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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X2021
審判 全部申立て  登録を維持 X2021
審判 全部申立て  登録を維持 X2021
管理番号 1238485 
異議申立番号 異議2010-900263 
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-07-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-08-30 
確定日 2011-05-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5325653号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5325653号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5325653号商標(以下「本件商標」という。)は、「Smart Store」の欧文字を横書きしてなり、平成19年11月7日に登録出願、第20類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同22年3月29日に登録をすべき旨の審決がなされ、同年5月28日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、 本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。
(1)申立人の使用に係る「Smart Store」商標等の周知・著名性について
申立人は、スウェーデンの企業であり、プラスチック製品の製造メーカーであって、家庭用プラスチック製品(プラスチック製のキッチン用品、飲食物の保存用容器、食器収納用トレイ、物の収納用の容器及びかご等)を製造している(甲第5号証ないし甲第8号証)。同社は、従業員約160名を有し、売上高は約3億クローネに及び、デンマーク、フィンランド、ノルウェーなど北欧各国に営業所を有し、北米でも、スナップウェア コーポレイションを通じて製品を販売しており、約6500万ドルを売上げている(甲第2号証)。
申立人の使用に係る「Smart Store」、「SmartStore」及び「Smart/Store」の文字からなる商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は、1995年秋から使用され始め、引用商標を付した製品は、2002年にはドイツ、2006年には米国、2007年にはフランス、英国、イタリア、スペイン、ブラジル、ロシア等で紹介・販売され、日本においては、2008年に販売が開始された。
申立人による引用商標に係る製品の総売上高は、1998年においては約2300万スウェーデンクローネ、2007年においては約1億6600万スウェーデンクローネ、2009年においては約1億9200万スウェーデンクローネであり、日本における総売上は約36万スウェーデンクローネである。また、申立人が費やした引用商標に係る商品のマーケティング費用は、1999年からの11年間で約1億スウェーデンクローネにも上る。
以上のことから、引用商標は、本件商標の出願日以前には既に、ヨーロッパを中心とする複数の国において、申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示するものとして取引者・需要者の間で広く認識されていたものであり、また、近年における人的な国際交流の隆盛やインターネットによる商品情報取得の容易性等を考慮すれば、本件商標の出願日以前には、引用商標が外国において周知著名であることが我が国の取引者・需要者にも知られていたものと推測し得るものである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標は、周知・著名な引用商標とほぼ同一のものであり、また、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
また、本件商標は、取引者・需要者が申立人の業務に係る商品であると誤認し、あるいは、申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認するおそれもあり、さらに、引用商標に化体した業務上の信用が不当に害され、著名な引用商標を希釈化させ、そのブランド価値を損わせることとなる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標の出願人は、本件商標の商標登録出願以前から著名な申立人の引用商標や業務内容、我が国への進出予定等を熟知していながら、申立人の引用商標とほぼ同一の商標を申立人の許可無く日本において出願し登録を受けたものであり、しかも、本件商標の出願後、出願費用及び取下費用として1万2千ドルを請求した。
このような事情からみれば、本件商標は、出願人により不正の目的をもって出願されたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)よって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人は、引用商標が申立人の業務に係る「家庭用プラスチック製品」等の商品を表示する商標として周知・著名である旨主張して、甲各号証を提出している。
ア そこでまず、我が国における引用商標の周知・著名性についてみると、申立人の提出に係る甲第9号証ないし甲第13号証及び甲第39号証によれば、申立人は、我が国において引用商標に係る製品の日本語の商品カタログを発行し、東急ハンズや楽天市場などの通販サイトにおいて商品の紹介・販売をしていた事実を認めることができる。
しかしながら、申立人が引用商標を付した製品を日本において紹介・販売し始めたのは、申立人の主張どおりとしても2008年であり、これは、本件商標の商標登録出願日(2007年11月7日)後のことであるから、少なくとも、本件商標の商標登録出願時において、引用商標が我が国において広く知られていたものと認めることはできない。
