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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09141835
審判 一部申立て  登録を維持 W09141835
審判 一部申立て  登録を維持 W09141835
審判 一部申立て  登録を維持 W09141835
審判 一部申立て  登録を維持 W09141835
管理番号 1284375 
異議申立番号 異議2013-900039 
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-03-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-02-07 
確定日 2014-01-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5534442号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5534442号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5534442号商標(以下「本件商標」という。)は、「CROSS COMPANY」の欧文字を横書きしてなり、平成24年4月27日に登録出願され、第9類「眼鏡」、第14類「キーホルダー,宝石箱,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計,貴金属,貴金属製箱」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,皮革,人工皮革及び合成皮革」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身飾品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製靴飾りの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,貴金属製箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,皮革の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,仮装用衣服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動用特殊衣服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動用特殊靴の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,競売の運営,広告,販売促進のための企画及び実行の代理,他人の事業のために行う物品の調達及びサービスの手配」を指定商品及び指定役務として、同年9月27日に登録査定、同年11月9日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)引用商標1(登録第4078161号)
商標 「CROSS」
指定商品 第14類「時計,時計の部品及び附属品」
登録出願日 平成8年2月23日
設定登録日 平成9年10月31日
更新登録日 平成19年5月29日
(2)引用商標2(登録第4699272号)
商標 「CROSS ION」(標準文字)
指定商品 第16類「 筆記用具,その他の文房具類」
登録出願日 平成15年3月14日
設定登録日 平成15年8月8日
(3)引用商標3(登録第4857207号)
商標 「CROSS」(標準文字)
指定商品 第9類「光学機械器具,電気通信機械器具,電気通信機械器具の部品及び附属品,電子応用機械器具及びその部品」
登録出願日 平成15年9月30日
設定登録日 平成17年4月15日
(4)引用商標4(登録第4894709号)
商標 「CROSS」(標準文字)
指定商品 第6類「金属製マネークリップ」
登録出願日 平成15年9月30日
設定登録日 平成17年9月16日
(5)引用商標5(登録第4928191号)
商標 「CROSS」(標準文字)
指定商品 第14類「金属製キーチェーン,キーホルダー」
登録出願日 平成15年9月30日
設定登録日 平成18年2月10日
(6)引用商標6(登録第4928192号)
商標 「CROSS」(標準文字)
指定商品 第18類「 かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」
登録出願日 平成15年9月30日
設定登録日 平成18年2月10日
(7)引用商標7(登録第5075350号)
商標 「CROSS」(標準文字)
指定役務 第35類「郵便による広告物の配布,その他の広告」
登録出願日 平成17年9月20日
設定登録日 平成19年9月7日
以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

1 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品及び指定役務中、第9類、第14類、第18類及び第35類の全指定商品及び全指定役務についての登録は取り消されるべきであるとして、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第165号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 本件商標及び引用商標の類似性
