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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201315459 審決 商標
不服201312525 審決 商標
不服201316054 審決 商標
異議2013900111 審決 商標
不服201315595 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W29
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W29
管理番号 1286566 
審判番号 不服2013-12300 
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-28 
確定日 2014-03-19 
事件の表示 商願2012-53429拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「肉製品」を指定商品として、平成24年7月3日に登録出願されたものである。

2 当審において通知した拒絶の理由
請求人に対して、平成25年11月8日付けで通知した拒絶の理由は、要旨次のとおりである。
本願商標は、普通に用いられる方法で表した「牛肉のロースト」の文字と「鮑醤油仕立て」(「鮑」の文字の上に「あわび」の振り仮名が付してある。以下同じ。)の文字を2段に表してなるところ、その構成中の「ロースト」の語は、「肉などをオーブンあるいは串に刺して直火であぶり焼きにすること。また、その料理。」の意味を有するものであり、また、「仕立て」の語は、「作り上げること」の意味を有するものであって、それぞれ食品を取り扱う業界において一般に広く使用されているものである。
そして、本願商標の構成中の「鮑醤油」に関しては、別掲2(1)に示す事実が認められるところ、これらの事実に照らせば、魚類や貝類を使用した魚醤油が調味料の一として存し、様々な魚や貝類を使用したものが広く製造、販売されており、その中には、鮑を使用した魚醤油を「鮑醤油」と称して製造、販売されている実情も認められる。
また、別掲2(2)に示す事実によれば、あぶり焼きにした牛肉を醤油で漬け込むなどして仕立てた商品が一般に広く販売されている。
そうとすると、本願商標の構成中「鮑醤油」の文字は、看者をして、「鮑を使用した魚醤油」を容易に認識させるといい得るものであるから、本願商標は、全体として、「あぶり焼きにした牛肉であって、鮑を使用した魚醤油で作り上げたもの」の意味合いを容易に認識するものというのが相当である。
したがって、本願商標を、その指定商品中、「あぶり焼きにした牛肉であって、鮑を使用した魚醤油で作り上げた商品」に使用するときは、単にその商品の品質を表示するにすぎないというべきであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、前記2の認定のとおり、その構成中の「牛肉のロースト」の文字部分及び「鮑醤油仕立て」の文字部分は、各構成文字の意味及び別掲2に示す商品を取り扱う業界における取引の実情を総合勘案すれば、全体として、「あぶり焼きにした牛肉であって、鮑を使用した魚醤油で作り上げたもの」の意味合いを容易に認識するものというのが相当であるから、これをその商品に使用した場合、単にその商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。また、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の構成中の「鮑醤油」の語そのものは、用例が少なく、また、それらも知られているものではないため、自他商品の識別性を否定するのは妥当ではない旨主張するが、別掲2(1)に示したとおり、鮑を使用した「あわび醤油」と称される魚醤油が存するほか、様々な魚類や貝類を使用した魚醤油が、「○○(○○の部分は、魚類や貝類を表す文字)醤油」と称して広く製造、販売されている実情に照らせば、「鮑醤油」の文字に接する取引者、需要者は、これを、「鮑を使用した魚醤油」であると理解、認識するにとどまるというのが相当であり、ほかに、上記認定を左右する特段の事情は見当たらない。
イ 請求人は、「仕立て」の語を含む登録例を挙げ、本願商標も同様に自他商品の識別性を有する旨主張するが、登録出願に係る商標が商品の自他識別標識として機能しうるか否かは、該商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、その指定商品との関係では、「あぶり焼きにした牛肉であって、鮑を使用した魚醤油で作り上げたもの」であること、すなわち、単にその商品の品質を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能しないものであること、上記(1)のとおりであるから、該登録例をもってその判断が左右されることはない。
