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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y20
管理番号 1230270 
異議申立番号 異議2010-900087 
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2011-02-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-04-08 
確定日 2010-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5292338号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5292338号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5292338号商標(以下「本件商標」という。)は、「ロックアイス」の片仮名文字と「ROCKICE」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなり、平成18年6月13日に登録出願され、第20類「食品見本模型(氷を模した食品見本模型を除く。)」を指定商品として、同21年11月19日に登録査定、同22年1月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)
申立人の業務に係る商品の出所表示である商標「ロックアイス」(商標登録2703402号)及び商標「ROCKICE」(商標登録3031379号)は、我が国の国民の間で周知著名であるとともに、本件商標の構成は当該引用商標を含む「ロックアイス」及び「ROCKICE」の文字部分からなり、このような本件商標を、申立人とは何らの関係も有しない他人である本件商標権者が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、引用商標「ロックアイス」、「ROCKICE」の文字に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあることから、本件商標は不正の目的をもって使用し引用商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図が推認でき、その結果、このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するので、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号(他者業務との混同)
申立人「小久保製氷冷蔵株式会社」の商品を表示するものとして広く知られている周知著名な引用商標「ロックアイス」及び「ROCKICE」の文字をその構成中に含む本件商標が、その指定商品に使用された場合、取引者・需要者をして、その商品が、申立人の提供に係るものであるかのごとく、或いは、申立人と何らかの経済的・組織的関連に係る者の提供に係る商品であるかのごとく認識され、需要者が出所について混同するおそれがあるので、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号(不正な目的の使用)
申立人とは何らの関係も有しない他人である本件商標権者が、申立人の業務に係る商品の出所表示として広く知られている周知著名な「ロックアイス」及び「ROCKICE」の文字を含む商標を採択して、本件商標権者に係る商品「食品見本模型(氷を模した食品見本模型を除く。)」について使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、「ロックアイス」、「ROCKICE」の文字に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるので、本件商標は不正の目的をもって使用するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由の要旨
当審において、平成22年8月23日付けで商標権者に対し通知した取消理由は次のとおりである。
1 申立人「小久保製氷冷蔵株式会社」の提出に係る証拠(甲第7号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。))及び以下の職権による調査によれば、同人は「ロックアイス」を商標名とした、いわゆるかち割り氷を袋詰めにしたものを昭和48年10月に商品化した企業であって、2008年10月現在、北海道から九州まで全国に13工場を有し、「ロックアイス」(2kg、1kg)、「ハンディロックアイス」(270g)、「ロックアイスグラス」(200g)、「ロックアイスカップタイプ」(400g)等の「ロックアイス」関連商品を全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケットのほか酒店などでも販売し、1997年当時、袋詰め氷のシェア35%(後掲(3))を占め、「2003?08年度別/氷雪商品群別販売実績表」(甲第14号証)によれば、その売上高は、2003(平成15)年実績の合計が46億6680万円、2004(平成16)年実績の合計が49億6793万円、2005(平成17)年実績の合計が47億5758万円、2006(平成18)年実績の合計が44億3675万円、2007(平成19)年実績の合計が45億7592万円、2008(平成20)年実績の合計が43億3748万円に及んでいたことが認められ、その販売シェアは、1997年35%、2005年ころ約40%でトップである(甲第12号証)。また、パンフレットや地域イベント協賛広告ほか、経済関連の刊行物において、その企業活動や当該袋詰め氷における全国的シェアの高さなどについて紹介された事実が認められる。
また、申立人は、氷雪事業以外では、平成14年7月に氷・洋菓子併設工場新設し食品分野に業務を拡大してきていること、平成17年10月にはタイ工場新設し海外進出による国外市場の開拓を進めていることが認められる。
以上の状況によれば、「ロックアイス」商標(以下「使用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「袋詰めかち割り氷」をはじめとするかち割り氷を表示する商標として、本件商標の登録出願時には既に飲食関連の事業者を含めた取引者や需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
2 ところで、本件商標は、上記のとおり「ロックアイス」の片仮名文字と「ROCKICE」の欧文字とからなるところ、上段の片仮名文字部分は、使用商標と同一の綴りであり、また、下段の「ROCKICE」の欧文字部分はこれを英語表記したものと容易に看取できるものである。そして、本件商標の指定商品は、上記のとおり、氷を模した食品見本模型を除く「食品見本模型」であり、その指定商品中には、かき氷、かち割り氷、かち割り氷を使用したジュース類、アイスコーヒー、水割り等の食品見本模型が含まれていること、その需要者は専ら飲食関連の事業者ということができ、使用商標が使用されている業務用袋詰めかち割り氷とは、その需要者を同じくするものといえる。
3 以上を総合すると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている使用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

