• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X14182535
審判 一部申立て  登録を維持 X14182535
審判 一部申立て  登録を維持 X14182535
管理番号 1255336 
異議申立番号 異議2011-900384 
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-27 
確定日 2012-04-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5428913号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5428913号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5428913号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年2月15日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに第14類及び第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月21日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、次の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4081121号商標(以下「引用商標1」という。)は、「AN’GE」の欧文字を横書きしてなり、平成7年11月21日に登録出願、第18類「模造皮革,その他の皮革,傘(「洋傘金具」を除く。),ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同9年11月14日に設定登録され、その後、同19年11月20日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第1463310号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Ange」の欧文字を横書きしてなり、昭和50年1月27日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同56年5月30日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成13年11月28日に指定商品を第17類「絶縁手袋」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、上記2件の引用商標をまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標を構成する「Ange」は、フランス語で「天使」を意味する単語であり、「アンジュ」と称呼し(甲4)、また、「Capricieux」は、フランス語で「気まぐれな、わがままな」を意味する単語であり、「カプリシュー」と称呼する(甲5)。しかし、「Ange」も「Capricieux」も、フランス語は我が国においてそれほど普及しているとは言えず、我が国の取引者、需要者にとって、かかる本件商標の構成語は馴染みがある語とはいえないため、その称呼や観念が容易に認識できるとはいい難いものである。
したがって、本件商標は、何ら特定の観念が生じないというべきである。
本件商標は、「Ange」と「Capricieux」との間に1字程度の間隔を有するものである。そうすると、本件商標は、その構成全体の観念及び外観からみて、「Ange」と「Capricieux」とを常に一体のものとして把握、認識しなければならない特段の理由は存しない。
また、「Ange」と「Capricieux」では全体的に冗長であることも考えると、むしろ、本件商標に接した取引者、需要者は、「Capricieux」の文字部分からは、出所識別標識として記憶に残り易い語頭に位置する「Ange」の文字部分に注意をひかれ、これを「Ange」と記憶して次の取引に当たる可能性も高いといわなければならない。
したがって、本件商標は、その要部である「Ange」から、「アンジュ」という称呼が生じ、「天使」及び以下に述べる著名なアパレルブランド「AN’GE」といった観念を生じるというべきである。
イ 引用各商標について
引用各商標は、その構成より「アンジュ」との称呼が生じ、その称呼に応じて「天使」の観念及び著名なアパレルブランド「AN’GE」を想起させる。
ウ 類否について
本件商標と引用各商標とは、「Ange」の部分において共通するものであり、後に述べるように申立人が展開する国際的に著名なアパレルブランド「AN’ GE」の周知著名性を考慮すると、本件商標に接した取引者、需要者は本件商標の「Ange」部分に着目し、これより周知著名な「AN’GE」を想起し、連想する結果、両者を混同して認識するおそれは優に認められる。
そうすると、本件商標と引用各商標とは、同一又は類似の商品に使用された場合には相紛らわしく、その商品の出所について混同を生じるおそれのある類似の商標というのが相当である。
しかして、本件商標の指定商品中、第18類「傘、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、愛玩動物用被服類」は、引用商標1の指定商品「傘(「洋傘金具」を除く。)、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、愛玩動物用被服類」と同一又は類似の商品であり、第25類「被服」は、引用商標2の指定商品「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、バンダナ、保温用サポーター、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子」を包含する商品である。
そうすると、本件商標は、他人たる申立人の先願に係る登録商標である引用各商標に類似し、引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用各商標の周知・著名性
申立人は、「AN’GE」をはじめとするアパレルブランドを展開するフランス法人である。
