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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3035
管理番号 1251774 
異議申立番号 異議2011-900238 
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-07-08 
確定日 2012-01-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5402677号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5402677号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5402677号商標(以下「本件商標」という。)は,「Intelligentsia」の欧文字と「インテリゲンチア」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり,平成22年11月4日に登録出願,第30類「チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパン,茶,茶飲料,コーヒー及びココア」及び第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる飲食料品の広告,チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによるチューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの広告,茶・茶飲料・アイスティー・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・茶飲料・アイスティー・コーヒー及びココアの販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる茶・茶飲料・アイスティー・コーヒー及びココアの広告,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告」を指定商品及び指定役務として,同23年2月28日に登録査定,同年4月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第26号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)周知性について
ア 申立人の概要
申立人は,アメリカ合衆国イリノイ州法に基づいて1995年(平成7年)に設立された,同州のシカゴ市に本店を有する会社である。申立人は,主に,アメリカ合衆国内において,いわゆる「スペシャルティコーヒー」の製造及び販売を行っており,スペシャルティコーヒーを,他の業者(主に,アメリカ合衆国及びカナダのスーパーマーケット等の小売業者,レストラン及びコーヒーバー等,合計約1200社)に卸売りしている他,申立人自身が経営する小売店(現在は,シカゴ市内に3店舗,カリフォルニア州ロサンゼルス市近郊に3店舗)において,スペシャルティコーヒーを消費者に直接販売している。さらに,申立人は,アメリカ合衆国以外にも,日本,大韓民国,オーストリア,オーストラリア,ブラジル等の諸外国において,主にインターネットを通じて,スペシャルティコーヒーを販売している(甲第1号証)。
イ 申立人の営業規模
申立人の,2004年(平成16年)から2010年(平成22年)までの各年の純売上高は,甲第1号証及び甲第2号証のとおりであり,2011年(平成23年)の申立人の純売上高(見込額)は,合計約27,700,000米ドルで,このうち,小売店舗における純売上高(見込額)は,約9,000,000米ドルであり,約4,100,000米ドルがスペシャルティコーヒーの販売による売上高である。
また,2011年(平成23年)の,他の業者(約1200社)への卸売りによる純売上高(見込額)は約17,000,000米ドルである。このうち約14,500,000米ドル(85%)がスペシャルティコーヒーの販売による売上高である。さらに,申立人は,インターネットを通じてコーヒーを販売しており,2011年(平成23年)の,インターネットを通じた売上高(見込額)は約1,700,000米ドルである(甲第1号証)。 なお,全米においてスペシャルティコーヒーのコーヒー店舗チェーンを展開しているタリーズコーヒー(Tully’s Coffee。会社名:TC Global, Inc.)の,2011年(平成23年)3月期における純売上高は38,268,000米ドルであり(甲第5号証),申立人の2011年(平成23年)の純売上高(見込額)である27,700,000米ドルは,タリーズコーヒーの売上高と比較しても遜色の無い金額である。
ウ 申立人による商標の使用状況
申立人は,遅くとも1996年(平成8年)7月以降,「INTELLIGENTSIA」の欧文字からなる標章,「Intelligentsia」の欧文字からなる商標,及びこれらと図形等との結合からなる別掲のとおりの標章(以下,これらをまとめて「申立人商標」という。)を使用して,スペシャルティコーヒーの製造・販売等の事業を行っている(甲第1号証及び同号証に貼付の別紙1)。
また,申立人商標は,申立人の会社名(Intelligentsia Coffee & TeaInc.)の一部を構成する,申立人のハウスマークである。申立人が他の業者に卸売りし,あるいはインターネットを通じて販売する商品には,申立人商標が付されている(甲第1号証及び同号証に貼付の別紙1)。
また,申立人が経営する小売店舗,申立人のウェブサイト(甲第2号証及び同号証に貼付の別紙7),申立人の宣伝広告(甲第1号証及び同号証に貼付の別紙2)等においても,申立人商標が用いられている。