(職権による調査)
(1)ウィキペディア(フリー百科事典)
「ロックアイスは、小久保製氷冷蔵(本社・千葉県八千代市)で製造されたかち割り氷のことで、氷の形状や独自の製法は、同社が氷雪業界に先駆けて開発及び生産開始されたものである。同社で製造されている様々な商品のうち、袋詰めのものやカップ容器に入った商品の一部は、ロックアイスを固有商品名として製造されている。なお、ロックアイスは固有商品名であると同時に、同社が保有する登録商標でもある。現在、ロックアイスは同社のトップブランド商品として全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケットのほか、酒店などでも購入でき、大概は1kg程度の袋詰めで売られている。また、業界に先駆けて海外進出にも取り組んでおり、タイ王国や中華人民共和国でも販売されている。ロックアイスは、主にソフトドリンクや酒類を冷やすために用いられているが、特にカクテルや蒸留酒のオン・ザ・ロックスタイルで飲む際に重宝されている。同社ではロックアイスと同質の氷を口に含みやすい大きさに加工してペットボトルに詰めた、ハンディロックアイスという商品も製造している。」の記載がある。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9)
(2)「小久保製氷、海外初のロックアイス工場[製造]」(2005年7月27日付けNNAアジア経済情報)の見出しにおいて
「製氷大手の小久保製氷冷蔵(本社・千葉県八千代市)は来月、中部アユタヤ県に初の海外工場をオープンする。投資額は約5億円。これまでは日本から輸入販売していたが、市場調査の結果、投資に見合う国内市場があるとみて現地生産を決定した。同社によると、昨年6月にタイの地場系企業と合弁会社を設立した。小久保の出資比率は49%。同県のバンパイン工業団地内に延べ床面積2,000平方メートルの工場を建設、今月末に完成し、来月から稼働させる。従業員数は約10人。飲料用の袋詰め氷『ロックアイス』のみを生産し、日産能力は40トン。初年度は1日20トン程度を生産し、3億?4億円の年間売上高を見込む。すでにバンコク首都圏の量販店や居酒屋などで販売している業務用製品に加え、一般用も生産し小売店で販売する。価格は他社の約2倍に当たる1袋(1キロ入り)12バーツを予定しているが、安全性や高品質を消費者にアピールしていく方針。来年には中国向け輸出も開始したい考えだ。小久保製氷冷蔵は日本の袋詰め氷市場でシェア約4割を占め、昨年度の総売上高は約110億円。氷のほか、冷凍食品や中華まんじゅう、菓子の製造や冷凍・冷蔵保管などを手掛けている。」の記載がある。
(3)「九州コクボの新工場が完成--大分・日田市」(1997年6月27日付け毎日新聞西部朝刊)の見出しにおいて
「大分県日田市に進出していた九州コクボ(渡辺政夫社長)の新工場の落成式と工場見学会が26日、同市三ノ宮町の現地であった。国内トップのシェア35%を誇る製氷メーカー、小久保製氷冷蔵(本社・千葉県八千代市)の100%出資子会社で、すでに今月2日から操業を始めている。新工場は鉄骨2階建て、延べ2145平方メートル。現在8時間操業で袋詰め氷を1日1万1000袋(1袋1キロ)製造しているが、来月中旬からは20時間操業で同2万7000袋に増産。福岡県を中心に、九州一円と山口県の一部のコンビニエンスストアなどに出荷し、初年度は3億5000万円の売り上げを見込む。なお、同工場の生産能力は、袋詰め氷1日4万5000袋、カップ入り氷(400グラム)同1万2000カップ。小久保はこれまで九州地区で60%のシェアを持つ製品を兵庫・姫路と京都の関連2工場で生産していたが、物流費の削減を図るため、新工場を建設した。」の記載がある。
(4)「透明度が自慢 氷製造ピーク*安平」(2009年7月12日付け北海道新聞朝刊)の見出しにおいて
「【安平】胆振管内安平町早来の氷や洋菓子メーカー『北海道コクボ』で、氷の製造が最盛期を迎えている。同社の袋詰め氷は『ロックアイス』の商品名で知られる。小久保製氷冷蔵(千葉県八千代市)の道内の拠点として2002年に製造を開始した。良質の地下水をステンレス製の缶に注ぎ、家庭用冷蔵庫より高い温度の氷点下9度ほどに保ち、水に空気を送り込み続けて不純物を取り除く。24時間かけてゆっくりと凍らせた氷柱は、長さ1メートル、高さ45センチ、幅25センチほど。水洗いした後に、砕氷される。昔ながらの製法を守り『透明な氷で解けにくい』と人気を集めている。今月からお盆過ぎまで、日産36トンのフル操業が続き、道内各地のスーパーやコンビニ向けに、1、2キロに袋詰めし出荷する。」の記載がある。

第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当であって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、申立人の主張する他の理由について言及するまでもなく、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-10-26 
出願番号 商願2006-54624(T2006-54624) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y20)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小川 きみえ山田 正樹 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 井出 英一郎
内山 進
登録日 2010-01-08 
登録番号 商標登録第5292338号(T5292338) 
権利者 株式会社エビスサンプル
商標の称呼 ロックアイス、アイス 
代理人 下山 冨士男 
代理人 前田 和男 

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