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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X41
管理番号 1218502 
異議申立番号 異議2008-900511 
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-07-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-12-24 
確定日 2010-05-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5170536号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5170536号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5170536号商標(以下「本件商標」という。)は、「田宮流居合術」の文字を標準文字で表してなり、平成19年10月4日に登録出願、第41類「居合術の教授,居合術に関するセミナー又は講演会の企画・運営又は開催,居合術の演武の上演,居合術の大会の企画・運営又は開催」を指定役務として、平成20年9月1日に登録査定、同年10月3日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議の申立て
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第7号及び同第16号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第21号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、居合いの一流儀の名称を表すにすぎないから、その指定役務中「田宮流居合術の教授,田宮流居合術に関するセミナー又は講演会の企画・運営又は開催,田宮流居合術の演武の上演,田宮流居合術の大会の企画・運営又は開催」に使用したときは、役務の質(内容)を表示するにすぎないものであり、また、当該役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、居合いの一流儀の名称であり、現在「田宮流居合術」をさらに広めるための活動が多数の道場において行われている。本件商標は、「田宮流居合術」にかかわる者やその価値を保護し継承していこうとする者の共通の財産であり、本件商標を一私人が独占して採択、使用することは、社会の一般的道徳観念に反するものである。

3 本件商標に対する取消理由
平成21年12月2日付けで通知した取消理由は次のとおりである。
(1)申立人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 「居合」の文字は、「片膝を立てて、すばやく刀を抜き放って敵を斬り倒す技」を意味する語である(甲第15号証)。
イ 「田宮流」は、今からおよそ400年前に居合いの始祖といわれる林崎勘助重信(林崎甚助)の高弟の一人である田宮平兵衛業正(田宮重正)によって興され、業正の後を継いだ嫡子の田宮流対馬守長勝の時代になってはじめて「田宮流」と称したといわれる。
ウ 田宮流の居合いは、無外流、水鴎流、新陰流、新道無念流等々と並び伝統的な古流の一とされており、また、流派の創生以来、いくつかの分派が生じたが、現存するのは、江戸時代、紀州田宮流が伊予西条藩(伊予西条市)に伝わったものを田宮神剣流として大成させたものとされる。前記の田宮神剣流は、他に現存する田宮流の系統がないため「田宮流」と称しており、また、昭和63年に「田宮流居合術」は、「旧西条藩田宮流居合術保存会」の名称で西条市の無形文化財に指定されている(甲第2号証ないし甲第4号証、甲第6号証、甲第16号証)。
エ 「田宮流」の業は、「田宮流居合の入門編」である「表之巻」11本と、「田宮流居合における至極の業(奥儀)」である「虎乱之巻」14本からなるところ、他の現存する「居合」にくらべて、「表之巻」と「虎乱之巻」あわせて25本と少ないが、それを補うべき流派の奥儀が数多く残されている。その業の特徴は、大きく、正確に緻細であり、江戸時代から、「位の田宮」「美の田宮」と称された(甲第2号証、甲第12号証、甲第13号証)。
オ 本件商標の登録時において、現に、田宮流居合の愛好者等が日本各地におり、その稽古や鍛錬をする道場が、各地に存在している(甲第2号証、甲第6号証ないし同第11号証、甲第14号証)。そして、例えば、甲第14号証をみると、「全日本剣道連盟」、「日本抜刀道連盟、その他」に所属する道場、あるいは、どこにも所属しない道場が、いずれも「流派」を「田宮流」とし、かつ、「稽古」を「居合」として紹介されている。
(2)以上よりすれば、約400年前に「居合」の流派の一つとして興された「田宮流」は、現在においても、田宮流居合の愛好者等による稽古や鍛錬が、日本各地の道場において、行われている事実を認めることができる。
そうとすると、「田宮流居合」の文字は、剣術・居合術等を愛好する者(需要者)の間において、本件商標の登録査定時には、「居合」の一流派であるとして、一般に知られていたというのが相当である。
してみると、「田宮流居合」の文字に、「わざ」を意味する「術」の文字を連結したにすぎない「田宮流居合術」の文字よりなる本件商標からは、単に「(一流派である)田宮流の居合術」程の意味合いを看取させものであり、これをその指定役務に使用するときは、それが田宮流の居合術の教授や、田宮流の居合術に関するセミナー・講演会等であること、すなわち、教授・セミナー・講演会等の役務の内容を端的に示すに止まるものというべきものであるから、その取引者・需要者をして、役務の質(内容)を表示したものとして認識されるにすぎず、自他役務の識別機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、当該条項に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対し、指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断
上記3の取消理由は、妥当なものと認められるから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2010-03-25 
出願番号 商願2007-103318(T2007-103318) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (X41)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 小川 きみえ
野口 美代子
登録日 2008-10-03 
登録番号 商標登録第5170536号(T5170536) 
権利者 妻木 和夫
商標の称呼 タミヤリューイアイジュツ、タミヤリュー、タミヤ 
代理人 森 哲也 
代理人 福田 浩志 
代理人 内藤 嘉昭 
代理人 中島 淳 
代理人 崔 秀▲てつ▼ 
代理人 西元 勝一 
代理人 加藤 和詳 

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