本件商標は、「CROSS」及び「COMPANY」の2語からなる構成であるが(甲1)、「COMPANY」との表記が会社を意味する英語であり、商号の一部分として通常使用される文字であるから、類否判断においては、「COMPANY」を除外し、「CROSS」と引用商標の類似性から判断されるべきものである。引用商標は、引用商標2を除き、「CROSS」と書してなる構成である。
また、引用商標2は、「CROSS」及び「ION」の2語からなる構成であるが、「CROSS」と「ION」の間にスペースを有していることから、「CROSS」部分について、本件商標と共通の称呼、外観及び観念が生じる。
そのため、本件商標は、引用商標と称呼、外観及び観念を共通にする類似する商標である。
イ 指定商品及び役務の同一又は類似性
本件商標と引用商標1とは、「時計」、「時計の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が抵触する。
本件商標と引用商標4とは、「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が抵触する。
本件商標と引用商標5とは、「キーホルダー」、「キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が抵触する。
本件商標と引用商標6とは、「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ」、「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる願客に対する便益の提供」が抵触する。
本件商標と引用商標7とは、「広告」が抵触する。
また、上記以外の本件商標の指定商品又は役務も、引用商標の指定商品又は役務と類似するものというべきである。
ウ 小括
以上を総合して考慮すると、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の指定商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするものであるため、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号
ア 「CROSS」の周知・著名性
引用商標2を除く引用商標は、遅くとも本件商標の出願日には、申立人の商標として周知・著名となっていた。
(ア)長年にわたる継続的使用
申立人は、1846年に創業し、以来、「CROSS」をその販売する商品のブランドとして使用してきた。
申立人の創業者であるアロンゾ・タウンゼント・クロスは、米国ロードアイランド州で事業を開始、壮麗な装飾を施した金銀のペンシル用ホルダーを製造し、また、1870年代から80年代の間には、現在のボールペンの先駆けとなる「スタイログラフィックペン」、現在のシャープペンシルの原型となる「繰り出し式ペンシル」も発明し、米国で26、英国で7つの特許を取得した。以後、申立人は、1946年に創業100周年を記念して発表された「センチュリーぺンシル」に端を発する申立人を代表するデザインの「センチュリーライン」の製造・販売や、1949年に導入した筆記具の機構上永久保証制度等により、独自のブランドアイデンティティを確固たるものにし、申立人を示すものとして「CROSS」を継続的に使用してきた(甲4)。
申立人は、1970年5月8日には、子会杜である日本法人の株式会社クロス・オブ・ジャパン(以下、申立人と併せて「申立人ら」という。)を設立した(甲3)。その事業目的は、「時計、メガネ、アクセサリー等の輸入並びに卸販売」及び「万年筆、ボールペン、デスクセット等の輸入並びに卸販売」を含むものである。その後、筆記具以外でも製品を発表し、2003年にはクロスの高度なデザイン性と機能性が触合された「クロスアクセサリー」を、2004年には、独創的なデザインの時計、「クロスタイムピース新シリーズ」を、それぞれ発表し、時計をはじめとする筆記具以外の商品についても、「CROSS」を、申立人らを示す商標として、継続して使用している(甲4)。
(イ)日本における積極的な販売及び広告宣伝活動
申立人は、本件商標の出願日までに、株式会社クロス・オブ・ジャパンを通じ、日本における販売活動及び広告宣伝活動にも大々的に行い(甲5ないし109)、それらの中で、「CROSS」との表記を継続的に使用してきた。特に、申立人らの商品のlつであるペン及び時計は、単なる筆記具にとどまらず、高級感のある仕様から、宝飾品として認識されており、その素材も貴金属からなるものである。さらには、牛皮革を使用したペン、眼鏡、キーホルダー、貴金属製箱及び革製品及び人工皮革又は合成皮革を使用したノートといった多様な製品を製造、販売し、積極的に広告してきた。これにより、「CROSS」の商標は、宝飾品及び貴金属の商品についても、申立人らを示すものとして需要者において周知のものとなっている。また、本件商標の登録出願日以降にも、継続的に著名な雑誌及び新聞での広告が可能となっていることは(甲110ないし124)、「CROSS」との表記が、同日よりも前の時点から、申立人らの商標として周知・著名であることを示すものである。
(ウ)申立人商品の日本における売上
申立人らの日本における2010年度の売上は、眼鏡110,760ドル、カフスボタン・宝飾品6,395ドル、時計20,625ドル、革製品・キーホルダー214,749ドル、筆記具9,597,027ドル、リフィル547,813ドル、2011年度の売上は、眼鏡105,659ドル、カフスボタン・宝飾品4,076ドル、時計6,068ドル、革製品・キーホルダー329,302ドル、筆記具9,247,081ドル、リフィル639,719ドル、2012年度の売上は、眼鏡44,994ドル、カフスボタン・宝飾品3,520ドル、時計2,659ドル、革製品・キーホルダー183,955ドル、筆記具10,334,285ドル、リフィル663,595ドルである。
