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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y14
管理番号 1291740 
審判番号 取消2013-300126 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-02-18 
確定日 2014-09-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第4858555号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4858555号商標(以下「本件商標」という。)は,「エッセンス」の片仮名と「ESSENCE」の欧文字とを上下二段に書してなり,平成16年5月25日に登録出願,第14類「貴金属,キーホルダー,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,記念カップ,記念たて,身飾品,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,貴金属製喫煙用具」を指定商品として,平成17年4月22日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成25年3月6日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,「第14類 身飾品,宝玉及び宝玉の模造品」について登録を取消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書,弁駁書及び口頭審理陳述要領書において,その理由及び答弁に対する弁駁等を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,請求人の調査した限りにおいて,少なくとも,本件審判の請求日前3年以内(以下「要証期間」という。)に日本国内において,その指定商品中,「第14類 身飾品,宝玉及び宝玉の模造品」について使用されていない。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
本件商標の使用に関する事実の立証責任は,被請求人にあるところ(商標法第50条第2項),請求人は,株式会社英雅堂(以下「英雅堂」という。)が本件商標の使用の許諾を被請求人から受けていたことの事実が,乙第1号証にて立証されるとは考えられず,そのような使用許諾の存在の主張には首肯するものではない。
また,被請求人が英雅堂の代表取締役であるからといって,両者による商標の使用が同一視できるとの主張にも首肯できない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は,有限会社サクラケース(以下「サクラケース」という。)が英雅堂又は被請求人宛に発行した平成25年8月30日付けの証明書であり,「ESSENCE」の文字が表面中央に表示された箱及びそれに収められたネックレスの写真8枚が添付されている。
当該証明書には,「別紙の写真は,平成19年2月?平成24年10月(確認できた範囲)の間に,英雅堂に納品したアクセサリー用ケース(ESSENCE)であることを証明します。」と記載されている。
しかしながら,証明書に添付された写真は,撮影者・撮影年月日・撮影場所などが一切不明であり,証拠としての信憑性に乏しく,仮に,証明書における記載の内容が真実であり,実際に写真に掲載のアクセサリー用ケースが要証期間にサクラケースから英雅堂に納入されたとしても,そのこと自体によっては,本件商標が商品「身飾品」について使用されたことは証明されない。
なぜなら,商標法上の商標とは,自他商品の識別標識と解されるところ,乙第2号証の証明書及び写真は,「ESSENCE」の表示が付されたアクセサリー用ケースが第三者から英雅堂に納入されたことを示す可能性があるのみであって,本件商標が使用された商品「身飾品(ネックレス)」が,販売,広告等され,取引市場の流通過程において自他商品識別力を発揮する態様で使用されていたことを証明するものではないからである。
(3)乙第3号証の1及び2について
ア 乙第3号証の1及び2は,被請求人によると,これらはサクラケースが英雅堂に宛てて発行した納品書(写し)とのことであるが,乙第3号証の1は,平成19年2月の納品書であり,要証期間以前の発行にかかるものであるため,本件商標の要証期間の使用有無の判断との関係では検討に値しない。
