ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
不服20134724 | 審決 | 商標 |
不服20134725 | 審決 | 商標 |
異議2012900211 | 審決 | 商標 |
異議2013900024 | 審決 | 商標 |
異議2013900171 | 審決 | 商標 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X32 |
---|---|
管理番号 | 1281579 |
異議申立番号 | 異議2012-900230 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-08-09 |
確定日 | 2013-10-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5493399号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5493399号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5493399号商標(以下「本件商標」という。)は、「フルビックアシッドウォーター」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年11月30日に登録出願され、第32類「清涼飲料水」を指定商品として、同24年4月4日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 (1)引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のアないしエに示すとおりのものであり、現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。 ア 登録第2087655号(以下「引用商標1」という。)は、「VOLVIC」の欧文字を横書きしてなり、昭和60年3月16日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同63年10月26日に設定登録されたものである。その後、平成21年2月4日に、上記指定商品を第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。 イ 国際登録第732304号(以下「引用商標2」という。)は、「VOLVIC」の欧文字を横書きしてなり、2000年(平成12年)4月14日に国際商標登録出願、第25類、第32類及び第33類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年3月2日に設定登録されたものである。その後、平成22年7月21日に、上記指定商品のうち、第25類及び第33類に属する指定商品を取り消す旨の本権の登録の一部抹消登録がされているものである。 ウ 国際登録第836310号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、2004年1月9日Franceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2004年(平成16年)7月8日に国際商標登録出願、第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年12月22日に設定登録されたものである。 エ 国際登録第940444号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、2007年3月27日Franceにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2007年(平成19年)9月11日に国際商標登録出願、第32類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年2月20日に設定登録されたものである。 (2)申立ての理由の要点 申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番を含む。)を提出した。 ア 商標法第4条第1項第11号該当性について 本件商標の構成中の「アシッド」は、「酸」を意味する英語「acid」由来の外来語として、また、「ウォーター」は、「水」を意味する英語「water」由来の外来語として、我が国において周知である一方、「フルビック」なる言葉も、「フルビックアシッド」なる言葉も、我が国において知られていないから、本件商標における「フルビック」は、要部であり、これより、「フルビック」の称呼が生じる。 他方、引用商標からは、それぞれの構成中の「VOLVIC」及び「Volvic」に対応して、「ボルビック」の称呼が生じる。 