これらを含む申立人らの売り上げを示す根拠資料として、株式会社クロス・オブ・ジャパンが発行した請求書、出荷指示書並びに時計の売り上げをまとめた記録の写しを提出する(甲125ないし165)。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標が引用商標と類似することは、上記(1)のとおりである。
ウ 小括
以上から、本件商標は、申立人らの業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者に広く認識されている引用商標と類似し、申立人らの商品及び役務又はそれらに類似する商品及び役務について使用するものであるため、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第8号
本件商標は、「CROSS」及び「COMPANY」の2語からなる構成であり(甲1)、「CROSS」の語を含んでいる。そして、遅くとも本件商標の登録出願日には、上述したとおり、「CROSS」は申立人らの略称として著名なものとなっていた。
したがって、本件商標は、申立人らの名称の著名な略称である「CROSS」からなる商標であるため、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号
ア 本件商標と引用商標の類似性
本件商標が引用商標と類似することは、上記(1)のとおりである。
イ 申立人の商品と混同を生ずるおそれ
また、上記(2)のとおり、引用商標は日本全国で広く使用され、遅くとも本件商標の登録出願日には、申立人らを示すものとして周知・著名となっていた。
さらに、本件商標に係る指定商品である「眼鏡、キーホルダー、宝石箱、身飾品、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、貴金属製靴飾り、時計、貴金属、貴金属製箱、かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、傘、皮革、人工皮革及び合成皮革」は、百貨店や専門店等で主に販売される商品であり、また、本件商標に係る指定役務もそれらの場所で主に提供されるものであるところ、申立人らの商品は、実際に、百貨店や専門店等で展示販売されているものである(甲109)。
そのため、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、かかる商品又は役務が申立人の商品であるか、あるいは、申立人との間に、いわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業の営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある。
ウ 小括
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、引用商標が周知著名となった後に登録出願されたものであり、また、申立人の周知著名商標に、商号を示すものとして通常用いられる記載にすぎない「COMPANY」との表記のみを追加したものにすぎず、実質的に、引用商標と同一である。
したがって、本件商標は、引用商標の顧客吸引力を利用するものであり、または、顧客吸引力を希釈化させる等、不正な目的で使用するものといわざるを得ず、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)結び
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記1のとおり「CROSS COMPANY」の文字を書してなるところ、その構成は、「CROSS」と「COMPANY」との間に半角程度のスペースを有するとしても、同じ書体、同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり、構成文字から生じる「クロスカンパニー」の称呼も、無理なく一連に称呼できるものである。
そして、その構成中の「COMPANY」の文字が「会社」を意味する場合があるとしても、該文字は、他に「仲間、交際」等の意味を有するものとしても一般によく知られているものであるから、商号の一部分としてのみ把握されるものとはいえず、その構成文字全体をもって一体不可分の造語として認識されるとみるのが自然であり、他に構成中の「CROSS」の文字のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
他方、引用商標1及び3ないし7は、前記2のとおり、「CROSS」の文字を横書きしてなるところ、該文字からは、「クロス」の称呼を生じ、該「CROSS」の文字は、「十字架、十字(形)」の意味を有する英語として一般によく知られているものであるから、かかる観念を生じるものである。
また、引用商標2は、「CROSS ION」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさをもって視覚上まとまりよく一体的に表されているものであり、構成文字から生じる「クロスイオン」の称呼も、無理なく一連に称呼できるものであって、殊更「CROSS」の文字部分のみに着目して取引に当たるというよりも、むしろ、その構成文字全体をもって一体不可分の造語と認識され、取引に当たるとみるのが自然である。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、本件商標と引用商標1及び3ないし7とは、「CROSS」の文字を共通にするとしても、本件商標の後半の「COMPANY」の文字の有無の差異において、明確に区別できるものであり、本件商標と引用商標2とは、本件商標の後半の「COMPANY」の文字と、引用商標2の後半の「ION」の文字の差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。
