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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服20112056 審決 商標
不服201025414 審決 商標
平成24行ケ10285審決取消請求事件 判例 商標
不服20126240 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29
管理番号 1268415 
審判番号 不服2012-8163 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-07 
確定日 2012-12-21 
事件の表示 商願2011-32127拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「オルニチンのちから」及び「ORNITHINE NO CHIKARA」の文字を二段に横書きしてなり、第29類「オルニチン等のアミノ酸を主原料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・粒状・液状・カプセル状・ゼリー状又は固形状の加工食品」を指定商品として、平成23年5月11日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『オルニチンのちから』の文字と、その欧文字表記と認められる『ORNITHINE NO CHIKARA』の文字を横書き二段に普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中の『オルニチン』の文字は、健康維持増進効果・肝機能改善効能・疲労回復効能があるとされるアミノ酸の一種であり、『力』の文字は『能力。力量。実力』を意味する語と認める。また、インターネット情報によれば、いわゆる健康食品を取り扱う分野においては、健康維持増進等の効能を有する原材料を使用した商品について、当該原材料の効能、働きを表すため、原材料名と『力』の語を組み合わせて『○○の力』のように使用することが一般に行われている実情があるから、本願商標全体からは、『オルニチンの効能』程の意味合いが容易に理解される。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、該商品が『オルニチンの効能を有する商品』であることを理解させるにとどまるものとみるのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標は、前記第1のとおり「オルニチンのちから」の文字及びその読みを欧文字で表したものと認められる「ORNITHINE NO CHIKARA」の文字よりなるところ、その構成中「オルニチン(ORNITHINE)」の文字は、「塩基性α‐アミノ酸の一つ」(広辞苑第六版)を意味する語であり、「ちから(CHIKARA)」の文字は、「効能」(同)等を意味する語である「力」を平仮名及び欧文字で表記したものである。
そして、「オルニチン」は、本願指定商品との関係において、いわゆるサプリメントや各種加工食品の原材料として用いられている(「現代用語の基礎知識2011」(自由国民社発行2011年版)1096頁「オルニチン」の項に「アンチエイジングマーケットが広がりをみせる中、オルニチンを多く含む食材のシジミが注目された。・・・シジミエキスの錠剤を始め、栄養ドリンクに入れる・・・各企業がオルニチンを含んだシジミエキス商品を次々に開発した。」との記載がある。)ものであることからすれば、本願商標は、構成全体として「オルニチンの力(効能)」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
加えて、「オルニチンのちから(力)」の文字を前記意味合いを表すものとして使用することが広く一般に行われており、また、いわゆるサプリメント及び健康食品等を取り扱う業界において、アミノ酸名と「ちから(力)」の語を組み合わせて「○○(アミノ酸名)のちから(力)」のように表示することは普通一般に行われているところである。
この点については、原審説示の証拠のほか、以下(1)及び(2)のインターネット記事からも確認することができる(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)。
(1)「オルニチンのちから(力)」の使用事例
ア 「オルニチン研究会」なるウェブサイトにおいて、「オルニチンとは」の項に、「飲酒後のシジミ汁も、オルニチンの力」との記載がある(http://ornithine.jp/about/)。
イ 「詳細情報」なるウェブサイトにおいて、「NHKゆうどきネットワーク【オルニチンで疲労回復シジミ】」の項に、「NHKゆうどきネットワーク4月28日放送【疲労回復に効果!?オルニチンの力に迫る】の詳細情報です。・・・シジミに含まれるアミノ酸の一種・オルニチンは二日酔いだけでなく、疲労を回復する効果があるのでは?ということで今注目を集めています。」との記載がある(http://topicsnow.blog72.fc2.com/blog-entry-390.html)。
ウ 「酵素浴えん 心斎橋店のブログ」なるウェブサイトにおいて、「オルニチンの力」の項に、「オルニチンを摂取することによる効能・効果としては、肝臓の機能が高まって疲労回復やお酒の飲み過ぎによる二日酔いを予防してくれます」との記載がある(http://ameblo.jp/kousoyokuen/entry-11348463278.html)。
エ 「美肌マニア」なるウェブサイトにおいて、「オルニチン豊富なシジミ」の項に、「古くから滋養に役立つ健康食品として親しまれ、特に肝臓に良いことで知られるシジミ。このシジミの効果こそ、オルニチンの力と考えられます。」との記載がある(http://bihada-mania.jp/blog/1566)。
オ 「オルニチンの口コミ体験談」なるウェブサイトにおいて、「元気を取り戻し、気持ちも前向きに!」の項に、「【L-オルニチンMAX500】には、オルニチン以外にもオルニチンの力を最大限に引き出すことが出来る「カルニチン」という成分も使われている・・・」との記載がある(http://take-ornithine.net/kuchikomi/category/or-kuchikomi/)。
(2)いわゆる健康食品等の業界において「○○(アミノ酸名)のちから(力)」が使用されている事例
ア 「アルギニンの力」なるウェブサイトにおいて、「アルギニンはすごい力を持っています。私たちの美容、健康の悩みを大きく改善してくれる可能性を秘めています。」との記載がある(http://arg.sokoda.com/)。
イ 「協和発酵バイオ株式会社」のウェブサイトにおいて、商品「ペムノン(アルギニン・グルタミン含有粉末飲料)」の特徴として「“アルギニン”+“グルタミン”のちから!」との記載がある(http://www.kyowahakko-bio.co.jp/products/medical_foods/pemnon.html)。
ウ 「Daniela-Yukoのラテン的生活★」なるウェブサイトにおいて、「クレアチンのちから」の項に、「やっぱり、クレアチンのちからはすごい」との記載がある(http://ameblo.jp/daniela-yuko/entry-10475215624.html)。
エ 「株式会社MFC こだわりサプリ」なるウェブサイトにおいて、商品「飲む森林浴」の商品説明として、「『GABA』と『テアニン』の力をサポートするために、サポート成分として『バレリアン』『レモンバーム』の2種類のリラックスハーブを配合」との記載がある(http://www.mfc-shop.com/%E5%95%86%E5%93%81/%E9%A3%B2%E3%82%80%E6%A3%AE%E6%9E%97%E6%B5%B4%EF%BC%88%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%AF%BE%E7%AD%96%EF%BC%89.html)。
オ 「コスプレイヤー散財ログ」なるウェブサイトにおいて、「Lシステインの力(美白サプリ)」との記載がある(http://plaza.rakuten.co.jp/kami7a/diary/200805250000/)。

