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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900336 審決 商標
異議2012900211 審決 商標
異議2013900255 審決 商標
異議2013900264 審決 商標
異議2013900225 審決 商標

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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1285647 
異議申立番号 異議2013-900340 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-08 
確定日 2014-03-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5599206号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5599206号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5599206号商標(以下「本件商標」という。)は,「FOLLOW-UP」の欧文字を標準文字で表してなり,平成25年2月26日に登録出願,同年6月20日に登録査定,第29類「乳製品,食用油脂,加工野菜及び加工果実,豆乳,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,食用たんぱく」,第30類「菓子及びパン,茶,コーヒー及びココア,穀物の加工品,即席菓子のもと」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として,同年7月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
1 登録異議申立人「森永乳業株式会社」(以下「申立人A」という。)の申立て理由
申立人Aは,本件商標はその指定商品中,第29類「乳製品」について,商標法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第15号証(以下,申立人Aが提出した証拠については,「A甲第1号証」と記載し,これを略すときは「A甲1」のように記載する。)を提出した。
(1)本件商標の「フォローアップ」の字音ないし文字は,申立に係る指定商品「乳製品」と類似関係にある「乳幼児用粉乳」の取り扱い分野においては,特に,離乳開始月齢以上の乳幼児に与えるための粉乳をいうものとして理解され,該文字のみ又は「フォローアップ調製粉乳」,「フォローアップ用」,「フォローアップタイプ」,「フォローアップ・ミルク」,「フォローアップミルク」等の文字構成により,普通に使用されている(A甲1ないしA甲13)。
(2)「乳幼児用粉乳」は,申立に係る「乳製品」には含まれないものとしても,これらが類似関係にあることは「類似商品・役務審査基準」に明らかであるとともに,両者には,実際に生産部門,販売部門,原材料,用途,需要者の範囲等の一致がみられ,かつ,その商品形態の共通性もみられるといわねばならない。
(3)そうとすると,本件商標は,これを申立に係る,第29類「乳製品」に使用した場合には,当該商品が,恰も離乳開始月齢以上の乳幼児に与えるためのものであるかのように,その品質について誤認を生じさせるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 登録異議申立人「江崎グリコ株式会社」(以下「申立人B」という。)の申立て理由
申立人Bは,本件商標は,その指定商品について,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第8号証(以下,申立人Bが提出した証拠については,「B甲第1号証」と記載し,これを略すときは「B甲1」のように記載する。)を提出した。
(1)「FOLLOW-UP」は,英和辞典によれば「追跡調査」であるが,第5類「乳児用粉乳」において「フォローアップミルク」といえば,「乳児期に必要な栄養をバランスよく摂れるように作られた粉ミルク」をさすことは,一般社団法人日本乳業協会のホームページにもあるとおり,よく知られた事実である(B甲2)。
したがって,「フォローアップ」といえば,当然「乳児用粉乳」の需要者にとって,「必要な栄養をバランスよく摂れる」を示す品質表示という認識があることは疑いがない。
(2)「乳児用粉乳」は,商標分類では第5類であり,第29類の「乳製品」とは異なるが,実態としてきわめて近似した売り場で売られるとか,消費者において区別がつきにくいなど,需要者にとって品質表示と受け止められる場合があるという事情があるなら,第29類「乳製品」においても第5類同様の自他商品識別力の判断を行うべきである。
フォローアップミルクは,対象年齢が「3歳頃まで」とされ,これに対し,幼児でも飲める牛乳は,「1才頃からおすすめします」とある(B甲3)。
幼児でも安心して飲めるように品質に気を配っているとはいえ,これは大人が飲んでもかまわない,実際の使用シーンにおいて親が乳幼児と一緒に飲む蓋然性はきわめて高い商品である。
これを「幼児用だから5類」と決め付けることはいささか硬直した判断であり,第29類の「乳製品」に含まれる「牛乳」とも重なっていると考えるべきである。
「乳児用粉乳」と通常の「牛乳」は,対象層が重なっており,「乳児用の粉乳」の需要者(乳児の親)が,乳製品に書かれた「FOLLOW-UP」の表記を見て,フォローアップミルク同様の効果を期待することは,十分に考え得る。
(3)保育園の給食は,0?6歳児が対象であり,この給食には「牛乳,ヨーグルト,チーズ」といった乳製品が多く出されている。これらについては製品が特定できないが,あるいは5類に属する乳幼児用「牛乳,ヨーグルト,チーズ」を使用している可能性は考えられなくもない。
しかし,「ヤクルト」と書かれている事例では,29類の「乳製品」が乳児に提供されていることは明白である(B甲4及びB甲5)。ヤクルト本社の「ヤクルト」に「乳幼児用」に限定されている製品はなく,これは大人用の乳製品を乳幼児に与えているケースであり,このように,乳幼児に29類「乳製品」が提供されるシーンは珍しくない。
