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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X30 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X30 |
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管理番号 | 1267180 |
審判番号 | 不服2011-3674 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-02-18 |
確定日 | 2012-12-13 |
事件の表示 | 商願2010-23486拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「壺プリン」の文字を標準文字で表してなり、第30類「プリン」を指定商品として、平成22年3月26日に登録出願されたものである。 2 当審における拒絶の理由 当審において、請求人に対し、平成23年9月1日付け拒絶理由通知書をもって、要旨次の拒絶の理由を通知した。 本願商標は、「壺プリン」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「壺」の文字は、「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器。」の意味を有し、「プリン」の文字は、「カスタード‐プディング」の意味をそれぞれ有するものである。そして、下記のとおり、プリンの分野においては、「壺」を容器とする商品が取り扱われており、これらを「壺プリン」ないしは「壺入りプリン」と称している実情が認められることからすれば、本願商標に接した取引者及び需要者は、「壺プリン」の文字より「壺を容器とするカスタード‐プディング」の意味合いを容易に理解するものとみるのが相当であるから、本願商標をその指定商品中、「壺を容器とするプリン」に使用するときは、単に、商品の品質(包装の形状)を表示したものとして認識されるにすぎない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、「壺を容器とするカスタード‐プディング」以外の「プリン」に使用した場合は、同法第4条第1項第16号に該当する。 記 (1)株式会社サークルKサンクスのウェブサイト中の2011年7月19日付け「News Release」において、「■商品概要」の項目に「シェリエドルチェはちみつ壺プリン」及び「オレンジ色の壺カップを使用し、はちみつの壺をイメージしました。」の記述がある http://www.circleksunkus.jp/system/__upfile__/pressrelease/p9243.pdf (2)「農家からのおすそわけ直販サイト」のウェブサイトにおいて、「【ご贈答用】<十勝ドルチェ>ブラウンスイス乳の壺入りプリン」の記述及び壺状の容器入りのプリンの画像がある。 http://aspara.shop-pro.jp/?pid=32145459 (3)「ひばご?んチェック(^_-)-☆」と称するブログサイトにおいて、2008年1月31日付けで「レ・シューの壺入り?プリン」の記述及び壺状の容器入りのプリンの画像がある。 http://blog.goo.ne.jp/hibagon0009/e/c7abc1002eb8f04d0f07e4dc035db389 (4)「ベベ子で ございます」と称するブログサイトにおいて、2010年6月29日付けで「山屋製パン 壺入りプリン」の記述及び壺状の容器入りのプリンの画像がある。 http://ameblo.jp/bebeko3/entry-10576063304.html (5)「365日甘いもの」と称するブログサイトにおいて、2010年4月10日付けで「シェリエドルチェ メープル風味の壺プリン」の記述及び壺状の容器入りのプリンの画像がある。 http://ameblo.jp/yuuchin00/entry-10504309016.html (6)「食べログお取り寄せ」のウェブサイトにおいて、「コモディーノ(Sweet Factory-Comodino) / プレミアポットプリン 」の表題のもと、容器入りのプリンの画像とともに、「テレビ番組で取り上げられた人気のプレミアムポットプリン入れ物の壷にも惹かれて数種類お取り寄せしてみました」、「壷に入ったプリン。TV番組『メレンゲの気持ち』で大好評とのことで、1個650円でしたが思い切って注文しました。」、「容器の壷はしっかりと作ってあり、形も可愛らしいですが、実際あとで使うにも大きさが微妙であまり使い道は無い。と思うと壷代、高い。」及び「やはりこれは純粋に美濃焼の壷の価格なのかな。」の記述がある。 http://o.tabelog.com/otrdtl/975/ (7)「食べログ福井」のウェブサイトにおいて、「手作りのケーキ屋さん Little Deco (リトルデコ)」の表題のもと、「昨年オープンしたばかりのリトルデコ。オリジナルの生チョコサンド、ドームチーズ、壺プリンはサイコーにおいしいです。」の記述がある。 http://r.tabelog.com/fukui/A1802/A180201/18004065/ (8)「食べログ長野」のウェブサイトにおいて、「狼煙 諏訪店 (のろし)」の表題のもと、「壷プリン 美味しい☆ 」の記述及び壺状の容器入りのプリンの画像がある。 