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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
審判 全部申立て  登録を維持 W10
管理番号 1277957 
異議申立番号 異議2013-900040 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-02-08 
確定日 2013-07-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5534511号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5534511号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5534511号商標(以下「本件商標」という。)は、「SINKERSUCTIONPRO」の欧文字と「シンカーサクションプロ」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成24年5月16日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同年10月4日に登録査定、同年11月9日に設定登録されたものである。

第2 本件登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいてその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第4783426号商標(以下「引用商標」という。)は、「SuctionPro」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年1月9日に登録出願、第10類「気管内挿入用カテーテル,吸引用カテーテル,吸引用カテーテルの端末閉止器具,医療用機械器具」を指定商品として、同年7月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続するものである。
2 申立人商標について
(1)申立人について
申立人は、英国ロンドンを拠点とする「スミスグループ」に属する英国法人であって、主として、医療機器の開発・製造・販売を業務とし、日本、米国、欧州、アジア、オセアニア、アフリカ諸国に拠点を構える医療機器の世界的なリーディングカンパニーである。
日本では、申立人の日本法人である「スミスメディカル・ジャパン株式会社」が窓口となって申立人の業務に係る商品を日本市場に展開している(甲第6号証の1ないし甲第8号証の2)。
(2)申立人商標「サクションプロ」及び「SuctionPro」の周知性
ア 申立人の使用商標
申立人は、日本において、遅くとも2009年(平成21年)2月より、継続して「SuctionPro」の欧文字からなる申立人商標1および「サクションプロ」の片仮名からなる申立人商標2(以下、まとめて「申立人商標」という)を「吸引用カテーテル」に使用している。
申立人商標が付された商品は、日本では2009年(同21年)2月に発売が開始され、2010年(同22年)3月には、「サクションプロ」のダブルルーメンタイプの吸引用カテーテルの発売を開始するに至っている。その結果、「サクションプロ」シリーズとして、付属部品等に至るまで様々な商品展開がなされている(甲第9号証ないし甲第14号証)。
イ 営業努力
申立人商標に係る商品「吸引用カテーテル」(以下「使用商品」という。)は、医療用器具であって正しく使用することが極めて重要であるため、申立人は、使用商品についての紹介とともに使用方法に関するセミナーを積極的に開催してきた(甲第15号証ないし甲第17号証)。
ウ 販売実績
使用商品は多くの日本の医療従事者に採用されている実績を有する。
使用商品の日本の医療機関への販売数量は、2009年(平成21年)2月の販売開始から2013年(同25年)1月までの僅か4年間において、シリーズ累計で200万本を超え、販売金額に換算すると累計約2億円もの販売実績を有するほどに評価を得ているものである。
エ 申立人の周知・著名性
使用商品は、その高い品質と信頼性及び申立人の営業努力によって、様々な医療業界新聞や医療業界誌において取り上げられた実績を有する(甲第18号証ないし甲第25号証)。
(3)まとめ
以上のとおり、申立人商標は、遅くとも本件商標の出願(平成24年5月16日)前には、「吸引用カテーテル」を示す名称として、医療関係者をはじめとする医療用機械器具の需要者・取引者に広く知られていたことが明らかである。
3 商標の類似性について
(1)本件商標について
本件商標は、欧文字「SINKERSUCTIONPRO」と片仮名「シンカーサクションプロ」が上下二段に構成されているものの、これらが一体不可分である必然性は、特段、見受けられない。したがって、各構成要素が本件商標の要部となり得る。
ここにおいて、本件商標は、それぞれ同書・同大・同間隔にて構成されているものの、欧文字16文字からなる構成は、一体不可分の造語として把握するには冗長な態様であり、同様に、カタカナ文字11文字からなる構成要素についても、ひとつの造語として理解するには冗長であると言わざるを得ない。
このことは、商標権者の本件商標に係る商品のパンフレットにおける商品名称の表示は、「SINKERSUCTIONPRO」または「シンカーサクションプロ」のいずれでもなく、「SINKER」、「SUCTION」、「Pro」の各要素の間に一文字程度のスペースが設けられた表示が用いられていることからも明らかである(甲第27号証)。
本件商標は、「SINKER」、「SUCTION」、「Pro」を並列に並べた造語というよりも、申立人の商標「SuctionPro」の有する周知性及び顧客吸引力から、医療用機械器具の需要者・取引者は、本件商標に含まれる「SUCTIONPRO」及び「サクションプロ」に強く注目し、「SINKER」と「SUCTIONPRO」とに分離して、本件商標を理解・把握すると考えられる。