次に,乙第3号証の2は,これらの納品書の上部に(・・・ESSENC)との記述が見られるが,この記述全体の表示態様等から,この記述自体が本件商標又はそれと社会通念上同一の商標の使用に該当しないことは明らかである。
乙第3号証の2の2通の納品書(写し)の「品番・品名」の欄には,それぞれ「OM01N オメガ エッセンス」,「MG17N 紺エッセンス」の記載があるが,これらも記載全体の文字構成から,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標の使用とはいい難いものである。
イ 被請求人は,乙第3号証の2において,サクラケースの代表者が手書きにて「ケースと納品書が対応しています。」と記載していることを指摘し,ここにいう「ケース」とは乙第2号証の写真のケースを意味することは明白であると主張するが,このような手書きによる文字がいつ誰によって記載されたかについては客観的に証明されないものであり,また「ケースと納品書が対応しています。」との記載自体も,これが具体的に何を意味しているのかは特定できない。
ちなみに,乙第3号証の2の中の2011年12月28日付けの納品書においては,「品番・品名」の欄に「MG17N 紺エッセンス」との記載がある。このうち,「紺」は,紺色を意味することが明らかであるが,乙第2号証の写真に掲載されたアクセサリー用ケースは,白色の下地に銀色(又は灰色)で「ESSENCE」の文字が表示されており,請求人が検討する限りどこにも紺色の色彩は見いだせず,乙第3号証の2の納品書が乙第2号証の写真のアクセサリー用ケースの納品書であると考えることは,極めて不自然といわざるを得ない。
(4)被請求人は,乙第2号証の写真におけるアクセサリー用ケースに表示された「ESSENCE」の表示が,本件商標と社会通念上同一の商標である旨を主張しているが,上述のとおり,乙第2号証は,本件商標が取引社会において商標として使用されたことを証明するものではないため,被請求人の主張は,失当である。
3 口頭審理陳述要領書(平成26年3月28日付け)
(1)審理事項通知書における暫定的見解について
審理事項通知書における暫定的見解では,英雅堂は,本件商標に係る通常使用権者と認め得るとされているが,既に述べたとおり,英雅堂が,本件商標に係る通常使用権者と認めることはできない。
(2)被請求人の口頭審理陳述要領書の内容について
ア 乙第3号証の2の納品書に「OM01N オメガ エッセンス」,「MG17N 紺 エッセンス」といった記載があるが,被請求人の主張からすれば,これは「包装箱」の納品書であるので,これらの納品書の記載をもって,商品アクセサリーについての商標使用と評価されることは,如何なる意味でもあり得ず,納品書に記載されている品目・品名が新たに添付された1及び8写真の包装箱であることを示す根拠も全く存在しない。
イ 乙第4号証の1及び2について
被請求人は,「2011年7月12日発行の雑誌『HERS』8月号を提出する。本誌には英雅堂のグループ企業である株式会社日食の運営に係る『宝石庭園 信玄の里』(乙4の2参照)が掲載を依頼した本件商標『ESSENCE』を付した『身飾品』である『ペンダントトップ』の広告が掲載されている。」旨主張する。
しかし,株式会社日食が本件商標に係る通常使用権者と認めることはできず,乙第4号証の1は,通常使用権者が本件商標を商品「身飾品」について要証期間に使用していたことを証するものではない。
(ア)乙第4号証の1の広告に表示されているペンダントトップの商標は,「Kiriri」(キリリ)であり,「ATELIER ESSENCE」の表記は当該商品を取り扱っている店名と理解されるため,「ATELIER ESSENCE」がペンダントトップについての商標として使用されているとはいえない。
(イ)商品「身飾品」と類似する商品・役務(類似群コード21A02又は21B01が付された商品・役務)を指定商品・指定役務に含み,かつ,登録商標に「ESSENCE」の文字を含む商標が,本件商標とは非類似の商標として複数登録されている(甲3ないし甲6)ことからすれば,乙第4号証の1に表記されている「ATELIER ESSENCE」と,本件商標とは,社会通念上同一のものというべきではない。
ウ 乙第5号証について
被請求人は,「2012年7月12日発行の雑誌『和楽』8・9月号を提出する。本誌には英雅堂の英雅堂グループ本店が掲載を依頼した本件商標『ESSENCE』を付した『身飾品』である『ネックレス及びブレスレット』の広告が掲載されている。」と主張する。
しかし,前記イと同様の理由により,乙第5号証は,商標権者である被請求人又は通常使用権者が,本件商標を商品「身飾品」について要証期間に使用していたことを証するものとはいえないものである。
