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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X32 |
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管理番号 | 1264480 |
異議申立番号 | 異議2012-900086 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-04-09 |
確定日 | 2012-10-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5461170号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5461170号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5461170号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成23年2月7日に登録出願、第32類「カーボベルデ共和国産のビール,カーボベルデ共和国産のビール風味を有する麦芽発泡酒」を指定商品として、同年12月5日に登録査定、同24年1月6日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第719759号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、2002年(平成14年)5月30日に国際商標登録出願(事後指定)、第32類「Beers.」を指定商品として、平成15年2月14日に設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 (1)申立ての根拠 本件商標は、証拠(甲1ないし甲24)から明らかなように、商標法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法43条の2第1号によって取り消されるべきものである。 (2)具体的理由 ア 引用商標の外国における著名性 引用商標の「STELLA ARTOIS」の文字は、その歴史を1366年まで遡るベルギービールの商品名である。「STELLA ARTOIS」は、約80力国で飲用され、世界で最も大量に飲まれているベルギービールの銘柄として名声を博している(甲3)。 「STELLA ARTOIS」は、申立人であるAnheuser-Busch InBev社の最重要銘柄である3つのグローバルブランドのうちの一つである(甲4)。他の2つのグローバルブランドとは、「Budweiser」と「Beck’s」である。 Anheuser-Busch InBev社は、世界のビール市場シェアの25%を占め(ベルギー市場では56%)、約300の銘柄を所有する。そして、「STELLAARTOIS」は、ベルギービールの銘柄として、「英和商品辞典(A DICTIONARY OF TRADE NAMES)」にも掲載されている(甲5)。 このように、本件商標の出願日(平成23年2月7日)前から、引用商標は申立人に係るビールの商標として使用され、外国において著名であるという事実が存する。 イ 本件商標と引用商標との対比 本件商標も引用商標も図形を主要構成とする商標であるから、文字だけからなる商標に比べ視覚に訴える効果に顕著な差がある。 一方、本件商標に係る商品「カーボベルデ共和国産のビール」等と引用商標に係る商品「ビール」は、現実の取引においては、いずれも「輸入ビール」の分野に属する。 輸入ビールの分野における本件商標と引用商標との類否判断に当たっては、厳密な対比観察は必ずしも適切ではない。 とりわけ、商標法第4条第1項第19号は、取引の実情を考慮して初めて判断が可能となる規定であるから、わが国輸入ビールの分野における本件商標と引用商標との類否を判断するに当たって微細を穿つ対比観察を重視すれば、取引の実情と乖離するおそれがある。 本件商標と引用商標とは、(ア)金色を施した数字のゼロ(0)類似の形状を主要な構成としている点、(イ)大きく左横書きした文字を表した枠、(ウ)赤色を含む星型の図形、(エ)両脇の2つのメダルが中央のメダルにごく一部重なった態様の三連のメダルがそれぞれ対応する位置に配されている点で共通する。 これらの4つの構成要素は、ビールのラベルとして必ずしも慣用されているわけではない(甲7ないし甲12)。 わが国の卸売り・仕入れサイトにおいて「赤い星が目印の国際ブランド」と「STELLA ARTOIS」が紹介されている(甲13)。このような売り文句で「STELLA ARTOIS」が輸入ビールという範躊で需要者等に販売・提供された場合、本件商標に係るビール等が「STELLA ARTOIS」と外観上相紛れるほど類似していると判断されるおそれがある。 次に、両商標の中央部に大きく左横書きされた文字を比較する。 本件商標は「STRELA」の6つのアルファベットからなり、「ST」で始まり、中間に「E」を挟んで、「LA」で終わる。 これに対し、引用商標は同一大の文字2段構成からなり、上段に「STELLA」、下段に「ARTOIS」を配する。 本件商標には引用商標下段に対応する構成を欠くが、取引の実情を含め総合的に判断すると、上述のように主要な構成のほぼ全てを共通にする本件商標は、引用商標の出所の稀釈化をもたらすほどに類似しているといわざるを得ない。 なお、本件商標は青地をベースにするのに対し、引用商標は白地(横文字部分は赤地)をベースにする点で、両者の色彩は異なる。 しかし、ビール業界では、ラベルやパッケージの色彩を異にする同じ銘柄の商品をラインアップすることはよく見られる手法である(甲15及び甲16)。 また、本件商標の文字構成から「ストレラ」の称呼が、引用商標の文字構成からは「ステラアルトワ」の称呼が生じるとみられ、両者は聴別可能と解することもできるが、図形を主とする上述のような両者の構成態様からは、外観の類似が称呼の非類似を凌駕する。 なお、日本人には馴染みのない両商標の横書きの文字部分を含む構成からは、特定の観念が生じないから、この点で両者は比較すべくもない。 ウ 不正の目的 「不正の目的」が、被申立人(登録名義人)からの自白を期待できない以上、客観的事実に基づいて判断するより他はない。 上述したように、構成要素が全て一致することは偶然では考えられない。 すなわち、本件商標の被申立人(登録名義人)が、引用商標の著名性にただ乗りする意図で本件商標を出願したとせざるを得ず、また、被申立人が本件商標を使用する結果として、申立人の「STELLA ARTOIS」の著名性が稀釈化されるおそれが大きいといわざるを得ない。 