本件商標から生じる「フルビック」の称呼と引用商標から生じる「ボルビック」の称呼とは、第2音節ないし第5音節の「ルビック」において同一であり、相違する第1音節の「フ」と「ボ」の子音は、ハ行とバ行に属する音で、清音、濁音の相違にすぎず相紛らわしい上に、その母音である「ウ」と「オ」の音は、口腔の中で舌が相互に近い位置で発音する相紛れやすい音であるから、「フルビック」と「ボルビック」とは、称呼において類似するものであり、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する。 したがって、本件商標の要部「フルビック」は、引用商標1及び2並びに引用商標3及び4の要部と類似するから、本件商標は、引用商標と類似する。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 イ 商標法第4条第1項第15号該当性について (ア)引用商標の周知著名性 申立人は、フランスの企業であるGroup Danone(グループダノン)のミネラルウォーター「Volvic」の製造販売を業とする会社である。申立人の製造するミネラルウォーター「Volvic」は、ダノンウォーターズオブジャパン株式会社(グループダノンに属するソシエテ アノニム ド オー ミネラル デビアンが100%出資)が販売促進、ブランド管理を行い、キリンMCダノンウォーターズ株式会社(キリンビバレッジ株式会社、コンパニー ジェルヴェ ダノン(ダノングループのヨーグルト部門の会社)及び三菱商事株式会社の合弁会社)が日本に輸入販売している。 申立人の商標「Volvic」を使用したミネラルウォーターは、1986年の日本市場への導入以来、着実に市場に浸透し、輸入ミネラルウォーターの中で最大のシェアを誇っている。 ダノンウォーターズオブジャパン株式会社及びキリンMCダノンウォーターズ株式会社は、積極的にTV・雑誌広告をしており、積極的に多様な媒体で広告をしている。 また、YAHOO!JAPANにより、「VOLVIC」の語を検索すると、日本語のページのみで、約646,000件ヒットする。 以上によれば、「Volvic」及びその片仮名表記「ボルビック」は、申立人が清涼飲料水ミネラルウォーターに使用する商標として、また、申立人のハウスマークとして、本件商標の出願当時、既に我が国において周知であり、今日においても周知である。 (イ)混同のおそれ 本件商標は、指定商品を「清涼飲料水」とするものであり、申立人が製造し、日本において(世界中で)広く輸入販売されているミネラルウォーターと市場において正面から競合する商品である。 また、引用商標は、申立人のミネラルウォーターを示す商標として、日本市場において需要者の間に著名であり、とりわけその称呼に特徴があり、称呼「ボルビック」は、極めて識別力の強いものである。そして、上記アのとおり、本件商標の要部は「フルビック」であり、「ボルビック」と「フルビック」とは、称呼において類似し、相紛らわしい。 したがって、本件商標を付した清涼飲料水に接した需要者は、それを申立人が製造し、申立人の関連会社が日本で輸入販売している清涼飲料水と誤認混同するおそれがあり、あるいは、申立人と経済的に何らかの関連性を有する者によって製造販売されたものと誤認するおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標の要部「フルビック」は、引用商標1及び2と類似し、引用商標3及び4の要部「Volvic」と類似する。 加えて、商標権者のホームページの記載によれば、「フルビックアシッドウォーター」とは「フルボ酸の入った水」の意味であるから、本件商標は、商品の品質を表示するものであり、識別力を有するものではない。 ところで、フルボ酸入りの飲料はいくつか販売されているが、それらは、いずれも品質表示でない標章を商標として採用している。このように、商標を採択するに際し、商品の品質を表す普通名称ではなく識別力のある標章を採択するのは、ビジネスの常道であり、現にかかる常道に従って採択が行われている。 しかるに、「フルボ酸入りの水」の商品の商標を採択するのに、わざわざ「フルビックアシッドウォーター」という識別力のない語を選択し、かつ、「意味を分からなく(分かりにくく)」した商標権者の行為は、「フルビック」と「Volvic」の日本語表記である「ボルビック」の類似性に着目し、かつ、「Volvic」の周知著名性に着目し、その周知著名性にただ乗りし、本件商標を付した商品が申立人と経済的に関連性のある会社によって販売されているとの誤認を需要者に生じさせ、販促に資せんとするものであり、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、不正の目的で使用するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 エ 結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録を取り消すべきものである。 3 本件商標に対する取消理由 商標権者に対して、平成25年2月5日付けで、本件商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして通知した取消理由は、以下のとおりである。 (1)本件商標は、「フルビックアシッドウォーター」の文字よりなるところ、その構成中後半の「ウォーター」は「水」(広辞苑)を意味し、飲料水等を表すものである。