すなわち,英雅堂が本件商標に係る通常使用権者と認めることはできない上,乙第5号証に表示される「英雅堂グループ本店」と英雅堂との関係も不明であり,乙第5号証が当該雑誌の真正な写しであるかを確認するために,少なくとも原本の確認が必要である。
また,乙第5号証の広告に表示されているネックレス及びブレスレットの商標は,「PIANO BLACK」であり,「ATELIER ESSENCE」の表記は,当該商品を取り扱っている店名と理解されるため,乙第5号証をもって,「ATELIER ESSENCE」がネックレス及びブレスレットについての商標として使用されているとはいえない。
さらに,「ATELIER ESSENCE」と本件商標とは,社会通念上同一のものというべきではない。
エ 参考資料について
被請求人は参考資料を提出するが,当該雑誌は,要証期間の後に発行されたものであるため,本件には関係のないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,答弁書及び口頭審理陳述要領書等において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第5号証(枝番号を含む。)及び参考資料を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証は,「英雅堂」の登記事項証明書であり,本件商標の出願日である平成16年6月17日の後に,商標権者である「志村 忠良」が「英雅堂」を設立したことがわかる。
すなわち,乙第1号証の代表取締役の欄には「志村 忠良」との記載があり,商標権者が,自己の設立した「英雅堂」に暗黙の裡に使用を許諾していることは明白であり,また,商標権者が「英雅堂」の代表取締役であることから類推すれば,「英雅堂」の商標の使用は,商標権者による商標の使用と同一視することができる。
(2)乙第2号証は,写真を添付したサクラケースの証明書であり,写真のアクセサリー用ケース(商品であるネックレスの名称「ESSENCE」が表記されている)を,平成19年2月ないし平成24年10月(確認できた範囲)に,英雅堂に納入していたことを証明するものであり,これによって,商標権者が設立した「英雅堂」が,名称「ESSENCE」をネックレスからなる「身飾品」に使用していたことがわかる。
(3)乙第3号証2(ア)は,サクラケースから英雅堂に宛てた平成19年2月,同24年10月及び同23年12月の納品書である。
そして,前記納品書には,「エッセンス」との記載があるが,特に同24年10月及び同23年12月の納品書の上部には(・・・ESSENC)との記述がみられる。また,サクラケースの代表者が「ケースと納品書が対応しています。」と明言している。
したがって,前記納品書が,乙第2号証のサクラケースの証明書と相まって,乙第2号証の写真のケースを意味することは明白である。
(4)本件商標は,「エッセンス」及び「ESSENCE」の片仮名とアルファベットで上下2段に表記したものであるのに対し,前記ケースにおける表記は,「ESSENCE」のアルファベットのみであるという違いが存在する。
ちなみに,特許庁の審判便覧には,その他社会通念上同一と認められる商標の例として「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって,上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに,その一方の使用」が挙げられており,前記ケースにおける表記が「ESSENCE」のアルファベットのみであっても,本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることができる。
2 口頭審理陳述要領書(平成26年3月14日及び同年4月11日付け)
(1)乙第3号証の2(ア)は,「ESSENCE」が表記された,「ATELIER SHOP」用の長方形のケース,縦長のケース及び手提げ袋等を示すものである。
そして,乙第3号証の2では,上記「ESSENCE」表記の縦長のケースとして360個が納品されたこと,「ATELIER SHOP」用の長方形のケースとして180個が納品されたことが記載されている。
「身飾品」,特にネックレス等においては,商品そのものが非常に高価であって,短期間での販売個数も限定的にならざるを得ないため,上記販売数量があれば,ネックレス等においては本格的な商標の使用と評価することができるのである。
乙第3号証の2(ア)の写真は,英雅堂の社員である経理部長が,平成25年8月20日に同社の事務所内において撮影したものである。
以上のように,乙第2号証の証明書には添付の写真がアクセサリー用ケースであることが記載され,同一のケースが乙第3号証の2において360個が納品されていることから見て,本件商標を付した「身飾品」,特にネックレス等が本格的に販売されていたことは明白である。