さらに,申立人の事業およびコーヒー製品は,アメリカ合衆国における新聞・雑誌等の各種メディアにおいて頻繁に取り上げられており,申立人は,アメリカ合衆国で最高品質のスペシャルティコーヒーを提供する業者として,高い評価を受けている(甲第2号証及び同号証に貼付の別紙12ないし57並びに甲第3号証及び同号証に貼付の別紙1ないし30)。前述のとおり,申立人商標は,申立人の会社名(Intelligentsia Coffee & Tea,Inc.)の一部を構成するものであり,各種メディアが申立人について言及するときは,通常,「Intelligentsia」の語が用いられている。
エ 小活
以上のとおり,申立人商標は,本件商標の出願当時,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,少なくともアメリカ合衆国における需要者の間に広く認識されていたものである。
(2)申立人商標と本件商標の類似性
本件商標は,その構成中,「インテリゲンチア」は「Intelligentsia」の称呼であるから,「Intelligentsia」及び「インテリゲンチア」のいずれもが独立して本件商標の要部となるものである。
これに対し,申立人商標は,「INTELLIGENTSIA」又は「Intelligentsia」の欧文字からなるものであるから,本件商標の要部である「Intelligentsia」とは,同一又は類似であることは明らかである。
したがって,本件商標は,申立人商標と類似の商標である。
(3)商標権者の不正の目的
商標権者は,申立人商標のアメリカ合衆国における周知性に便乗してこれを不正に利用しようとする目的(不正の利益を得る目的),あるいは,申立人の日本における事業を妨害し,申立人から何らかの経済的利益を不当に引き出そうとする目的(他人に損害を与える目的)で,本件商標について商標出願し,商標登録を受けたものであり,本件商標は不正の目的をもって使用するものである。
ア 本件商標の登録出願は,申立人に無断でなされたものであり,申立人は,商標権者に対し,本件商標の登録出願をし,あるいは本件商標を使用することを,何ら許諾していない。
イ 商標権者は,申立人商標が申立人の商品又は役務を表示するものであることを熟知しながら,申立人が申立人商標について商標登録を受けていないことを奇貨として,申立人商標とほぼ同一の商標について商標登録を受ける目的で,本件商標について商標出願を行い,登録を受けたものである。
ウ 商標権者は,2009年(平成21年)から2011(平成23年)にかけて,日本及び大韓民国において,「INTELLIGENTSIA」,「STUMPTOWN」及び「Zoka」の各語を含む商標について,コーヒー及びこれに関連する商品又は役務を指定商品又は指定役務として,多数の商標出願を行っている。
他方,「INTELLIGENTSIA」,「STUMPTOWN」及び「Zoka」の語は,いずれも,アメリカ合衆国において需要者の間に広く認識されているコーヒー業者(申立人,Stumptown Inc.及びBabcock & Bereglund L.L.C.(Zoka Coffee Roaster & Tea Company))の商品又は役務を示す標章である。
このように,商標権者は,アメリカ合衆国において需要者の間に広く認識されている各コーヒー業者が使用する各商標とほぼ同一の商標について,日本及び大韓民国において商標登録を取得しようとして,2009年(平成21年)から2011(平成23年)という比較的短期間の間に,多数の商標出願を行ったものである。このような,商標権者の出願にかかる各商標が,偶然にも,各コーヒー業者が使用する各商標とほぼ同一の商標であった可能性は,およそ皆無であるといわざるを得ない。
商標権者が,アメリカ合衆国において需要者の間に広く認識されている各コーヒー業者が使用する商標(申立人商標を含む)について熟知しながら,これらをいわば「狙い撃ち」にして,各業者が日本及び大韓民国において各商標の登録を受けていないことを奇貨として,各商標とほぼ同一の商標について商標登録を受ける目的で,日本及び大韓民国で商標出願を行ったものであることは,極めて明白であるといわざるを得ない。
エ 本件商標の指定商品中,「チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパン,茶,茶飲料,コーヒー及びココア」のうち,「コーヒー」は,現に申立人が製造・販売する商品である。また,「茶,茶飲料,ココア」は,嗜好品の飲料であるという点で「コーヒー」と共通し,さらに,「チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパン」は,喫茶店等でコーヒーその他の飲料とともに提供され得る商品であり,いずれも申立人が取り扱う商品と密接に関連するものである。
オ 本件商標の指定役務のうち,「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,コーヒーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,現に申立人が提供する役務である。
また,「飲食料品の販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる飲食料品の広告,チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,チューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによるチューインガム・キャンデー・チョコレート・その他の菓子及びパンの広告,茶・茶飲料・アイスティー・ココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・茶飲料・アイスティー・コーヒー及びココアの販売の取次又は仲介,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる茶・茶飲料・アイスティー・コーヒー及びココアの広告,コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告」は,申立人が現に取り扱う商品又はこれらと密接に関連する商品に関する役務であるか,あるいは,申立人の提供する役務と密接に関連する役務であり,いずれも申立人の商品又は役務と密接に関連するものである。
