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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z42
管理番号 1272582 
審判番号 不服2011-18040 
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-21 
確定日 2013-03-22 
事件の表示 商願2010- 74625拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「MIZUHO.NET」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第37類、第38類ないし第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、平成18年5月29日に登録出願された商願2006-49270号に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同22年9月22日に登録出願されたものである。
その後、指定役務については、原審における同23年2月16日提出の手続補正書及び当審における同23年12月26日提出の手続補正書により、最終的に、第42類「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する情報の提供,訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供,登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供,ファッション情報の提供,易占に関する情報の提供,家事の代行に関する情報の提供,装身具の貸与に関する情報の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に『MIZUHO』の文字を有してなるところ、該文字は、株式会社みずほフィナンシャルグループ(東京都千代田区丸の内2丁目5番1号所在)が、銀行子会社を含めたグループ全体として銀行業務等に使用し、遅くとも本願出願日以前より、前記グループの商標として、需要者の間に広く認識されている『MIZUHO』の文字とその綴りを同じくするものである。そうすると、本願商標を、その指定役務に使用するときは、あたかも、前記会社(株式会社みずほフィナンシャルグループ)又は同人と組織的・経済的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
当審判体は、平成24年7月19日付けの審尋書により、請求人に対し、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当する点について、本願商標を構成する「MIZUHO」の文字がみずほフィナンシャルグループの著名な表示(商標)である事実、並びに、同グループが提供する「銀行業務」等の役務と本願の指定役務中の「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する情報の提供,訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供,登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供」(以下「本件役務」という。)とは密接な関連性を有する事実を挙げて、相当の期間を指定して意見書又は手続補正書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの意見、応答もなかった。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本願商標は、「MIZUHO.NET」のピリオドを含む文字からなるところ、その構成中に「MIZUHO」の文字を含むものである。
ところで、先の審尋書において開示した以下の証拠によれば、当該「MIZUHO」の文字が、みずほフィナンシャルグループの著名な商標である事実並びに同グループが提供する「銀行業務」等の役務と本願の指定役務中の「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する情報の提供,訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供,登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供」とは密接な関連性を有する事実が認められる。

ア 「MIZUHO」の文字は、株式会社みずほフィナンシャルグループを持株会社とする総合金融グループである「みずほフィナンシャルグループ」が、その金融サービスの提供にあたり、グループ会社共通に使用され、高い認知度を得ている(周知著名性が高い)事実について

