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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1234967 
審判番号 取消2010-300627 
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-06-07 
確定日 2011-03-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第5039288号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5039288号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成18年9月29日に登録出願され、第9類、第11類、第18類、第20類、第21類、第24類、第26類ないし第30類、第32類及び第34類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として平成19年4月6日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
請求人が種々調査した結果、本件商標は商標権者により、少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないことが判明した。
したがって、本件商標の登録は取消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、本件商標について第30類「菓子」の使用証拠(乙第1号証)を提出している。
しかしながら、乙第1号証のカタログ12頁中の1頁の3分の1の部分に商品が掲載されているだけである。
しかも、使用商標はあくまでも「SMILEY COLLECTION」であり、本件商標は単にパッケージのデザインとしてその一部が使用されているにすぎず、正式な本件商標の使用とは認められない。
(2)仮に、本件商標が使用されたとしても、第30類のみとしての使用であり、その他、第9類、第11類、第18類、第20類、第21類、第24類、第26類、第27類、第28類、第29類、第32類及び第34類の全てについては、実際の使用実績はないのであるから、それらの登録商標について直ちに取消されることを求める。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1及び第2号証を提出している。
1 使用に係る商標及び商品
(1)本件商標の通常使用権者は、本件商標を、本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品中の「菓子」について、日本国内において使用している。
乙第1号証は、通常使用権者である株式会社ベストカンパニーが製造販売する、キャンディー、マシュマロ、クッキー等の販売カタログ「Sweets COLLECTION 2009 BEST COMPANY WHITEDAY CATALOG」である。
上記カタログは、主に各小売店へ配布されるカタログ(商品番号・販売価格表・商品発注書付き)であるが、表紙には青・赤・緑・橙の各色で「2009」と書されていることから、2009年(平成21年)のホワイトデーに向けた商品カタログであることは容易に理解できる。該カタログには実際の発行日が記載されていないが、2009年のホワイトデー向けの商品カタログを2008年のホワイトデー前に配布することは不自然であるから、早くとも、2008年のホワイトデー以降、つまり、2008年(平成20年)3月15日以降、遅くとも2009年(平成21年)3月13日前に発行・頒布されたものといえる。つまり、該カタログは本件審判の要証期間内に発行され頒布されたものである。
(2)上記カタログの第1頁に掲載された商品中、上中段の4つの商品はマシュマロの販売セットであり(それぞれ、「CODE No.60037 スマイリークリアーマグカップ ¥600・・・JAN-4994398103671」、「CODE No.60038 スマイリーマシュマロポット ¥1,000・・・JAN-4994398103688」、「CODE No.60039 スマイリーマシュマロカップ ¥700・・・JAN-4994398103695」、「CODE No.60040 スマイリーマシュマロポーチ ¥500・・・JAN-4994398103701」)、一つずつ包装したマシュマロ数個を、マグカップやコップ、ポーチ等を容器としてセット販売する、といった、ある種のセット販売をコンセプトとする商品である。そして、マシュマロの包装袋には、本件商標と社会通念上同一とみられる、片目を閉じ又はウィンクをしている表情を描いたものとして印象づけられる図形が表示されている(なお、マグカップとコップ、ポットには本件商標と社会通念上同一とみられる標章は付されていない。)。
また、カタログの第2頁の上段左側の商品にも同様に、マシュマロの包装袋に、本件商標と社会通念上同一とみられるウインクをした図形が表示されている(「CODE No.60043 スマイリーマシュマロフェイスバッグ ¥400・・・JAN-4994398103732」)。
さらに、第4頁の上段右側の商品も同様のコンセプトの商品であるが、該商品については、本件商標と社会通念上同一とみられるウインクをした図形が表示された包装袋に入れられたマシュマロが、バスケットの中に15ヶ入れられて販売されるといった実際の販売態様がより具体的に示されている(「CODE No.600116 スマイリーバスケット ¥500・・・JAN-4994398102698」)。本件商標の通常使用権者が販売する本件商標を附した商品は、あくまでも、マシュマロであり、バスケットは商品の容器、つまり付属品にすぎない。前頁の各商品についても同様である。
(3)そして、カタログに商標を付して展示し若しくは頒布する行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用と認められるものである。