http://r.tabelog.com/nagano/A2004/A200404/20000617/ 3 当審における拒絶理由に対する意見 請求人は、前記2の「拒絶理由通知」に対して、平成23年10月14日付けの意見書を提出し、要旨以下の主張をしている。 本願商標は、「壺プリン」の文字からなるところ、該文字からは壺が容器の形状を示すのか、プリン自体の形状を示すのか、壺で熟成して製造したことを示すのかなどの複数の意味合いが想定されるものであるから、該文字をもって商品の直接かつ具体的な品質表示とはいい得ない。 また、請求人は自己の製造、販売するプリンの名称として「壺プリン」の文字を使用しているところ、該商品は、テレビや雑誌などの多くのメディアにおいて、大々的に紹介されていることからすれば、「壺プリン」の文字は、請求人の商品を示す名称として親しまれているものである。 以上によれば、本願商標は、自他商品の識別力を十分発揮し得るものであり、かつ、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないものであるから、商標法第3条第1項第3号又は第4条第1項第16号のいずれにも該当するものではない。 4 当審の判断 商標法第3条第1項第3号は、商標の登録に関する積極的要件ないし一般的登録要件に関する規定であって、その要件がないものについては、商標登録を拒絶すべき旨を定めたものであるから、このような要件の存否の判断は、行政処分一般の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合と同じく、特別の規定のない限り、行政処分時、すなわち、拒絶査定不服の審判においては、審決時を基準として判断されるべきである。(東京高裁平成11年(行ケ)第442号 平成12年8月29日判決言渡) そして、商標法第3条第1項第3号で規定する「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、その判断時(査定時又は拒絶査定不服の審判においては審決時)に、指定商品に関する取引者、需要者が登録出願された商標に接した場合、商品の品質を表したものと認識するのであれば、その商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するといえる。 これを本件についてみるに、本願商標は、前記1のとおり、「壺プリン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「壺」の文字は、「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器。」の意味を有し、「プリン」の文字は、「カスタード‐プディング(以下、単に「プリン」という。)の意味をそれぞれ有するものである。 そして、プリンの分野においては、前記2のほか、別掲によれば、容器として「壺」を使用した商品が多数取り扱われている事実が認められるとともに、このように容器として「壺」を使用した商品について、「壺プリン」又は「壺」の文字を平仮名で表記した「つぼプリン」と称して取引に資される事実が複数認められるところである。 そうとすれば、「壺プリン」の文字に接する需要者は、該文字より「壺を容器とするプリン」の意味合いを容易に想起するものとみるのが相当であるから、本願商標をその指定商品中、「壺を容器とするプリン」に使用するときは、上記のごとく、商品の品質(包装の形状)を表示したものとして認識し理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当であり、また、「壺を容器とするプリン」以外の「プリン」に使用した場合は、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。 なお、請求人は、「壺プリン」の文字からは、複数の意味合いが想定されるものであるから、該文字をもって商品の直接かつ具体的な品質表示とはいい得ない旨主張する。 しかしながら、上記のとおり、「プリン」を取扱う業界では、容器として「壺」を使用した商品が多数取り扱われている事実とともに、容器として「壺」を使用した商品について、「壺プリン」又は「壺」の文字を平仮名で表記した「つぼプリン」と称して取引に資される事実が複数認められることからすれば、「壺プリン」の文字に接した需要者は、「壺を容器とするプリン」の意味合いを容易に理解するとみるのが相当であるから、これを上記に照応する商品に使用するときは、単に商品の品質(包装の形状)を表示したものとして認識し理解されるものというべきである。 そして、請求人が主張するように、本願商標を付した商品「プリン」に係る需要者が壺がプリン自体を示すのか、壺で熟成して製造したことを示すのかなどを認識することを具体的に裏付ける証拠の提出はなく、仮に、該需要者が上記のように認識する場合があるとしても、上記判断を左右するものではない。 したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。 また、請求人は、甲第1号証ないし甲第14号証を提出し、「壺プリン」は請求人の商品の名称として、テレビや雑誌などの多くのメディアにおいて、大々的に紹介されているものであり、自他商品の識別力を有する旨主張する。 