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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y18 |
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管理番号 | 1256440 |
審判番号 | 取消2011-300323 |
総通号数 | 150 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2012-06-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-03-24 |
確定日 | 2012-04-23 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5018418号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5018418号商標の指定商品中,第18類「皮革製包装用容器」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5018418号商標(以下「本件商標」という。)は,「セレクト」の文字と「SELECT」の文字とを二段に横書きしてなり,平成17年6月16日に登録出願,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」並びに第6類及び第20類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成19年1月19日に設定登録され,その後,本件指定商品中,第6類「金属製建具,金庫」及び第20類「ベンチ」については,その登録を取り消すべき旨の審決が確定し,その確定審決の登録が平成23年10月17日にされたものであり,その余の指定商品についての商標権は,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成23年4月18日である。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求めると申し立て,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ,証拠方法として,甲第1号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中,第18類「皮革製包装用容器」について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙号証について ア 乙第1号証(カタログ) (ア)使用商標 本件商標は,片仮名「セレクト」と欧文字「SELECT」との上下二段で表された商標であるところ,乙第1号証には,どの頁に本件商標が使用されているかについての説明はなく,また,本件商標の使用の事実はどこにも見当たらない。さらに,乙第1号証には,本件商標中の片仮名「セレクト」のみ,又は,欧文字「SELECT」のみの使用の事実すら見いだせない。 したがって,乙第1号証は,本件商標の使用の事実を裏付けるものではない。 なお,乙第1号証には「セレクトブランド」なる文字が使用されている箇所はあるが,本件商標は,上記のとおりの構成よりなる商標であるから,「セレクトブランド」の使用は,本件商標の使用には該当しない。さらに,本件商標から生じる「セレクト」の称呼は4音であるころ,「セレクトブランド」から生じる「セレクトブランド」の称呼は8音であるから,称呼において類似することがなく,本件商標と「セレクトブランド」とは,類似する商標ですらない。 したがって,この点からも,乙第1号証は,本件商標の使用の事実を裏付けるものではない。 (イ)使用商品 a.乙第1号証に掲載されている商品中,「腰袋,ペンチ・ドライバー挿し,電工ポケット,ホルスター,ツールバッグ」等は,その用途や機能などから,第18類「かばん類,袋物」と類似する「工具袋」又は「革製工具袋」等に該当する商品であって,本件請求に係る第18類「皮革製包装用容器」に含まれる商品ではない。 b.「ごみ箱」は第21類「家具類」に属する商品であり,「携帯電話ポーチ」は第9類の「携帯電話機の附属品」であるから,これらの商品も第18類「皮革製包装用容器」に含まれる商品ではない。 c.