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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 X14 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 X14 |
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管理番号 | 1263005 |
審判番号 | 不服2011-19747 |
総通号数 | 154 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-13 |
確定日 | 2012-09-18 |
事件の表示 | 商願2010-58084拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は「和泉蜻蛉玉」の文字を標準文字で表してなり、第14類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年7月23日に登録出願、その後、指定商品については、当審における同24年7月3日受付の手続補正書により、第14類「蜻蛉玉を使用してなるネックレス・イヤリング・チョーカー・根付け」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『和泉蜻蛉玉』を標準文字で現してなるものであるところ、その構成中の『和泉』の文字は、指定商品との関係において、古くからガラス工芸が発達し現在でも重要な地場産業となっている『大阪府和泉市』を理解・把握させるものであるから、『和泉蜻蛉玉』の文字よりなる本願商標は全体として『大阪府和泉市で生産された蜻蛉玉』の意を認識させるにとどまるものである。そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、単に商品の品質、生産地、販売地を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号について 本願商標は、前記1のとおり、「和泉蜻蛉玉」の漢字を標準文字で表してなるものである。 ところで、大阪府和泉市は、古くからガラス工芸が発達し江戸時代には「泉州玉・さかとんぼ」と呼ばれており、現在のガラス玉の製造技術は、明治時代初期に同地に確立していたものとされている(甲8、甲10?14及び甲45ないし「和泉市観光ガイド」(財団法人和泉市産業・観光振興協会 平成22年12月発行))。なお、甲第15号証と甲第45号証は同一のものである。 そうすると、本願商標中の「和泉」は、その指定商品の主要部である「とんぼ玉」の産地、販売地を表す文字というのが相当である。 してみれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「大阪府和泉市で製造されたとんぼ玉を使用してなる商品」であると認識するにとどまるというのが相当である。 また、本願商標は、前記のとおり、普通に用いられる方法で表してなるものである。 したがって、本願商標は、その指定商品との関係において、その品質、特性を記述したものと需要者に一般に認識されるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)商標法第3条第2項について 請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項の規定により、商標登録を受けることができる旨主張し、証拠方法を提出した(甲1?46)。そこで、以下、本願商標が、商標法第3条第2項の要件を充足するか否かについて検討する。 (ア)本願商標の使用地域について 本願商標は、請求人の直営店(「山月工房」(大阪府和泉市))及びそのインターネットウェブサイト(http://izumi-tombodama.com/)において、その指定商品について使用されている。また、インターネットウェブサイト「大阪ミュージアムショップ」においても販売されている(甲46)。 そして、その商品の販売先は、請求人の直営店の所在する大阪府以外、東京都、千葉県、静岡県、三重県、埼玉県、神奈川県、福岡県、岐阜県、広島県、宮城県、香川県、鳥取県、長崎県、岩手県、新潟県、長野県、山梨県、徳島県、愛知県、滋賀県、茨城県、山形県及び沖縄県といった全国の各都県に及ぶ(甲39)。 また、請求人は、全国各地(大阪府、和歌山県、兵庫県、奈良県、広島県、東京県、千葉県、山口県、香川県、青森県、鹿児島県及び北海道)の百貨店における催事にて実演を行うなどして販売を行っているところ、本願の指定商品について本願商標と同一の構成に係る「和泉蜻蛉玉」の使用が認められる(甲7、甲16?18、甲21、甲23?27、甲29?37)。なお、提出された証拠のうち、甲第19号証と甲第27号証、甲第20号証と甲第30号証、甲第22号証と甲第32号証とは同一のものである。 さらに、請求人とその亡父のとんぼ玉の製作過程を特集したテレビ番組「掌に宿る神々 煌めきを彩る手」が関東地方を視聴エリアとする放送局(テレビ東京)から放映されたところ(平成15年)、番組内でとんぼ玉の映像とともに本願商標が表示されている(甲40)。また、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県を視聴エリアとする放送局(読売テレビ)から、請求人の直営店が紹介されたテレビ番組「ニュースTen」が放映された(平成24年2月1日)ところ、とんぼ玉を使用してなる本願の指定商品と本願商標が表示されている(甲43)。 加えて、週刊誌「女性自身(2009年9月29日・10月6日合併号)」に、本願商標と同一の構成に係る「和泉蜻蛉玉」及び本願の指定商品が掲載されている(甲44)。また、全国で購読しうる雑誌、「イグザミナ/examiner2008年7月号」に、請求人に関する記事と本願商標と同一の構成に係る「和泉蜻蛉玉」及び本願の指定商品が掲載されている(甲45)。 (イ)本願商標の使用期間について 本願商標と同一の構成に係る「和泉蜻蛉玉」について、平成7年頃から当該文字を商標として使用していると請求人が主張するところ、その使用開始時期を立証する証拠の提出はない。 しかしながら、「和泉蜻蛉玉」について、大阪府知事の指定する伝統工芸品として平成14年1月8日に指定を受けており(大阪府のインターネットウェブサイト(http://www.pref.osaka.jp/mono/seizo/dento-26.html))、また、請求人の亡父が請求人に先立って「和泉蜻蛉玉」に係る大阪府伝統工芸士として平成14年度に認定され、請求人も平成16年度(平成17年2月23日付け)に大阪府伝統工芸士に認定されている(平成22年7月26日受付け早期審査に関する事情説明補充書)。 そうすると、現在に至るまで、少なくとも10年以上にわたり、本願商標と同一の構成に係る「和泉蜻蛉玉」を付した商品が製造・販売されているものである。 (ウ)本願商標と使用商標の同一性について 実際に本願の指定商品について使用されている商標は、本願商標との対比において、外観上同視しうるものであって、商標としての同一性を損なうものではないから、本願商標が本願の指定商品について使用されているものというのが相当である。ただし、甲第28号証に係る使用商標は、「和泉とんぼ玉」であり、本願商標と文字の種類を異にするものであるから、当該書証に係る使用商標については本願商標と同一性を認めることはできない。 (エ)本願商標の指定商品と使用商品の同一性について 請求人は、本願の指定商品の主要部であるとんぼ玉の製造技能を有し、かつ、本願の指定商品を製造・販売しているから、実際に本願商標を使用している商品は、本願の指定商品と同一である。 (オ)第三者による商標の使用について 本件審決時において、本願商標を構成する「和泉蜻蛉玉」の文字を、本願の指定商品について使用する者は、請求人以外に見いだせない。 (カ)小括 前記(ア)ないし(オ)によれば、本願商標は、これが、その指定商品について使用された結果、請求人を出所とする識別標識として、需要者が認識するに至ったものというのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものというべきである。 (3)結語 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものである。 したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願の登録を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2012-09-05 |
出願番号 | 商願2010-58084(T2010-58084) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
WY
(X14)
T 1 8・ 13- WY (X14) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 半田 正人 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 内田 直樹 |
商標の称呼 | イズミトンボダマ、ワイズミセーレーダマ、トンボダマ、トンボタマ、セーレーダマ、セーレータマ |
代理人 | 特許業務法人グローバル知財 |