以上のとおり、本願指定商品を取り扱う業界においては、いわゆるサプリメント等について、その主たる原材料がアミノ酸であって、それがなんらかの効能を有するものであることを表す場合に、「○○(アミノ酸名)のちから(力)」というように表示することは、現在においては、広く普通に行われているものである。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に上記商品の品質、原材料又は効能を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標を構成する「オルニチン」、「ORNITHINE」、「の」及び「ちから」の文字は、様々な意味合いを有する語であり、また、「ちから」を「力」と限定すべきでないことから、本願商標全体からは、特定の観念を生じない造語である旨主張しているが、上記認定のとおり、本願指定商品を取り扱う業界において、「○○(アミノ酸名)のちから(力)」という文字構成は、ある効能を有する「○○」の文字部分を原材料とする商品について、その構成全体として効能を誇称するような場合に使用されることが普通に行われており、また、「効能」を表す語として「力」の語が使用されていることは、広く一般に知られているものであることからすれば、「ちから」の語は「力」を平仮名で書したものと容易に理解されるものである。
そうすると、本願商標に接する取引者等は、「オルニチンの効能」を有する(オルニチンを配合した)ものであること、すなわち商品の品質、原材料又は効能を表示するものとして認識するというのが相当である。
したがって、請求人のこの主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべき旨主張しているが、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであって、前記の使用例をはじめとする取引の実情からすれば、上述のとおり判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用することができない。
以上のとおり、請求人のいずれの主張も採用することができない。

3 まとめ
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は当該商品の品質、原材料又は効能を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-10-23 
結審通知日 2012-10-24 
審決日 2012-11-09 
出願番号 商願2011-32127(T2011-32127) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄豊田 緋呂子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 堀内 仁子
豊瀬 京太郎
商標の称呼 オルニチンノチカラ、チカラ 
代理人 村田 幸雄 
代理人 有阪 正昭 

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