「キャリングケース(トランシーバー用)」は第9類「電気通信機械器具の附属品」であり,「キャリングケース(PC用)」は第9類「パーソナルコンピュータの附属品」である。また,「ユナイテッドケース」は,「ポリプロピレン」を材質とする収納ケースであるから,第20類「プラスチック製包装用容器」に含まれる商品であり,「図面バッグ」は第18類「かばん類,袋物」に含まれる商品である。 よって,乙第1号証には,第18類「皮革製包装用容器」に含まれる商品の掲載がない。 (ウ)したがって,乙第1号証は,本件商標を請求に係る指定商品に使用している事実を証明していない。 イ 乙第2号証(売上納品書控) 乙第2号証において確認できる商品名は,「セレクト ユナイテッドケース」及び「マーベル ツールバッグ レッド」だけであって,このうち「マーベル ツールバッグ レッド」は本件とは何ら関係ない。 また,「セレクト ユナイテッドケース」は,乙第1号証(カタログ)の227頁の「収納ケース」に掲載されている商品「ユナイテッドケース」に該当する商品であると思われるところ,かかる商品が「ポリプロピレン製」の収納ケースであることは,同頁に掲載の各商品の「材質」欄の記載から明らかであるから,「セレクト ユナイテッドケース」は「皮革製包装用容器」ではない。 したがって,乙第2号証も,本件商標を請求に係る指定商品について使用していることを証明するものではない。 ウ 乙第3号証(被請求人ホームページ) (ア)被請求人は,「乙第3号証に掲載の『セレクトブランド』には,『SELECT』との標章を付した見出しの下に『収納ケース』が掲載され,」と主張するが,かかる箇所に表されている商品は,乙第1号証(カタログ)の227頁の「収納ケース」の紹介頁に掲載の「ユナイテッドケース」であることは容易に把握できる。そして,かかる商品は,上記のとおり,第18類「皮革製包装用容器」ではない。 (イ)被請求人は,「『電工ポケット・安全サポート』のカテゴリー内には,前項に掲載の『皮革製包装用容器,かばん類,袋物類の商品』が掲載されている。」と主張する。 しかしながら,乙第3号証の右端に記載されている「商品カテゴリー」の一番下に,各種商品とは別に「セレクトブランド」のカテゴリーがわざわざ設けられていることから,本件商標が使用される可能性があるとすれば,かかる「セレクトブランド」のカテゴリー内であることは明らかであり,逆に言えば「セレクトブランド」以外のカテゴリー内の商品には,本件商標は使用されていないと考えるのが普通である。 そして,乙第3号証(2)は,その右端に記載されている「商品カテゴリー」の上から9番目のカテゴリーの商品の紹介頁であって,「セレクトブランド」のカテゴリーの商品は全く掲載されていない。その証拠に,乙第3号証(1)には「Select」の文字の記載はあるが,乙第3号証(2)にはそのような文字の記載はない。 したがって,乙第3号証も,本件商標を請求に係る指定商品について使用していることを証明するものではない。 エ 乙第4号証(商品写真) 乙第4号証が,いかなる事項の参考にすべきものか全く不明である。 オ 被請求人は,「皮革製の容器類」を製造販売していると述べているが,上記のとおり,乙第1号証ないし乙第4号証からは,そのような事実は認められない。また,仮にそのような商品の製造販売をするような場合があるとしても,乙第1号証ないし乙第4号証からは本件商標の使用の事実は見いだせない。 (2)むすび 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に,本件商標を第18類「皮革製包装用容器」について使用していたことを証明していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のとおり述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。 1 使用の事実 (1)商標の使用者 「商品総合カタログ」(乙1),「売上納品書控」(乙2)及び「道楽会.comセレクトブランド掲載頁」(乙3)のとおり,被請求人は,本件商標を現に使用している。 (2)使用に係る商品及び使用時期 ア 乙第1号証(被請求人発行の総合カタログ「MARVEL TOOLS GUIDE 2011 Vol.26」2011年1月発行)の122頁?137頁に「ポケット・安全サポート・収納ボックス」が掲載され,157頁?250頁に「セレクトブランド」がある。 (ア)126頁及び127頁には,「LEATHERシリーズ」として,「WAISTGEAR・電工ポケット」→腰袋,ペンチ・ドライバー差しの各種が多数掲載され,128頁?131頁には,特殊布・帆布+皮革併用の「WAISTGEAR・電工ポケット・ホルスター・ツールバッグ」の各種が多数掲載されている。 (イ)さらに,関連商品として,132頁及び133頁には,「ポケットバッグ・ハンディーバッグ・モールバッグ・ツールバッグ・ゴミ箱」が掲載されており,135頁には,牛皮製・ビニールクロス製の「携帯電話ポーチ」が掲載されている。 他方,「セレクトブランド」欄には,209頁に「キャリングケース(トランシーバー用)」,226頁に「キャリングケース(PC用)」,227頁の「収納ケース」には「ユナイテッドケース・図面バッグ」,240頁に「ポケット(布製)」がそれぞれ掲載されている。これらの商品は,被請求人の商品である。 イ 乙第2号証(売上納品書控:2010年6月?2011年5月発行)は,前記カタログ掲載商品が実際に流通していることを示すものである。 なお,「セレクトブランド」で出荷された商品には「セレクト」と記載されている。 ウ 乙第3号証(被請求人のホームページ「道楽会.com」)に掲載の中の「セレクトブランド」には,「SELECT」との標章を付した見出しの下に「収納ケース」が掲載され,「電工ポケット・安全サポート」のカテゴリー内には,前項に記載の「皮革製包装用容器,かばん類,袋物類の商品」が掲載されている。 以上のように,被請求人は,皮革製の容器類及び布製(殊に帆布製)の容器類その他の包装用容器類を製造販売(仕入を含む)している法人である。 これらの皮革製や帆布製のポケットや容器類は,その構造上及び使用目的上において,同一又は類似構造のものが多数存在しているのが現状である。 しかし,商品は,需要者の趣向によるところが大であるので,上記カタログに見られるように,あるものは革製とし,あるものは帆布製として,目先の変化を狙ったものもある。 したがって,現在は皮革製の商品であっても,顧客の意向に先んじて帆布製の商品に変更することがあり,また,両素材の商品を同時に展開することもある(乙1の240頁3段目に掲載の「布製ポケット(レフトポケット・ライトポケット)」)。 エ なお,乙第4号証は,乙第1号証(カタログ)227頁に掲載の「ユナイテッドケース」の品番「SE03001?3005」に関する商品写真である。 2 請求人は,「セレクトブランド」が使用されているが,本件商標は「セレクト」と「SELECT」の上下2段書きの商標であるから,「セレクトブランド」との使用は本件商標の使用には該当しないと主張している。 しかしながら,「セレクトブランド」とは「セレクト」という銘柄,商標ということであるから,これが「セレクト」の使用であることは明らかである。 また,片仮名の使用のみならず乙第3号証として提出した被請求人の会社HP「道楽会.com」においても,「セレクトブランド」掲載の各種商品に対して「salect」商標を付し,「セレクト・ファスナー」「セレクト・作業工具」「セレクト・収納ケース」として,商品の宣伝販売を行っている事実がある。 3 請求人は,「工具袋」及び「革製工具袋」は「指定商品・役務リスト」によれば第18類「かばん類、袋物」と類似する商品ではあるが,「皮革製包装用容器」に含まれる商品ではないと主張する。 しかしながら,被請求人の商品である「皮革製工具袋」が「皮革製包装用容器」に属する商品であることは明らかであり,もしそうでないとしても「皮革製包装用容器」に類似する商品の範疇に属することは明らかである。 そして,被請求人が取り扱っている多数の商品の中には,乙第1号証によって立証したように,多種の包装用容器が存在し,これらの容器中には,多種の皮革製包装用容器が存在しているのみならず,皮革以外の素材を使用した容器も多種存在しているように,その他の容器類についても需要者の動向を見定めて適宜に素材変更されるものであることは,商慣行上周知の事実である。 4 むすび 以上のとおり,被請求人は,本件商標について,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用している。 第4 当審の判断 1 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは,同条第2項の規定に基づき,被請求人が,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務について当該登録商標を使用していることを証明し,又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないところ,被請求人は,商標権者が本件商標を請求に係る指定商品に含まれる商品について使用している旨主張し,乙第1号証ないし乙第4号証を提出する。 