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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201218093 審決 商標
不服201320985 審決 商標
不服201311517 審決 商標
不服20142728 審決 商標
不服201315595 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0619
管理番号 1292753 
審判番号 不服2013-20452 
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-21 
確定日 2014-09-18 
事件の表示 商願2012-102055拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「石積み」の文字を標準文字で表してなり、第6類及び第19類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年12月17日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、原審における平成25年6月3日付け及び当審における同年10月21日付けの手続補正書により、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,金属製金具,金属製建具,金庫,金属製管継ぎ手,金属製フランジ,金属製郵便受け,金属製の可搬式家庭用温室」及び第19類「セメントを主材料とする建築用又は構築用の専用材料,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),木材,建具(金属製のものを除く。)」に補正されたものである。

2 当審において通知した拒絶理由
本願商標は、「石積み」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、建築(構築)に係る分野との関係にあっては、各種辞典において、「石を積み重ねて造る建築(構築)物」の意味を有するものとして載録されており、また、コンクリートやモルタルを使用して石を積み重ねる「練積み」の語が、石積みの施工法の一つとして載録されている(別掲(1)参照)。
さらに、「石積み(練積み)」の語は、建築(構築)に係る分野において、石やその代用品としてブロック等を積み重ねて造る建築(構築)物やその工法等を表すものとして一般に使用されているほか、金属やセメント等を材料とし、石を積み重ねたようなデザインにした外壁等の商品について、「石積み調」、「石積み柄」、「石積み風」、「石積み模様」のように使用されている事実が多数認められる(別掲(2)参照)。
そうとすると、本願商標は、その指定商品中、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット」及び第19類「セメントを主材料とする建築用又は構築用の専用材料,陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),木材」に使用した場合、これに接した取引者、需要者が、「石やその代用品を積み重ねて造る建築(構築)物のための商品」又は「石積み調にデザインされた商品」であると認識するにとどまり、単に商品の品質、原材料、用途、形状を普通に用いられる方法で表したものというべきあるから、自他商品の識別標識としての機能を有さないといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)「石積み」の語は、子供の遊戯や行事の名称の意味合いも有するものであり、また、該語が単独で用いられた場合、石積みを模したようなデザインの商品を表しているのか、石を積み重ねて造る石積みという建築物そのものを表しているのかなど判然とせず漠然としたものとなることから、本願商標に接した取引者、需要者が、「石やその代用品を積み重ねて造る建築(構築)物のための商品」又は「石積み調にデザインされた商品」であると認識することはない。
(2)石材を取り扱う業者以外(外壁を扱う業者等)において、「石積み」の語が、辞書や専門書において載録されているような意味合いで直ちに認識されることはなく、石積みの施工法の一つにすぎない「練積み」の語がセメントやモルタルを使用して石を積み上げるということを意味することなど到底認識することができないものである。拒絶理由通知で提示された「石積み」の語等の使用例は、石材を取り扱う業界における使用の事実を示すものであり、本願の指定商品における使用の事実を示すものではない。