引用各商標は、1985年から使用されてきたパリの女性向けプレタ服ブランドである(甲6)。申立人は、フランス国内に「AN’GE」の直営店を10店舗有しており、フランスをはじめヨーロッパにおいて広く知られている。
「AN’GE」ブランドは、お洒落なパリっ子のようなファッションを楽しめると同時に日本人にも受け入れやすいデザインとして日本でも非常に人気がある(甲7ないし甲10)。このような状況において、「AN’GE」ブランドは、設立からわずか26年の期間ではあるものの、申立人によるブランドのコンセプトを忠実に貫く姿勢と、そのコンセプトが流行に絶妙にマッチしたことから、世界各国の女性の注目を集め、人気を急速に獲得する結果となった。
「AN’GE」ブランドの展開する商品としては、主に女性用のスカート、ワンピース、ニット、シャツ等の被服及び下着等であり、毎年シーズンごとに新作商品を発表している(甲11ないし甲14)。我が国においても、「AN’GE」ブランドの商品がインターネット等により多数紹介されていることから、その人気度がうかがい知れる(甲15ないし甲23)。
また、申立人は、フランス国内外の直営店の販売だけにとどまらず、インターネットを経由した通信販売にも積極的に取り組んでいる(甲24)。
以上より、申立人は、「AN’GE」をブランド名として採用し、その設立から現在に至る26年間使用した結果、現在では、「AN’GE」は、日本やフランスをはじめ世界各国の取引者及び需要者の間で申立人に係る商品を示すものと認識されている。
イ 引用各商標の独創性
引用各商標は、上述の構成からなるところ、引用商標2については「Ange」の文字からなり、フランス語で「天使」を意味する既成語ではあるが、引用商標1については、「AN」と「GE」の文字の間に「’」を有し、申立人による造語商標であるため、その独創性・識別性は極めて高いというべきである。
ウ 本件商標と引用各商標の類似性の程度
本件商標と引用各商標とを対比すると、前半の「Ange」の部分において共通するものであり、申立人が展開する国際的な女性向けプレタ服ブランド「AN’GE」の世界的名声及び周知著名性を考慮すれば、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標の「Ange」から周知著名な「AN’GE」を想起し、連想する結果、両者を混同して認識するおそれは優に認められる。
エ 本件商標の指定商品と引用各商標の使用商品との関連の程度、商品等の取引者及び需要者の共通性
本件商標の指定商品は、前記第1のとおりであり、引用各商標が使用される商品は、それぞれ、第18類「模造皮革、その他の皮革、傘(「洋傘金具」を除く。)、ステッキ、つえ、つえ金具、つえの柄、乗馬用具、愛玩動物用被服類」及び第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、和服、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、バンダナ、保温用サポーター、マフラー、耳覆い、ずきん、すげがさ、ナイトキャップ、ヘルメット、帽子」であるから、いずれもかばん類及び被服という点で密接な関連性があり、取引者・需要者の共通性は極めて高い。
オ 小括
上記のように引用各商標は、申立人の取扱いに係る被服等に使用されて、日本を含む世界各国で多大な注目を集め、高い人気を博している「AN’GE」ブランドに使用される商標として、高い周知著名性を確立している。そして、本件商標は「Ange」の文字部分を要部とするものであり、引用各商標と非常に相紛らわしく、類似性の程度の極めて高い商標である。また、本件商標の指定商品と引用各商標の使用する商品は、同一又は類似の商品であり、非常に高い関連性を有している。
そうすると、「Ange」の文字部分を要部とする本件商標が使用された本件指定商品に接した取引者、需要者は、本件商標の構成中の「Ange」の文字部分に着目し、申立人の周知著名なブランド「AN’GE」を想起、連想し、あたかも申立人の関連会社の商標、若しくは、著名な「AN’GE」ブランドと関連があるとの印象を抱くというべきあり、商品の出所について需要者等が誤認混同する可能性が極めて高い。
以上の要素を総合的に勘案すれば、本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、これに接する取引者、需要者は、これが、申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品ではないかと、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上に述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2の規定により、その登録が取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲のとおり、「Ange Capricieux」の欧文字を横書きしてなるところ、「Ange」と「Capricieux」の各文字部分は、1文字程度の空白を空けていずれも手書き風の同じ書体、同じ大きさをもって外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
ところで、本件商標の構成中、前半の「Ange」の文字は、「天使」(甲4)の意味を有し、また、その構成中の「Capricieux」の文字は、「気まぐれな,移り気な,わがままな」(甲5)を意味するフランス語であり、その構成文字から「気まぐれな天使」の意味合いを認識、把握させるものである。
そして、本件商標は、その構成文字全体に相応して生じる「アンジュカプリシュー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
これに対して、申立人は、フランス語は、我が国ではそれほど普及していないから、本件商標は、その称呼及び観念を容易に生じない旨主張する。
しかし、申立てに係る指定商品を取り扱う、いわゆるファッションに関連する分野では、英語のほか、フランス語からなる商標が取引上普通に使用されている実情にあるといえるから、「Ange」と「Capricieux」の各文字からなる本件商標に接する取引者、需要者は、これをフランス語からなるものと理解し、上記認定のとおり、「気まぐれな天使」の観念及びこれをフランス語読みした「アンジュカプリシュー」の称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないというのが相当である。
