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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X12
審判 全部申立て  登録を維持 X12
管理番号 1269692 
異議申立番号 異議2012-900269 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-10 
確定日 2013-02-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5500028号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5500028号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5500028号商標(以下「本件商標」という。)は、「REGNOAH」の欧文字と「レグノア」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成24年1月24日に登録出願され、第12類「トレーラーハウス,住居用トレーラー,店舗用トレーラー,その他のトレーラー,自動車並びにその部品及び附属品,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,荷役用索道,陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,車椅子,船舶並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、同年5月24日に登録査定、同年6月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議申立ての理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1616952号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 「REGNO」
商品の区分及び指定商品 別掲(1)のとおり
(2)登録第1846074号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲(2)のとおり
商品の区分及び指定商品 別掲(1)のとおり
なお、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、欧文字「REGNOAH」と片仮名「レグノア」を横書きで二段に表してなるものであり、かかる態様より「レグノア」の称呼を生ずる。
他方、引用商標1は、欧文字で「REGNO」と表してなり、引用商標2は黒色で塗りつぶした正方形の中に白抜きの図形と「REGNO」の欧文字を中心に表してなるものであり、これら引用各商標からは欧文字部分の「レグノ」の称呼が生ずるものである。
本件商標と引用各商標とは、語尾の「ア」の有無に差異があり、これら商標の称呼上の差異音は、聴取され難い語尾に位置することから明瞭に発音されるものではなく、両商標をそれぞれ一連に称呼する場合には、全体として語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがある。
両商標の欧文字部分に着目すれば、「REGNO」の文字構成が共通しており、本件商標はこれに「AH」を付加したにすぎず、簡易迅速を尊ぶ商取引の現場においては、視覚に入りやすい語頭部の「REGNO」の文字に着目して本件商標を理解しようとするのが一般的であるから、本件商標と引用各商標とは、外観上も相紛らわしい類似の商標である。
そして、本件商標と引用各商標とは、その指定商品も互いに同一・類似する商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
「REGNO」は1931年に創業された申立人のタイヤブランドを表す商標として31年に亘って日本国内において「自動車用タイヤ」について広く使用され、今日に至っている(甲第4号証ないし甲第31号証)。
本件商標と引用各商標の文字部分を比較すると、「REGNO」の文字が共通し、「REGNO」はラテン語で「王者」を意味する。ラテン語は日常生活ではほとんど使用されない言語である。「最高級タイヤ」のブランドイメージにふさわしいものとして申立人が敢えてラテン語から選択した「REGNO」は創作性および独創性の高い語である。
本件商標は、「REGNO」に「AH」を付加したにすぎない。かかる差異は着目され難く、著名な商標である「REGNO」の部分を有する態様からなる本件商標に接した取引者需要者にあっては、否応なく著名商標である引用各商標を想起させるものである。
他人の著名な商標と他に文字等を結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認されている。裁判においてもかかる基準が支持され、商標「ILANCELI」が、他人の著名商標「LANCEL」の部分が認識されるとして、出所の混同のおそれがあると認定された。
申立人グループは、タイヤ関連事業を行うタイヤ部門とタイヤ以外の各種事業を行う多角化部門を有している。タイヤ部門では、乗用車タイヤを筆頭に、トラック・バス用タイヤ、建設・鉱山車両用タイヤ、産業車両用タイヤ、農業機械用タイヤ等の製造・販売を行っている。広く知られているのは自動車用タイヤの製造、販売であるが、二輪自動車用タイヤや航空機用タイヤの製造、販売等も行っている。また、多角化部門としては、自動車関連部品、ウレタンフォーム及びその関連用品、電子精密部品、工業資材関連用品、建築資材関連用品、屋根材事業、スポーツ用品、自転車等の製造・販売を行っている(甲第4号証、甲第5号証及び甲第31号証)。
本件指定商品のうち、「トレーラハウス,住居用トレーラー,店舗用トレーラー,その他のトレーラー,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」は、申立人の製造・販売に係る商品と同一・類似の商品である。
我が国の自動車保有率を勘案すれば自動車用タイヤの需要者層として、幅広い世代において膨大数のユーザーがいる。また、申立人の長年にわたる宣伝広告の結果、「REGNO」はプレミアムタイヤとして需要者に浸透し、高級セダンや高級輸入車等に装着されてきたこともあって、「REGNO」ブランドの顧客誘引力は非常に強く、需要者取引者にとっては羨望のブランドとして把握認識されている状況がある。
また、申立人グループは、ゴムの技術を生かして、各種のゴム製品、例えば、本件指定商品の「陸上の乗物用の機械要素」に含まれるゴム製の空気ばね、建築資材としての免震ゴム、産業用防振ゴム、ゴム・樹脂ホース、ゴムクローラ等の製造・販売にも力を入れている(甲第31号証)。
本件指定商品は、第12類に属する商品である。12類の商品には申立人の主力商品であるタイヤがあり、「乗物その他移動用の装置」全般に関わる商品であること、また、申立人グループの多角経営の傾向を勘案すれば、本件指定商品は、申立人の業務との関連性が高いものである。
