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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X35
管理番号 1253701 
異議申立番号 異議2011-900298 
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-08-12 
確定日 2012-02-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5411523号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5411523号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5411523号商標(以下「本件商標」という。)は、「kashwere」(なお、最初の「e」の文字にはアクサンテギュが付されている。本件商標及び申立人が引用する商標において以下同じ。)の文字及び「カシウエア」の片仮名を二段に書してなるものであり、平成22年10月19日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,せっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,歯磨きの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,芳香剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,消臭剤(身体用及び工業用のものを除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身体用消臭剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,縫いぐるみその他の人形の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ろうそくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成23年3月29日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の登録商標を所有している。
ア 登録第4531495号商標
商標「KASHWERE」
指定商品 第23類「糸」
出願日 平成13年3月2日(優先日)
登録日 平成13年12月21日
イ 登録第4577587号商標
商標「KASHWERE」
指定商品 第24類「室内装飾用品用布地,その他の布地,毛布,クッションカバー,まくらカバー,ひざ掛け,カーテン,テーブル掛け,ベッドカバー」
出願日 平成13年9月19日
登録日 平成14年6月14日
(2)申立人は、上記(1)で引用する「KASHWERE」に対応する外国商標として、アメリカ合衆国を初めとして諸外国で商標登録を取得しており(甲4の1ないし甲5の10)、これらの商標登録のうち、アメリカ合衆国及びカナダ国における商標登録においては、国際分類第25類に属する商品として位置付けられる「被服」等を指定商品とする登録となっている(甲4の1ないし甲4の3、甲5の4)。
このような状況の下、本件商標の登録について、不正競争防止法第2条第1項第15号の規定に照らしながら、その登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してなされたものである点を述べることとする。
不正競争防止法第2条第1項には不正競争行為が列挙されているが、その中には「パリ条約の同盟国等において、商標権に相当する権利を有する者の代理人等が、正当な理由がなく、かつ、その権利を有する者の承諾を得ないで、その権利に係る商標と同一又は類似する商標をその権利に係る商品・役務と同一又は類似の商品・役務に使用する行為」が挙げられている。(同項第15号)。この規定は、パリ条約第6条の7の規定を受けて成り立つものであるが、ここで規定する要件との関係において、以下で考察することとする。
ア 上述のように、申立人会社にあっては、パリ条約の同盟国たるアメリカ合衆国を初めとして諸外国で「KASHWERE」という商標について商標登録を取得しており、このような状況より、申立人会社は、「KASHWERE」という商標に関し、「商標権に相当する権利を有する者」に当たることは明らかである。
イ 次に、本件商標権者たる「株式会社シリウスコーポレーション」についてみると、我が国においては、申立人会社の製品の唯一の正規代理店として「株式会社フラット ビー」(以下「フラット ビー」という。)という会社があり(甲6、甲7)、「株式会社シリウスコーポレーション」は、申立人会社の製品の我が国における総販売元として位置づけられる会社である(甲8)。
このような状況に照らすと、本件商標権者は、「KASHWERE」という商標との関係では、申立人会社(「商標権に相当する権利を有する者」)の製品についての我が国における販売代理人として位置づけられる会社であるといえる。
ウ 加えて、本件商標中の「KASHWERE」の欧文字は、上記「商標権に相当する権利」に係る商標「KASHWERE」と同じ構成態様を採っており、両者はその称呼たる「カシウエア」の称呼を同じくするものであるとともに、本件商標に係る指定役務は、前記アメリカ合衆国及びカナダ国における商標登録に係る指定商品と類似する役務と位置づけられるものである。
エ 更には、本件商標権者は、申立人会社の製品についての我が国における総発売元(販売代理人)であるという立場にすぎないにもかかわらず、正当な理由がなく、かつ、申立人の承諾を得ることなく、本件商標を出願し、商標登録を取得しているものである。
このようにして登録された本件商標について、本件商標権者が商標権者として、その商標を使用する場合には、不正競争防止法第2条第1項第15号に規定する「不正競争行為」を構成することとなり、取引の公正が害されることになるのは明らかである。
(3)上述の諸点、更には、パリ条約第6条の7の規定、商標法第53条の2の規定をも勘案したときには、本件商標登録が容認されるということは、国際信義に反するものであり、ゆえに、本件商標は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であるにもかかわらず、その登録がなされたものである。
したがって、本件商標は、申立人会社の所有に係る引用商標等の関係において、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであり、その登録は、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録を受けることができないと規定している。
ここでいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号参照)。
申立人は、本件商標を本件商標権者が使用する場合には、不正競争防止法第2条第1項第15号に規定する「不正競争行為」を構成することとなり、取引の公正が害されることになることは明らかであり、パリ条約第6条の7の規定、商標法第53条の2の規定をも勘案したときには、本件商標登録が容認されるということは、国際信義に反するものであることを理由に、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当すると主張するものである。