また、後述イの諸外国における状況からみれば、近年における人的な国際交流の隆盛やインターネットによる商品情報取得の容易性等を考慮したとしても、本件商標の商標登録出願時において、諸外国における引用商標の使用事実によって引用商標が我が国における需要者の間に広く認識されるようになっていたものとは認められない。
イ 次に、申立人の本国であるスウェーデンをはじめとする諸外国における引用商標の周知・著名性についてみると、申立人が周知・著名性を立証する証拠として提出しているのは、申立人の会社情報等についてのウェブサイト(甲第2号証、甲第3号証)、申立人等の会社登記簿の写し(甲第4号証の1、2)、英語版やフランス語版等の商品カタログ(甲第5号証ないし甲第8号証及び甲第40号証ないし甲第45号証)及び香港、コロンビア、メキシコ、ノルウェー、欧州共同体等における登録証の写しや国際登録証の写し(甲第14号証ないし甲第25号証)のみであり、引用商標に係る製品が新聞や雑誌、テレビ等のメディアにおいて広く紹介されていた事実を示す証拠等は提出されていない。
そして、申立人は、異議申立書10頁ないし11頁等の一覧表において、「SmartStore」製品の総売上高を挙げているが、これを裏付ける具体的な証拠を提出していないばかりでなく、申立人の主張どおりの売上高であったとしても、1998年においては約2300万スウェーデンクローネであり、2000年においては約3600万スウェーデンクローネ、2005年においては約1億3300万スウェーデンクローネ、そして、2007年においては約1億6600万スウェーデンクローネとなっている。これを当時のスウェーデンクローネと円との為替レートで換算してみれば、2005年においては約20億円(1スウェーデンクローネを15円で換算)、2007年においては約28億円(1スウェーデンクローネを17円で換算)程度のものであり、扱い商品が家庭用プラスチック製品等であることを考慮したとしても、この程度の売上高をもってしては、引用商標が諸外国において周知・著名性を獲得していたものと認めるのは困難である。なお、申立人は、申立人の売上高が約3億スウェーデンクローネであり、北米においても、スナップウェア コーポレイションを通じて約6500万ドルを売上げている旨主張しているが、何時の時点における売上高であるのか明らかにしていないし、しかも、「SmartStore」製品のみについての売上高であるのか否かも明らかではないから、これらの点についての申立人の主張は採用できない。
また、申立人は、「SmartStore」製品のマーケティング費用も11年間でおよそ1億スウェーデンクローネにも上る旨主張しているが、この点についても、スウェーデンクローネと円との1999年から2010年までの平均的な為替レートを14円ないし15円程度とみれば、約14億円ないし15億円程のものであり、これを各年毎の費用として単純計算してみれば、1年当たり1億円強程度のものであるから、スウェーデンをはじめとする諸外国におけるマーケティング費用を含めた額としては、それ程大きなものとはいい難い。しかも、宣伝・広告費用として申立人が挙げているのは、商品カタログの制作・配布のみであり、宣伝効果の高い新聞や雑誌、テレビ等のマスメディアを通じて行なう宣伝・広告の事実を示す証拠は何ら提出されていない。
そうとすれば、申立人の提出に係る甲各号証をもってしては、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、本件商標の登録出願時において、申立人の本国であるスウェーデンをはじめとする諸外国における需要者の間においても広く認識されていたものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号について
本件商標と引用商標とは、いずれも前記したとおりの構成からなるものであるから、両者は、同一又は類似する商標であり、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている「家庭用プラスチック製品」等の商品も同一又は類似する関係にあるものということができる。
そして、甲第26号証ないし甲第38号証によれば、本件商標の出願人は、申立人の業務に係る「SmartStore」商品の我が国における事業化について、本件商標の出願前から申立人あるいは申立人の関連会社の関係者との間で度重なる打ち合わせやメールのやりとりを行っていた事実が認められ、申立人の業務に係る「SmartStore」商品について熟知していたものと認められる。
しかしながら、上記各法条の適用にあたっては、引用商標の周知・著名性が適用要件の一つとなるものであるから、前記したとおり、引用商標の周知・著名性が認められない以上、上記各法条についての申立人の主張には理由がないものといわざるを得ない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-05-09 
出願番号 商願2007-113126(T2007-113126) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X2021)
T 1 651・ 271- Y (X2021)
T 1 651・ 222- Y (X2021)
最終処分 維持  
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2010-05-28 
登録番号 商標登録第5325653号(T5325653) 
権利者 タケヤ化学工業株式会社
商標の称呼 スマートストア、スマート 
代理人 藤倉 大作 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中谷 武嗣 
代理人 松尾 和子 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 

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