(3)外壁等の商品のデザインは、多種多様であるという取引の実情がある中で、該商品について、「石積み調」、「石積み柄」、「石積み風」及び「石積み模様」が使用されているとしても、これらは、その商品がどのようなデザインの商品であるかを具体的、直接的に想起することができないものである。
(4)過去の登録例に照らしても、本願商標は、特定の意味合いを想起させない造語であると認識され、自他商品の識別標識として機能するものである。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標についてした前記2の拒絶理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の意見について
請求人は、前記2の拒絶理由通知に対し、前記3のとおり意見を述べている。
しかしながら、前記2及び別掲のとおり、建築(構築)に係る分野においては、「石積み」の語からは、「石を積み重ねて造る建築(構築)物」の意味合いを想起するというのが自然であり、また、該分野において、石やその代用品を積み重ねて造る建築(構築)物のための商品や石積みをデザインした商品が取引されている実情があり、セメント等を使用する石積みの施工法がある中で、セメントや外壁等を取り扱う建築(構築)業者が「石積み」の語から上記意味合いを認識しないとは考え難く、さらに、別掲に示す「石積み調」、「石積み柄」、「石積み風」及び「石積み模様」等の語の使用例は、それぞれ石積みをデザインした商品に係るものであり、これに接する取引者、需要者は、該商品が石積みのデザインを有しているものであると想起するというのが相当であるところ、これらについて、請求人は、取引者、需要者が上記意味合いを認識することはないと主張するにとどまり、請求人からその主張を客観的に証明する資料等が提出されているとはいえない。
そして、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、いずれも本願商標とは構成等を異にし、かつ、本件の審決時に職権により調査した取引の実情は上記のとおりであって、該登録例をもって本件の上記判断が左右されるものとはいえない。
したがって、上記意見書における請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(当審における拒絶理由通知で示した職権証拠調結果)

(1)辞書、専門書における「石積み(練積み)」の語の載録例
ア 大辞泉 増補・新装版(株式会社小学館発行)において、「石積み」の意味として、「垣や橋台を石材を積み上げて築造すること。また、その構造物。切り石積み・野石積みなどがあり、積み方により布積み・谷積みなどがある。」の記載がある。
イ 大辞林 第3版(株式会社三省堂発行)において、「石積み」の意味として、「石を積み上げること。また、そうして造った石垣・堰など。」の記載、「練積み」の意味として、「目地にモルタルを使って、石や煉瓦などを積み上げること。」の記載がある。
ウ 建築大辞典 第2版(株式会社彰国社発行)において、「石積み」の意味として、「石を積み重ねて石垣や石壁を造ること、または積み上げたもの。」の記載、また、「練り積み」の意味として、「石や煉瓦をモルタルで積むこと。石垣の場合は積石の合端にモルタルや漆喰などのとろを、時には更にその背後の控え尻までコンクリートなどを入れているもの。」の記載がある。
エ 建築用語辞典 第2版(技報堂出版株式会社発行)において、「石積み」の意味として、「石を所定の方法に従って積むこと」の記載、「練積み」の意味として、「石、れんがなどをモルタルを用いて積むこと。」の記載がある。
オ 建築用語図解辞典 第33版(理工学社発行)において、「石積」の意味として、「石を積み上げた工作物など。」の記載、「練積」の意味として、「モルタルなどを使用して積り上げること。」の記載がある。

(2)建築・構築に係る分野における「石積み(練積み)」の語の使用例
ア 石やその代用品を積み重ねて造る建築・構築物への使用例
(ア)「Traditional Japanese Garden Styles」のウェブサイトにおいて、「石積みの種類と構造」の見出しの下、「石積みは、土留めを兼ねた外壁などによく用いられます。通常、法面勾配が45度より急なものを石積みといい、それよりも緩やかなものは敷石や石張りと呼ぶことになります。」の記載、「練積みと空積み」の項に、「石積みの施工法には『練積み』と『空積み』があります。練積みは裏込めにコンクリートやモルタルを使用して石を積み上げていく方法で、構造上は重量擁壁の一種とされ安定度が高く5メートルくらいの高さまでは積んでもよい。」の記載がある。
(http://www.geocities.jp/sankyo_niwaishi/design7.htm)