また、申立人は、本件商標に接した取引者、需要者は、周知著名な「AN’GE」を想起、連想し、出所の混同を生ずる旨主張する。
しかし、後述のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録査定時において、引用各商標が我が国の需要者の間に広く認識されていたとみることができないから、本件商標から引用各商標を連想、想起するといえない。
以上によれば、本件商標は、外観上一体的に表現され、その称呼も特段冗長ではないから、一連一体にみられるものであり、観念上も「気まぐれな天使」という観念を生じるものであるから、これを「Ange」と「Capricieux」の各文字部分の結びついた結合商標としてみた場合にあっても、「Ange」の文字部分がその余の「Capricieux」の文字部分より看者の注意をひくように強調されて表されていないものであるから、該「Ange」の文字部分は、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえない。
したがって、本件商標は、その構成中の「Capricieux」の文字部分を捨象し、「Ange」の文字部分だけを、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されないというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「アンジュカプリシュー」の一連の称呼のみを生じ、「気まぐれな天使」の観念を生じるものである。
イ 引用各商標について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「AN」と「GE」の欧文字の間に「’」(アポストロフィ)を配してなるところ、申立人の提出に係る証拠にかんがみれば、「アンジュ」の称呼を生ずるものであるが、特定の観念を有しないものである。
引用商標2は、前記2(2)のとおり、「Ange」の欧文字を横書きしてなるところ、該文字は、フランス語の「天使」(甲4)の意味を有する成語であるから、「アンジュ」の称呼及び「天使」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)外観
本件商標と引用商標とは、別掲及び前記1並びに2のとおりの構成からなるものであるから、時と所を異にして観察しても外観上互いに相紛れるおそれがなく十分区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標は、前記アのとおり、「アンジュカプリシュー」の称呼を生ずるものであり、引用各商標は、前記イのとおり、「アンジュ」の称呼を生ずるものであるから、両称呼は、「アンジュ」の音を共通にするとしても、末尾部分において「カプリシュー」の音の有無の顕著な差異を有するから、称呼上互いに相紛れるおそれがなく十分聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標は、前記アのとおり、「気まぐれな天使」の観念を生ずるものであり、引用商標1は、前記イのとおり、特定の観念を有さないものであり、引用商標2は、「天使」の観念を生ずるものであるから、観念については、本件商標と引用商標1とは、比較することができず、本件商標と引用商標2とは、区別し得るものである。
(エ)取引の実情
本件商標と引用各商標とは、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとみるべき取引の実情を見いだせない。
(オ)小括
以上によれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても何ら相紛れるおそれはなく、これらを同一又は類似の商品に使用したとしても、その商品の出所の混同を生ずるおそれがあるとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、引用各商標のほか「an’ge」の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「引用使用商標」という。)は、主に商品「婦人服」についてインターネットのウェブサイトにおいて、「アンジュ」の読みをもって紹介されている事実が認められる。
しかし、本件商標の登録出願前と認められるウェブサイトはわずかに3件(甲7、甲14、甲19)のみであり、その他のものは、本件商標の登録査定後かあるいは掲載時期が不明である。
してみると、引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に一定程度知られていたとしても、広く認識されていたということができない。
そして、引用使用商標は、前記(1)の場合と同様に十分に区別し得る別異の商標というべきである。
そうすると、本件商標と引用使用商標の類似性の程度、引用使用商標の周知著名性等を総合的に判断するならば、本件商標は、その指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者をして、申立人に係る引用使用商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標


異議決定日 2012-04-04 
出願番号 商願2011-9911(T2011-9911) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (X14182535)
T 1 652・ 263- Y (X14182535)
T 1 652・ 271- Y (X14182535)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎白鳥 幹周 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 大塚 順子
末武 久佳
登録日 2011-07-29 
登録番号 商標登録第5428913号(T5428913) 
権利者 株式会社ジャヴァホールディングス
商標の称呼 アンジェカプリシュー 
代理人 田中 景子 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