そして、例えば、「ビタミン」入りの水を「ビタミンウォーター」と称するように、含有成分と「ウォーター」の文字とを結合した表示は、当該成分が含有されていることを表すものとして、広く一般に使用されているものである。 また、構成中前半の「フルビックアシッド」については、これを欧文字で表したと認められる「Fulvic acid」が、日本化学物質辞書Web版(独立行政法人科学技術振興機構)によれば、分子式を「C14H12O8」とする物質の慣用名であって、「フルビ酸」「フルボ酸」も同じく当該物質の慣用名との記載がある(なお、「acid」は「酸」の英語表記である。)。 (http://nikkajiweb.jst.go.jp/nikkaji_web/pages/top.jsp?CONTENT=syosai&SN=J127.110E) そして、フリー百科事典ウィキペディアの「フルボ酸」の項には、「フルボ酸(フルボさん、フルビック酸,fulvic acid)とは、植物などが微生物により分解される最終生成物である腐植物質のうち、酸によって沈殿しない無定形高分子有機酸。土壌や天然水中に広く分布している。」との記載がある。 (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%9C%E9%85%B8) ところで、「フルボ酸(フルビック酸)」に関するインターネット情報によれば、その特性等について、例えば次のような記載が認められる。(下線は当合議体が付加) ア 「G-FRONT株式会社」のサイトには、「フルビックとは?/フルビク(Fulvicacid)とは、あらゆる有効ミネラルすべての栄養素を円滑に取り込ませ有害物質は排出する効果のある奇跡の天然エキスであるフルボ酸のことで、・・・」及び「フルボ酸について/そもそもフルボ酸とは?/フルボ酸は動植物に由来する天然物質であり、細胞の活性化を行い、細胞膜の浸透性を高め、栄養素を円滑に取り込ませ、細胞増殖を促進させる効果や、毒素を排出する効果などがあるとして研究されています。このフルボ酸は自然界の救世主といわれ、農業・医薬として注目されてきましたが、・・・フルボ酸は土壌や海の重金属を排除し、動物を大きく健康に育て、植物を大きく栄養豊かに育てます。フルボ酸は地球上のすべての動植物の免疫力を高め、健康へ導きます。」並びに事業部を表す図の中に「フルボ酸/Fulvic acid/フルビック事業部/…」の記載がある。 (http://www.g-front.co.jp/jigyoubu/) イ 「株式会社グリーンエコロジー」のサイトには、「Fulvic Acid/大自然の恵みフルボ酸。/フルボ酸とは、太古の昔に命を終えた動植物や海草、植物などが推積され、それが数億年、数千年ものの長い年月をかけて微生物によって分解、発酵を繰り返してできた最終生成物から抽出された物質です。世界でも限られた場所にしか埋蔵されていない極めて貴重な腐食物質であり、大自然が生み出したミネラル・アミノ酸を有する有機物の総称です。・・・フルボ酸の優れた機能/抗酸化作用:活性酸素の除去による、老化防止に効果があります。/生理機能活性:細胞レベルで活性し、新陳代謝が活発になります。/アレルギー抑制作用:1型アレルギーの発症抑制/そのほかにも 抗炎症作用、酵素活性、免疫機能向上、植物活性などが上げられます。」との記載がある。 (http://www.greenecology.co.jp/fulvic.html) ウ 「ペットバルーン」のオンラインショップのサイトには、「今注目のフルボ酸を活用しよう! | ペットバルーンオンラインショップ/フルボ酸(Fulvikacid) /フルボ酸とは動植物に由来する天然有機電解質で細胞の活性化を行うと共に細胞膜への浸透性を高めビタミンや鉄分等あらゆる有効ミネラルすべての栄養素を円滑に取り込ませ有害物質は排出する効果のある奇跡の天然エキスです。フルボ酸は地球上すべての動植物の免疫力を高め健康へ導きます。」との記載がある。 (http://www.petballoon.co.jp/news/fulvo) また、本件指定商品「清涼飲料水」を含む飲料に関するインターネット情報によれば、例えば次のような記載がある。 エ 「ハーツイーズオンラインショップ」のサイトには、「フルボ酸配合レ-フルビック」について、「メグスリノキ+ブルーベリー+自然水+フルボ酸/・・・レーフルビックは目が疲れていたり、飲み過ぎて肝臓が疲れていると感じている方におすすめです。メグスリノキは・・・そして、地球の命ともいわれ、キレート力に優れた・・・ミヤモンテフルボ酸は腐植酸を含まないピュアーなフルボ酸です。フルボ酸を配合することでスッキリと飲みやすくなっています。/名称:清涼飲料/品名:レ-フルビック/原材料:メグスリノキ、ブルーベリー、自然水、フルボ酸/・・・/メーカー:株式会社ミヤモンテJAPAN」との記載がある。 (http://www.8212online.jp/SHOP/inryou002.html) オ フルボ酸飲料「BLACKWATER」について、「フルボ酸飲料/BLACKWATER/COMING SOON/日本での販売開始は現在調整中です。・・・」、「BLACKWATERとは/ ・・・ブラックウォーターはフルボ・フミン酸を含む77のミネラル成分が含まれているアルカリ飲料であり、フルボ酸の効果から、アスリートからも注目され始めている飲料です。」