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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X30
審判 全部申立て  登録を維持 X30
管理番号 1248183 
異議申立番号 異議2011-900265 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-07-25 
確定日 2011-12-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5414194号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5414194号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5414194号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成22年3月1日に登録出願、第30類「辛子入りのみそ,その他のみそ,香辛料」を指定商品として、同23年4月12日に登録査定、同年5月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4217331号商標(以下「引用商標」という。)は、「ウマカラジャン」の片仮名と「うま辛醤」の平仮名及び漢字とを上下2段に書してなり、平成8年2月20日に登録出願、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、同10年12月4日に設定登録され、その後、同20年12月9日に商標権の存続期間の更新登録がされているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)本件商標は、その構成中の上段及び中段に位置する「いージャン」の文字部分が下段に位置する「うま辛ジャン」の文字部分をほめそやす囃子・合いの手のような役割を果たしているにすぎず、また、「いージャン」の文字は、「いいね」という意味をもつ一種の方言(甲第4号証)であるから、その構成全体をもって「いいね、いいね、うま辛ジャン」という意味合いのもと、その指定商品との関係においては「おいしいうま辛ジャンみそ、おいしいうま辛ジャン香辛料」を指すことになる。
そうすると、本件商標の要部は、「うま辛ジャン」の文字となり、該文字から「ウマカラジャン」の称呼を生ずるものであるところ、引用商標からも「ウマカラジャン」の称呼を生ずるから、両商標が称呼上類似することは明らかである。
(2)本件商標は、その指定商品との関係においては、「よい味のみそ、よい味の香辛料」といった意味合いを明示するものであることから、本件商標の要部「うま辛ジャン」は、引用商標の「うま辛醤」と感覚的に観念が一致する。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念においても同一又は類似するものである。
(3)本件商標は、その構成文字全体から「イージャンイージャンウマカラジャン」の称呼を生ずるものであるが、該称呼は、簡易迅速を尊ぶ商取引において一連に称呼するには極めて冗長であり、現実にそのような冗長な称呼をもって取引されることはない。
また、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品は、いずれもスーパー等の小売店のいわゆる「調味料コーナー」において販売されるものである。
さらに、本件商標の権利者が平成7年以前から販売しているとする調味料(唐辛子みそ)の商品名は「うま辛ジャン」であるところ(甲第5号証。なお、該商品名は、申立人と本件商標の権利者との間の商標使用許諾契約に基づき、申立人が保有する登録第2410567号商標「ウマカラ」(甲第6号証)について、本件商標の権利者が「うま辛ジャン」の態様で使用することを許諾しているものである。)、仮に同人により本件商標を付した商品が新たに販売された場合、その新商品が現行の「うま辛ジャン」のリニューアル品等であることは、一般の需要者にとって容易に認識できることである。
そうすると、本件商標を付した商品についても、長年慣れ親しみ、簡潔に発声できる「うま辛ジャン」として取引されることは想像されるところであるから、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品とは、現実の取引において商品の出所につき誤認混同を生ずることは明らかである。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似するものであり、指定商品においても抵触するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、同法第43条の2第1号に基づき、その登録を取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲のとおり、手書き風の同一の書体により表された「いージャン」、「いージャン」及び「うま辛ジャン」の各文字を3段に、各段がそれぞれやや右斜め上方向に傾けて表されている(下段の「うま辛ジャン」の文字は、上段及び中段の「いージャン」の文字に比してやや小さく表されている。)ものであるところ、全体がまとまりよく一体的に表されていることに加え、各段の語尾を「ジャン」の文字で揃えたことと相まって、その構成文字全体から生ずる「イージャンイージャンウマカラジャン」の称呼も語呂良く、一気に称呼することにさほど困難を伴うとはいい難いものである。
