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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X05 審判 全部申立て 登録を維持 X05 |
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管理番号 | 1248142 |
異議申立番号 | 異議2011-900227 |
総通号数 | 145 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2012-01-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2011-06-27 |
確定日 | 2011-11-25 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5400722号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5400722号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5400722号商標(以下「本件商標」という。)は、「パフォーマー」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年10月12日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同23年1月17日に登録査定され、同年3月25日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 (1)引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のア及びイのとおりであり、これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。 ア 登録第4769906号商標(以下「引用商標1」という。)は、「PERFORM」の欧文字を書してなり、平成12年7月19日に登録出願、第3類「洗浄剤(医療用のもの及び製造工程用のものを除く。)」及び第5類「殺菌剤」を指定商品として、同16年5月14日に設定登録されたものである。 イ 登録第4782962号商標(以下「引用商標2」という。)は、「パーフォーム」の片仮名を書してなり、平成13年2月9日に登録出願、第3類「洗浄剤(医療用のもの及び製造工程用のものを除く。)」及び第5類「殺菌剤」を指定商品として、同16年7月2日に設定登録されたものである。 (2)異議申立ての理由の要点 本件商標は、片仮名「パフォーマー」よりなり、「パフォーマー」の称呼を有し、何事かを「行う人」の観念を有する英文字「PERFORMER」の称呼であることが容易に理解できる。 これに対し、引用商標1は、すべて大文字からなる英語の「PERFORM」からなり、「パーフォーム」又は「パフォーム」の称呼を生じ、何事かを「行う」との観念を有する。引用商標2は、引用商標1の片仮名の表示であって、引用商標1と外観は異なるが、その称呼と観念を示す。 ア 称呼 本件商標は、上記のとおり、「パフォーマー」の称呼を生ずる。頭音「パ」は短音として表示されていて、引用商標2の頭音が「パー」のように長音として表示されている点で相違する。また、末尾音は「マー」のように長音として表示されており、引用商標2の末尾音「ム」と相違する。そこで、現実の市場にあってこれらの商標が全体としてどのように称呼されるかにつき考察する。 本件商標は、全体として3音からなるが、2音目の「フォー」が最も明瞭に発音される。これは、全体の音構成からごく自然に要求されることが明らかである。この点では、本件商標に相応すると理解される英文字「PERFORMER」においても、中間部の「FOR」の部分の発音に強勢が置かれている(英和辞書によれば、強制を示す記号が中間部の上に付されている)ことが示されている。中学校等でこれらの英語文字を学習した経験者も多く、片仮名の表示についても2音目に強勢を付して本件商標を称呼するであろうことは容易に推測し得ることである。 2音目の「フォー」に発音上の強勢が置かれることから、末尾音「マー」は直前の強い音に吸収されることと、2音目から末尾へと音調が下降すること等から、末尾音は明瞭に聴取され難い音となる。 頭音の「パ」音は半濁音の特質から聴取し易い音である一方、発音上長短の差は必ずしも音質の差に影響を及ぼさない。同じ英文字に基づく本件商標と引用商標の頭音が短音と長音の差異を示していることからも、容易に理解できる。 上記の諸点を勘考すると、本件商標は引用商標2と比較して第1音においてほとんど同一であり、第2音は全く同一であって、強く、かつ、必ず長音として発音され、第3音は同一ではないにしても50音上共にマ行に属する弱音であることから、両者は称呼上互いに紛れ易い類似の商標というべきものである。 イ 外観と観念 本件商標は、引用商標1の「PERFORM」や引用商標2の「パーフォーム」等とは外観が相違する。しかし、本件商標に相応する英文字「PERFORMER」は、引用商標1を含み、かつ、「行う」との意味も含んでいる。引用商標1を含む英語としては他に「実行」を意味する名詞形の「PERFORMANCE」があって、同様に「PERFORM」を含んでいる。したがって、これらの文字は「PERFORM」(行う)を基本にして互いに発音や意味を共有している。 しかも「行う」は色々な意味に用いられる。例えば「歌を歌う」「芝居をする」「軽業をする」等に用いた場合「PERFORMER」は、それぞれ「歌手」「役者」「軽業師」の意味となる。このように「PERFORM」と「PERFORMER」は、互いに近似の意味合いを連想して記憶され用いられている文字であることから、商標として同一又は類似の商品について使用されるときは、類似の商標としてこれら英文字商標に相応する片仮名文字が、観念上相紛れるおそれがあると考えられる。 上記より、本件商標は引用商標2とは(特に称呼上)類似の商標であり、同一又は類似の商品に使用されるものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「パフォーマー」の文字よりなるところ、これは、「芸能人、演技者、演奏者、実行者」などを意味する英語の「performer」(「新グローバル英和辞典」株式会社三省堂)の外来語である。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「パフォーマー」の称呼を生じ、「芸能人、演技者」程の観念を生じるものである。 一方、引用商標1は、「PERFORM」の文字よりなるところ、これは、「成し遂げる、果たす、仕事をする」などを意味する語(「新グローバル英和辞典」株式会社三省堂)である。 そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「パフォーム」の称呼を生じ、「成し遂げる、果たす」程の観念を生じるものである。 また、引用商標2は、「パーフォーム」の文字よりなるところ、これは、特定の意味合いを有しない語であるから、その構成文字に相応して、「パーフォーム」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。 そこで、本件商標の称呼「パフォーマー」と引用商標1の称呼「パフォーム」とを対比すれば、両者は、5音と4音の構成音よりなり、語尾における「マー」と「ム」の音において相違するものである。 しかして、該「マー」の音は、鼻子音「m」と母音「a」の結合で明瞭に発音され、長音により「マ」の音が伸びて発音されるものであるのに対し、該「ム」の音は、鼻子音「m」と母音「u」の結合で内にこもる響きの弱い音であるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。 そして、本件商標と引用商標1は、外観において、明らかな相違があるから、外観上相紛れるおそれはなく、また、観念において、それぞれから生じる観念は明らかに異なるものであるから、観念上相紛れるおそれはないというべきである。 次に、本件商標の称呼「パフォーマー」と引用商標2の称呼「パーフォーム」とを対比すれば、両者は、5音の構成音よりなり、語頭の「パ」の音の長音「ー」の有無及び語尾における「マー」と「ム」の音において相違するものである。 しかして、語頭の「パ」の音の長音「ー」の有無の差異は、語調が異なる印象を与えるものであり、また、語尾における該「マー」の音は、鼻子音「m」と母音「a」の結合で明瞭に発音され、長音により「マ」の音が伸びて発音されるものであるのに対し、該「ム」の音は、鼻子音「m」と母音「u」の結合で内にこもる響きの弱い音であるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。 そして、本件商標と引用商標2は、外観において、相違するものであって、外観上相紛れるおそれはなく、また、観念において、引用商標2から観念は生じないものであるから、観念上類似するところはないものである。 してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標ということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは認められない。 (2)まとめ 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2011-11-16 |
出願番号 | 商願2010-79372(T2010-79372) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(X05)
T 1 651・ 262- Y (X05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鹿児島 直人、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
水茎 弥 |
特許庁審判官 |
渡邉 健司 井出 英一郎 |
登録日 | 2011-03-25 |
登録番号 | 商標登録第5400722号(T5400722) |
権利者 | 塩野義製薬株式会社 |
商標の称呼 | パフォーマー |
代理人 | 小沢 慶之輔 |