してみれば、医療用機械器具の需要者・取引者が本件商標に接した場合には、本件商標から「シンカー」と「サクションプロ」との称呼が生じ、かつ、申立人である「スミスズ メディカル社」との観念を直ちに想起するものである。
(2)申立人商標について
申立人商標1「SuctionPro」は、アルファベット10文字を横一列に表してなり、申立人商標2「サクションプロ」は、片仮名7文字を横一列に表してなり、いずれの商標も、その外観から、「サクションプロ」との自然な称呼が生じる。
いずれの申立人商標も、一般的な英語辞典等には掲載されていないことから、特定の観念は想起し得ないとも考えられるが、上記2のとおり、医療用機械器具の需要者・取引者間において、申立人の業務に係る「吸引用カテーテル」を示す商標として広く親しまれていることから、申立人である「スミスズ メディカル社」との観念を想起せしめる。
(3)申立人商標に関する商標権
上記1のとおり、申立人商標1と同一の商標「SuctionPro」について商標登録がなされ(甲第26号証)、当該商標権は、現在においても有効に存続している。
(4)両商標の対比
本件商標は、「SINKER」と「SUCTIONPRO」とに分離して把握されることから、本件商標からは、「シンカー」と「サクションプロ」との称呼が生じる。すなわち、申立人商標から生じる称呼「サクションプロ」と共通する。
また、申立人商標の周知性から、本件商標に接した需要者・取引者は、申立人である「スミスズ メディカル社」を直ちに想起するものである。
したがって、本件商標は、申立人商標との関係においては、称呼・観念が共通する「類似する商標」である。
(5)商品について
申立人商標は、「吸引用カテーテル」について使用している。そして、「吸引用カテーテル」は「医療用機械器具」に属する商品である。一方、本件商標の指定商品は「医療用機械器具」である。
したがって、両商品は、互いに密接に関連するものであり、互いに相紛らわしい商標がこれらの商品に使用された場合には、需要者をして、出所の混同を招来せしめるおそれが高い。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は申立人商標と相紛らわしいほどに近似し、また、その使用に係る商品が密接に関連することから、両商標は類似するものである。
4 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、申立人の周知商標「サクションプロ」及び「SuctionPro」に類似する商標であって、その使用商品と同一又は類似する商品について使用をするものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものであるため、取り消されるべきである。
5 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標に類似するものであって、その指定商品又はこれに類似する商品に使用するものであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるため、取り消されるべきである。
6 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、これがその指定商品「医療用機械器具」に使用された場合、これに接する取引者、需要者に、申立人又はこれと緊密な関係にある営業主の業務に係る商品であることを連想、想起させ、その商品の出所について誤認混同を生じさせるものであり、ひいては、本件商標の登録が申立人の周知商標の持つ顧客吸引力へのただ乗りやその希釈化を招来するものといわなければならないから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

第3 当審の判断
1 申立人商標の著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、申立人は、1851年に設立された、英国ロンドンを拠点とする「スミスグループ」に属する英国法人であり、医療機器の開発・製造・販売を業務とする企業であること(甲7)、申立人は、商品「吸引カテーテル」に「サクションプロ」の商標を使用していること(甲8の1及び2)、日本においては、2009年(平成21年)2月に、スミスメディカル・ジャパン株式会社から「72時間まで使用可能な閉鎖式吸引カテーテル『サクションプロ』」の発売が開始されたこと(甲9)、及び2010年(同22年)3月1日から「ダブルルーメンタイプ」の使用商品も発売が開始されたこと(甲10)が認められる。
また、本件商標の登録出願前においては、第36回日本集中治療医学会(2008年(平成20年)2月26日から28日開催)における併設展示会として、申立人の使用商品が紹介されたこと(甲15)、雑誌「smartnurse」(2009vol.11no.6)、「月刊ナーシング」(Vol.29No.4 2009.4)に、使用商品が「サクションプロ」の表示とともに紹介されたこと(甲18及び甲21)、掲載日は不明であるが、医療業界新聞等において、申立人が使用商品「サクションプロ」の発売を開始したことが紹介されたこと(記事中に「発売を開始した」旨の記載があることから2009年(平成21年)2月頃の記事と推認できる。)(甲19、甲20及び甲22)が認められる。
しかしながら、申立人が、使用商品に「サクションプロ」の商標を使用していることは認められるものの、製品パンフレット(甲11及び甲12)については、その配布地域、配布先及び配布数量などの配布状況が明らかでないこと、雑誌、新聞等における使用商品の紹介の数も多いものではなく、その掲載時期も発売開始の2009年(平成21年)2月頃のものに限られ、それ以降、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても継続して宣伝、広告等をしていることを認めることができる証左の提出はない。
また、申立人は、使用商品の日本の医療機関への販売数量は、2009年(平成21年)2月の販売開始から2013年(同25年)1月までの4年間において、シリーズ累計で200万本を超え、販売金額に換算すると累計約2億円の販売実績を有する旨主張している。
