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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない X07
審判 査定不服 観念類似 登録しない X07
管理番号 1216398 
審判番号 不服2009-17987 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-25 
確定日 2010-04-30 
事件の表示 商願2009-16096拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲とおりの構成からなり、第7類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成21年3月6日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、当審における同年9月25日付け手続補正書により、第7類「プリント基板製造用卓上ロボット」と補正されたものである。

第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりであり、当該商標権は現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4376065号商標(以下「引用商標1」という。)は、「COSMOS」の欧文字を横書きしてなり、平成8年3月1日登録出願、第7類「集積回路製造装置,半導体素子製造装置」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録されたものである。
(2)登録第4567256号商標(以下「引用商標2」という。)は、「コスモス」の文字を標準文字で表してなり、平成13年3月8日登録出願、第7類「集積回路製造装置,半導体素子製造装置」を指定商品として、同14年5月10日に設定登録されたものである。

第3 当審における証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成21年11月19日付けで、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 電子部品について
(1)集積回路について
ア 「集積回路」の項に、「多くの回路素子が1個の基板の表面または内部で一体として結合されている超小形構造の電子回路。同一シリコン基板上に選択的な拡散を利用してトランジスター・ダイオード・抵抗などを形成し配線する場合が多い。略称IC」との記載がある(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)。
イ 「集積回路」の項に、「複数の回路素子と、それらを結ぶ配線を一体のものとして高度に集積して組みこんだ回路。集積された回路素子の数によってIC・LSI・VLSI・ULSIなどに分けられる。」との記載がある(「大辞林」第三版 株式会社三省堂 2006年10月27日発行)。
(2)半導体素子について
ア 「半導体素子」の項に、「半導体を用いた電子回路素子。ダイオード・トランジスタなどをいう。」との記載がある(前掲「大辞林」)。
イ 「半導体素子」の項に、「半導体を材料とする電子回路素子。トランジスター・ダイオードなど。」との記載がある(「大辞泉」増補・新装版 株式会社小学館 1998年12月1日発行)。
(3)プリント基板について
ア 平成8年9月財団法人全国統計協会連合会発行、総務庁統計局統計基準部編集の「日本標準商品分類(平成2年6月改訂)」によれば、中分類55電子部品の下位概念として、分類番号55 2の「半導体素子」があり、その下位概念として、分類番号55 21の「ダイオード」、分類番号55 23の「トランジスタ」、分類番号55 3の「集積回路(能動成分を含む。)がある。同じく、分類番号55 58の「プリント回路板及びプリント配線板」があり、その下位概念として、分類番号55 582の「プリント配線板」がある。
イ 「DRTC」のウェブサイトには、「プリント基板(PCB)の見出しのもと、「電子部品を固定して配線するための電気製品の主要な部品のひとつ。(中略)正式にはプリント配線板と言い、集積回路、抵抗器、コンデンサー等の多数の電子部品を表面に固定し、その部品間を配線で接続することで電子回路を構成する板状またはフィルム状の部品。狭義は部品を含まない基板だけを指すが、広義には基板に電子部品を実装した状態も含む。…」との記載がある。
(http://www.hdd-data.jp/support/dictionary+461.html)
2 「半導体素子製造装置」と「プリント基板製造装置」の製造者について(1)「大日本スクリーン製造株式会社」のウェブサイトには、「会社概要」の見出しのもと、「社名 大日本スクリーン製造株式会社」及び「主要製品 【電子工業用機器】 半導体製造装置、フラットパネルディスプレー(FPD)製造装置、プリント配線板製造装置…」との記載がある。
(http://www.screen.co.jp/profile/index-1.html)
さらに、同社のウェブサイトで、「プリント基板製造装置」の項に、「光学式外観検査システムPI-9000」において、「特長 1.高精細基板対応 新開発の画像処理ユニットにより、検査品質・検査スループットを落とすことなく高精細L&S基板の検査が可能です。(中略)ワークサイズ:610mm×457mm」との記載がある。
(http://www.screen.co.jp/pcb/PCB_Product/PI-9000/PI-9000.html)
(2)「二宮システム」のウェブサイトには、「会社概要」の項に、「商号 株式会社 二宮システム」、「業務内容 ・プリント基板・液晶・半導体製造装置全般設計、製作、販売…」との記載がある。
(http://www.ninomiya-sys.co.jp/company/index.html)
(3)「日立プラントテクノロジー」のウェブサイトには、「メカトロニクス事業」の見出しのもと、「各種プロセス設備・搬送システムを豊富にラインナップし、電子・精密分野を中心に幅広い産業領域で生産性、信頼性、安全性向上に貢献いたします。フラットパネルディスプレイ製造装置 プリント基板関連 電子部品製造装置…」との記載がある。
(http://www.hitachi-pt.co.jp/products/mechatronics/index.html)
(4)「ヘンミ計算尺株式会社」のウェブサイトには、「事業紹介」の項に、「プリント回路基板」及び「半導体・その他装置」との記載がある。
(http://www.hemmi-inc.co.jp/business/index.html)
(5)「日本アビオニクス株式会社」のウェブサイトには、「会社概要」の項に、「商号 日本アビオニクス株式会社」及び「事業内容 3.プリント配線板、混成集積回路などの電子部品の製造、販売」との記載がある。
(http://www.avio.co.jp/company/outline/index.htm)
(6)「キヤノンマシナリー株式会社」のウェブサイトには、「会社概要」の見出しのもと、「事業概要」の項に、「当社は、事務機器関連組立装置、小型二次電池製造装置、プリント基板関連装置、自動車電装関連装置等を中心とした『FAシステム事業』、半導体製造装置のうち後工程であるボンディング設備、その他半導体関連設備等を中心とした『セミコンシステム事業』の開発・製造・販売を当社および国内外グループ企業の連携によって展開しております。」との記載があり、また、「主要な事業内容」において、「FAシステム事業 プリント基板関連装置」及び「セミコンシステム事業 半導体関連設備」との記載がある。
(http://www.canon-machinery.co.jp/guide/outline/index.html)
(7)「株式会社シグマ」のウェブサイトには、「取扱商品」において、「プリント基板実装装置」の項に、「レーザー・赤外線・可視光卓上型基板検査装置」との記載があり、また、「半導体・MEMS製造装置」との記載がある。さらに、「会社概要」において、「営業品目」の項に、「産業用ロボット及び周辺装置・FAシステム・自動組立機・画像処理光計測検査装置及びそのエンジニアリング -業界別専用装置 1.半導体関連装置各種… -標準機器、装置、技術… 4.プリント基板実装関連装置…」との記載がある。(http://www.sigma-fa.co.jp/pri_INS_YVi_DT.html)
3 指定商品の類否について
「指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係にある場合には、たとい、商品自体が互いに誤認混同を生ずるおそれがないものであっても、それらの商標は商標法4条1項11号にいう『類似の商品』に当たると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号 昭和36年6月27日第三小法廷判決)。」
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/8E96FF3A7114B94449256A850031624D.pdf)
これを本件についてみるに、前記1によれば、「集積回路」、「半導体素子」及び「プリント基板」は、すべて「電子部品」に含まれるものと認められるところ、本願商標の指定商品は、「プリント基板製造用卓上ロボット」であり、これは、「プリント基板製造装置」の範ちゅうに属する装置とみることができ、また、引用商標の指定商品は、「集積回路製造装置,半導体素子製造装置」であるから、これらは、ともに「電子部品を製造する装置」であるとみるのが自然である。
また、前記2及び3によれば、「プリント基板製造装置」及び「半導体素子製造装置」は、同一営業主により製造・販売されている実情があるから、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、類似の商品であると認めるのが相当である。