、「フルボ酸とは/フルボ酸(または フルビック酸, fulvic acid)とは、植物などが微生物により分解された結果できる腐植物質のうち、酸によって沈殿しない無定形高分子有機酸であり、土壌や天然水中に広く分布している物質です。・・・微量金属、電解質、アミノ酸を豊富に含むこれら腐植物質由来のフルボ酸が、人間の健康状態を保持する需要な役割を果てしているとの研究も進んできています。さらに海外では、急速にフルボ酸の研究に注目が集まり、今ではフルボ酸をWEBで検索すると、フルボ酸の摂取が健康上非常に広範囲な分野で影響を及ぼす事例が数多く見つけられます。その主な事例としては大きく2点に集約できます。1)フルボ酸は体内に栄養素を取り込みやすくします。2)フルボ酸は体の生化学的活動を刺激し、身体を再生し自己治癒力を高めます。勿論、上記の効果については個人差もあり、効果を保証できるものではありませんが、これらの事例を見ても、フルボ酸が今後ますます注目され研究が進んで行く事は間違いないと思われます。」との記載がある。 (http://www.blackwater.co.jp/、http://www.blackwater.co.jp/?page_id=5、http://www.blackwater.co.jp/?page_id=11) カ シナジーワールドワイド・ジャパン合同会社のフルボ酸配合飲料「シナマックス」の紹介サイトには、「シナマックスの主原料はフルボ酸。・・・フルボ酸のミネラルが、私たちに必要な栄養成分を、スムースに身体に届ける役割を果たしています。」との記載がある。 (http://jp.synergyworldwide.com/japanese/synemax/fulvic/index.html) キ 「なんでもネット商店(ミヤモンテ フルボ酸製品販売代理店)」のサイトには、フルボ酸について、「地球の自然の循環の結果、長い年月をかけ植物が腐食し発酵したことで生成された物質がフルボ酸です。インドや中国にて古来から万能薬として用いられてきたということです。」と記載され、また、「飲料用フルボ酸原液」の「キレートバランス」の紹介において「FDA(アメリカ食品医薬局)認定ニューダイエットサプリメント」との記載がある。 (http://nininho.net/index.php?%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%9C%E9%85%B8%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F、http://www.recelljapan.com/item/healthsupplement.html) ク フルビック・Japanのサイトには、希釈して飲用するタイプの天然フルボ酸植物系ミネラルとして「シンフォニー70 FA」が紹介され、その説明中に「日本国内におきまして天然フルボ酸のまま食品製造可能な原料です。」との記載がある。 (http://fulvic-japan.biz/1_1.html) ケ コスメ・美容の総合ポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」のフルボ酸飲料商品情報には、ブランド名を「SALY(サリ)」とする「(メーカー)アグライアサンクチュアリ」の商品が紹介され、また、「魂の商材屋」と題するネットショップには、「(メーカー)バオバブ」の商品「生命の雫(いのちのしずく)」が、「ミネラル・アミノ酸を含む栄養素の宝庫/フルボ酸!」及び「あらゆる生命に必須のフルボ酸」の文字とともに紹介されている。さらに、「web shop trim」と題するネットショップには、フルボ酸サプリメント飲料「ロイヤルリペル」が紹介され、「健康と美をサポートするフルボ酸サプリメント飲料です。」との記載がある。 (http://www.cosme.net/product/product_id/10035618/top、http://e-tamashii.com/SHOP/ke3171.html、http://shop.trim-works.com/repel.html) コ また、フルボ酸を配合した化粧品も、例えば、以下をはじめとして多数販売されていることが確認できる。 (ア)大地の恵み海洋性フルボ酸美容成分が奥まで届く♪肌年齢を忘れてしまう感動のローション【赤ちゃんの肌にも】トーニングローション【化粧水】フルボ酸ミネラルローション・アミノ酸【オーラ化粧品】AURA (http://item.rakuten.co.jp/aura2010/10000009/) (イ)「フルボ酸 エキス」配合/アンチエイジング全身ローション/「スパッシュベビィ」/今話題の「フルボ酸」/女性にうれしい効果がいっぱい!! (http://www.loose-shop.com/spash/) (ウ)@cosme/桃華 フルボ酸化粧品/(メーカー)村井物産/(商品説明)フルボ酸に加え、・・・配合のスキンローション。みずみずしい潤いのある肌を保ちます。 (http://www.cosme.net/product/product_id/10024397/top) (エ)整う石鹸・整う化粧水には、整肌成分「フルボ酸」を配合/?