2 そこで,本件商標が商標権者により,取消請求に係る指定商品について使用されていたか否かについて検討する。 (1)乙第1号証ないし乙第4号証によれば,以下の事実を認めることができる。 ア 乙第1号証は,その表紙の上段に「TOOLS GUIDE FOR PROFESSIONAL 2011 Vol.26」と,また,同下段に「MARVEL」と表示された商標権者の取扱いに係る商品のカタログ(2011年1月発行)と認められるところ,1頁の「目次」には,上段より,「圧着工具」,「ケーブルカッター」,「通線・入線工具」,「作業工具」,「切削工具」,「ファスナーシステム」,「ポケット・安全サポート・収納ボックス」,「車搭載用収納システム」,「測定工具」,「省力工具」,「その他便利ツール」,「セレクトブランド」と,項目別に記載されている。 (ア)同カタログの「ポケット・安全サポート・収納ボックス」(122頁?137頁)の項目中,126頁には,「WAIST GEAR LEATHERシリーズ」,「最高級牛皮シリーズ ナチュラル・ブラックタイプ 使い込むほどに味わいが増す牛皮を使用し,素材にこだわり作りました。」の文字のもと,「腰袋,ペンチ・ドライバー差し」が各種掲載されている。同項目中の127頁には,「電工ポケット」,「使い込むほどに味の出る最高級牛皮を使用。耐久性も抜群」の文字のもと,「電工ポケット,ドライバー差し,ペンチ差し」等,各種商品が掲載されている。同項目中,128頁?135頁には,ターポリン生地(ポリエステル系繊維の織物を合成樹脂フィルムで挟んだ素材)製の「腰袋,ペンチ・ドライバー差し,ツールバッグ」等,「タフロン電工ポケット」,「帆布+皮革電工ポケット」,牛皮製ないしビニールクロス製の「携帯電話ポーチ」等,工具等を収納するバッグ類が多数掲載されている。 (イ)同カタログの「セレクトブランド」(157頁?250頁)の項目中,209頁には「キャリングケース(トランシーバー用)」(素材は不明)が,226頁には「キャリングケース(PC用)」(素材は不明)が,227頁には「収納ケース」としてポリプロピレン製の「ユナイテッドケース」5種及びナイロン製「図面バッグ」が,240頁には「安全・装備」として「レフトポケット」「ライトポケット」(素材は不明)が,それぞれ掲載されている。 (ウ)なお,カタログには,前記のとおり,「目次」中に「セレクトブランド」の項目が存在するが,その他,本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている箇所は見当たらない。 イ 乙第2号証は,平成22年6月8日から平成23年5月9日を納品日とする「売上納品書控」9通であるところ,その1枚目(乙2(1))の「商品名」欄には,カタログ(乙1)の227頁に掲載されている「ユナイテッドケース」5種のうちの1つと,同じく129頁に掲載されている「ツールバッグ」が品番と共に記載されている。その他,2枚目から9枚目(乙2(2)?(9))の「商品名」欄には,カタログ(乙1)の227頁に掲載されている「ユナイテッドケース」5種のうちの1つないし3つが品番と共に記載されている。 なお,上記各「商品名」欄に記載の「ユナイテッドケース」の文字の前には,いずれも「セレクト」の文字が記載されている。 ウ 乙第3号証は,商標権者のホームページと認められるところ,右側に表示された商標権者の取扱い商品の項目は,カタログ(乙1)の目次に記載された項目とほぼ同じであるが,乙第3号証のそれには,「電子機器」及び「ボックス」の項目が付加されている。 乙第3号証(1)は,「セレクトブランド」の表示のもと,「セレクト・ファスナー」,「セレクト・作業工具」,「セレクト・電設工具」,「セレクト・延長コード」,「セレクト・収納ケース」の文字と共に商品の写真が掲載され,各商品には,いずれも赤色で表した「Select」の文字が付されている。なお,上記「セレクト・収納ケース」は,その形状から,カタログ(乙1)の227頁に掲載されているポリプロピレン製の「ユナイテッドケース(品番:SE03001)」と同一の商品と認められる。 また,乙第3号証(2)は,「電工ポケット・安全サポート」の表示のもと,「セフティロープ,ウェストギア,電工ポケット」等が掲載されている。ただし,乙第3号証(2)には,乙第3号証(1)にある「Select」の文字は表示されていない。 