(2)乙第4号証の1として,2011年7月12日発行の雑誌「HERS」8月号を提出する。本誌には,英雅堂のグループ企業である株式会社日食の運営に係る「宝石庭園信玄の里」(乙4の2)が掲載を依頼した本件商標を付した「身飾品」である「ペンダントトップ」の広告が掲載されている。
(3)乙第5号証として,2012年7月12日発行の雑誌「和樂」8・9月号を提出する。本誌には,英雅堂の英雅堂グループ本店が掲載を依頼した本件商標を付した「身飾品」である「ネックレス及びブレスレット」の広告が掲載されている。
上記広告には,本件商標の上部に「ATELIER」の語が付記されているが,乙第4号証の1にあるように「ATELIER」はショップ名であって,いずれの広告も本件商標をその要部とするものである。
したがって,上記各雑誌への広告の掲載は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して頒布」する行為に該当する。
(4)以上述べたことから,乙第1号証ないし乙第5号証によれば,本件商標の出願時から現在に至るまで,本件商標を少なくとも指定商品「身飾品」に使用してきていることは,充分に立証されている。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証は,「英雅堂」の「履歴事項全部証明書」であり,「本店」の欄には,「山梨県笛吹市石和町四日市場1679番地」,「役員に関する事項」の欄には,「代表取締役」として「志村 忠良」の氏名の記載がある。
(2)乙第4号証の2は,「英雅堂グループ」のインターネットHPであり,その「会社概要」の欄に「代表者」として「志村 忠良」の氏名及び事業内容が記載されている。
そして,「グループ会社情報」の欄に「株式会社英雅堂」の記載があり,「英雅堂本店」及び「ストーンエッグ英雅堂」に「山梨県笛吹市石和町四日市場1679」の記載がある。
(3)乙第3号証の2は,2012年10月29日及び2011年12月28日に,サクラケースから英雅堂に宛てた納品書であり,その「品番・品名」の欄に「エッセンス」との記載があり,かかる商品のアクセサリー用ケースの納品に関するものである。
そして,乙第3号証の2(ア)の2葉目及び8葉目は,英雅堂の社員である経理部長が,平成25年8月20日に同社の事務所内において撮影したとする「ESSENCE」と表示された商品のケースの写真であり,8葉目の左下の写真には,「ESSENCE」と表示されたアクセサリー用ケースの中に「ネックレス」と思しき商品が納められている。
(4)乙第5号証は,2012年7月12日発売の雑誌「和樂」8・9月号(抜粋,小学館発行)であり,その2葉目には,「Black Tourmaline」の「ネックレス」及び「ブレスレッド」の写真及びそれらの価格が掲載されていて,これらの商品の下には,「ATELIER」の欧文字及び該欧文字より大きく「ESSENCE」の欧文字が表示されている。
そして,これらの商品を取り扱う「Atelier shop」として「ストーンエッグ英雅堂」を含む5店舗の名称が掲載され,「提供」として「英雅堂グループ本店・・・山梨県笛吹市石和町四日市場1679」と記載されている。
2 以上によれば,本件商標の使用に関し,以下の事実が認められる。
(1)雑誌「和樂」の広告における本件商標の使用
英雅堂は,2012年7月12日発行の雑誌「和樂」において,ネックレス及びブレスレットの販売の広告を行っている。
そして,その広告には,ネックレス及びブレスレットの写真が掲載されるとともに,「ESSENCE」の文字が表示され,「提供」として「英雅堂グループ本店」の表記及び所在地,電話番号等が記載されている(乙5)。
(2)アクセサリー用ケースにおける本件商標の使用
英雅堂は,雑誌「和樂」において,ネックレス及びブレスレットの販売の広告を行っていることに加え,2011年12月28日及び2012年10月29日に,サクラケースから,ネックレス及びブレスレットの商品を包装するためのアクセサリー用ケースが,それぞれ180個及び360個納品されている。
そして,そのアクセサリー用ケースの上蓋には,「ESSENCE」の文字が表示されている(乙3の2,乙3の2(ア)及び乙5)。
3 上記1及び2によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標権者は,英雅堂グループの代表者であり,かつ,そのグループ会社の一つである英雅堂の代表取締役である。そして,被請求人は,英雅堂に暗黙の裡に使用を許諾している旨主張していることからすれば,英雅堂グループ及び英雅堂は,商標権者から本件商標について黙示の使用許諾がなされているものと推認され,本件商標の通常使用権者とみて差し支えないものである。
