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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201224976 審決 商標
不服201223227 審決 商標
不服201224620 審決 商標
不服201218680 審決 商標
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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W31
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W31
審判 査定不服 外観類似 登録しない W31
管理番号 1275257 
審判番号 不服2012-20052 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-11 
確定日 2013-05-27 
事件の表示 商願2012- 2061拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「紀州・紀の国 箱入り娘」の文字を標準文字で表してなり、第31類「みかん,雑橘類」を指定商品として、平成24年1月17日に登録出願されたものである。
その後、指定商品については、原審における同年6月25日付け手続補正書及び当審における同年10月15日付け手続補正書により、最終的に、第31類「紀州産のみかん」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第1835118号商標(以下「引用商標」という。)は、「箱入り娘」の文字を書してなり、昭和58年7月14日に登録出願、第32類に属する願書に記載の商品を指定商品として、同61年1月24日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、その後、平成18年2月1日に第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」、第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知し、意見を求めた。

4 証拠調べ通知に対する意見の要旨
前記第3の証拠調べ通知に対する請求人の主な意見は、要旨以下のとおりである。
(1)google検索で「箱入り娘」を検索すれば、100万件以上ヒットすることより、「箱入り娘」は、強く支配的な印象を与えるものではなく、「紀州・紀の国」の文字部分が、単に商品の産地、販売地を表示したにすぎない部分であれば、なおさら一体不可分のものとして認識されるものである。
(2)本願商標は、既に使用され、取引者、需要者に一体のものとして知られているものであり、引用商標と出所の混同を生じるものではない。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「紀州・紀の国 箱入り娘」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「紀州・紀の国」の文字と「箱入り娘」の文字には、1文字分程度の間隔を有し、視覚的に分離した構成よりなるものである。
また、本願商標を構成する「紀州・紀の国」及び「箱入り娘」の文字とが結びついて、広く知られた熟語を形成する等、両文字を、常に不可分一体として観察しなくてはならない格段の理由は存在しないとみるのが相当である。
しかして、その構成中の「紀州」の文字が、「旧国名。大部分は今の和歌山県、一部は三重県に属する。」を意味する「紀伊国」の別称であり、また、「紀国」に通じる「紀の国」の文字が、「紀伊国」と同義であるから(いずれも「広辞苑第6版」)、本願商標を構成する「紀州・紀の国」の文字部分は、旧国名の別称と旧国名とを組み合わせた構成よりなるものである。
そして、その構成中「紀州」の文字は、現在の和歌山県の大部分を指すところ、和歌山県は、みかんの一品種を表す「紀州みかん」(大辞泉(第一版〈増補・新装版〉))に代表されるように、みかんの一大生産地として広く知られているものであるから、「紀州」の文字部分は、その指定商品との関係において、主にその地で生産又は販売されていること、すなわち、当該商品の産地、販売地を表したものと容易に認識させるものである。
また、「紀州・紀の国」又は「紀の国」の文字が、別掲の証拠調べ通知書における、インターネットに記載の情報によると、みかんをはじめ、加工果実(ジャム)について、主に和歌山県で生産又は販売された商品を表示する際、実際に使用されている事実が認められる(証拠調べ通知書中1.(1)ないし(7))。
さらに、食品分野において、例えば、「信州信濃」や「薩州薩摩」等のように、旧国名の別称と旧国名とを組み合わせて、主にその地で生産又は販売された商品であることを表示する際、一般に使用されている事実が認められる(証拠調べ通知書中2.(1)ないし(7))。
そうすると、本願商標の構成中「紀州・紀の国」の文字部分は、これに接する取引者・需要者をして、主にその地で生産又は販売されていること、すなわち、単に商品の産地、販売地を表示したものと認識させるにすぎないものであり、独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないか、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとしても、その機能は極めて弱いものである。
また、その構成中の「箱入り娘」の文字は、「大切に養いかしずいて、みだりに外へ出さない娘」(広辞苑第6版)等の意味を有するものである。
そうとすると、本願商標に接する取引者、需要者は、独立して、自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「箱入り娘」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
