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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201215406 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30
管理番号 1276373 
審判番号 不服2012-17750 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-24 
確定日 2013-06-14 
事件の表示 商願2011-68241拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「富士山バウム」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年9月9日に登録出願されたものである。
そして、指定商品については、原審における同24年2月20日付け手続補正書により第30類「バウムクーヘン」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『富士山バウム』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『富士山』の文字は、『静岡・山梨両県の境にそびえる日本第一の高山』を意味するものであり、また、その構成中の『バウム』の文字は、バウムクーヘンの略称として一般に用いられている語と認められる。そして、富士山及びその周辺地域は我が国有数の観光地であり、本願指定商品を含め、富士山にちなんだ様々な食品が土産物等として製造・生産、販売、宣伝されている実情が窺える。そうすると、本願商標をその指定商品である『バウムクーヘン』に使用しても、これに接する取引者・需要者は、『富士山及びその周辺地域で製造又は販売されているバウムクーヘン』であると理解するにとどまり、本願商標は、単に商品の産地・販売地・品質を表示するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、「富士山バウム」の文字よりなるところ、構成文字中「富士山」の文字は「静岡・山梨両県の境にそびえる日本第一の高山」(広辞苑第6版)を表したものであるから、「富士山」と「バウム」を結合したものと容易に認識されるものである。
そして、「富士山」は我が国有数の観光地として知られているところ、一般に観光地(その周辺地域を含む。)においては、土産物用等の各種商品の包装箱、包装紙等に当該観光地の名称を、その商品の産地、販売地として表示することが普通に行われている実情があって、富士山についても、当該地及びその周辺地域で生産、販売されている各種商品について、別掲1のように「富士山」の名称を付して「富士山○○」のように普通に使用している実情がある。
また、構成文字中「バウム」の文字は、指定商品との関係では、「バウムクーヘン」を表す語として、例えば別掲2のように普通に使用されている実情がある。
そうとすれば、本願商標は、「富士山」の文字と「バウムクーヘン」を表す「バウム」の文字とを一連に表したにすぎないものであって、全体として「富士山及びその周辺地域で製造又は販売されているバウムクーヘン」の意味合いを認識させるにすぎない。
そうすると、本願商標は、商品の産地、販売地、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならない。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張
請求人は、本願商標の構成中「富士山」の文字は、「富士山及びその周辺地域」を表すものではなく、日本を代表する抽象的な山の名前として認識されるものであって、特定の地域を認識させるものではない旨主張する。
しかしながら、「富士山」は山の名称であるとしても、富士山及びその周辺地域が観光地として知られ、「富士山」の文字は、当該観光地を示すものとして普通に使用されていることからすると、これをその指定商品に使用した場合、需要者は、当該観光地を想起し、その商品について当該地域で製造、販売されたものであると認識するというべきである。
請求人は、「バウムクーヘン」は富士山及びその周辺地域の特産品であったり、富士山周辺で製造販売される菓子でもなく、バウムクーヘンと富士山とは何ら関係のないものであり、また、本願商標は、富士山及びその周辺地域で製造販売されたバウムクーヘンの名称として現実に使用されておらず、そもそも「バウム」は「木」の意味を有することからすれば、「富士山バウム」は「富士山木」の意味を有するから、該「富士山木」の意味を無視して、「富士山バウムクーヘン」の略称であると断定されるものではない旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によつて、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。(昭和60年(行ツ)第68号 昭和61年1月23日最高裁判所判決言渡)。
そして、観光地等においては、必ずしも同地が特産地といえないものを含め、様々な商品が土産品として製造、販売されているところ、「富士山バウム」は観光地としても著名な「富士山」の文字と菓子の一種(バウムクーヘンの略)として普通に使用されてれている「バウム」の文字を組み合わせてなるものであるから、仮に「富士山バウム」が現実に使用されていないとしても、前記(1)のとおり、本願商標は、その指定商品である「バウムクーヘン」に使用したときは、「富士山及びその周辺地域で製造又は販売されているバウムクーヘン」を認識させるものであるから、自他商品識別標識としての機能を有しないというべきである。
請求人は、既登録例をあげ本願商標が登録されるべきであると主張する。 しかしながら、請求人の主張している既登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張はいずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 富士山及びその周辺地域で土産用商品等の名称に「富士山」の文字が使用されている例(下線については、当合議体で付記した。)
(1)「ネットショップ 道の駅富士吉田」(山梨県富士吉田市)のウェブサイトにおいて、「お土産菓子」の見出しのもと、商品名として「富士山チョコインクッキー」、「富士山さぶれ」及び「富士山チーズタルト」の記載がある。
(http://www.fujiyoshida-omiyage.com/?mode=cate&cbid=1045313&csid=0)
(http://www.fujiyoshida-omiyage.com/?mode=cate=1045313=0=2)
(2)「富士山みはらし」(山梨県富士吉田市・富士山五合目所在)のウェブサイトにおいて、「富士山のお土産,ゆうき辛し,噴火カレー・・」の見出しのもと、「商品一覧」に商品名として「富士山ラング・ド・シャ」及び「富士山・ドロップ」の記載がある。
(http://www.fujisan3776.jp/category/8/)
(3)「有限会社かくたに」(静岡県富士宮市)のウェブサイトにおいて、「日本のお土産を富士山のまちから全国へ販売。オリジナルの富士山グッズも多数ご用意。」の見出しのもと、商品名として「富士山ドーナッツ」の記載がある。
(http://www.e-kakutani.com/?mode=cate&cbid=68383&csid=0)
(4)「世界のおみやげ屋さん」のウェブサイトにおいて、「富士山 お土産」の見出しのもと、商品名として「富士山さぶれ」の記載がある。
(http://www.e-omiyage.net/kokunai/54-07/)
(5)「フジヤマNAVI」のウェブサイトにおいて、「富士山周辺定番&人気お土産ガイド」の見出しのもと、商品名として「富士山焼酎」及び「富士山羊羹」の記載がある。
(http://www.fujiyama-navi.jp/omiyage/food/)
(6)「楽天市場」のウェブサイトにおいて、「山梨県のお土産店で人気のミルクキャラメル」の記載とともに、商品名として「ハローキティ富士山ミルクキャラメル」の記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/yamak/kity-caramel-milk/)
(7)静岡県伊豆地方の情報サイト「イズハピ」のウェブサイトにおいて、「お土産に最適!地域限定おかしコレクション」として、商品名として「富士山限定エリーゼ」の記載がある。
(http://sp.izuhapi.net/original/collection/snack/04elise.html)
(8)「富士山御土産品店 やまなしおみやげコンビニFJYS」と称するウェブサイトにおいて、「富士山土産」の見出しのもと、商品名として「富士山缶ドロップス」、「富士山和風3段(『富士山くろごま餅』『富士山ごまだれ餅』『富士山黒みつ草餅』の3セット)」及び「富士山チョコプレッツ」の記載がある。
(http://fjys.cart.fc2.com/?ca=15)
(9)「ミルクランド株式会社」(静岡県富士宮市)のウェブサイトにおいて、「牛乳・乳製品」の見出しのもと、商品名として「富士山ヨーグルト」の記載があり、また、「スイーツ」の見出しのもと、商品名として「富士山ロールケーキ」、「富士山みるくまんじゅう」、「富士山スイーツセット」、「富士山チーズケーキ」、「富士山生サブレ」の記載がある。
(http://www.fujimilkland-shop.com/shopbrand/003/O/price/)
(http://www.fujimilkland-shop.com/shopbrand/009/O/)
(10)「有限会社松永製菓」(山梨県富士河口湖町)のウェブサイトにおいて、「富士登山、富士五湖観光の思い出としてお茶受けの一品に加えていただけると幸いです。・・・そののち、丁寧に梱包し富士五湖周辺のみやげ店に出荷されています。」の記載とともに、商品名として「富士山カステラまんじゅう」の記載がある。
(http://www.navi-city.com/matsunaga-seika/manjyu.html)
(11)「ラ・ヴェルデュール木村屋」(山梨県富士河口湖町、富士吉田市)のウェブサイトにおいて、「おすすめ商品」の見出しのもと、商品名として「富士山プリン」の記載がある。
(http://www.pudding.co.jp/)
(12)「富士山オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、商品名として「富士山ようかん」、「富士山チョコレート」の記載がある。
(http://www.fujisan5.jp/store/index.html)
(13)「富士登山観光株式会社」のウェブサイトにおいて、「富士山五合目の大型観光施設 五合園レストハウス」の見出しのもと、「お土産にもどうぞ」の記載とともに、商品名として「富士山めろんぱん」の記載がある。
(http://www.fujisan5.jp/special/01.html#02)