また、本件商標から生じる「クロスカンパニー」の称呼と、引用商標1及び3ないし7から生じる「クロス」の称呼とを比較するに、両称呼は、本件商標の後半の「カンパニー」の音の有無において相違し、引用商標2から生じる「クロスイオン」とは、本件商標の後半の「カンパニー」の音と引用商標2の後半の「イオン」の音の差異を有するものであるから、それぞれ一連に称呼するときは、その音構成及び構成音数が明らかに相違し、互いに聴き誤るおそれはない。
さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標1及び3ないし7は、「十字架、十字(形)」の観念を生じ、引用商標2は、特定の観念を生じないものであるから、それぞれ観念において比較することはできず、類似するとはいえないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点においても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)「CROSS」の文字の著名性について
申立人主張及び提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人らについて
甲第3号証は、株式会社クロス・オブ・ジャパンの履歴事項全部証明書であり、該社は、昭和45年に設立した会社であって、その目的は、「万年筆、ボールペン、デスクトップ等の輸入並びに卸販売」等である。
甲第4号証は、申立人のウェブサイト(写し)であるところ、申立人は、米国において、1846年に創業し、以来、「CROSS」の文字を筆記具等の商品のブランドとして使用して、現在に至っているものである。
申立人の創業者であるアロンゾ・タウンゼント・クロスは、米国ロードアイランド州で事業を開始、壮麗な装飾を施した金銀のペンシル用ホルダーを製造し、また、1870年代から80年代の間には、現在のボールペンの先駆けとなる「スタイログラフィックペン」、現在のシャープペンシルの原型となる「繰り出し式ペンシル」も発明し、米国で26、英国で7つの特許を取得したこと、1946年に創業100周年を記念して「センチュリーぺンシル」を発表したこと、1949年には、筆記具の「機構上永久保証制度」を導入したこと、さらに、筆記具の分野では、2000年に流線型ラインが特徴の「エイティエックス」コレクション、グリップが変形するボールペン「モーフ」等のほか、万年筆がついた初めての多機能ペン「クロスマトリックス」を発表したこと等が認められる。
イ 「CROSS」の文字を「万年筆、ボールペン」に使用したカタログ
株式会社クロス・オブ・ジャパンは、以下の商品カタログを発行している。
「2004CrossCollection」(甲6)、「2005CrossCollection」(甲7)、「CROSS」(甲9)、「CROSS FALL 2011 COLLECTIONS」(甲10)、「CROSS 2012 COLLECTION」(甲11)
ウ 以下の新聞においてクロスの「ボールペン」の記事がある。
2010年3月6日付け「朝日新聞」の「売れ筋拝見」の見出しの下、入学祝い用ボールペンランキングとして、2位に「ATX(マットクローム/クロス)」、7位に「クラシックセンチュリー ルミナ(ローズピンク/クロス)」の記載がある(甲16)。
エ 以下の雑誌において、「CROSS」の文字を使用した「万年筆」又は「ボールペン」の宣伝、広告及び紹介記事がある。
「エル ゴラッソ(関西版)」(2011年1月31日 株式会社スクワット発行)(甲17)、「万年筆スタイル」(平成16年11月25日、同17年11月10日、同19年1月5日 株式会社ワールドフォトプレス発行)(甲18、22、27)、「趣味の文具箱」(2004年11月30日、2005年5月30日、同年11月30日、2007年1月30日、2008年1月30日、同年4月30日、同年8月10日、同年12月30日、2009年12月30日 えい出版社発行)(甲19、23、28、29、30、32、33、35)、「机上空間」(2005年1月20日 えい出版社発行)(甲20)、「Real Design」(2006年9月1日 えい出版社発行)(甲25)、「万年筆が欲しくなる本」(平成20年5月1日 株式会社ワールドフォトプレス発行)(甲31)、「Casa BRUTUS」(2011年9月号 株式会社マガジンハウス)(甲36)、「footballista」(平成23年3月23日、同年4月6日、同年6月15日、同年11月2日 株式会社ソル・メディア発行)(甲37及び甲69ないし71)、「GLITTER」(2011年12月7日 トランスメディア株式会社発行)(甲38)、「mono」(平成24年3月2日 株式会社ワールドフォトプレス発行)(甲39)、「moment」(平成24年1月1日 トヨタファイナンス株式会社発行)(甲43)、「ウイスキー基本ブック」(2012年1月15日 株式会社美術出版社発行)(甲45)、「Gainer」(平成24年1月10日 光文社発行)(甲48)、「FUDGE」(2012年1月12日 株式会社三栄書房発行)(甲49)、「Disney FAN」(平成24年3月1日 株式会社講談社発行)(甲64)、「COURRiER Japon」(平成24年3月1日 株式会社講談社発行)(甲66)、「moment」(平成24年3月1日 トヨタファイナンス株式会社発行)(甲67)、「Winart」(2011年7月1日 美術出版社発行)(甲87)、「Real METAL Design」(2011年9月19日 株式会社三栄書房発行)(甲100)、「美的」(2011年12月23日 株式会社小学館発行)(甲106)