カ 以上のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務は,いずれも,申立人の商品及び役務と密接に関連するものであり,申立人が今後,それらに関連する事業に進出したとしても何ら不自然でないものである。
キ また,前述のとおり,商標権者は,申立人商標が申立人の商品又は役務を表示するものであることを熟知しながら,申立人が申立人商標について商標登録を受けていないことを奇貨として,申立人商標とほぼ同一の商標について商標登録を受ける目的で,本件商標について商標出願を行い,登録を受けたものである。
したがって,商標権者が,本件商標をその指定商品及び指定役務に使用し,それらの商品が申立人と何らかの関連性があると需要者に誤認させることで,商標権者の事業に需要者の目を向けさせ,それによって顧客獲得等の経済的な利益を得ようとする等,申立人商標のアメリカ合衆国における周知性に便乗してこれを不正に利用しようとする意図を有していたか,あるいは,申立人が将来,日本に本格的に進出した際,申立人商標についての商標登録を予め押さえておくことで,申立人の日本における事業を妨害し,申立人から何らかの経済的利益を不当に引き出そうとする意図を有していたことは,明らかである。
(4)結論
以上より,本件商標は,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとしてアメリカ合衆国における需要者に広く認識されている申立人商標と類似の商標であって,商標権者が不正の目的をもって使用するものであるから,商標法第4条第1項第19号により商標登録を受けることができない商標に該当し,その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)申立人商標の周知性について
申立人は,申立人商標は本件商標の出願当時,申立人の業務に係る商品「コーヒー」又は役務「コーヒーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(以下,「コーヒーの小売等役務」という。)」を表示するものとして,少なくともアメリカ合衆国における需要者の間に広く認識されていたものである旨主張し,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第3号証,甲第5号証ないし甲第8号証を提出している。
なお,係る証拠は,外国語によるものであって訳文もなく,詳細な記載内容までは確認することができないが,申立人の主張及び一部の訳文を勘案すれば,およそ以下の趣旨である。
ア 甲第1号証は「Doug Zell」,甲第2号証は「Cara Miller」及び甲第3号証は「Manisha S.Bhangare」のいずれも宣誓供述書であるところ,これらによれば,申立人は,アメリカ合衆国イリノイ州法に基づいて1995年に設立された同州のシカゴ市に本店を有する会社であり,主に,アメリカ合衆国内において,「スペシャルティコーヒー」の製造及び販売を行っている。
そして,申立人は,スペシャルティコーヒーを,主に,アメリカ合衆国及びカナダの,スーパーマーケット等の小売業者,レストラン及びコーヒーバー等,合計約1200社に卸売りし,また,申立人自身が経営するコーヒー店(シカゴ市内に3店舗,カリフォルニア州ロサンゼルス市近郊に3店舗)において,スペシャルティコーヒーを消費者に直接販売しており,また,インターネットを通じて,アメリカ合衆国以外にも,日本,大韓民国,オーストリア,オーストラリア等,多数の国において販売している。
また,2004年ないし2010年の「Total Net Sales」によれば,その売上高は,毎年上昇している(甲第1号証及び甲第2号証)。
イ 申立人商標は,別掲のとおり,「INTELLIGENTSIA」「FRESH ROASTED COFFEE」及び図形との組合せからなるものであり,「コーヒー」の包装用袋に付され(甲第1号証)又はコーヒー店に表示されて(甲第2号証)いる。
ウ 甲第6号証ないし甲第8号証,米国特許商標庁ウェブサイトの情報であるところ,「INTELLIGENTSIA」の欧文字及びこれを含む商標が登録されている。
エ 小活
上記によれば,申立人は,アメリカ合衆国イリノイ州法に基づいて1995年に設立されたシカゴ市に本店を有する会社であって,申立人の業務に係る「コーヒー」の販売又はコーヒー店を経営するものであり,申立人商標は,使用を開始した時期は明確ではないものの,少なくとも1996年から現在に至るまで,申立人の業務に係る「コーヒー」に付して又はコーヒー店に表示して使用されているものである。
しかしながら,アメリカ合衆国以外の多数の国に向けて主にインターネットを通じて販売していること,及び,申立人の営業の規模である売上高については,宣誓供述書に記載しているにすぎず,その事実を裏付ける客観的な証拠等が提出されていない。
そして,営業の規模である申立人の店舗数は,わずかに6店舗にすぎず,また,売上高について申立人は,全米においてスペシャルティコーヒーのコーヒー店舗チェーンを展開しているタリーズコーヒー(Tully’s Coffee。会社名:TC Global,Inc.)の,2011年(平成23年)3月期における純売上高(甲第5号証)と比較しても,申立人の2011年(平成23年)の純売上高は,遜色のない旨主張するが,該証拠のみによっては,申立人の商品「コーヒー」の業界におけるシェア等,申立人の事業の規模等を検討することができない。