2 商品「バウムクーヘン」に「バウム」の文字を使用している例
(1)「株式会社菓匠三全」のウェブサイトにおいて、「選りすぐりの素材、・・・・伝統のバウムクーヘン」の商品説明とともに、商品名として「伊達バウム」の記載がある。
(http://www.sanzen.co.jp/brand/baum.html)
(2)「琉球ドルチェテラス」のウェブサイトにおいて、「沖縄が香る、手作りバウムクーヘン」の商品説明とともに、商品名として「琉球バウム」の記載がある。
(http://www.ryukyu-dt.jp/e2982868.html)
(3)「くにたちセレクション」のウェブサイトにおいて、「直径15cm高さ4cmのバウムクーヘンは、お手頃価格ながら満足のいくボリューム」の商品説明とともに、商品名として「国立バウム(小)」の記載がある。
(http://select.kunitachi.jpn.com/kitchenbaum/2012/08/29/baum0002)/)
(4)「OIDE SHOP」のウェブサイトにおいて、「上品な甘さとふんわりした食感がたまらなくおいしいバームクーヘンに仕上がっています。」の商品説明とともに、商品名として「(岩手県遠野市で生まれた)遠野バウム」の記載がある。
(http://www.oideshop.com/html/tono_ba.html)
(5)「バウムクーヘン専門 CLOVEER(クローバー)」のウェブサイトにおいて、「レギュラーサイズのバウムクーヘンとミニサイズのバウムクーヘンを詰め合わせた人気セット。」の説明とともに、商品名として「cloveerギフトセット【E】広島バウム詰合せ」の記載がある。
(http://www.cloveer.net/SHOP/00G003-E1.html)


告として、提起することができます。
審理終結日 2013-03-29 
結審通知日 2013-04-05 
審決日 2013-04-18 
出願番号 商願2011-68241(T2011-68241) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X30)
T 1 8・ 13- Z (X30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 裕子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小俣 克巳
梶原 良子
商標の称呼 フジサンバウム、フジサンバーム、フジサン 
代理人 会田 恒司 

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