しかしながら、職権による調査によれば、「2012年版カテーテル&チューブ、IVR製品市場の中期予測と関連製品の徹底分析」と称するウェブサイトにおいて、「サクションチューブ(吸引カテーテル)」の項に、市場動向:2011年度4046万本増の2億5489万本、2012年度2億6719万本強見込み、閉鎖式サクションカテーテル市場:2011年度135万本、2012年度141万本である(http://www.yano.co.jp/market_reports/C54202600)との記載があることからすると、2011年の使用商品の販売数量(79万1,200本)は、全体の1%にも満たないものであり、吸引カテーテル市場における使用商品の販売実績は決して高いものということはできないものである。
そうとすれば、提出された各号証によっては、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っていた商標と認めることはできないといわざるを得ない。
2 商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、上記第1のとおり、「SINKERSUCTIONPRO」の欧文字と「シンカーサクションプロ」の片仮名を2段に横書してなるところ、上段の欧文字部分の「SINKER」の文字が「沈める物(人)、おもり」等の意味を、「SUCTION」の文字が「吸引、吸入管」の意味を、「PRO」の文字が「professionalの略語」であって、「専門家、プロ」の意味を有する語(研究社新英和大辞典)であるとしても、それぞれの文字は同書・同大・等間隔にまとまりよく表されており、下段の「シンカーサクションプロ」の文字部分は、上段の欧文字部分の読みを表したものと認められることから、全体として一連一体の造語としてとらえるのが自然であり、殊更「SINKER」と「SUCTIONPRO」及び「シンカー」と「サクションプロ」とに分離して観察しなければならない特段の事情は見当たらない。
してみれば、本件商標は、「シンカーサクションプロ」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。
他方、申立人商標は、「SuctionPro」の欧文字、又は「サクションプロ」の片仮名からなるところ、これより「サクションプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と申立人商標との類否を検討するに、外観においては、両商標は、これらを構成する文字が相違することから相紛れるおそれはないものといえる。
また、称呼においては、本件商標から生じる「シンカーサクションプロ」と申立人商標から生じる「サクションプロ」の称呼において、両者は、語頭において「シンカー」の音の有無という顕著な差異を有するから、十分聴別することができるものであり、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、両者を比較することはできない。
そうすると、本件商標は、申立人商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものである。
さらに、申立人商標は、上記1のとおり、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記2のとおり、「SINKERSUCTIONPRO」の欧文字と「シンカーサクションプロ」の片仮名を2段に横書してなるものであるから、これより「シンカーサクションプロ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
他方、引用商標は、「SuctionPro」の文字を標準文字で表してなるところ、これより「サクションプロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標を比較するに、外観においては、両商標は、これらを構成する文字が相違することから相紛れるおそれはないものといえる。
また、称呼においては、本件商標から生じる「シンカーサクションプロ」と引用商標から生じる「サクションプロ」の称呼において、両者は、語頭において「シンカー」の音の有無という顕著な差異を有するから、十分聴別することができるものであり、観念においては、いずれも特定の観念を生じないから、両者を比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と申立人商標は、上記2及び3のとおり、非類似の商標である。
また、申立人商標は、上記1のとおり、我が国における取引者・需要者の間で広く認識されているものと認めることができないものであるから、本件商標は、商標権者がこれを本件指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者が申立人商標を連想・想起するものとはいえず、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-07-17 
出願番号 商願2012-38859(T2012-38859) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W10)
T 1 651・ 25- Y (W10)
T 1 651・ 261- Y (W10)
T 1 651・ 271- Y (W10)
T 1 651・ 263- Y (W10)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 梶原 良子
高橋 幸志
登録日 2012-11-09 
登録番号 商標登録第5534511号(T5534511) 
権利者 富士システムズ株式会社
商標の称呼 シンカーサクションプロ 
代理人 村松 由布子 
代理人 五十嵐 和壽 
代理人 杉村 憲司 

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