さらに、このことは、請求人が提出した和歌山県出身の有名な歌手の公式ファンサイト(参考資料3)においても、「紀伊・紀の国」の部分を省略して、単に「箱入り娘」と称して紹介していることからも、十分に裏づけられるものである。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体から生ずる「キシュウキノクニハコイリムスメ」の一連の称呼のほか、「箱入り娘」の文字部分に相応して、単に「ハコイリムスメ」の称呼をも生ずるものであり、また、「大切に養いかしずいて、みだりに外へ出さない娘」の観念を生じるとみるのが相当である。
一方、引用商標は、「箱入り娘」の文字を書してなり、これより「ハコイリムスメ」の称呼及び「大切に養いかしずいて、みだりに外へ出さない娘」の観念を生ずるものである。
してみると、本願商標と引用商標とは、外観において相違するところがあるとしても、「ハコイリムスメ」の称呼及び「大切に養いかしずいて、みだりに外へ出さない娘」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本願商標の指定商品である「紀州産のみかん」は、引用商標の指定商品中の「冷凍果実」及び「果実」に含まれるものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、前記4のとおり、「google検索で『箱入り娘』を検索すれば、100万件以上ヒットすることより、『箱入り娘』は、強く支配的な印象を与えるものではなく、『紀州・紀の国』の文字部分が、単に商品の産地、販売地を表示したにすぎない部分であれば、なおさら一体不可分のものとして認識されるものである。」旨主張する。
しかしながら、「箱入り娘」の語は、「大切に養いかしずいて、みだりに外へ出さない娘」等を意味する語であり、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいい得ないものであるから、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。
そして、本願商標の構成中「紀州・紀の国」の文字部分は、食品分野における取引の実情を考慮すると、当該地で生産又は販売される商品であることを認識させるにすぎないものであって、それ自体、独立して自他商品の識別標識として機能を果たさないか、果たすとしても、その機能は極めて弱いものであるから、本願商標に接する取引者・需要者は、「箱入り娘」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないこと、前記(1)のとおりである。
よって、請求人の前記主張は、採用することができない。
イ 請求人は、「本願商標は、既に使用され、取引者、需要者に一体のものとして知られているものであり、引用商標と出所の混同を生じるものではない。」旨主張する。
しかしながら、審判請求書に代わる手続補正書中の参考資料4ないし8によっては、本願商標が、テレビ番組やラジオ放送で紹介されたことがうかがえるとしても、これをもって、本願商標が常に一連一体のものとして需要者に広く認識されているとはいい難く、また、当審において職権により調査するも、そのような事実は認められないものである。
また、前記(1)で認定したとおり、本願商標は、その構成中の「紀州・紀国」の部分を省略して、「箱入り娘」の文字部分のみをもって取引に資される場合も少なくないものであるから、係る請求人の主張も採用することができない。
(3)結論
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(当審における証拠調べ通知書の要旨)
1.「紀州・紀の国」及び「紀の国」の使用事実
(1)「生活協同組合おかやまコープ」のサイト内「2009年 生協の冬ギフト」の「商品の配達について」の項に、「カタログP7掲載『有田みかん』 古くから『紀州・紀の国・みかんの国』と呼ばれ、450年の歴史を持つ産地より、早生、中生種の撰りすぐりをお届け」の記載がある。
(http://www.okayama.coop/infomation/2008/10gift.htm)
(2)「和歌山の地場産農産加工専門店『こかわや』」のサイト内「こかわやのこだわり」の項に、「紀州、紀の国、紀の川のほとり。年中果実が採れる温暖な土地です。紀の川市で生産されました、おいしい果実を使用しています。旬の果実で造りました『生ジャム』は果実の味がするジャムです、甘いばかりではありません。」の記載がある。
(http://www.kokawaya.net/products/)
(3)「果物王国 浜中屋」のサイト内「越冬みかん特集」の項に、「紀の国みかん♪5kgS?L【和歌山県産】今では希少な高糖度ミカン」の記載がある。
(http://item.rakuten.co.jp/hamanaka/10003010/)
(4)「バクタモン本舗」のサイト内「商品一覧」の項に、「紀ノ川一の職人が作る【紀の国みかん】2kg【送料無料】」の記載がある。
(http://bakutamon.jp/SHOP/63125/67476/list.html)
(5)「温州みかんドットコム」のサイト内「温州みかん 晩生『紀の国温州』」の項に、「温州みかんの晩生品種『紀の国温州(きのくにうんしゅう)』は、和歌山県果樹園芸試験場で、丹生系温州の珠心胚実生で育成した品種です。」の記載がある。
(http://onshumikan.com/02/03/post_44.html)
(6)「ぐるなび食市場」のサイト内「有田みかん・紀州うめぼし 紀伊国屋文左衛門本舗 ぐるなび食市場店」の項に、「[送料無料]有田みかん【数量限定】 濃厚品種 [紀の国(晩生)]御前(みさき)さんちの有田みかん(完熟)生産者:御前さん【5kg】ミカンの本場紀州/和歌山県有田から」の記載。
(http://shop.gnavi.co.jp/bunza/2125200805/)
(7)「紀の国 有田/早和果樹園」のサイト内「飲むみかん」の項に、「紀の国有田みかん」の記載がある。
(http://sowakajuen.com/html/nomumikan.html)

