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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29 |
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管理番号 | 1231574 |
審判番号 | 不服2009-20565 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-26 |
確定日 | 2011-01-11 |
事件の表示 | 商願2008- 94287拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「DHAのチカラ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「DHAを配合した食用油脂,DHAを配合した乳製品,DHAを配合した肉製品,DHAを配合した加工水産物,DHAを配合した加工野菜及び加工果実,DHAを配合した油揚げ,DHAを配合した凍り豆腐,DHAを配合したこんにゃく,DHAを配合した豆乳,DHAを配合した豆腐,DHAを配合した納豆,DHAを配合したカレー・シチュー又はスープのもと,DHAを配合したお茶漬けのり,DHAを配合したふりかけ」を指定商品とし、平成20年11月21日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願商標は、『DHAのチカラ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『DHA』の文字は、健康増進効果があるとされ、サプリメントや食品添加物として利用されている成分である『ドコサヘキサエン酸』の略称として一般的に使用されている文字であり、『チカラ』(力)の文字は、『効能』等を意味する語であることからすれば、本願商標は、全体として『DHA(ドコサヘキサエン酸)の効能』程の意味合いを認識させるものである。そうとすれば、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、『DHA(ドコサヘキサエン酸)入りの商品』であることを理解させるにとどまり、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、前記のとおり「DHAのチカラ」の文字よりなるところ、その構成中「DHA」の文字は、魚油に多く含まれる多価不飽和脂肪酸である「ドコサヘキサエン酸」を表す語であり、「チカラ」の文字は、「能力」(働き)を意味する語である「力」を片仮名で表記したものであり、「DHA」及び「チカラ」の文字は、いずれも広く一般に使用されているものである。 そして、「DHA」は、「アレルギー改善、視力低下抑制、学習能力向上、血中資質低下」(http://www.shinbashi-web.com/contents/sup.htmのウェブサイト参照)等の機能(力)があることで知られていることから、本願商標は、構成全体として、その文字のとおり「DHAの力」の意味合いを認識させるものである。 加えて、健康増進等のための機能を有する成分やそのほかの機能性成分を含有又は原材料とする商品について、その商品等について、当該成分の機能、働きについて、成分名と「力」の語を組合せて「○○(成分名)の力」のように使用することが広く行われているところである。 この点については、原審において示した事例を含め、以下の事例からも裏付けられる。 ア 「DHAの力」が使用されている事例 (ア)日本製粉株式会社のウェブサイトにおいて、2006年5月24日付け「ニュースリリース10」に「アマニ油とEPA、DHAの力で健やかな生活を!日本製粉(株)、生活習慣病を予防・改善するサプリメント『アマニ油&EPA』を発売」の見出しのもとに商品が紹介され、含有成分の効用として、DHAについて効用(機能)が説明されている(http://www.nippn.co.jp/newsrelease/2006/06052454.html)。 (イ)「FANCL ONLINE」のウェブサイトにおいて、DHAに係る「FANCL栄養補助食品」の商品説明の見出しに「知るほど納得!!『DHA』の力。」の記載があり、DHAの有する機能についての説明がされている(http://www.fancl.co.jp/Items/Detail?category=02&item_code=5015a)。 (ウ)株式会社ミコーのウェブサイトにおいて、健康補助食品「DHAプラス」の商品説明に「現在の日本人に不足しがちな青魚がもつDHAの力とサーモンオイルやアスタキサンチンなどのサポート力で生活習慣、食事の偏りが気になる方の悩みを解消。」の記載がある(http://www.mico.co.jp/products/detail.php?product_id=7)。 (エ)楽天市場の「夢咲Life Design」のウェブサイトにおいて、「EPA・DHAの力/ルテイン/マルチビタミン配合/心と身体のリフォームサプリ」の見出しのもとに商品「EDA魚参豆麦」が紹介されている(http://item.rakuten.co.jp/yume-saki/c/0000000122/)。 (オ)楽天市場の「eヘルスジャパン」のウェブサイトにおいて、「イチョウ葉エキス粒PTP/マルマンバイオ」の見出しのもとに「ギンコライド、ビロバライド、DHAの力!」の記載があり、商品の特徴に「DHAを配合した健康補助食品です。」と記載されている(http://item.rakuten.co.jp/ehj/1926/)。 イ 食品分野で「○○(成分名)の力」が使用されている事例 (ア)「aT Center」のウェブサイトにおいて、キムチ販売店「キムチアガシ」の紹介として「美味しく、またカプサイシンの力で健康にもよいとされるキムチ。」との記載がある(http://www.atcenter.or.jp/atcenter/main/foodStoreView.jsp?bf_no=93&c_no=003003001¤tPage=1)。 (イ)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、飲料「ヘルシア」に「ヘルシアは、高濃度茶カテキンの力で脂肪を燃焼しやすくする特定保健用食品です。」の記載がある(http://www.kenko.com/product/br/br_7240023.html)。 (ウ)株式会社ミコーの「カプフィルムオンラインショップ」のウェブサイトにおいて、項目名として「カプサイシンのチカラ」の記載があり、また、健康食品「カプフィルム」の説明に「カプサイシンの力」の見出しのもとに「カプサイシンで栄養をスムーズに補給」などと記載されている(http://www.sakura-shop.jp/html/newpage.html?code=7)。 (エ)「アウルライフファクトリー」のウェブサイトにおいて、純植物性酵素発酵飲料「ビューティー・ヘルス・エンザイム」に「熟成酵素エキスの力で手軽に断食♪」の記載がある(http://www.owl-life.com/shouhin/beautyhealthenzyme.html)。 (オ)「花粉症対策で人気の健康食品が携帯通販で激安!」のウェブサイトにおいて、健康食品「ピュアーエネジィー」に「『ビーボレン』といわれるミツバチ花粉の力で体調を整え、疲労を回復し、花粉症の症状を抑える効果のある健康食品」、「ミツバチ花粉のチカラで花粉症を乗り切る!」の記載がある(http://kafun5-y.yakutatu.com/)。 ウ 食品以外の分野において「○○(成分名)の力」が使用されている事例 (ア)楽天市場の「ブラックジャックショップ」のウェブサイトおいて、歯磨き「オレノデ・バン デンタルペースト」について、「高濃度クマザサエキスの力!!口内炎ができにくくなる歯磨き粉!!」、「驚異の殺菌力・抗菌力!」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/blackjackcompany/oreno002/)。 (イ)「MAYUKO」のウェブサイトにおいて、セリシン配合の化粧品の商品説明に「セリシンの力」の見出しのもとにその保湿効果についての記載がある(http://www.mayuko.co.jp/shop/kinumoyo/index.html)。 (ウ)「宇部マテリアルSHOP」のウェブサイトにおいて、「エアコン用カテキンフィルター」について、「カテキンの力で消臭!エアコン用 カテキンフィルター2枚組」の記載がある(http://item.rakuten.co.jp/ubematerials/g0004/)。 (エ)三菱製紙株式会社のウェブサイトにおいて、フィルター「アレル・スイープ TS」に「イチョウ葉天然エキスの力でアレルゲン除去!」の記載がある(http://www.k-mpm.com/filter/J5/J5-1A.html)。 (オ)「@健康本舗」のウェブサイトにおいて、「ゴミ カラスよけネット」に「カプサイシンの力で鳥害対策に絶大な効果を発揮します。」の記載がある(http://www.meneki.co.jp/gomitaisaku.html)。 (カ)「リアルマーケット」のウェブサイトにおいて、消臭剤「トイレの消臭力」の商品説明に「カテキンの力で、気になるニオイを強力消臭。」の記載がある(http://realcoms.co.jp/1000066371/)。 (キ)平成21年10月16日付け静岡新聞の「『感染抑制』新化合物合成」の記事の見出しに「インフルにカテキンの力」の記載がある。 エ 本願商標のように「力」を片仮名表示にした「○○(成分名)のチカラ」についても、前記イ(ウ)、イ(オ)のように使用されている。なお、例えば、「カテキンのチカラ」、「カプサイシンのチカラ」、「エキスのチカラ」などをキーワードにフレーズとしてインターネットで検索すると、それぞれ多数検索される。 以上のとおり、本願指定商品の需要者である一般消費者を需要者とする商品において、機能性成分による効果があることを「○○(成分名)の力(チカラ)」というように表示、表現することが普通に行われている。 そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する、取引者、需要者は、「DHAの能力(働き)がある商品」、「DHAの有する機能の能力(働き)がある商品」であることを理解させるにとどまるものというのが相当であり、本願商標は、商品の品質、原材料、効能を表示するにすぎないものと認められる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、原審で示した2つの使用例について、「文章中において『DHAの力』の文字が見られるのみで、『DHAの力』の文字が独立した態様では使用されていない。商標法第3条第1項第3号は、『普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』と規定され、出願商標のみの態様で普通に用いられている場合に同号は適用されるものと解されるところ、原査定は同規定の解釈・適用を誤ったものである」と主張している。 しかしながら、同号にいう「普通に用いられる方法で表示する」とは、出願された商標が普通の態様で表示することをいう(工業所有権法逐条解説参照)のである。本願商標の態様は、標準文字で表されてなるものであって、特殊な態様とはいえず、「普通に用いられる方法」で表示したものといわざるを得ない。したがって、上記請求人の主張は採用できない。 イ 請求人は、「需要者・取引者が『DHAの力』の文字を見た場合、たとえ把握したとしても『DHAによる何らかの効能がある』というような漠然とした内容の把握にとどまり、DHAにより具体的にいかなる効能が持たされるかの理解まではできない」と主張している。 しかしながら、機能性成分は、何らかの機能を持つことは一般に知られているところであるから、その機能について正確に知らない場合であったとしても「○○(成分名)の力(チカラ)」の文字に接する需要者は、その成分の有する機能、効能があることを認識するというべきであり、特に本願商標に係る「DHA」は前述したとおりの機能を有するものとして一般に知られているのであるから、本願商標に接する需要者は、「DHAの能力(働き)がある商品」、「DHAの有する機能の能力(働き)がある商品」と理解、認識するというべきである。そうすると、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいうことができない。 ウ 請求人は、「○○の力(チカラ)」の文字からなる商標の登録例を挙げ、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当し登録を受けられないという理由はないと主張している。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるものであり、本願商標については、上記のとおり判断すべきであるから、請求人の上記主張は採用することができない。 エ 請求人は、本願商標は使用をされた結果、需要者・取引者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、商標登録を受けることができるものである、と主張し、証拠方法として、甲第10号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出している。 そして、請求人の提出した証拠によれば、請求人は、2009年3月から本願商標を使用するフィッシュソーセージ、フィッシュバーグ、フィッシュハム等の商品をイオンリテール株式会社等を通じて販売し、それらの商品の販売額は、2009年3月から8月の総計が約4,397万円であると認められる。 そこで、検討するに、請求人が本願商標に係る上記商品の販売を開始したのは、2009年3月からであり、その販売期間は、わずか1年8か月程度である。そして、その販売額は、月平均約700万円(月500万?1,000万円)であり、当該商品が比較的安価な商品であることを考慮したとしても、それほど多いものとはいうことができない。また、当該商品の包装紙、包装箱(甲11)をみると、「DHAのチカラ」の商標を使用していることは認められるとしても、請求人のハウスマーク等の商標と共に使用され、またその包装紙、包装箱には、当該商品がDHA入りの商品であることが強調して記載されている。なお、当該商品の広告、宣伝に関する証拠は提出されていない。 以上に加えて、上記(1)において認定した事実を考慮すると、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるものであるとはいうことができない。 (3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-11-08 |
結審通知日 | 2010-11-12 |
審決日 | 2010-11-25 |
出願番号 | 商願2008-94287(T2008-94287) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X29)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武谷 逸平、早川 真規子 |
特許庁審判長 |
内山 進 |
特許庁審判官 |
瀧本 佐代子 根岸 克弘 |
商標の称呼 | デイエッチエイノチカラ、デイエイチエイノチカラ |
代理人 | 石橋 政幸 |
代理人 | 緒方 雅昭 |
代理人 | 宮崎 昭夫 |
復代理人 | 山田 武史 |