(イ)宮下建設工業株式会社のウェブサイトにおいて、「石積みの基礎知識」の見出しの下、「石積みと石張り」の項に、「石を利用した工法のうち、急な勾配のものを石積み、緩い勾配のものを石張りという。」の記載、「練積み空積み」の項に、「練積みとは、石を積んでいく際に石と石の間にモルタルやコンクリートを流し接合して積み上げる工法。」の記載がある。
(http://www.miyashitakk.com/work/stone01.html)
(ウ)「スプリットン工業会」のウェブサイトにおいて、「法面保護の基礎知識\積みブロックの基礎知識」の見出しの下、「積みブロックとは?」の項に、「・主として道路、河川、宅地造成などに用いられ、JIS A 5371「プレキャスト無筋コンクリート製品」附属書4ブロック式擁壁(附属書4)に規定されている。・天然の積み石(間知石)に代わる資材として開発され、一般に『間知ブロック』と呼ばれている。」の記載、「積みブロックの標準工法」の欄に、「胴込めコンクリート\胴込めコンクリートの有無によって、練積、空積に分類させる。空積の場合はコンクリートの代わりに砕石や土砂を充填」の記載がある。
(http://www.splitton.com/terms/index3.html)
(エ)「KYOWA CONCRETE INDUSTRY」のウェブサイトにおいて、「エコグリーン(練積みTYPE)」の商品紹介として、石積み用の石の代用品と思しきブロックの商品写真が掲載され、「特徴」の項に、「胴込めコンクリートとブロック相互のかみ合わせによって高い一体性を保ち、より強固な擁壁が構築できます。」の記載がある。
(http://www.kyowa-concrete.co.jp/seihin/023econeri/023econeri.html)
(オ)「環境工学株式会社」のウェブサイトにおいて、「道路・土舗装事業」の見出しの下、石積み用の石の代用品と思しきブロックとその施工例等の写真が掲載され、「自然石ブロック積み擁壁工法\ハードストーン工法積タイプ\-プレキャスト式練石積ブロック擁壁工-」の項に、「ハードストーン工法とは、特殊製法による自然石表面パネルと背面パネルをボルトにより一体化したプレキャスト式練石積み擁壁製品です。自然石の美しい景観と強固な護岸を構築します。」の記載、「優れた施工性」の欄に、「背面パネル付き製品のため背面型枠が不要です。パネル同士をボルトにより一体化しているため、胴込コンクリートの投入が容易です。」の記載がある。
(http://www.kankyo-kogaku.co.jp/wall/lblock/hardstone.html)
(カ)「e-すまい三重」のウェブサイトにおいて、「1.練り積み造擁壁(ブロック積・石積み)」の見出しの下、「モルタルやコンクリートを接着剤や固定材に用いて石又はコンクリートブロックを積み上げた簡易な擁壁のことです。一般に石積み、ブロック積みと呼ばれています。」の記載がある。
(http://www.pref.mie.lg.jp/jutaku/hp/kaihatsu/kaiha205.htm)
イ 外壁等における「石積み調(柄)」の語の使用例
(ア)「ICOT\RYOWA」のウェブサイトにおいて、「製品紹介」の見出しの下、「レンガ調・石積み調外壁材」の項に、「レンガや石積みの雰囲気・質感を忠実に表現した、セメント系二次製品(セメントブロック)です。」の記載、「ディープパイルレッジストーン(ICA)」の商品紹介として、「アメリカ西部の石積みスタイルがあります。」の記載、「トラッドキャッスルストーン(ICD)」の商品紹介として、「切り出した石積みを正確に再現」の記載、及びそれらの商品写真の掲載がある。
(http://www.ic-ryowa.com/products/cement/)
(イ)「旭トステム外装株式会社」のウェブサイトにおいて、「金属Danサイディング」の見出しの下、「耐震性能・耐凍害性能・耐熱性能などに優れ、新築からリフォームまで幅広く使用できる豊富なラインナップを揃えた金属系外壁材です。」の記載、「商品ラインナップ」の項の「スチール深絞り」の欄に「“石積調、レンガ調、塗り壁調と多彩なデザインとカラーを取り揃えた商品」の記載、「アルミ深絞り」の欄に「軽量でさびに強いアルミ仕様の石積調、レンガ調デザインの商品」の記載、及びそれらの施工例の写真の掲載がある。
(https://www.asahitostem.co.jp/product/dan/)
また、同ウェブサイトにおいて、「窯業AT-WALL」の見出しの下、「AT-WALLガーディナル」の商品紹介として、「ランティスVZ」の欄に「ランダムな割り石積のテクスチャーで、ひとつひとつのピースが豊かな表情を作ります。」の記載、「スリムボーダーVZ」の欄に「石目調を施した細長い石積み柄がスッキリとした水平ラインを演出します。」の記載、「ナチュラルボーダーVZ」の欄に「細長い石積み柄の微妙に異なる角度のテクスチャーが今までにない陰影感を表現します。」の記載、及びそれらの施工例の写真の掲載がある。
