカー:Morton International」が記載され、該頁の末尾に「株式会社野村事務所」の文字及び該事務所の連絡先等が記載されている。
なお、甲第7号証の2に、「TP-759」の文字は、確認できない。
甲第8号証は、「15107の化学商品」(化学工業日報社発行 2007年)の写しであり、「第15類 プラスチックス添加剤(可塑剤)」の項に、「ゴム用可塑剤」の見出しの下、「チオコールTP」が記載され、概説として、「チオコールTPはアメリカのモートン社(旧チオコール社)製造の耐寒性、耐熱性、耐油性を併せもつ可塑剤で、TP-90B、TP-95、TP-759がある。」と記載されている。
甲第9号証は、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(株式会社ラバーダイジェスト社発行 2003年)の写しであり、「10 可塑剤」の項における「y.その他の可塑剤」の「(5)アクリルゴム用特殊可塑剤」として、「ローム・アンド・ハースジャパン ◇TP-759」の文字及びその性状等が記載されている。
ウ 上記イによれば、「TP-759」は、遅くとも平成5年(1993年)に、モートン社製品の可塑剤であるTPシリーズ商品の一として、日本の代理店である野村事務所により取り扱われていたことは認められるものの、甲第1号証、甲第4号証の1及び2、甲第5号証、甲第6号証並びに甲第10号証に記載の「TP-759」の表示によっては、それのみによって出願人の商品の出所を表示するものとして機能しているとはいえない。
そして、商品の取引書類(甲1、甲5、甲10)は、およそ10年以上前のものであり、その後、どの程度の取引が行われたのかは明らかではなく、また、日本における「TP-759」の販売数量が、可塑剤を取り扱う市場においてどの程度の割合を占めるものであるのかも明らかではない。
加えて、甲第7号証の1の「ポリマー辞典」における記載は、野村事務所の取扱商品として、モートン社の製品である可塑剤が紹介されているものとみるのが相当であり、また、甲第8号証及び甲第9号証における記載は、可塑剤の種別毎に表示された商品の項に、モートン社(旧チオコール社)又はローム・アンド・ハースジャパン社の製品として記載されているものであり、「TP-759」の文字のみが、出願人の商品の出所を表示する商標として認識された結果、辞典・便覧に掲載されているものであるとはいえない。
なお、本願商標の指定商品には、「化学品」も含まれるところ、提出された証拠は、いずれも「可塑剤」に関するもののみである。
してみれば、請求人の提出した各号証を総合してみても、本願商標が使用をされた結果、本願の指定商品について、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
エ 審判長は、請求人に対する平成26年1月20日付け審尋により、請求人の提出に係る証拠(甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。))を総合してみても、未だ本願商標がその指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったと認めるに足る事実は見いだせない旨の当合議体の暫定的見解とともに、更なる主張及び証拠の提出を求めたところ、請求人は、既に提出した甲第7号証ないし甲第9号証は、第三者である出版社が発行した辞典及び便覧であり、これを参照する取引者、需要者は、本願商標を出願人ないしは一定の出所に係る商品を表示する識別標識として認識するものであるから、本願商標は、長年の使用によって、商品「可塑剤」について、取引者・需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものである旨主張した。
しかし、甲第7号証の1、甲第8号証及び甲第9号証は、代理店の取扱商品の紹介として又は可塑剤商品の一覧に係るものとして製造者の名称とともに記載されているものにすぎず、これをもって、本願商標が、出願人の業務に係る商品を表すものとして認識されているものと認めることはできないこと、上記ウのとおりであるから、請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-06-19 
結審通知日 2014-06-25 
審決日 2014-07-11 
出願番号 商願2012-53955(T2012-53955) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W01)
T 1 8・ 15- Z (W01)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人渡辺 航平 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 浦辺 淑絵
関根 文昭
商標の称呼 テイピイナナヒャクゴジューキュー、テイピイナナゴキュー、テイピイシチゴキュー 
代理人 中山 健一 

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