地球がはぐくんだ宝物【フルボ酸】?/整肌成分フルボ酸は、白亜紀の植物から7000万年の年月をかけ微生物により大地の奥深くで作り出された天然成分です。 (http://www.scien-sight.com/scisigh_toto_0.html) (オ)自然の中の宝物フルボ酸を99パーセント配合/フルボ酸基礎化粧品/Fulvic acid Mineral Acqua/株式会社メイクビー (http://www.make-b.jp/product/riseruca.html) サ 前記アの「G-FRONT株式会社」のサイトには、フルボ酸の特徴として、「フルボ酸は重金属と吸着することにより、必要なミネラルを吸収して不必要な成分は排出し、体内のバランスを整えます。」とあり、また、特徴と可能性として、「1-農業」「2-土壌改良/残留性有機汚染物質」「3-畜産/養殖」の項目のほか「4-飲用/外用」として、「1.強力な酸化防止剤と活性酸素除去/2.組織に積された重金属と身体の毒素を排出/3.化粧品の亜鉛などの沈殿、新陳代謝を増加/4.免疫組織の再構築を助ける(インターフェロン)/5.アレルギーに対する免疫製を増強/6.各種の傷や傷跡になるやけどの回復を助ける/7.広範囲の抗菌作用」との記載がある。 (http://www.g-front.co.jp/jigyoubu/) シ 以上の記載よりすれば、「フルボ酸」は「動植物に由来する天然物質で、細胞の活性化を行い、細胞増殖を促進させる効果や、毒素を排出する効果などが期待されているもの」であって、飲料や化粧品をはじめとして、農業や畜産など多数の業界で利用され、あるいは利用するための研究が進められているものと認められるものである。 ところで、本件商標構成中前半の「フルビックアシッド」は上記「フルボ酸」を意味する「Fulvic acid」を片仮名表記したものと認められるものであり、また、後半の「ウォーター」が飲料水を意味するものであることからすれば、本件商標は全体として「フルボ酸を含有する飲料水」であることを容易に認識させるものである。 そして、以下のごとく、フルボ酸を含有する飲料水を、「フルボ酸ウォーター」、「fulvic acid water」、「フルビックアシッドウォーター」と称して販売し、あるいは紹介している事実が確認できる。 ス 「中濃森林組合」のサイトにおいて、機能水の一つとして「フルボ酸ウォーター 500ml」が紹介され、「日本初!!ペットボトル入りフルボ酸水/土壌生成理論から生まれた純国産フルボ酸入りミネラルウォーター」との説明がされている。そして、容器には「フルボ酸ウォーター」、「fulvic acid water」及び「フルボ酸1.8mg/L配合」の文字が表示されている。 (http://www.chunousinrin.or.jp/item/cf2415/) セ 登録査定後の記事ではあるが、「株式会社CSJ」のサイトにおいて、「日本初のフルボ酸ウォーター」とのタイトルのもと、「フルボ酸を水に溶かしたフルビックアシッドウォーターを日本で初めて市場販売致しました。」との記載がある。 (http://www.csjpn.co.jp/topics/2012/000020.html) (2)してみれば、前記のとおり、「フルボ酸を含有する飲料水」を認識させる「フルビックアシッドウォーター」の文字からなる本件商標を、その指定商品「清涼飲料水」中の「フルボ酸を含有する清涼飲料水」に使用するときは、これに接する取引者・需要者をして、その商品がフルボ酸入りの商品であることを想起・認識させるものであるから、単に商品の品質・原材料を表示したものと理解させるにとどまるものであって、自他商品の識別標識とは認識し得ないというべきである。 また、本件商標をその指定商品中前記以外の商品に使用するときには、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見 本件商標権者は、前記3の取消理由に対して、要旨以下のように意見を述べている。 (1)商標法第3条第1項第3号について ア 「フルボ酸」は、埋蔵されている場所や量が限定されている貴重な物質であり、また、抽出等が困難で、回収できる量もごく微量となっているため、その利用は限定的であり、認知度は低く、「フルボ酸」を工業的に生産できるようにした世界初の企業が本件商標権者である。 イ 本件商標権者は、少量しか存在しない「フルボ酸」を、大容量の飲料水を表す「ウォーター」と共に使用するために、常識ではあり得ない「フルビックアシッド」と「ウォーター」という相反する言葉を結合させた「フルビックアシッドウォーター」の文字を考案した。そして、該「フルビックアシッドウォーター」の文字は、まとまりよく一連に表記した全体として一つの言葉であり、特定の観念を生ずることもない。 ウ 本件商標権者が造り出した「フルビックアシッドウォーター」の文字は、本件商標権者及びその関係者以外に使用している者はおらず、取消理由において示された2つの事実は、いずれも関係者によるものである。 エ 本件商標は、本件商標権者の企業努力により、周知性を獲得するまでに成長させた言葉であり、十分顕著性を有し、自他識別力を有するものである。 