第4 証拠調べ通知に対する意見
前記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは、何らの意見、応答はなかった。

第5 当審の判断
1 商標の類否について
本願商標は、別掲のおとり、「C」の欧文字の右に球形上の図形を表し、その右に「SMOS」の欧文字(「M」の文字はややデザイン化してなる。)を該「C」の欧文字、球形上の図形とほぼ同じ大きさで表してなり、更に、これらの右側に小さく表した「web」の文字を配した構成からなるところ、近時、レタリング技法の進展により、商品の広告、宣伝等において、文字の一部を装飾的に図案化するなどして表現することは決して珍しいことではなく、一方、このような広告、宣伝等に接する取引者、需要者も、該図案化した部分が文字を表したものと認識、把握している実情にあることを考慮すれば、その構成中の「C」の欧文字と「S」の欧文字の間の図案化した部分は、その形、大きさ、前後の文字とのバランスからして、容易に「O」の欧文字を図案化したものと看取されるから、本願商標の構成中、「web」の文字の左側に大きく表した部分は、「COSMOS」の欧文字を表したものと認識し、把握されるとみるのが相当である。
そして、該「COSMOS」の各欧文字は、該「web」の各欧文字と比べて、ほぼ4倍の大きさで表されてなるものであるから、「COSMOS」と「web」の各文字部分は、視覚上、容易に分離して看取されるばかりでなく、構成全体から生ずる「コスモスウェブ」の称呼もやや冗長であり、構成全体をもって、親しまれた事物、事象を表す既成の成語とみるべき格段の事情も見いだせないものであるから、本願商標は、その構成中の「COSMOS」の文字部分が独立して取引に資することも決して少なくないというべきである。
そうすると、本願商標は、「COSMOS」の欧文字に相応して、「コスモス」の称呼をも生ずるものというべきであり、また、これより、「宇宙、(植物の)コスモス」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標1は、前記2のとおり、「COSMOS」の欧文字からなるものであり、また、引用商標2は、前記2のとおり、「コスモス」の片仮名文字からなるものであるから、これらは、いずれも、その構成文字に相応して、「コスモス」の称呼及び「宇宙、(植物の)コスモス」の観念を生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標1及び2とは、外観においては相違するとしても、「コスモス」の称呼及び「宇宙、(植物の)コスモス」の観念を共通にするものであるから、称呼と観念において相紛らわしい類似の商標といわざるを得ない。
2 本願商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品の類否について
本願商標の指定商品は、「プリント基板製造用卓上ロボット」であり、これは、前記第3の3のとおり、「プリント基板製造装置」の範ちゅうに属するものとみるのが相当であり、引用商標1及び2の指定商品は、「集積回路製造装置,半導体素子製造装置」であるから、これらは、共に「電子部品を製造する装置」であると判断するのが相当である。
さらに、「プリント基板製造装置」及び「半導体素子製造装置」は、前記第3の3のとおり、同一営業主により製造・販売されている実情があるから、本願商標の指定商品と引用商標1及び2の指定商品とは、類似の商品であると認められる。
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 むすび
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

(色彩については原本参照)

審理終結日 2010-03-01 
結審通知日 2010-03-02 
審決日 2010-03-15 
出願番号 商願2009-16096(T2009-16096) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X07)
T 1 8・ 262- Z (X07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 末武 久佳
榎本 政実
商標の称呼 コスモスウエブ、コスモス、ウエブ、ダブリュウイイビイ 
代理人 土井 健二 
代理人 松枝 浩一郎 
代理人 林 恒徳 

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