そこで、上記観点から、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するものであるか否かについて検討する。
(2)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、「KASHWERE」の文字からなる商標について、我が国において、登録第4531495号商標(指定商品及び役務の区分(以下同じ。)第23類 甲2)及び登録第4577587号商標(第24類 甲3)を有しているほか、アメリカ合衆国(登録第2381854号 第25類 甲4の1)、同(登録第2772010号 第24類及び25類 甲4の2)、同(登録第2989622号 第25類 甲4の3)、アルゼンチン国(登録第1905653号 第24類 甲5の1)、オーストラリア国(登録第888895号 第24類 甲5の2)、ブラジル国(登録第824098137号 第24類 甲5の3)、カナダ国(TMA666256号 ブランケット、被服等の商品) 甲5の4)、中国(登録第1992779号 第24類 甲5の5)、欧州共同体(登録第2387553号 第23類・第24類 甲5の6)、香港(登録第03390号 第24類 甲5の7)、メキシコ国(登録第748389号 第24類 甲5の8)、ノルウエー国(登録第214266号 第24類 甲5の9)、台湾(登録第1023657号 第24類 甲5の10)において、商標登録されている。なお、これらの出願日は、いずれも本件商標の登録出願日前である。
イ 甲第6号証は、カシウェア コンフォーツ エル.エル.シー.(KASHWERE COMFORTS,LLC)と東京所在のフラット ビー カンパニー(FLAT BECO.,LTD.)間の契約書形式の書面であり、前者の商品について、後者を日本国及び韓国における独占販売業者とする旨の記載があるが、契約日及び当事者の署名はないものである(なお、申立人は上記書面について署名前のものであると述べている。)。
ウ 甲第7号証は、2010年1月1日に締結された、申立人(ライセンサー)と米国イリノイ州所在の「カシウェア コンフォーツ エル.ピー.(ライセンシー)間の「織物類の独占的商標ライセンス契約」であり、(ア)ライセンサーは、寝具類等の商品(許諾製品)に係る商標「KASHWERE」の日本での使用をライセンシーに許諾すること、(イ)ライセンシーはライセンシーの許諾地域(日本)における独占販売業者であるフラット ビー カンパニー リミテッド(フラット ビー)(又は独占、非独占のいかんを問わず販売を継承した者)を通じて許諾製品を販売すること、(ウ)ライセンサーは、許諾地域におけるフラット ビー以外の製品をホスピタリティに関する販売に限り、引き続き販売することを認められること、に合意する内容であり、また、「フラット ビーとの契約」について、フラット ビーとカシウェア コンフォーツ エル.エル.シー.との間における2006年6月5日付けの日本における許諾製品のフラット ビーによる販売についての独占販売契約が2008年のカシウェア関連会社の再編に伴って、ライセンシーに譲渡されたこと、フラット ビーがカシウェアアットホームストアを通じてインターネット及びアウトレット小売り販売によって、日本において許諾製品を独占的に販売することを確認する内容である。
エ 甲第8号証は、2011年11月13日にプリントアウトされた「kashwere Japan(カシウエア ジャパン)と題するウェブサイトの会社概要のページであり、会社名として「株式会社シリウスコーポレーション」、住所として「東京都港区南青山5-14-8 T・K GREEN HILL B」(商標権者の住所「・・・南青山三丁目18番4号 」とは異なる。)が記載されており、「about Kashwere(カシウエアについて)」のページには、「Kashwere(カシウエア)は、1999年アメリカ・ロサンゼルスにてPate Seltzerによって素材開発・商品化がなされました。」、「日本においては株式会社フラット ビーを国内唯一の正規代理店として2006年12月に青山店をオープンし、株式会社シリウスコーポレーションを総販売元として初めて展開することになりました。」、「Kashwereの特長 ・100%Kashwere(ポリエステル100%)」等の記載がある。
(3)以上によれば、カシウェア コンフォーツ エル.エル.シー.とフラット ビーとの間で2006年に日本におけるKashwereに係る製品(以下「kashwere製品」という。)の独占販売契約がなされ、当該契約については、2008年の申立人ら関連会社の再編に伴い、申立人に譲渡されたことが認められ(甲6、甲7)、商標権者(商標権者の住所と甲第8号証に記載の「株式会社シリウスコーポレーションの住所とは、「丁目」以下の部分において相違するものの同一人であると推認できる。)のウェブサイトには、日本においてはフラット ビーがkashwere製品の国内唯一の正規代理店であり、商標権者が総販売元である旨の記載がされている。
しかしながら、申立人、カシウェア コンフォーツ エル.エル.シー.、カシウェア コンフォーツ エル.ピー.(以上3者をいうときは「申立人ら」という。)、フラット ビーと商標権者の関係を示すものは、当該ウェブページの写しのみであり、実際に、申立人らによるkashwere製品の販売の実情、申立人らとフラット ビー及び商標権者の間においてどのような契約が成され、どのような取引が行われていたかなども明らかでなく、商標権者が本件商標についてどのような経緯で出願したものであるかは、提出された証拠のみでは皆目不明である。
加えて、本件商標は、第35類のいわゆる小売等役務を指定役務として登録がなされているものであるが、申立人の所有する登録商標は、米国を初めとする諸外国における登録商標はいずれも第24類等の区分に属する商品を指定商品とするものであり、同一の商品(役務)を指定するものではない。
このような事実にかんがみると、申立人の提出した証拠によっては、当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当するとすべき事実は認められないし、ほかに、本件商標の登録が、国際信義に反するとする事情があるとまでは認めることはできない。
その他、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するとすべき事情は見当たらない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2012-02-14 
出願番号 商願2010-81545(T2010-81545) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (X35)
最終処分 維持  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 瀧本 佐代子
豊瀬 京太郎
登録日 2011-05-13 
登録番号 商標登録第5411523号(T5411523) 
権利者 株式会社シリウスコーポレーション
商標の称呼 カシウエア、カッシュウエア 
代理人 岡部 正夫 
代理人 加藤 智恵 
代理人 安形 雄三 
代理人 岡部 讓 
代理人 本宮 照久 

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