(4)「乳児用の乳製品」と「それ以外の乳製品」の境界は,それほど明確に分けることができるものではない。そのような事情ゆえ,メーカー側も「乳児用粉乳」にしか使っていない商標であり,その領域が接する29類「乳製品」で権利を予防的に同時に出願し,権利を押さえている(B甲6ないしB甲8)。
これを明確に区別することができるならば,当然メーカーは複数の類の指定商品を敢えて登録する必要などはない。
(5)乳幼児を子供に持つ親が,乳幼児も摂取できる製品として売られる「乳製品」(29類)に「FOLLOW-UP」と表示されていたとき,それが,乳児用粉乳における「フォローアップミルク」の品質を想起しないとはいい切れない。
してみれば,5類「乳児用粉乳」における識別性基準は,29類「乳製品」に一部かかっていると考えるのが自然であり,品質の誤認を避ける意味でも,29類「乳製品」において「FOLLOW-UP」商標に独占権を与えるべきではない。
(6)以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第29類「乳製品」に使用された場合,「乳児用の栄養を補うことができる製品」程度の品質を示すと考えられうることから,本件商標を該品質の本件指定商品に使用するときは,商標法第3条第1項第3号に該当し,当該の品質でない,本件指定商品に使用する場合は,同法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断
1 申立人A及びBが提出した証拠等によれば,以下の事実がある。
(1)「FOLLOW-UP」の欧文字は,「フォローアップ」と発音され,「追跡;追跡調査;(ニュースなどの)続報」等の意味を有する英語(職権調査,ジーニアス英和辞典 株式会社大修館書店)である。
(2)「乳幼児用粉乳」には,新生児から使用する母乳に代替する「育児用調製粉乳」と,満9ヶ月頃から必要な栄養素をバランスよく摂取できるように作られた「粉乳」があり,当該粉乳を「フォローアップ調製粉乳,フォローアップミルク,フォローアップタイプ」などと称しているものである(A甲1ないしA甲11,A甲13,B甲2)。
(3)「牛乳」は,一般に広く飲用される商品で,中には「1歳頃」からの幼児を対象とする(適している)商品が販売されている実情があり,「乳製品」に含まれる「乳酸菌飲料」は,幼児にも飲用されているものである(B甲3ないしB甲5)。
(4)上記証拠によれば,第5類「乳幼児用粉乳」に含まれる商品である「フォローアップミルク」は,「離乳期である満9ヶ月頃から必要な栄養素をバランスよく摂取」できる「粉乳」であることを示すものである。
しかしながら,「乳幼児用粉乳」について,一定の月齢以上の乳幼児が,離乳期に必要な栄養素をバランスよく摂取できる商品(粉乳)を表すものとして,「フォローアップミルク」,「フォローアップタイプ」などのように使用されていることは認められるものの,上記証拠及び職権による調査によっても,「フォローアップ」の文字が,「乳幼児用粉乳」以外の商品について,上記月齢以上の乳幼児用の商品を表すものとして使用されている事実は,見いだすことができない。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
「FOLLOW-UP」の文字からなる本件商標は,前記第1のとおり,「フォローアップ」と読まれるものであり,前記1で認定した事実によれば,「フォローアップ」の文字は,「乳幼児用粉乳」について,一定の月齢以上の乳幼児が,離乳期に必要な栄養素をバランスよく摂取できる商品(粉乳)を表すものとして,限定的に使用されているものということができる。
そうとすれば,本件商標を,「乳製品」を含むその指定商品に使用しても,「必要な栄養素をバランスよく摂取できる商品」,「離乳開始月齢の乳幼児用の商品」,「フォローアップミルク」などの意味合いを理解させるものとまではいうことができない。
してみれば,本件商標は,その構成文字より,「追跡,追跡調査」の意味合いを認識させるものというのが相当であって,これをその指定商品について使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たすものであり,かつ,商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
3 申立人A及びBの主張について
申立人A及びBは,第5類の「乳児用粉乳」と,第29類の「乳製品」は,実態としてきわめて近似した売り場で販売され,その用途,需要者等の範囲に一致,商品形態の共通性がみられ,区別がつきにくいなど,本件商標について,需要者にとって品質表示と受け止められる場合がある旨主張する。
しかしながら,「乳幼児用粉乳」と「乳製品」とは,その用途,使用目的が明らかに異なるものであり,前述のとおり,「フォローアップ」の文字が「乳幼児用粉乳」に限定的に使用される文字であることからすれば,本件商標を「乳製品」に使用した場合に,その需要者に「乳児用粉乳」と同様の「一定の月齢以上の乳幼児が,離乳期に必要な栄養素をバランスよく摂取できる商品」の意味合いを認識させるものということはできない。
よって,上記主張は,採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録は,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-02-28 
出願番号 商願2013-12997(T2013-12997) 
審決分類 T 1 652・ 13- Y (W29)
T 1 652・ 272- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 厚子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2013-07-12 
登録番号 商標登録第5599206号(T5599206) 
権利者 株式会社明治
商標の称呼 フォローアップ 
代理人 河野 誠 
代理人 河野 生吾 

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