しかしながら、請求人の提出する上記証拠によれば、請求人の製造、販売するプリンは、「神戸フランツの壺プリン」(甲第5号証)、「神戸魔法の壺プリン」(甲第1号証及び甲第6号証)、「つぼプリン」(神戸フランツ)(甲第9号証)、「神戸フランツ 神戸魔法の壺プリン」(甲第2号証、甲第3号証及び甲第11号証ないし甲第13号証)、「神戸フランツ 六甲本店『神戸魔法の壺プリン』」(甲第14号証)のように、単なる「壺プリン」ではなく、主として、請求人の名称の略称である「神戸フランツ」又は「神戸魔法の」の文字を付加した形で取引に資されており、「壺プリン」の文字のみの使用例は、わずかに、「週刊FRIDAY」(株式会社講談社 2010年8月15日号)において、「第5位 壺プリン」(甲第8号証)と掲載されているにとどまるものである。 また、テレビにおける報道については、「『壺プリン』が紹介されたテレビ番組」の表題と共に、番組名(「ぐるナイ!(神戸恋人選びの旅で紹介)」、「おもいっきりDON!」、「とくダネ!」、「『ぷっ』すま」、「イブニングDONDON」、「UP&アップ」、「おもいっきりイイ!!テレビ」、「VVV6」、「おかえりなさ?い」及び「笑っていいとも」)、放送会社及び放送日の記載(甲第4号証)、「にんぐる」と称するブログサイトにおいて、「神戸フランツの壺プリン」の表題の下、「【このプリン(またはお店)の主な実績】VivaVivaV6(フジテレビ)の『20代OLが選んだお取り寄せプリンランキング』で第1位 」、「【このプリン(またはお店)を紹介したテレビ・ラジオ番組】『ぷっ』すま、笑っていいとも、VivaVivaV6、とくダネ!、情報ライブミヤネ屋」の記載がそれぞれ認められる(甲5号証)。 上記証拠によれば、テレビにおける報道において、「壺プリン」がどのように取り上げられたかの詳細は不明であるが、少なくとも、「『ぷっ』すま」、「笑っていいとも」、「VivaVivaV6」及び「とくダネ!」の各テレビ番組については、単なる「壺プリン」としてではなく、「神戸フランツの壺プリン」として紹介されていたものと推認される。 以上を併せみれば、請求人の取扱いに係る「プリン」は、単なる「壺プリン」ではなく請求人の名称である「神戸フランツ」又は「神戸魔法の」の文字等を付加した名称で需要者に親しまれているとみるのが相当である。 そして、上記のとおり、「プリン」を取扱う業界では、容器として「壺」を使用した商品が多数取り扱われており、また、これらの商品について、「壺プリン」又は「壺」の文字を平仮名で表記した「つぼプリン」と称して取引に資する他者の存在が複数認められることからすれば、需要者において、「壺プリン」の文字から、ただちに、請求人の製造、販売するプリンの名称として認識されるものということができない。 したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。 以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (1)「みんなの食品クチコミサイト」のウェブサイトにおいて、「マスカル 北海道 壺プリン ミルク味」の記述がある。 http://mognavi.jp/food/300854 (2)「ぐるなび京都版」のウェブサイト中の「圓」において、「なめらか壺プリン 店主自慢のプリンです。ぜひ食後のデザートにどうぞ。」の記述がある。 http://r.gnavi.co.jp/ka4v400/menu2.html (3)「ぐるなび神奈川版」のウェブサイト中の「男手料理と秘伝手羽先唐揚 寅次郎」において、「自家製壺プリン 牛乳ベースのクリーミーなプリン!口の中でとろける食感は一度食べたらやみつきに!!一日限定5食!!」の記述がある。 http://r.gnavi.co.jp/e879800/menu3.html (4)「ぐるなび東京版」のウェブサイト中の「鍋ぞう 南池袋店」において、「鍋ぞう壺プリン 口当たりなめらかで濃厚な味わいの鍋ぞうオリジナルプリンです。」の記述がある。 http://r.gnavi.co.jp/a068812/menu3.html (5)「ぐるなび茨城版」のウェブサイト中の「海鮮割烹 とんぼ 古河店」において、「とんぼ壺プリン クリーム風の焼きプリンです」の記述がある。 http://r.gnavi.co.jp/gafd800/menu5.html (6)「レッツぎふグルメ」のウェブサイト中の「のどかなロケーションで味わう『ちゃんと仕事』の洋食 キッチン スプーン」において、「特製つぼプリン・・・350円」の記述がある。 http://g.lets-gifu.com/shop/detail-737.html (7)「地域新聞ふりっぱーWeb」のウェブサイト中の「ベイクド・アルル【江別市】」において、「北海道のスイーツは全国的に人気。・・・今回セレクトしていただいたのは濃厚な『つぼプリン』、ふわふわの『雪ロール』、クッキー生地が香ばしい『北の純生シュー』の、道内産無添加生クリームが味わえるセット。遠方の方にも北海道ならではの美味しさを贈れます。」 http://www.fripper.jp/detail/index_1368.html |
審理終結日 | 2012-03-02 |
結審通知日 | 2012-03-06 |
審決日 | 2012-03-22 |
出願番号 | 商願2010-23486(T2010-23486) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X30)
T 1 8・ 13- Z (X30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 守屋 友宏 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
吉野 晃弘 末武 久佳 |
商標の称呼 | ツボプリン、ツボ |
代理人 | 小林 正樹 |