オ 小括 以上より、本件商標は、全体として一商標であって、一体不可分の造語であり、本件商標権者が、正反対の概念を有する言葉同士を結合させ、新たに造り出した造語であるといえ、単に、商標を構成する各要素が辞書等に掲載されているからといって、それが直ちに品質等を表しただけのものになるとはいえない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号には該当しない。 (2)商標法第4条第1項第16号について 本件商標は、全体として一つの商標であって、その構成全体として識別、認識を受けているものであるから、品質の誤認のおそれはなく、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (3)本件商標と同様に、化学物質等に「ウォーター」の文字を結合させた標章が、以下のように登録されている。 ア 「フルボウォーター」 (登録第5551015号商標) イ 「プラチナウォーター/Platinum Water」 (登録第4516443号商標) ウ 「バナジウムウォーター/VNDMウォーター」 (登録第4804389号商標) エ 「アクアウォーター/AQUA WATER」 (登録第4834649号商標) オ 「プラチ・ナノ・バナジウムウォーター」 (登録第5082554号商標) カ 「ピンクゴールドウォーター」 (登録第5084364号商標) キ 「水素プラズマウォーター」 (登録第5375104号商標) ク 「オーガニックカーボンウォーター」 (登録第5526719号商標) (4)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも該当しないものである。 5 当審の判断 (1)本件商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について 本件商標についてした前記3の取消理由は妥当なものであって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ない。 (2)商標権者の意見について ア 商標権者は、フルボ酸を工業的に生産できるようにした世界初の企業が商標権者であり、また、「フルビックアシッド」と「ウォーター」という相反する語を結合させた「フルビックアシッドウォーター」 の文字は、商標権者自らが考案した一体不可分の造語であって、特定の概念を生ずることのないものであることからすれば、仮に「フルビックアシッド」と「ウォーター」の各語が辞書等に掲載されているとしても、そのことをもって直ちに品質等を表しただけのものとなるとはいえず、かつ、品質の誤認のおそれはない旨主張している。 しかしながら、前記3の取消理由通知で示したとおり、「フルビックアシッド(Fulvic Acid、フルボ酸)」の語は、分子式を「C14H12O8」とする物質の慣用名であって(日本化学物質辞書Web版:独立行政法人科学技術振興機構)、「植物などが微生物により分解される最終生成物である腐植物質のうち、酸によって沈殿しない無定形高分子有機酸。」(フリー百科事典ウィキペディア)を表すものであるから、仮に、「フルボ酸」を工業的に生産できるようにした世界初の企業が商標権者であるとしても、それによって、「フルビックアシッド」の語が「フルボ酸(フルビック酸)」を表すものとして理解されるとすることが何ら妨げられることはない。 そして、清涼飲料等を取り扱う業界において、「○○(含有した成分表示)ウォーター」の表示は、その成分を含有した飲料を表すものとして広く一般に使用されているものであり、また、本件指定商品「清涼飲料水」を含む飲料について、フルボ酸が配合された清涼飲料、飲料用フルボ酸原液、フルボ酸飲料及びフルボ酸サプリメント飲料等と称する商品が製造、販売されている実情よりすれば、「フルビックアシッドウォーター」の文字が、現時点において取引上普通に使用されていないものであるとしても、本件商標は、全体として、「フルビックアシッド(フルボ酸)を含有する清涼飲料水」であることを認識させるものであって、商品の品質・原材料を表示したものと理解させるにとどまるものであり、また、本件商標の指定商品中の「フルビックアシッド(フルボ酸)を含有する清涼飲料水」以外の「清涼飲料水」に本件商標を使用する場合は、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。 イ 商標権者は、本件商標は、商標権者及びその関係者以外に使用する者がおらず、また、商標権者の企業努力により、周知性を獲得するまでに成長させたものであるから、十分顕著性を有し、自他識別力を有するものである旨主張している。 しかしながら、商標権者の提出に係る参考資料を見ても、本件商標が商品「清涼飲料水」に使用されている事実は何ら見いだせないものであることから、これをもって、本件商標が周知性を獲得していると認めることはできない。 ウ 商標権者は、本件商標についてされた取消理由(商標法第3条第1項第3号該当)が当を得ないことの根拠の一つとして、既登録例を挙げている。 