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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X43
審判 査定不服 観念類似 登録しない X43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X43
管理番号 1277893 
審判番号 不服2013-75 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-04 
確定日 2013-07-31 
事件の表示 商願2011-83280拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「元祖山賊なべ」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、平成23年11月18日に登録出願され、指定役務については、当審における同25年1月4日付けの手続補正書により、第43類「鍋料理を主とする飲食物の提供」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第3018418号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、「本家山賊鍋」の文字を横書きしてなり、平成4年9月11日に登録出願、第42類「定食及びアルコ-ル飲料を主とする飲食物の提供(一般食堂が提供するもの。)、宴会又は集会のための施設の提供」を指定役務として、同7年1月31日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「元祖山賊なべ」の文字からなるところ、構成中最初の「元祖」の文字は、「一家系の最初の人。ある物事を初めてしだした人。創始者。」の意味を(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)、次の「山賊」の文字は、「山中に根拠を構える盗賊。」の意味を(同)、最後の「なべ」の文字は、「鍋料理、鍋物」の意味を(同)、それぞれ有する語である。そして、「山賊なべ」の文字部分においては、該表示が特定の鍋料理を表示するものとして一般に認識される証左は見出せないものの、「山賊が作る鍋(山賊鍋)」程の意味合いとして理解される場合が少なくないと解されることから、全体としては、「山賊鍋を始めた人」程の意味合いを想起させる造語と認められるものである。
また、「元祖」の文字は、飲食物の提供との関係においては、次のアないしエの例のように、「(料理などを)最初に始めたところであるから、元祖の味や伝統の味を提供できる」程度の意味合いの誇称表示として一般に使用されているものであって、自他役務の識別機能を有さない部分といえることから、本願商標は、これを除いた「山賊なべ」の部分をもって取引に資される場合が少なくないというのが相当である。
したがって、本願商標は、全体から生ずる「山賊鍋を始めた人」の観念及び「ガンソサンゾクナベ」の称呼のほか、「山賊なべ」の文字部分より、「山賊鍋」の観念及び「サンゾクナベ」の称呼をも生じる。
ア 元祖 廻る元禄寿司 回転寿司の歴史のタイトルのもと
「(前略)創設者であり、回転寿司の生みの親、故・白石△△(元会長)がビール工場の・・・今日の回転寿司の基礎を築き上げたのが始まりでした。」の記載
http://www.mawaru-genrokuzusi.co.jp/rekishi.htm
イ 信州戸隠蕎麦処 仁王門屋のウェブサイトにおいて
「元祖そばソフトクリーム」の頁にある「当店が元祖である」の記載、また、「お店紹介」の頁にある、「(前略)今でこそ、各店舗で販売されている「そばソフトクリーム」は、当店が元祖であります。他では真似できない元祖の味も 是非ご賞味ください。」の記載
http://www.niohmonya.com/
ウ ぐるなびのウェブサイトにおいて
「元祖大東ソバ」の見出しのもと、「オーナーは南大東島の名店『大東そば』の2代目。」の記載。口コミ(2011年1月28日付け)の店頭写真では、設置されたのぼり旗に、元祖の文字を除いた「大東そば」のみの文字が表示されている。
http://r.gnavi.co.jp/3111421/
エ ぐるなびのウェブサイトにおいて
「元祖嶋田家」の見出しのもと
「創業-文久年間より深大寺そばの元祖として伝統の味を守り五代目に至っております。」の記載
http://r.gnavi.co.jp/g262000/
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「本家山賊鍋」の文字よりなるところ、「山賊鍋」の文字部分は、「本家」の文字より、4倍程度に大きくかすれを伴った太い線で顕著に書されていることから、視覚的に、この部分が分離して看取される態様となっている。また、前半の「本家」の文字は、「おおもとになる家筋。いえもと。宗家。分家から見てその分かれ出たもとの家。」の意味を(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)、次の「山賊」の文字は、「山中に根拠を構える盗賊。 」の意味を(同)、最後の「鍋」の文字は、「鍋料理、鍋物」の意味を(同)、それぞれ有する語であり、全体としては上記(1)と同様に、「山賊鍋のおおもとになる家筋」程の意味合いを想起させる造語と認められるものである。
そして、「本家」の文字が、上記意味合いにおいて、自他役務の識別機能を有さない部分といえるものであり、かつ、「山賊鍋」の文字部分が、視覚的に、顕著に書されていることからすると、引用商標に接する取引者・需要者は、「山賊鍋」の文字部分をもって取引に資する場合が少なくないというのが相当である。
したがって、引用商標は、全体から生ずる「山賊鍋のおおもとになる家筋」の観念及び「ホンケサンゾクナベ」の称呼以外に、「山賊鍋」の文字部分より、「山賊鍋」の観念及び「サンゾクナベ」の称呼をも生じる。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標との類否について検討するに、本願商標と引用商標の自他役務の識別機能を果たす部分は、上記(1)(2)のとおり、「山賊なべ」及び「山賊鍋」の文字部分にあるといい得るところ、これら文字部分において、「山賊鍋」の観念及び「サンゾクナベ」の称呼を同一にし、外観においても、「山賊」の文字を同じくし、相違する「なべ」「鍋」の文字も、仮名と漢字の文字種の差異のみであることから、近似する印象を与えるものである。
そうすると、両商標は、「山賊鍋」の観念及び「サンゾクナベ」の称呼を同一にし、外観において近似する印象を与えるものであるから、全体としては、互いに相紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。また、本願商標に係る指定役務は、引用商標の指定役務と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、「なべ」の文字が、「鍋料理」の意味を有することから、本願商標の要部は、「元祖山賊」の文字部分にあると主張する。
しかしながら、たとえ、「なべ」の文字が、鍋料理を指す部分であるとしても、上記(1)のとおり、本願商標構成中の「元祖」の文字が、指定役務が含まれる「飲食物の提供」において、誇称表示として普通に使用され、自他役務の識別標識として機能を果たさないこと、及び、本願商標の「山賊なべ」の部分についても、「(山賊が作る)山賊鍋」の意味合いとして一連一体のものと捉えられるというのが自然であることから、請求人の主張を採用することはできない。
イ 請求人は、本願商標は、「元祖」の文字を付すことにより識別力を有すると主張し、過去の登録例を示している。
しかしながら、「元祖」の文字が、上記(1)のとおり、創始者の意味合いで、誇称表示として使用され、自他役務の識別機能を有さないものであることからすると、「元祖」の文字を付すことにより、本願商標が、識別力を有する(他人と区別できる)ものになるとはいえないから、請求人の主張を採用することはできない。
さらに、請求人が提示する登録例は、いずれも本願商標とは、構成を異にする商標の事例であり、また、対比する商標において、「元祖」や「本店」以外の文字部分の共通性が本件とは異なるものであり、同一に論ずることはできない。
そして、商標の類否は、対比する商標の具体的な構成とその指定商品(役務)との関係から、個別かつ具体的に判断がなされるべきものであるから、他の登録例などの事例により本願商標の判断が左右されるものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)



審理終結日 2013-05-24 
結審通知日 2013-05-31 
審決日 2013-06-11 
出願番号 商願2011-83280(T2011-83280) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X43)
T 1 8・ 262- Z (X43)
T 1 8・ 261- Z (X43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 敦子中村 拓哉 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 冨澤 武志
梶原 良子
商標の称呼 ガンソサンゾクナベ、サンゾクナベ、サンゾク 
代理人 中前 富士男 

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