また、実際の商品の販売時期についても、本件商標を附した商品はマシュマロであって、商品の性質上、賞味期限が短いものであることは明らかであるから、ホワイトデーである2009年3月14日から逆算し、早くとも2009年1月以降に小売店に販売されたものである。
(4)以上のとおり、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一とみられる商標を、取消請求に係る指定商品中の「菓子」の範疇に属する商品について使用していたことは明らかである。
2 使用者(通常使用権者)
(1)被請求人は、本件商標について、Smileyworld Ltd(以下、「SWL社」という。)を通じて、「株式会社ベストカンパニー」(神戸市灘区灘南通1丁目3-23)に対し、本件商標を含むいわゆるスマイルフェイスの範疇に属する顔のマークについて、菓子類全般の商品への使用を許諾している。
乙第2号証は、「SMILEY LICENSE AGREEMENT」(SMILEYマークの商標使用許諾契約書)と題する書面である。その第2頁目には、本件商標の使用許諾者がSWL社、被許諾者が「Best company.,Ltd.」とそれぞれ記されている。
まず、使用許諾者であるSWL社は、本件商標を含む被請求人の一切の登録商標等を管理するために設立された、いわゆる商標管理人・代理人である。なお、上記書面へは、本件商標の商標権者である被請求人自身が許諾者を代表して署名している(第18頁)。
一方、被許諾者についての名称及びその住所の記載である「Best company.,Ltd.」「1-3-23,Nadaminami Dori,Nada-ku,Kobe 657-0841 Japan」と、株式会社ベストカンパニーにより発行・頒布されたカタログ(乙第1号証)の最終頁下部の「BEST COMPANY」「株式会社ベスト カンパニー」「〒657-0841 神戸市灘区灘南通1丁目3-23」の記載とは合致する。したがって、該カタログの発行・頒布及び掲載商品の製造・販売を行った株式会社ベストカンパニーが、本件商標の通常使用権者であることは明らかである。
(2)また、使用許諾の範囲について、地域については「TERRITORY:Japan」(地域:日本)、契約期間については「COMMENCEMENT DATE:Upon signing」(開始日:署名日より)及び「EXPIRATION DATE:31 May 2011」(終了日:2011年3月31日)、内容については「PRODUCTS:Confectionary」(商品:菓子)とあり(以上、第2頁)、本契約書への署名日は、許諾者が「15/09/2008」、被許諾者が「Sept.11,2008」となっているから(第18頁)、本契約は、遅くとも2008年9月15日に効力を発し、2011年5月31日までは有効なものであって、株式会社ベストカンパニーが2009年のホワイトデーに向けて(実際には2009年のみではない)、菓子類のカタログに商標を付して頒布した行為、及び、マシュマロを本件商標を附した包装袋に入れて販売した行為は、正当な通常使用権者による本件商標の使用である。
(3)ちなみに、使用許諾の対象となる商標については、登録番号による特定はしておらず「TRADEMARKS:Smiley name + Original logo」と記載してあるのみである。これは、被請求人創作のマークが多岐のバリエーションを含んでいるからということもあり、被請求人及びSWL社は、登録商標を含むそれらマーク(契約書第4頁に記載されているように、実際には、SWL社が不定期にライセンシーに配布するStyle Guides、Trend Books、Brand Bibleといった被請求人創作のマークのカタログに掲載されているもの)の一切について、ライセンシーに対して包括的に使用を認めるという方針のためである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の通常使用権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一とみられる商標を、取消請求に係る指定商品中の「菓子」の範疇に属する商品について使用していたものである。
したがって、本件審判請求には理由がないから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきでない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)乙第1号証は、「Sweets COLLECTION」、「2009 BEST COMPANY WHITEDAY CATALOG」と題する商品カタログと認められるところ、その表紙には、大きく二段に表された「Sweets」及び「COLLECTION」の文字が中央から右上にかけて斜めに配され、その下に、「2009 BEST COMPANY WHITEDAY CATALOG」の文字が小さく併記され、さらにその下に「2009」の数字が順に青、赤、緑、橙の各色で着色して表されている。また、表紙の下部中央には、「BEST COMPNY」の文字が表示されている。さらに、裏表紙には、これらと同一の文字に加え、「株式会社ベストカンパニー」とその住所、電話番号等が表示されている。
そして、上記商品カタログの10頁目には、「2009 Sweets Collection」及び「商品一覧&商品発注書」の表題の下に、上記カタログに掲載された商品のNO.、品番、商品名、規格、上代、発注数等を記載した一覧表と発注書の様式が掲載されている。
上記の体裁及び掲載内容からすると、上記商品カタログは、2009年(平成21年)のホワイトデー(3月14日)用の商品を掲載したものであって、株式会社ベストカンパニーによって、少なくとも2008年の3月14日の後頃から2009年初め頃にかけて小売店用に発行され頒布されたものとみるのが自然である。なお、上記商品カタログは、商品に関する広告、定価表又は取引書類の一つといえるものである。