(2)要証期間に発売された「和樂」と題する雑誌(乙5)における販売の広告は,通常使用権者である英雅堂によるものであって,これには,「ネックレス及びブレスレッド」について,「ESSENCE」の文字からなる商標が使用されている。
また,英雅堂は,アクセサリー用ケースにネックレス及びブレスレッドを納めて,要証期間に販売していることが推認できるものであって,そのケースには,「ESSENCE」の文字からなる商標が使用されている。
そして,その広告に掲載された商品「ネックレス及びブレスレッド」は,本件の取消請求に係る指定商品中,「身飾品」に含まれる商品と認められる。
(3)本件商標は,「エッセンス」の片仮名と「ESSENCE」の欧文字とを上下二段に書してなるところ,上段の文字は,下段の欧文字の読みを表したものと認められ,構成各文字からは,「エッセンス」の称呼を生ずるものであり,また,該「ESSENCE」の文字は,「本質,(根本的)性質」等の意味を有する英語であるから,本件商標からは,かかる観念を生ずるものである。
そして,前記商品の販売の広告及びアクセサリー用ケースにおける「ESSENCE」の表示は,本件商標の構成中「ESSENCE」の欧文字部分と同一であるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
なお,請求人は,使用に係る商標について,「乙第5号証の広告に表示されているネックレス及びブレスレットの商標は『PIANO BLACK』であり,『ATELIER ESSENCE』は,当該商品を取り扱っている店名と理解されるため,ネックレス及びブレスレットについての商標として使用されているとはいえない。」旨主張する。
しかしながら,一つの商品に複数の商標が使用されることは妨げられないものであるから,請求人の主張のとおり,乙第5号証に掲載されたネックレス及びブレスレットの商標として「PIANO BLACK」が使用されているとしても,同時に,その広告には,「ATELIER」及び「ESSENCE」の文字も,上下二段に表され使用されているものということができる。
そして,「ATELIER」の文字は「(職員の)仕事場,製作室」の意味を有するものであり,また,該広告には,「製作場所がある販売店」程の意味合いが理解される「Atelier shop」の表示も併せて掲載されていることからすれば,該「ATELIER」の文字部分は,製作場所であることや製作場所がある店舗の形態を表示するものと理解され,識別力が弱いものということができる。
そうとすれば,かかる販売の広告においては,「ATELIER」の文字に比べ,大きく着目されるように表された「ESSENCE」の文字部分が識別標識としての要部として看取されるものであり,該「ESSENCE」の文字部分は,前記各商品の商標としての使用といい得るものである。
4 むすび
以上のとおり,上記3(2)の通常使用権者の行為は,「商品又は役務に関する広告,定価表若しくは取引書類に標章を付して・・頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)及び「商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)に該当するものと認められる。
してみれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が,その請求に係る指定商品中の「身飾品」に含まれる「ネックレス,ブレスレッド」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2014-04-24 
出願番号 商願2004-47971(T2004-47971) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y14)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 今田 三男
田中 亨子
登録日 2005-04-22 
登録番号 商標登録第4858555号(T4858555) 
商標の称呼 エッセンス 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 柏 延之 
代理人 土橋 博司 
復代理人 八木 智砂子 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 高田 泰彦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 塩谷 信 

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