よって、本件商標を指定商品に係る輸入ビールに使用することには、本条の「不正の目的」があると結論づけられる。 エ その他 申立人は、わが国におけるブランド認知活動を精力的に行っている。 650有余年の伝統を有する「STELLA ARTOIS」に係る引用商標について永年蓄積された信用が稀釈化されるおそれを排除する利益と、使用の意思・状況が確認できない本件商標の「未必的」信用の保護を図る利益とを比較考量すれば、「業務上の信用を維持することを目的」とする商標法の趣旨(第1条)に合致するのは、引用商標の保護であることは明らかである。 オ むすび 以上のとおり、本件商標は、その出願時において外国において著名である引用商標と類似するものであり、その構成態様から引用商標の出所表示機能を稀釈化するおそれのある取引上の信義則に反する不正の目的で出願されたものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 4 当審の判断 (1)引用商標の周知著名性について 申立人が引用商標の周知著名性を立証するとして提出した証拠(甲3ないし甲6、甲13、甲14、甲19ないし甲24)は、引用商標に係るビールについてのウェブぺージ、書籍等であるが、これらの証拠によれば、引用商標に係るビールが1366年より製造されており、ベルギーの需要者において広く知られていることが窺えるものである。 そうすると、申立人の提出に係る証拠によって、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時にベルギーにおいて周知著名になっていたものというべきである。 したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、ベルギーにおいて、申立人の業務に係る商品又は役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたと認められるものである。 (2)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、紺色と山吹色とを基調としたビール瓶に貼られる楕円形のラベルの形状と思しき図形中に、上部の半円に沿って「BIERE CERVEJA BEER BIER CERVEZA」、中央に大きく「STRELA」、その下に小さく「CABO VERDE」の欧文字が白抜きで書してなるものである。 そして、本件商標においては、中央に大きく表された「STRELA」の文字部分が看者の注意を惹き、全体のラベルとしての構成、色彩等とともに印象付けられるものである。また、該「STRELA」の文字部分は、特定の意味合いを有しない造語と看取されるものであって、その構成文字に相応して「ストレラ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 一方、引用商標は、赤色と山吹色とを基調としたビール瓶に貼られる楕円形のラベルの形状と思しき図形中に、上部の半円の内側に沿って小さく「ANNO☆1366」、中央に大きく「STELLA」及び「ARTOIS」の欧文字を二段に白抜きで書してなるものである。 そして、引用商標においては、中央に大きく表された「STELLA」及び「ARTOIS」の文字部分が看者の注意を惹き、全体のラベルとしての構成、色彩等とともに印象付けられるものである。また、該「STELLA」及び「ARTOIS」の文字部分は、ベルギーのビールブランドである「ステラアルトワ(商標)」の意味合いを理解させるものであって、その構成文字に相応して「ステラアルトワ」の称呼が生じ、「(ベルギーのビールブランドである)ステラアルトワ」の観念を生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、外観において、両者は、ラベルとしての色彩及び構成並びにその構成文字の相違により判然と区別し得るものである。 称呼においては、本件商標から生ずる「ストレラ」の称呼と引用商標から生ずる「ステラアルトワ」の称呼とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないものである。 さらに、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであり、引用商標は、「(ベルギーのビールブランドである)ステラアルトワ」の観念を生じるものであるから、観念上類似するところはない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。 (3)不正の目的について 申立人の提出に係る証拠のいずれをみても、本件商標権者が本件商標を不正の利益を得る又は他人の著名商標に蓄積された信用若しくは名声にフリーライドする等の不正の目的をもって使用すると認めるに足る事実は、見いだし得ない。 (4)まとめ 以上のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、ベルギーにおいて、取引者、需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、何ら不正の目的も認められないものである。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものではない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標:色彩については原本参照) 別掲2(引用商標:色彩については原本参照) |
異議決定日 | 2012-09-26 |
出願番号 | 商願2011-7803(T2011-7803) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X32)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 渡邉 健司 |
登録日 | 2012-01-06 |
登録番号 | 商標登録第5461170号(T5461170) |
権利者 | エクアトリアル コカ・コーラ ボトリング カンパニー エセエレ |
商標の称呼 | ストレラカボベルデ、ストレラ、カボベルデ、カーボベルデ、カボ、カーボ、ベルデ、バーデ、ビエールセルベージャビアビーアセルベッサ |
代理人 | 黒瀬 雅志 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 岡野 光男 |
代理人 | 宮城 和浩 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 塩谷 信 |
代理人 | 中川 拓 |
代理人 | 秋友 徹 |