オ 販売実績
申立人らの日本における筆記具の2010年度以降の総売上は、2010年度9,597,027ドル、2011年度9,247,081ドルと主張している。
上記を総合して検討すれば、「CROSS」の文字は、長年にわたり、申立人らの業務に係る商品「万年筆、ボールペン」について使用され、宣伝、広告、販売された結果、本件商標の登録出願時において、取引者・需要者の間において広く認識され、著名性を獲得しており、それが登録査定時においても継続していたと認められる。
なお、申立人は、「CROSS」と表記して「時計、眼鏡、キーホルダー、貴金属製箱及び革製品並びに人工皮革又は合成皮革を使用したノートといった多様な製品を製造、販売し、積極的に広告してきた。」旨主張しているが、時計については、商品カタログ(甲5ないし9及び11)に掲載され、雑誌に掲載(甲108、1ないし8葉目)されたものであるとしても、少ないものであり、その他の商品については、さらに少ないものであるから、申立人提出に係る証拠によっては、その周知性を認めることができない。
(3)商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む」について、「他人の氏名や略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」(知財高裁 平成21年(行ケ)第10074号判決)とされているところ、本件商標は、「CROSS COMP
ANY」の文字を表してなり、外観上一体のものとして把握されるものとみるのが自然であって、造語と理解されるものであるから、特定の観念は生じないものである。
そうとすれば、同書、同大でまとまりよく表された本件商標に係る構成においては、「CROSS」の文字部分のみが独立して認識されるとはいい得ず、これに接する者に申立人を想起・連想させるものということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
「CROSS」の文字が、申立人の業務に係る「万年筆、ボールペン」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であるとしても、本件商標と「CROSS」の文字とは、上記(1)のとおり非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、「CROSS」の文字を使用した申立人らの業務に係る「万年筆、ボールペン」は、筆記具の一種であり、本件商標の指定商品及び指定役務とは、その用途、品質、販売場所等が異なり、関連性が薄いものである。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「CROSS」の文字が申立人らによって使用された結果、その業務に係る「万年筆、ボールペン」の出所表示する商標として周知であったとしても、本件商標と「CROSS」の文字とは上記(1)のとおり非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者が、申立人らの使用に係る「CROSS」の文字を想起、連想させるものではないというのが相当であって、申立人ら並びに同人らと経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品及び役務であるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生じるおそれはないものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と「CROSS」の文字とは上記(1)のとおり非類似の商標である。
そして、申立人提出の証拠によっては、商標権者が「CROSS」の文字からなる申立人らの商標の出所表示機能を希釈化させ、その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(6)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第9類、第14類、第18類及び第35類の全指定商品及び全指定役務について、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-01-22 
出願番号 商願2012-34535(T2012-34535) 
審決分類 T 1 652・ 26- Y (W09141835)
T 1 652・ 25- Y (W09141835)
T 1 652・ 271- Y (W09141835)
T 1 652・ 222- Y (W09141835)
T 1 652・ 23- Y (W09141835)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎野口 智代 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 亨子
原田 信彦
登録日 2012-11-09 
登録番号 商標登録第5534442号(T5534442) 
権利者 株式会社クロスカンパニー
商標の称呼 クロスカンパニー、クロス 
代理人 神津 堯子 
代理人 平井 正司 
代理人 達野 大輔 
代理人 岡田 次弘 

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