2.旧国名又は旧国名の別称を並列させて使用されている事実
(1)「佃煮・そばの東京かじの そば商品詳細」のサイト内「産地指定そば」の項に、「信州信濃そば/信濃産そば粉を使った当社の最高級そば」の記載がある。
(http://www.tokyo-kajino.co.jp/soba/07.html)
(2)「うえだがしドットコム」のサイト内「商品カテゴリー一覧」の項に、「原山製菓 信州信濃のみそせんべい 25枚 10入」の記載がある。(http://www.uedagashi.com/fs/okashi/4902467300104)
(3)「ご当地チャンネル」のサイト内「フルーツ」の項に、「鹿児島 薩州薩摩 ポンカン/南国・鹿児島の太陽の恵みをたっぷり浴びて、暖かな空気の中で育ったぽんかん。冬期の今、もっとも美味しい時期を迎えております。」の記載がある。
(http://510tch.com/%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E3%80%80%E8%96%A9%E5%B7%9E%E8%96%A9%E6%91%A9%20%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%B3/im/reLFp4q_7hU/)
(4)「ショッピング倶楽部/YAmAO」のサイト内「半生うどん」の項に、「讃州 讃岐のぶっかけうどん(半生)2人前」の記載がある。
(http://www.e-yamao.com/SHOP/006.html)
(5)「落花生・二宮 渡邉商店」のサイト内「ごあいさつ」の項に、「当店のある相州(相模の国)二宮の落花生は、味の良い落花生として、未だに、業界でも一ランク上の商品として扱われています。」の記載がある。
(http://www.rakkasei.net/aisatu.html)
(6)「G-Call」のサイト内「商品名:房州びわ」の項に、「千葉県南部の房州(安房地域)では、江戸時代の中期から“びわ”を作ってきました。」の記載がある。
(http://www.g-call.com/shopping/goods/detail.php?gdp_no=5581)
(7)「武内酒造/美濃国地酒蔵」のサイト内「商品一覧」の項に、「濃州美濃は、良質の伏流水(揖斐川)に恵まれた銘醸の地です。その優れた条件のもと、大粒の好適米“ひだほまれ”を高精白で磨き、時間をかけて手造りで醸造いたしました。本醸造を原酒のまま長期熟成させたので、まろやかな味に加え、冴えた香りと爽快な味わいがご賞味頂けます。」の記載がある。
(http://www.takeuchi-shuzo.jp/index.php/products/detail/4)

なお、下線は審判の合議体が付したものである。



審理終結日 2013-04-01 
結審通知日 2013-04-02 
審決日 2013-04-15 
出願番号 商願2012-2061(T2012-2061) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W31)
T 1 8・ 262- Z (W31)
T 1 8・ 263- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 緋呂子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大橋 良成
前山 るり子
商標の称呼 キシューキノクニハコイリムスメ、キシューキノクニ、ハコイリムスメ、キノクニ 
代理人 喜多 俊文 

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