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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1285644 
異議申立番号 異議2013-900247 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-07-26 
確定日 2014-03-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5576271号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5576271号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5576271号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2012年7月16日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成24年9月11日に登録出願され、第9類「電力トランジスター・変圧器を用いてなる電力変換・電圧変換・電力管理・電力供給用の電気回路,電子回路,電力トランジスター,ダイオード,変圧器,インダクター,集積回路,半導体,パッケージに組み込んだ半導体素子,電力変換装置,電圧変換装置,電力管理装置,電力供給装置」を指定商品として、平成25年4月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する国際登録第1124298号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2012年1月31日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年6月25日に国際登録出願され、第9類「Integrated circuit chips; microprocessors; semiconductor devices; semiconductor chips; semiconductor modules; semiconductor substrates; semiconductor inverters; semiconductor drivers; semiconductor sensors; semiconductor transistors.」を指定商品として、平成25年5月31日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
本件商標は、「COOLiRGaN」と書してなるところ、これは引用商標と共通する文字列「COOL」と「GaN」との間に、欧文字2文字の組み合わせ「iR」を挿入しただけの構成からなるものである(甲1)。
本件商標は、挿入した「iR」が、その前後とは異なる独自の意味があることを印象づける目的で、「i」を小文字で表記しており、大文字表記の「COOL」とは構成上明確に区切る意図があることを認識させる。
また、本件商標権者(出願人)は、「IR」の略称を取引に用いていることが知られており、これは、同人のウェブサイト上の表記により確認できる(甲3)。トップページの左上には、会社のロゴマーク(欧文宇「I」と「R」の間にダイオード記号)と共に、「International Rectifier」が表示されており、同ウェブサイトにおいて本件商標権者は、頻繁に「IR」の略称を用いている。そして、本件商標権者の製品名は「IR」で始まる。したがって、本件商標権者は、その略称「IR」をもって需要者・取引者に認識されていると推測できる。
商標の構成中に名称や略称が含まれているとき、その名称や略称部分にはあまり注意は払われず、その他の部分に自他商品識別力を発揮し得る要部が求められる。本件の場合、本件商標権者を表す「iR」よりは、「COOL」と「GaN」が、自他商品識別力を発揮する要部として機能することが明白である。
したがって、本件商標はその構成において、本件商標権者を表していると容易に理解され、そのため注目度合いが一段低い「iR」が相違するにすぎず、要部である「COOL」と「GaN」が、引用商標と一致するので、これと類似の商標であり、その指定商品の需要者・取引者が同一であるから、本件商標がその指定商品について使用されたときは、引用商標を付した商品との間で出所の混同を生ずるおそれが極めて高い。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は取り消しを免れない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなり、「COOLiRGaN」の欧文字をまとまりよく横書きしてなるから、「クーリアガン」及び「クーリルガン」の称呼を生じ、また、該文字は我が国において特定の読みや意味を有する語として知られているものではないから、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「COOLGAN」の欧文字を横書きしてなるところ、構成文字に相応して「クールガン」の称呼を生じ、また、該文字は我が国において特定の意味を有する語として知られていないから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標の外観と引用商標の外観とを対比すると、両者は、本件商標が9文字であるのに対して引用商標が7文字であって構成文字数が相違し、前部の「COOL」及び後部の「G」「N」の文字部分を共通にするが、中央部において「iR」の文字の有無及び後部において「a」と「A」との文字が相違しており、該差異によって、互いに相紛れるおそれはなく十分区別し得るものである。
また、本件商標から生ずる称呼「クーリアガン」及び「クーリルガン」と引用商標から生ずる称呼「クールガン」とを対比すると、両者は、本件商標がいずれも6音であるのに対して引用商標が5音であって、比較的短い構成音数において、語頭の「クー」及び語尾の「ガン」の音を共通にするが、中央部において「リア」及び「リル」と「ル」の音が相違しているから、これらを一連に称呼しても語韻語調を異にし、互いに相紛れるおそれはなく十分聴別し得るものである。
そして、本件商標と引用商標とは、いずれも観念を生じないから、観念上においては比較することができない。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似するものではなく、非類似の商標というべきものである。
(2)申立人の主張について
申立人は、「IR」が本件商標権者の略称であると認識されており、商標の構成中に名称や略称が含まれているとき、その名称や略称部分にはあまり注意は払われず、その他の部分に自他商品識別力を発揮し得る要部が求められるから、本件商標の要部である「COOL」と「GaN」が引用商標と一致するので、本件商標と引用商標は類似の商標である旨主張する。
しかしながら、本件商標は、「i」と「a」の文字だけを小文字で表しているものの、構成全体がまとまりよく一体に表されてなるものであり、その構成において比較的中央部に表された「iR」を抽出して商標権者の略称を想起するものとはいえず、構成全体をもって一体不可分のものとして認識されるものというべきである。
したがって、申立人の主張は採用できない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 引用商標


異議決定日 2014-02-28 
出願番号 商願2012-73534(T2012-73534) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 須田 亮一山田 忠司 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 内山 進
小川 きみえ
登録日 2013-04-19 
登録番号 商標登録第5576271号(T5576271) 
権利者 インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
商標の称呼 クールアイアアルガン、クーリアガン、クーリルガン、クーリアアルガン、クールアイアアル、クーリア、クーリル、クーリアアル、クール、ガン、ジイエイエヌ 
代理人 村松 由布子 
代理人 杉村 憲司 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 齋藤 宗也 

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