さらに,申立人の事業およびコーヒー製品は,アメリカ合衆国における新聞・雑誌等の各種メディアにおいて頻繁に取り上げられており,申立人はアメリカ合衆国で最高品質のスペシャルティコーヒーを提供する業者として高い評価を受けている旨主張し,甲第2号証及び同号証に貼付の別紙12ないし57並びに甲第3号証及び同号証に貼付の別紙1ないし30を提出するが,係る証拠は,1996年5月ないし2010年に,新聞又は雑誌に掲載された申立人の商品に関連する記事といい得るものの,その詳細な内容を確認することができず,他に,申立人商標を申立人の業務に係る「コーヒー」又は「コーヒーの小売等役務」に使用した広告宣伝等の書面の提出はない。
そうとすれば,申立人提出に係る証拠によっては,申立人商標が,本件商標の登録出願時及び査定時において,申立人の業務に係る「コーヒー」又は「コーヒーの小売等役務」の出所を表示するものとして,アメリカ合衆国における需要者の間では一定程度知られていたものと推認できるとしても,広く認識されていたものとまでは認めることができない。
(2)本件商標と申立人商標との類否について
本件商標は,「Intelligentsia」の欧文字と「インテリゲンチア」の片仮名からなるところ,その構成中「Intelligentsia」の欧文字部分は,「知識階級,文化人,知識人」等の意味合いを有する英語(プログレッシブ英和中辞典 小学館)であって,「インテリゲンチア」の文字部分は,上段の「Intelligentsia」の読みを表したものと認められることから,本件商標からは,「インテリゲンチア」の称呼を生じ,「知識階級,文化人,知識人」等の観念を生ずるものである。
他方,申立人商標は,「INTELLIGENTSIA」の欧文字と「FRESH ROASTED COFFEE」及び図形との組合せからなるものであり,その構成中,独立して自他商品又は役務の識別標識としての機能を果たし得る「INTELLIGENTSIA」の欧文字部分から,「インテリゲンチア」の称呼を生じ,本件商標と同様に「知識階級,文化人,知識人」等の観念を生ずるものである。
そうとすれば,本件商標と申立人商標とは,「インテリゲンチア」の称呼及び「知識階級,文化人,知識人」等の観念を共通にする類似の商標と認められる。
(3)本件商標の指定商品又は指定役務と申立人の商品又は役務との類否について
本件商標の指定商品中,「コーヒー又はココア」又は指定役務中,「コーヒーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,申立人の商品「コーヒー」又は役務「コーヒーの小売等役務」とは,互いに同一又は類似のものと認められる。
(4)不正の目的について
申立人の主張及び提出に係る証拠によれば,商標権者は,我が国において,申立人以外の者がその業務について使用してアメリカ合衆国においてよく知られているとする「stumptown/スタンプタウン」商標を,「コーヒー」等又は「コーヒー」を含む商品の小売又は卸売の業務において行われる便益の提供等を指定商品又は指定役務として商標登録している(甲第9号証)。
そして,商標権者は,韓国において,「Intelligentsia」,「Stumptown」又は「Zoka」をそれぞれ要部とする商標を,「コーヒー」等又は「コーヒー」を含む商品の小売業又は卸売業等を指定商品又は指定役務として商標登録している(甲第13号証ないし甲第16号証,甲第18号証,甲第20号証及び甲第21号証)。
しかしながら,たとえ,商標権者が,我が国において「stumptown」商標,韓国において「Intelligentsia」及び「stumptown」及び「Zoka」の各文字を含む商標を登録したとしても,その事実のみをもって不正の利益を得る目的や他人に損害を与える目的,その他の不正の目的をもって使用するものということはできない。
また,「Intelligentsia」の語は,「知識階級,文化人,知識人」等の意味合いを有する英語であり,申立人の創作した造語ではなく,申立人提出の証拠を勘案しても,商標権者が,外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標について,わが国で登録されていないことを奇貨として,高額で買い取らせたり,外国の権利者の国内参入を阻止したり,国内代理店契約を強制する等の目的,又は,申立人商標の出所表示機能を希釈化させ,申立人の名声等を毀損させる目的をもって本件商標を出願した等,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正競争の目的不正の目的をもって出願・登録されたものであることを認めるに足る具体的事実も見いだすことができない。
(5)まとめ
前記(1)ないし(4)に記載のとおり,本件商標が申立人商標と同一又は類似の商標であるとしても,申立人商標は,申立人の業務に係る「コーヒー」又は「コーヒーの小売等役務」を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているとまでは認めることができず,かつ,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
(6)結語
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲 <申立人使用商標> 色彩は,甲第1号証を参照されたい。




異議決定日 2012-01-18 
出願番号 商願2010-85723(T2010-85723) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (X3035)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 田中 亨子
小川 きみえ
登録日 2011-04-01 
登録番号 商標登録第5402677号(T5402677) 
権利者 キム ジョンサン
商標の称呼 インテリゲンチア、インテリゲンチャ、インテリゲンツイア、インテリジェンツイア、インテリゲンツイヤ、インテリジェンツイヤ 
代理人 窪田 英一郎 

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