(イ)上記商品カタログの1頁ないし4頁には、「SMILEY COLLECTION」の表題が付され、1ないし24の項目に分けて「CODE No.」と共に各種商品が掲載されている。その内、「1 SMILEY Clear Mag Cup」の項目には、マグカップ及びその包装箱並びに内容物を示す個別の包装用小袋の写真が掲載されており、「CODE No.60037」、「スマイリークリアーマグカップ」、「¥600(税込¥630)」、「入数-24」、「内容量-スマイリーマシュマロ4ケ」、「サイズ-105×80×90mm」等の説明がされている。そして、上記個別の包装用小袋は、内容物たるマシュマロと思しき物体がわずかに見えること及び上記説明に徴して、マシュマロを一個ずつ個別に包装したものと容易に認識されるものであり、その中央には、黄色に着色された本件商標と略同一の構成態様からなる図形(以下「使用商標」という。)が表示されている。使用商標は、色彩を除けば、本件商標と同一といえるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標というべきものである。
同様に使用商標が付されたマシュマロの個別包装用小袋の写真は、「2 SMILEY Masyumaro Pot」(スマイリーマシュマロポット)、「3 SMILEY Masyumaro Cup」(スマイリーマシュマロカップ)、「4 SMILEY Masyumaro Pouch」(スマイリーマシュマロポーチ)、「7 SMILEY Masyumaro Face Bag」(スマイリーマシュマロフェイスバッグ)、「20 SMILEY Basket」(スマイリーバスケット)の各項目に掲げられた商品にも、ポット、カップ、ポーチ、バッグ又はバスケットの写真と共に、内容物たる商品「マシュマロ」を示すものとして掲載されている。なお、これらのマグカップ、ポット、カップ、ポーチ、バッグ又はバスケットは、商品「マシュマロ」の包装用容器ともいえるものである。
(ウ)乙第2号証は、「SMILEY LICENSE AGREEMENT」と題する書面の写しと認められるところ、許諾者として「Smiley world Ltd」(「SWL社」)、被許諾者として「株式会社ベストカンパニー」と記載されているほか、「2008年8月11日に締結された」こと、使用権の対象たる商標「Smileyの名称+オリジナルロゴ」、商品「菓子」、地域「日本国内」、終了日「2011年5月31日」等が記載されている(上記記載の表示は訳文による。)。
上記書面は、その内容に照らし、SWL社と株式会社ベストカンパニーとの間で2008年8月11日に締結された、本件商標を含むSmiley商標に関する使用許諾契約書と認められ、株式会社ベストカンパニーは、本件商標に係る通常使用権者といえる。なお、SWL社は、被請求人の登録商標等を実質的に管理する、いわゆる商標管理人・代理人とみられる。
(2)上記(1)の認定・事実によれば、本件商標は、株式会社ベストカンパニーにより、商品「マシュマロ」について、本件審判の請求の登録(平成22年6月23日)前3年以内に使用されていたものというべきである。
2 本件商標の使用者及び使用商品について
前示のとおり、株式会社ベストカンパニーは、本件商標に係る通常使用権者と認められるものであり、同社は、商品「マシュマロ」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付することにより、また、それを掲載した商品カタログを発行し頒布することにより、本件商標を使用しているものといえる。そして、本件商標が使用されている上記「マシュマロ」は、本件商標の指定商品中の第30類「菓子」の範疇に属する商品といえるものである。
3 請求人の弁駁について
(1)請求人は、使用されている商標は「SMILEY COLLECTION」であり、本件商標は単にパッケージのデザインとしてその一部が使用されているにすぎず、商標の使用とは認められない旨主張する。
しかしながら、前示のとおり、乙第1号証に示すマシュマロを一個ずつ包装した包装用小袋には本件商標と社会通念上同一の標章が明示されており、これがパッケージのデザインとして看取される場合があるとしても、商品の出所識別標識としての機能をも果たすものであることは明らかであるから、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、本件商標の使用は第30類の商品についてのみであり、他の類に属する商品については、使用実績はなく登録を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、本件は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品すべてについての登録の取消を請求するものであるところ、この場合、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明したときは、その請求に係る指定商品の登録の取消を免れることは、同条第2項の規定から明らかであって、請求に係る指定商品のすべてについての使用を立証することを要するものではないから、上記のとおり、指定商品中の第30類に属する商品「マシュマロ」について本件商標の使用が認められる以上、請求人の主張は採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者によって、その指定商品中の「マシュマロ」について使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2011-01-25 
結審通知日 2011-01-27 
審決日 2011-02-09 
出願番号 商願2006-91003(T2006-91003) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明石塚 利恵 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 小川 きみえ
小林 由美子
登録日 2007-04-06 
登録番号 商標登録第5039288号(T5039288) 
代理人 太田 恵一 

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