また、その構成中の「うま辛ジャン」の文字についてみるに、以下のアないしエに示す内容に照らせば、食品を取り扱う分野においては、辛みのある調味料の一種を連想、想起させる場合も少なくないというのが相当であるから、該文字は、本件商標の指定商品との関係においては、自他商品の識別に当たり、看者にさほど強い印象を与えることはないというべきである。
ア 「モニカツ」のサイト中に、「新庄みそ うま辛ジャン コチュジャンと米みそ、赤みそをベースに瀬戸内海産いりこ、ひまわりの種、しいたけ歯ごたえのある具が入ったピリ辛おかずみそに仕上げました。」の記載がある(http://news-shops.com/?p=2516)。
イ 「みんなのきょうの料理」のサイト中に、「えびマヨサンド 万能うま辛醤(ジャン)のチャイニーズタルタルソースと、えびを合わせます。これが後を引くうまさ!」の記載がある(http://www.kyounoryouri.jp/recipe/12816_%E3%81%88%E3%81%B3%E3%83%9E%E3%83%A8%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89.html)。
ウ 「京都全日空ホテル」のサイト中に、「前田料理長 特製うま辛醤 120g¥840(税込) 豆板醤をベースに醤油、干し梅、にんにく、生姜、砂糖などを配合した辛味が絶妙な味わいです。」の記載がある(http://www.ana-hkyoto.com/restaurant/souvenir.html)。
エ 「Lococom」のサイト中に、「牛すじラーメンは、牛すじに数種類の野菜をじっくり煮込んだスープを使い、とろとろに煮た牛すじがトッピングされています。テールスープのような深い味わいということですが、『スープは薄味になっていますので、お好みで甘辛醤、うま辛醤を入れてお食べ下さい』と言われましたので、濃い目で辛めが好きなkimisaはテーブル上にあった、うま辛醤、甘辛醤、麺コショウ、ラー油、ガーリックフライをトッピングして、セットでついてきたネギも全部乗せて食べました。」の記載がある(http://www.lococom.jp/article/view/2436643/)。
そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者がその構成中の「うま辛ジャン」の文字部分に着目し、該文字部分から生ずる称呼をもって取引に資するとはいい難く、むしろその構成全体を一連一体の造語からなるものとして認識するというべきである。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応する「イージャンイージャンウマカラジャン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生ずることのないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「ウマカラジャン」の片仮名と「うま辛醤」の平仮名及び漢字とを上下2段に書してなるところ、その構成態様に照らし、上段の片仮名は下段の平仮名及び漢字の読みを表したものとして容易に理解され得るものであり、また、上記(1)のアないしエに示した内容に照らせば、その構成全体から辛みのある調味料の一種を連想、想起させる場合も少なくないというのが相当である。
そうすると、引用商標は、その構成文字全体に相応する「ウマカラジャン」の称呼を生じ、「辛みのある調味料(の一種)」の観念を生じ得るものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
ア 外観
本件商標と引用商標とは、各々、前記1及び2のとおりの構成からなるものであって、その文字構成において明らかな差異を有するものであるから、外観上、これらが互いに紛れるおそれはない。
イ 称呼
本件商標から生ずる「イージャンイージャンウマカラジャン」の称呼と引用商標から生ずる「ウマカラジャン」の称呼とは、その音構成及び構成音数において顕著な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼した場合には、その語感、語調が相違したものとなり、互いに聴き誤るおそれはない。
ウ 観念
本件商標は特定の観念を生ずることのないものであるのに対し、引用商標は「辛みのある調味料(の一種)」の観念を生じ得るものであるから、観念上、これらを比較することはできない。
エ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標(登録第5414194号商標)

(色彩については、原本参照のこと。)

異議決定日 2011-11-29 
出願番号 商願2010-14902(T2010-14902) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X30)
T 1 651・ 263- Y (X30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ小田 明 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
吉野 晃弘
登録日 2011-05-27 
登録番号 商標登録第5414194号(T5414194) 
権利者 会津天宝醸造株式会社
商標の称呼 イージャンイージャンウマカラジャン、イージャンイージャン、イージャン、ウマカラジャン 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 
代理人 秋元 輝雄 

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