このような事情下において、本件指定商品について本件商標を使用した場合、これに接する取引者需要者は、当該商品が申立人またはこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものである。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「REGNOAH」の欧文字と「レグノア」の片仮名とを横書きで二段に表してなるものであるところ、各段における構成各文字は、同じ書体、同じ大きさをもって、等間隔に視覚上まとまりよく一体的に表されているものでる。また、その構成中下段の「レグノア」の片仮名は、上段の「REGNOAH」の欧文字から生ずる読みを表したものと無理なく認識されるものであり、その構成全体から生ずる「レグノア」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「レグノア」の称呼を生ずるものであり、一般的な辞典等に収録されているものでもないから、特定の意味合いを有する語ということはできず、特定の観念を生じない造語というべきものである。
イ 引用商標1について
引用商標1は、「REGNO」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「レグノ」の称呼を生ずるものである。また、「REGNO」は、ラテン語で「王者」を意味するものであるとしても、我が国において、一般に「REGNO」という語が「王者」という意味で広く知られているとはいえないから、特定の観念は生じないというべきである。
ウ 引用商標2について
引用商標2は、別掲(1)のとおり、黒色で塗りつぶした正方形の中に白抜きした鳥と思しき図形と「REGNO」の欧文字を中心に表してなるものであり、その構成文字に相応して、「レグノ」の称呼を生ずるものである。また、構成中の「REGNO」の文字は、ラテン語で「王者」を意味するものであるとしても、我が国において、一般に「REGNO」という語が「王者」という意味で広く知られているとはいえないから、特定の観念は生じないというべきである。
オ 本件商標と引用各商標との類否について
本件商標及び引用各商標の構成は、上記したとおりであり、本件商標から生ずる「レグノア」の称呼と引用商標1及び引用商標2の構成中の文字部分から生ずる「レグノ」の称呼とを対比すると、両者は「レ」「グ」「ノ」の各音を共通にし、語尾音「ア」の有無に差異を有するものである。
そして、上記「レグノア」の称呼と「レグノ」の称呼とを対比すると、両者は構成音数が4音と3音とで異なるばかりでなく、語尾に位置するとはいえ、明瞭音「ア」の有無という顕著な差異を有するものである。この差異は冗長ともいえない短い称呼にあって、全体に及ぼす影響が大きく、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聞き違え、取り違えられることなく、判然と区別し得るものである。
また、本願商標と引用商標1及び引用商標2の構成中の文字部分とは、先に認定したとおり、後半の「AH」の有無において顕著な差異を有することから、外観構成において相紛らわしいものとはいえず、さらに、観念について、両商標は、いずれも特定の観念を有しないものであるから比較することができないものである。
したがって、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれよりみても、引用各商標に類似する商標であるということはできないから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 申立人の使用する「REGNO」の著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、「REGNO」は、長期にわたり乗用車用ラジアルタイヤに使用されていることが認め得るものである。しかし、申立人提出の甲第6号証ないし甲第13号証、甲第15号証ないし甲第19号証、甲第21号証ないし甲第31号証は、「REGNO」、「レグノ」に関するウェブサイトの掲載記事であり、また、甲第14号証は申立人発行の創立75周年社史及び第20号証は雑誌であるところ、該ウェブサイトの閲覧者数や掲載日、雑誌の発行部数、具体的な頒布事実(地域、数量、頒布者等)は不明である。
また、「REGNO」の宣伝広告も、甲第14号証によれば、発売当初の1981年から1983年までの3年間テレビCMがされたことは認め得るものの、本件商標の登録出願時より約30年も前のものであり、その放映回数等詳細は不明である。さらに、1984年、1990年、1995年、2000年、2003年、2005年及び2007年にテレビCMが放映されたことが窺えるものの、いずれも放映回数等詳細は不明であり、その後においてテレビCMが放映された事実を示す証拠は提出されていない。
加えて、申立人は「REGNO」ブランドのタイヤに関し、日本における2008年から2011年の出荷本数及び1本あたりの単価について述べているが、それらは自己申告によるものであって客観的なものとはいい難く、そのことを裏付ける証拠の提出もないものである。
以上の事実によれば、「REGNO」は、相当長期にわたり乗用車用ラジアルタイヤに使用されていることが認め得るとしても、申立人提出の証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時及び査定時において、「REGNO」商標が、同人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表示するものとして、我が国の需要者の間において広く認識されるに至っていた商標ということはできない。
イ 出所の混同について
本件商標と引用各商標とは、上記4(1)オの判断と同様に、外観、称呼及び観念のいずれにおいても類似しない別異の商標である。
そして、上記4(2)アのとおり、申立人の引用各商標は、本件商標の登録出願日前より使用されていたとしても、同人の業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものである。
そうとすれば、一連一体に表された本件商標の構成中に「REGNO」の文字が含まれているとしても、それをもって、本件商標が申立人と関連付けてみられるとすることはできないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)引用各商標の商品の区分及び指定商品
第6類「いかり,金属製ビット,金属製ボラード,金属製輸送用コンテナ」第9類「消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター」
第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,エアクッション艇」
第13類「戦車」
第19類「ビット及びボラード(金属製のものを除く。)」
第20類「輸送用コンテナ(金属製のものを除く。)」
第22類「ターポリン,帆」

別掲(2)引用商標2

異議決定日 2013-01-31 
出願番号 商願2012-3882(T2012-3882) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X12)
T 1 651・ 262- Y (X12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 白倉 理 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 渡邉 健司
前山るり子
登録日 2012-06-08 
登録番号 商標登録第5500028号(T5500028) 
権利者 株式会社アールイージー
商標の称呼 レグノア 
代理人 本多 一郎 
代理人 家入 健 
代理人 本多 敬子 
代理人 脇田 真希 

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