(https://www.asahitostem.co.jp/product/index.php?serid=25)
(ウ)「Goethe House」のウェブサイトにおいて、「石積工法」の見出しの下、「石積とは、GOETHE WALLの素材を生かし、石に見立ててデザインする工法です。天然無機素材を原料としているため、本物の石より温かみと芸術性を兼ね備えた仕上がりとなります。」の記載とともに、「木ずり石積」、「プエブロ石積」、「掻き落とし石積」、「石調石積」等の外壁の施工例の写真が掲載されている。
(http://www.goethe.co.jp/ishi.html)
(エ)「壁の専門『かべせん』」のウェブサイトにおいて、「外壁 重ね張り工法」の見出しの下、「ポイント3:『商品が豊富』」の項に、「塗り壁調・石積調・ブリックタイル調・木目調・・・色々な外壁バリエーションが豊富にございます。」の記載がある。
(http://www.kabesen.jp/pasting/index.html)
(オ)「リフォーム コンフォルト」のウェブサイトにおいて、外壁塗装の施工事例として、「ここに注目! 高意匠系サイディング保護クリヤー塗料『クリーンSDトップ』」の見出しの下、「近年の戸建住宅の外壁では、タイル調・多彩調・石積調などの高意匠性デザインサイディングが多用されています。」の記載、及びその施工例の写真の掲載がある。
(http://www.kashiwa-confort.net/post_69.html)
(カ)「株式会社富士ユニコン」のウェブサイトにおいて、「エクステリア\施工事例」の見出しの下、「フェンス」の項の「陰影が美しい外壁・フェンス」の欄に、「石積み調のタイルで外壁を、陰影ができ、部分的に光る釉薬 が美しく光ります。」の記載、及びその施工例の写真の掲載がある。
(http://fujiunicon.com/exterior/)
(キ)「株式会社中国住宅リフォーム」のウェブサイトにおいて、「屋根材・外壁材」の見出しの下、外壁材の施工例の写真とともに、「石積柄1」、「石積柄2」(いずれも数字はローマ数字)の記載がある。
(http://www.chugoku-reform.co.jp/nbuilder.html)
(ク)「Richell」のウェブサイトにおいて、園芸用品の見出しの下、「深型土留め 石積み調」の項に、「花壇、畑作りが簡単手軽!深型の土留めが新登場。外壁で人気の石積み調のデザインです。」の記載、及びその商品写真の掲載がある。
(http://gardening.richell.co.jp/view.html?gid=70301)
(ケ)「HOME’S」のウェブサイトにおいて、「ハウスメーカー 株式会社富士住建」の完成事例として、「石積み風サイディングで高級感のある家」の見出しの下、「石積み風サイディングが、高級感を醸しだしている。」の記載、及びその施工例の写真の掲載がある。
(http://iezukuri.homes.co.jp/construction_case_detail/case_id=1364/)
(コ)「Plantree Tokorozawa」のウェブサイトにおいて、「石積み風ウォールと飾り棚」の下、石積み風の外壁の施工例の写真が掲載されている。
(http://plantree-tokorozawa.jp/photo1/etc/wh.html)
(サ)「愛日緑化造園株式会社」のウェブサイトにおいて、「目地が目立たず一体化した石積み模様」の見出しの下、「自然石をイメージした格調ある風合い(ランダムで自然な色合い、深みのある石肌テクスチュア) 突合せ隠し目地積み工法により、目地が目立たず一体化した石積み模様に仕上がります。」の記載、及びその施工例の写真の掲載がある。
(http://www.e-ainichi.co.jp/goods/g_buroku/isimoyou.html)


審理終結日 2014-07-11 
結審通知日 2014-07-15 
審決日 2014-08-05 
出願番号 商願2012-102055(T2012-102055) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0619)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
根岸 克弘
商標の称呼 イシズミ、イシツミ、ツミ 
代理人 田中 康継 
代理人 西川 惠清 
代理人 小川 稚加美 

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