(ア)みずほフィナンシャルグループホームページ
・平成11年12月22日付け「3行統合による『みずほフィナンシャルグループ』の創設?全面的統合に関する契約の締結?」と題するプレスリリース 1頁
株式会社第一勧業銀行、株式会社富士銀行及び株式会社日本興業銀行が、平成12年秋に、株式移転の方法により共同で持株会社みずほホールディングスを設立すると共に、新しい総合金融グループの名称を「みずほフィナンシャルグループ(英文名称『Mizuho Financial Group』)」とする旨の記載。
(http://www.mizuho-fg.co.jp/company/info/pdf/19991222release_jp.pdf)
・2000年9月29日付け「株式会社みずほホールディングスの設立について」と題するプレスリリース
「株式会社第一勧業銀行(頭取 杉田力之)、株式会社富士銀行(頭取 山本惠朗)および株式会社日本興業銀行(頭取 西村正雄)(以下‘三行’)は、本日、株式移転により、完全親会社である株式会社みずほホールディングスを設立いたしました。」との記載。
(http://www.mizuho-fg.co.jp/company/info/profile/20000929release_jp.html)
・平成15年1月14日付け「『みずほフィナンシャルグループ変革のための事業再構築』に係る契約書の締結について」と題するプレスリリース 1?2頁
株式会社みずほホールディングスは、株式会社みずほフィナンシャルグループとの間で、株式会社みずほフィナンシャルグループを完全親会社とし、株式会社みずほホールディングスがその完全子会社となる株式交換契約(株式交換は平成15年3月に実施)を締結した旨の記載。
(http://www.mizuho-fg.co.jp/company/info/pdf/20030114release_jp.pdf)
・みずほフィナンシャルグループ2012年3月期「有価証券報告書」
1【主要な経営指標等の推移】の表(2頁)
グループの連結経常収益が、平成19年度:4,523,510百万円、同20年度:3,514,428百万円、同21年度:2,817,625百万円、同22年度:2,716,791百万円、同23年度:2,715,674百万円である旨の記載。
3【事業の内容】(7?8頁)
「当社は、銀行持株会社として、銀行持株会社、銀行、長期信用銀行、証券専門会社及びその他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理ならびにこれに附帯する業務を行うことを事業目的としております。」、「『みずほフィナンシャルグループ』(以下、当社グループ)は、当社、連結子会社149社及び持分法適用関連会社23社等で構成され、銀行業務を中心に、証券業務、信託業務、資産運用・管理業務などの金融サービスを提供しております。」及び「当社及び当社の主な関係会社を事業セグメント別に区分いたしますと、下記のとおりとなります。
グローバルコーポレートグループ:(株)みずほコーポレート銀行、みずほ証券(株)、みずほインターナショナル、みずほコーポレート銀行(中国)有限公司、オランダみずほコーポレート銀行、米国みずほ証券、インドネシアみずほコーポレート銀行、米国みずほコーポレート銀行、スイスみずほ銀行、みずほキャピタル・マーケッツ・コーポレーション、ジョイント・ストック・コマーシャル・バンク・フォー・フォーリン・トレード・オブ・ベトナム
グローバルリテールグループ:(株)みずほ銀行、みずほインベスターズ証券(株)、みずほ信用保証(株)、みずほファクター(株)、みずほキャピタル(株)、ユーシーカード(株)
グローバルアセット&ウェルスマネジメントグループ:みずほ信託銀行(株)、資産管理サービス信託銀行(株)、みずほ投信投資顧問(株)、DIAMアセットマネジメント(株)、(株)みずほプライベートウェルスマネジメント、ルクセンブルグみずほ信託銀行、米国みずほ信託銀行
その他:(株)みずほフィナンシャルグループ、みずほ総合研究所(株)、みずほ情報総研(株)、(株)みずほフィナンシャルストラテジー、確定拠出年金サービス(株)、(株)オリエントコーポレーション」との記載。
(http://www.mizuho-fg.co.jp/investors/financial/report/yuho_201203/pdf/fg_fy.pdf)

(イ)2001年10月12日付け日本経済新聞朝刊 7頁
「みずほが新ロゴ」の見出しのもと、「みずほフィナンシャルグループは11日、銀行営業店の看板などに使う新たなロゴ・マークを発表した。ブルーの背景に、白い字で『MIZUHO』と表示した。」との記載。

(ウ)みずほ銀行ホームページ
・通帳・キャッシュカードについて
同行が発行する通帳及びキャッシュカードに、「MIZUHO」のロゴが表示されている事実。
(http://www.mizuhobank.co.jp/start/card/index.html)
・みずほダイレクト[インターネットバンキング]
標記インターネットバンキングのログイン画面上に、「MIZUHO」のロゴが表示されている事実。
(https://web.ib.mizuhobank.co.jp/servlet/mib?xtr=Emf00000)

(エ)2011年3月2日付け日経MJ(流通新聞) 4頁
「食・ファッション海外開拓 企業のブランド活用 日本企業の世界のブランド価値総額」の見出しのもと、「日本のグローバルブランドと国内ブランドトップ10」の表中、国内ブランドとして、6位に、ブランド名の欄に「MIZUHO」及び社名の欄に「みずほ銀行」の記載。

(オ)「MIZUHO」の文字が、みずほフィナンシャルグループの著名な表示であるとの事実は、「みずほ」(登録第4930861号商標)に係る無効2009-890119号事件に対する審決取消訴訟事件の判決(知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10338号 平成23年3月3日判決言渡)においても認定されている。

イ 金融サービスと法律事務との関連性に関する事実について

(カ)2003年3月25日付け日経金融新聞 3頁
「中央三井信託銀 相談内容を問わず顧客に弁護士紹介」の見出しのもと、「中央三井信託銀行は二十四日、第二東京弁護士会と提携して顧客に弁護士を紹介するサービスを始めると発表した。」との記載。

(キ)2005年5月10日付け日本経済新聞 7頁
「買収防衛 企業に助言 価値向上策示す みずほ 銀・証・信託一体で」の見出しのもと、「みずほフィナンシャルグループは取引先の上場企業向けに、敵対的買収の防衛コンサルティングに乗り出す。」、「買収防衛に関連した助言業務は、ノウハウの豊富な外資系の証券会社や法律事務所が先行して手掛けてきた。」及び「大手銀行がグループを挙げて助言体制を築くのは、みずほグループが初めてとなる。」との記載。