なお,同ホームページに上記商品が掲載された日付は明らかではなく,乙第3号証がプリントアウトされた日付は,2011年(平成23年)6月24日である。 エ 乙第4号証は,カタログ(乙1)の227頁に,「収納ケース」として掲載されたポリプロピレン製の「ユナイテッドケース」5種のそれぞれの写真5葉である。 なお,乙第4号証の撮影日は明らかではない。 (2)商品「皮革製包装用容器」について ところで,本件請求に係る指定商品である「第18類 皮革製包装用容器」を含む包装用容器は,商品の取引をするに際し,商品を包装する目的で使用される容器である。 そして,商品大辞典(1996年4月15日 第13刷発行 東洋経済新報社)の「包装用品」によれば,「包装の定義 包装とは,物品の輸送,保管などに際して,その価値および状態を保護するために適切な材料,容器などを物品に施す技術および施した状態をいい,・・・」,また,「包装の目的と機能 近代包装の目的と機能は次ぎの3つに要約される.i)流通過程で生じる物理的・化学的・生物的障害や危険(動物の危害や盗難)から内容物を保護し,品質の保全をはかるため-保護の機能,・・」との記載がある。 (3)上記(2)を踏まえ,前記(1)で認定した事実を勘案すれば,以下のとおり判断するのが相当である。 ア 商品のカタログ(乙1)に掲載された「皮革製商品」ついて カタログ(乙1)に掲載された商品中,皮革製の商品は,「腰袋,ペンチ・ドライバー差し,電工ポケット,携帯電話ポーチ」(126・127・131・135頁。以下「皮革製商品」という。)であって,工具類や携帯電話を包装するための商品ではなく,主として,工事現場等において,作業員が使用する工具などを収納する専用の袋やケース類又は携帯電話用のポーチであるから,「物品の輸送,保管などに際して,その価値および状態を保護するために適切な材料,容器」である「包装用容器」ということはできない。 また,これらの皮革製商品には,本件商標が表示されていない。 イ 商品のカタログ(乙1)の「セレクトブランド」に掲載された商品ついて カタログ(乙1)の「セレクトブランド」に掲載された商品中,「キャリングケース(トランシーバー用)」及び「キャリングケース(PC用)」(素材は不明),「図面バッグ」(ナイロン製)は,トランシーバー,PC又は図面を片付け,しまうための専用の収納ケース又はバッグといえるものであるから,上記(2)に記載の「包装用容器」ではなく,かつ,材質が不明のもの又はナイロン製のものであるから,「皮革製」のものということができない。 さらに,ポリプロピレン製の「ユナイテッドケース」も「収納ケース」であって,「包装用容器」ではなく,かつ,「皮革製」のものではない。 ウ まとめ 以上のとおり,皮革製商品と,取消請求に係る指定商品である「第18類 皮革製包装用容器」とは,商品の用途,品質,需要者,流通系統,使用の方法等において著しく相違する商品というべきであり,また,「セレクトブランド」に掲載された収納ケース又はバッグも「包装用容器」とはいえない商品であって,材質も「皮革製」のものではないことから,これらの商品は,いずれも取消請求に係る指定商品の範ちゅうには含まれない商品である。 その他,カタログ(乙1)において,「皮革製包装用容器」であると認めることができる商品は存在しない。 (4)商品のカタログ(乙1)に表示された「セレクトブランド」ついて カタログの「目次」中にある「セレクトブランド」の表示は,一体的に表されているものであって,該文字から生ずる「セレクトブランド」の称呼も無理なく一連に称呼できるものである。 そして,「セレクトブランド」の構成文字中,「セレクト」は,「選ぶ,より抜きの,極上」等の意味を有する外来語として我が国においてもよく知られている語であって,「ブランド」の文字と結合して,「精選されたブランド」,「極上のブランド」程の観念を生ずるものである。 そうとすれば,「セレクトブランド」の表示は,全体として一体的のものと把握され,認識されるとみるのが相当であって,「セレクト」の文字と「SELECT」の文字を二段に横書きにした本件商標とは,外観において同視することができない商標というべきである。 また,「セレクトブランド」の文字より生ずる「セレクトブランド」の称呼及び「精選されたブランド」,「極上のブランド」なる観念は,本件商標より生ずる「セレクト」の称呼及び「選ぶ」等の観念とは,明らかに相違するものである。 したがって,カタログ(乙1)の「目次」に表示された「セレクトブランド」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができない。 (5)売上納品書控(乙2)について 売上納品書控(乙2)は,カタログ(乙1)に掲載されたターポリン生地を使用した「ツールバッグ」(129頁)及びポリプロピレン製の「ユナイテッドケース」(227頁)について,商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内である平成22年6月8日から平成23年5月9日に,日本国内において取引した事実を明らかにする証拠と認められるところ,これらの商品は,工具類の収納バッグ・ケースであって,包装用容器の範ちゅうに含まれる商品ではなく,その素材も皮革製のものではない。 したがって,売上納品書控(乙2)をもって,商標権者が,本件審判の請求の登録前3年以内に取消請求に係る指定商品を市場に流通させたものと認めることはできない。 (6)商標権者のホームページ(乙3)について 商標権者のホームページ1枚目(乙3(1))に掲載された「セレクト・ファスナー」,「セレクト・作業工具」,「セレクト・電設工具」,「セレクト・延長コード」,「セレクト・収納ケース」は,カタログ(乙1)に掲載された商品と同様,いずれも取消請求に係る指定商品である「第18類 皮革製包装用容器」に含まれる商品ではない。 したがって,これらの商品に,「Select」の文字が表示されているとしても,「Select」の文字が取消請求に係る指定商品について使用されていることにはならない。 また,商標権者のホームページ2枚目(乙3(2))に掲載された「セフティロープ,ウェストギア,電工ポケット」等も同様に,取消請求に係る指定商品に含まれる商品ではなく,本件商標も表示されていない。 さらに,商標権者のホームページ(乙3(1)及び(2))に掲載の商品は,いつの時点において,ホームページに掲載されたのか明らかではない(プリントアウトされた日付である2011年(平成23年)6月24日は,本件審判の請求の登録(平成23年4月18日)後である。)。 なお,商標権者のホームページ1枚目(乙3(1))に表示された「セレクトブランド」は,カタログ(乙1)の目次に表示された「セレクトブランド」の表示と同様,本件商標と社会通念上同一の商標ということができない。 したがって,商標権者のホームページ(乙3(1)及び(2))は,商標権者が,本件審判の請求の登録前3年以内に,取消請求に係る指定商品について本件商標を表示して広告をしたことを明らかにする証拠とはなり得ない。 (7)収納ケースの写真(乙4)について 収納ケースの写真(乙4)は,ポリプロピレン製の「ユナイテッドケース」なる収納ケース5種のそれぞれの写真5葉であるから,該商品は,前記(3)イに記載のとおり,取消請求に係る指定商品には含まれないものである。 (8)まとめ 以上によれば,乙第1号証ないし乙第4号証に示す使用に係る商品は,いずれも取消請求に係る指定商品には含まれない商品であり,その他,本件商標ないし本件商標と社会通念上同一と認められる商標が,本件審判の請求の登録前3年以内に,取消請求に係る指定商品のいずれかについて使用されたことを認めるに足りる証拠の提出はない。 3 むすび 以上のとおり,商標権者は,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。 また,商標権者は,本件商標を使用していないことについて,正当な理由があることを明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取消請求に係る第18類「皮革製包装用容器」について取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-02-28 |
結審通知日 | 2012-03-02 |
審決日 | 2012-03-13 |
出願番号 | 商願2005-54147(T2005-54147) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y18)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邉 健司 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 末武 久佳 |
登録日 | 2007-01-19 |
登録番号 | 商標登録第5018418号(T5018418) |
商標の称呼 | セレクト |
代理人 | 加藤 和詳 |
代理人 | 西元 勝一 |
代理人 | 中島 淳 |
代理人 | 鹿島 義雄 |