しかしながら、登録出願された商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務に基づき、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別・具体的に判断すべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるところ、請求人が挙げた商標登録例は、本件商標と商標の構成態様を異にするものであるから、当該登録例の存在によって、前記判断が左右されるものではない。 エ 以上のとおり、商標権者の主張はいずれも採用することができない。 (3)登録異議の申立ての理由について ア 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、前記1のとおり、「フルビックアシッドウォーター」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該文字は、前記3の取消理由において述べたとおり、その構成全体をもって、「フルボ酸を含有する飲料水」を認識させるものであることから、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「フルビックアシッドウォーター」の称呼のみを生じ、「フルボ酸を含有する飲料水」の観念を生じるものである。 他方、引用商標は、前記2のとおりの構成からなるところ、その構成文字全体又はその構成中の「volvic」若しくは「Volvic」の文字部分に相応する「ボルビック」の称呼を生じ、かつ、少なくともその指定商品中の「ミネラルウォーター(mineral water)」との関係においては、申立人の業務に係る商品「ミネラルウォーター」を表示する商標としての観念を生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両商標は、上記のとおり、その文字構成等において明らかに相違するものであるから、外観において、互いに見誤るおそれはない。 また、本件商標から生じる「フルビックアシッドウォーター」の称呼と引用商標から生じる「ボルビック」の称呼とは、その音構成及び音数を全く異にするものであるから、それぞれを一連に称呼しても、容易に聴別し得るものである。 さらに、本件商標と引用商標とは、上記のとおり、それぞれ別異の観念を生じるものであるから、観念において、両商標が相紛れるおそれはない。 してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。 イ 商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用商標とは、たとえ引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「ミネラルウォーター」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記アのとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。 してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同するおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。 ウ 商標法第4条第1項第19号について 本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、上記アのとおりである。 また、申立人の提出に係る証拠のいずれを見ても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 エ 小括 上記アないしウによれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではない。 (4)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標3)(色彩については原本参照) 別掲2(引用商標4)(色彩については原本参照) |
異議決定日 | 2013-08-29 |
出願番号 | 商願2011-85879(T2011-85879) |
審決分類 |
T
1
651・
272-
Z
(X32)
T 1 651・ 271- Z (X32) T 1 651・ 263- Z (X32) T 1 651・ 261- Z (X32) T 1 651・ 13- Z (X32) T 1 651・ 222- Z (X32) T 1 651・ 262- Z (X32) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 藤平 良二 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 村上 照美 |
登録日 | 2012-05-11 |
登録番号 | 商標登録第5493399号(T5493399) |
権利者 | フルビックアシッド株式会社 |
商標の称呼 | フルビックアシッドウオーター、フルビックアシッド、フルビック、アシッドウオーター |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |
代理人 | 下田 容一郎 |