ウ 請求人は、本願商標を冠した肉製品が、2013年度モンドセレクションにおいて最高金賞を受賞したことも、本願商標が自他商品識別性を有していることの傍証となる旨を主張するが、該事実を考慮してもなお、本願商標が商品の自他識別標識として機能しているものと認めることはできず、ほかに、これを左右する特段の事情は見当たらない。
エ したがって、上記アないしウの請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであり、本願を拒絶した原査定を、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)



別掲2
(1)「鮑醤油」などの魚醤油について (下線は、当合議体が付加。以下同じ。)
ア 「調味料 新・食品事典7」(株式会社真珠書院発行 1991年)の「魚しょうゆ」の項に、「魚類・貝類、またはその内臓からつくったしょうゆの総称である。・・・魚しょうゆは、魚介類に食塩を二〇?五〇%加えて腐敗を防ぎながら、微生物や、それ自身がもっている酵素(プロテアーゼなど)を利用して原料のタンパク質を分解し、アミノ酸やペプチドにしたものである。/しょっつる・・・/イカナゴしょうゆ・・・/イワシじょうゆ・・・」との記載がある。
イ 「北海道魚醤油生産組合」のウェブサイトにおいて、「魚醤油のこと。」の見出しの下、「魚醤油は、魚自身のタンパク質が分解されることにより作られます。・・・北海道でも近海の新鮮な魚介類に含まれているという地の利を生かし、これらを原料に各メーカーが個性あふれる調味料としての魚醤油造りに取り組んでいます。/マルゼン食品株式会社・・・商品名:北寄醤油 商品特徴:ホッキ貝魚醤とホッキの煮汁をベースにした醤油です。/株式会社小樽海洋水産・・・商品名:甘えび魚醤油 雅-みやび- 商品特徴:小樽高島漁港で水揚げされる鮮度の良い甘えびだけを使い、甘えび・米こうじ・塩だけでじっくりと100日の時間をかけて熟成発酵しました。/佐藤水産(株)魚醤工場・・・商品名:鮭醤油 商品特徴:新鮮な北海道の鮭を原料に麹と塩を加え、昔ながらの杉桶で熟成させた天然醗酵調味料です。/(株)中井英策商店・・・商品名:キンキの露(つゆ) 商品特徴:高級魚キンキ(アラスカキチジ)の身、アラ、骨などを、糀、塩で発酵、熟成させて出来たもろみを搾って出来上がった魚醤油です。」との記載がある。
(http://www.kitano-gyosyoyu.com/list.php#MARUZEN)
ウ 「室蘭民報 WEB NEWS」のウェブサイトにおいて、「登別まちづくり株式会社が天然蝦夷あわび醤油開発中」の見出しの下、「【2013年7月20日朝刊】/登別まちづくり株式会社(本社登別温泉町)が、「天然蝦夷あわび醤油(しょうゆ)」の開発に取り組んでいる。素材には登別近海のコンブや宮城県白石市の醤油、寿都のエゾアワビなどを使用。完成後には素材提供各地の町おこしでの活用を想定している。飛び地連携による新たなまちづくりとしても注目を集めそうだ。」との記載がある。
(http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2013/07/20/20130720m_05.html)
エ 「丸傳商店」のウェブサイトにおいて、「磯笛あわび関連商品」の見出しの下、「2002 磯笛あわび/あわび醤油」との記載があり(http://awabi.shop23.makeshop.jp/shopdetail/002000000004/002/O/page1/brandname/)、また、「伊勢神宮外宮奉納」のウェブサイトに「丸傳商店/奉納品 あわび醤油/奉納日 平成25年2月2日/説明 磯笛あわびの製造過程でしか作り出せない、たいへん稀少なお醤油です。」との記載がある(http://www.ise-cci.or.jp/hounouichi/contents/det.php?no=20121229162926=0)。
オ 「佐々長醸造株式会社」のウェブサイトにおいて、「雲丹しょうゆ 200ml」の見出しの下、「岩手三陸産のウニを、ササチョウの丸大豆醤油に丸ごと閉じ込めました。」との記載がある。
(http://sasachou.co.jp/cgi-bin/saleItem_detailInfo.cgi?cc=2=4=00000010)
カ 「トモエオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「北海道ほたてしょうゆ 150ml」の見出しの下、「まろやかな甘味が魅力の北海道のほたてと、北海道産丸大豆しょうゆを合わせた風味ゆたかなひと品です。」との記載がある。