(ク)2011年9月15日付け日刊工業新聞 21頁
「信託銀行・事業承継ソリューションで勝負(2)みずほ信託銀行」の見出しのもと、「みずほ信託銀は大企業を中心に無料の承継支援サービスを始め、現在は上場・非上場を問わずオーナー系の企業に対応している。支援を担うコンサルティング部は約50人で構成。公認会計士や税理士資格を持つ社員が在籍し、10年以上の実務者が大部分を占める。『専門的な人材を時間をかけて育て、財務や税務、法律など総合的な相談に応じる』(町長直幸コンサルティング部長)と力説する。」との記載。

(ケ)2006年10月13日付け日本経済新聞朝刊 7頁
「みずほ信託 『商標権』信託し担保に 法改正後、初の活用」の見出しのもと、「みずほ信託銀行は建設用仮設機材の製造販売会社の『商標権』の信託を引き受けた。その信託受益権を同じグループのみずほコーポレート銀行が融資する際の担保の一つに設定した。」及び「ソフトバンクが買収したボーダフォンの携帯電話事業を証券化するスキームでも、みずほ信託は『意匠権』の信託などで事業証券化を支援。」との記載。

(コ)金融サービスと法律事務には密接な関連性があるとの事実は、「みずほ」(登録第4930861号商標)に係る無効2009-890119号事件に対する審決取消訴訟事件の判決(知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10338号 平成23年3月3日判決言渡)においても認定されている。

ウ 小括
以上からすると、本願商標の構成中の「MIZUHO」の文字は、前記アのとおり、平成12年9月に「株式会社みずほホールディングス」の設立により発足した「みずほフィナンシャルグループ」(その後、同グループの統轄企業は、平成15年3月より「株式会社みずほフィナンシャルグループ」となり現在に至る。)が、自己のグループ会社の取扱いに係る「銀行業務」等の役務に使用して、我が国の一般世人に広く認識され周知著名性の程度が極めて高い商標と認められる「MIZUHO」の文字と共通する。また、前記イのとおり、「銀行業務」等の役務と法律事務とは密接な関連性を有する。
そうとすれば、本願商標の構成中に「MIZUHO」の語以外の「.NET」の文字等が付加されていたとしても、本願商標に接する取引者及び需要者は、本願商標の構成中「MIZUHO」の文字部分に強く印象を留め着目すると判断するのが相当であり、請求人(出願人)が、本願商標をその指定役務中、「銀行業務」等の役務と密接な関連性を有する本件役務、すなわち「工業所有権に関する手続の代理又は鑑定その他の事務に関する情報の提供,訴訟事件その他に関する法律事務に関する情報の提供,登記又は供託に関する手続の代理に関する情報の提供」に使用するときは、あたかも前記グループと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、本願の指定役務中には、過去の事件において本願商標と混同を生ずるおそれがあるとされた第36類の役務は含まれていないから、本願商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない旨、また、仮に同号に該当する役務があるとしても、それは一部の役務に過ぎず、指定役務に係る手続補正をすることにより解消できる旨、主張する。
しかしながら、前記(1)イのとおり、本件役務は、みずほフィナンシャルグループの業務と密接な関連性を有すると認められるものである。
また、この密接関連性については、前記(1)イ(コ)において示したとおり、過去の判決(知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10338号 平成23年3月3日判決言渡)においても認定されている。
さらに、当審判体は、本審決に先立ち、審尋書をもって、本件役務とみずほフィナンシャルグループの業務とが密接な関連性を有することを証拠に基づき説示し、相当の期間にわたり、意見書及び手続補正書の提出の機会を与えたにもかかわらず、請求人は、これに対し何ら応答をしていない。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
なお、本願は平成18年5月29日に登録出願された商願2006-49270号に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同22年9月22日に登録出願されたものであるが、商標登録出願の分割をすることができる期間に出願されたものではないから、本願は同規定による商標登録出願とは認められず、通常の出願として処理した。
審理終結日 2013-01-15 
結審通知日 2013-01-18 
審決日 2013-01-29 
出願番号 商願2010-74625(T2010-74625) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
冨澤 武志
商標の称呼 ミズホネット、ミズホ 

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