(http://www.tomoechan.jp/item/11.html)
キ 「鳥羽・浦村 牡蠣の国」のウェブサイトにおいて、「牡蠣醤油 鳥羽・浦村産の牡蠣から抽出したエキスを使用した醤油です。芳醇な香りと深いコクが特徴です。」との記載がある。
(http://www.toba.or.jp/kaki/)
ク 「ヒゲタしょうゆ」のウェブサイトにおいて、「しじみ醤油」の見出しの下、「超特選醤油『本膳』をベースに、大和しじみのエキスと大さじ一杯(15ml)あたりオルニチン12mg(しじみ約30個分)を配合したまろやかでコクのある風味のだし醤油です。」との記載がある。
(http://www.higeta.co.jp/c_products/tsuyutare/tsuyutare_25.html)
ケ 「長田食品WEBショップ」のウェブサイトにおいて、「プレミアム10年熟成 平戸あご醤油」の見出しの下、「大豆を一切使わず、あご(飛魚)を原料に、十年もの間じっくりと熟成させた、大変貴重なプレミアム魚醤油です。」との記載がある。
(http://nagata-shokuhin.shop-pro.jp/?pid=65640203)
コ 「すし銚子丸」のウェブサイトにおいて、「銚子丸謹製 鯛醤油」の見出しの下、「鯛のエキスをふんだんに取り入れた、風味豊かな『だし醤油』です。」との記載がある。
(http://www.choushimaru.co.jp/upload/taisyouyu2010.html)
サ 「熊野物産・神倉本店」のウェブサイトにおいて、「さんま醤油」の見出しの下、「さんま醤油は、北の海から熊野灘まで南下してきた脂が落ち、うま味が凝縮されたサンマを使用。海水塩だけで発酵、熟成させた熊野ならではな魚醤です。」との記載がある。
(http://kumano.main.jp/sanma-soysauce.html)
(2) あぶり焼きにした牛肉を醤油で漬け込むなどして仕立てた商品について
ア 「高島屋オンラインストア」のウェブサイトにおいて、「伊藤ハム/醤油仕立てローストビーフ詰合せ」の記載がある。
(http://www.takashimaya.co.jp/shopping/food/0400000090/0400000094/-/ps_id/4342096/storeCode/ECST0001/c_cd/0400000094)
イ 「大吉の近江牛」のウェブサイトにおいて、「今月の逸品/『天然醸造桶仕込醤油仕立て』近江牛和風ローストビーフ」との記載がある。
(http://1129.co.jp/shop/premium/)
ウ 「お取り寄せグルメのセレクトショップ げん屋はなれ」のウェブサイトにおいて、「炙り醤油のローストビーフ 柚子グレイビーソース」の見出しの下、「最高峰の素材を名工の技で味わう。芳醇な醤油タレに漬け込んで焼き上げた炙り醤油のローストビーフ」との記載がある。
(http://www.genya-shop.com/products/roastbeef.html)
エ 「京懐石・京割烹 清元」のウェブサイトにおいて、「DELIVERY宅配/京料理の伝統に創意を加え、一品一品、心を込めた『清元』手づくりの旬の味覚をご自宅までお届けいたします。」の見出しの下、「近江牛和風ローストビーフ/こだわりの黒毛和牛を炭火であぶり香り付けして、醤油とみりんのたれにローズマリーの香りを含ませてじっくり煮込み、漬けこみました。日本料理人が作る和風ローストビーフです。」との記載がある。
(http://www.kiyomoto.to/deli/)
オ 「徳(のり)」のウェブサイトにおいて、「和風ローストビーフ」の見出しの下、「国産黒毛和牛を使った和風ローストビーフです。・・・しっかりと吟味した黒毛和牛を玉ねぎ、セロリ、リンゴなど数種類の野菜と果物が入った醤油ベースのタレに漬け込み表面を焼き固めた後、蒸焼きにして仕上げます。」との記載がある。
(http://www.nori-net.jp/gozoutouhin/details/beef/index.html)



審理終結日 2014-01-21 
結審通知日 2014-01-22 
審決日 2014-02-04 
出願番号 商願2012-53429(T2012-53429) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (W29)
T 1 8・ 13- Z (W29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 原田 信彦
浦辺 淑絵
商標の称呼 ギューニクノローストアワビショーユシタテ、ギューニクノロースト、ロースト、アワビショーユシタテ 
代理人 土橋 博司 

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