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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y16
管理番号 1216368 
審判番号 取消2009-300852 
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-07-24 
確定日 2010-04-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4951995号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4951995号商標(以下「本件商標」という。)は、「ルネ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成16年11月18日に登録出願、第16類「印刷物」、第37類「建設工事,建設工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計」を指定商品及び指定役務として、同18年5月12日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「第16類 印刷物」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「第16類 印刷物」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきでものある。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、平成21年10月8日付けの答弁書で、本件商標と社会通念上同一と認められる別掲に示した商標(以下「使用商標」という。)が付された季刊誌「ルネライフ」を「分譲住宅居住者」に向けて刊行・配布していることを主張する。
しかしながら、対象を「分譲住宅居住者」に限定して当該季刊誌を刊行・配布する行為は、商標法第50条で定める「商標の使用」とはいえない。
すなわち、登録商標は、これを使用した商品が流通過程におかれ、商標としての機能を果たしてこそ、独占権を与えて保護されるべきものであると考えられる。
しかるに、当該季刊誌「ルネライフ」は、被請求人が販売する分譲住宅の居住者にのみ配布されるものであるから、流通過程におかれ商標としての機能を発揮することができる状態での使用とはいえず、独占権を与えて保護すべき使用態様とはいえない。
また、当該季刊誌「ルネライフ」は、被請求人が販売する分譲マンションの宣伝・広告を目的とするものであり、商標法上の商品「印刷物」には該当しないから、被請求人が当該季刊誌に使用商標を付して配布する行為は、指定商品「印刷物」についての商標の使用とはいえない。
(2)被請求人は、使用商標が付された会員向けの冊子「RenaiClub」を発行している旨主張する。
しかしながら、対象を「会員」に限定して当該冊子を刊行・配布する行為は、商標法第50条で定める「商標の使用」とはいえない。
すなわち、登録商標は、これを使用した商品が流通過程におかれ、商標としての機能を果たしてこそ、独占権を与えて保護されるべきものであると考えられる。
しかるに、当該冊子「RenaiClub」は、対象を「会員」に限定して発行されるものであるから、流通過程におかれ商標としての機能を発揮することができる状態での使用とはいえず、独占権を与えて保護すべき使用態様とはいえない。
また、当該冊子「RenaiClub」は、被請求人が販売する分譲マンションの宣伝・広告を目的とするものであり、商標法上の商品「印刷物」には該当しないから、被請求人が当該冊子に使用商標を付して配布する行為は、指定商品「印刷物」についての商標の使用とはいえない。
さらに、被請求人は当該冊子を「業として」発行している旨主張するが、「業として」とは「一定の目的の下に継続・反復して行う行為として」のような意味であるところ、当該冊子「RenaiClub」が継続・反復して発行されているかは明らかでなく、このような使用は、商標法第50条で定める「商標の使用」とはいえない。
(3)被請求人は、使用商標が付された冊子「あなたの不動産 税金は(〔社〕全国宅地建物取引業協会連合会編集)」をマンション購入者に向けて配布している旨主張する。
しかしながら、対象を「マンション購入者」に限定して当該冊子を刊行・配布する行為は、商標法第50条で定める「商標の使用」とはいえない。
すなわち、登録商標は、これを使用した商品が流通過程におかれ、商標としての機能を果たしてこそ、独占権を与えて保護されるべきものであると考えられる。
しかるに、当該冊子は、対象を「マンション購入者」に限定して配布されるものであるから、流通過程におかれ商標としての機能を発揮することができる状態での使用とはいえず、独占権を与えて保護すべき使用態様とはいえない。
また、当該冊子は、被請求人が販売する分譲マンションの購入者に向けて税金に関する情報の提供を目的とするものであり、分譲マンションの販売・管理業務に付随するサービスにすぎないから、商標法上の商品「印刷物」には、該当せず、被請求人が当該冊子に使用商標を付して配布する行為は、指定商品「印刷物」についての商標の使用とはいえない。
(4)被請求人は、使用商標が本件商標と社会通念上同一であると主張する。
しかしながら、使用商標から特殊な字体で表された「ルネ」の片仮名文字を除いた部分は、商標の要部でない附記的な部分とはいえず、本件商標と使用商標とは、明らかな構成態様上の差異を有する別異の商標であり、本件商標と社会通念上同一とは、認められない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人は、「総合ハウジングサービス株式会社」、「ルネ都市開発株式会社」、「ルネストーリア・アセット・マネジメント株式会社」とともに「総合地所グループ」を形成しており、マンション・戸建事業、開発事業、ビル事業、商業開発、賃貸事業、管理事業、アセットマネジメント事業、プロパティマネジメント事業等、総合的な不動産事業を展開している(乙第1号証)。
(2)被請求人は、その企業理念である「人間性を尊重した住環境づくり」の一環として、イベントやサークルなどコミュニティ活動への積極的なサポートを行っており、暮らしをより楽しく深めるコミュニティーマガジン、「ルネライフ」を刊行している(乙第2号証)。使用商標が付されたこの季刊誌は、26年前より現在に至るまで、分譲住宅居住者に向けて、年に4回刊行・配布されており(乙第2号証ないし乙第9号証)、2008年夏号では刊行100号を迎えた(乙第6号証)。
この季刊誌「ルネライフ」において、背表紙に使用商標が付されている(乙第3号証ないし乙第9号証)。季刊誌は、指定商品の「印刷物」の一種であるし、当該季刊誌の刊行・配布が「業として」「生産」又は「譲渡」に該当することは、言うまでもない。
また、発行日は、明らかではないが、少なくとも表紙の「2007」「2008」「2009」の語が発行年を表わしていることは、当然であり、また、巻末のアンケートの締切日に「平成19年10月31日」などと記載されていることからも、本審判請求登録前3年以内に発行されたものであることは、容易に推定されるところである。
(3)被請求人は、新築物件の特集として、会員向けの冊子「RenaiClub」を発行している(乙第10号証)。こちらも、背表紙に使用商標が付されており、発行日も同じく裏表紙に表記されているように、平成21年1月20日で本審判請求登録前3年以内に発行されていることが明らかである。冊子は、指定商品の「印刷物」の一種であるし、当該冊子の刊行・配布が「業として」「生産」又は「譲渡」に該当することは、言うまでもない。
(4)被請求人は、毎年「あなたの不動産 税金は((社)全国宅地建物取引業協会連合会編集)」という、不動産の売買や賃借に係る税金についてまとめた冊子を、マンション購入者に向けて配布している(乙第11号証ないし乙第13号証)。この冊子自体は、被請求人の発行によるものではないが、制作協力を行っている「株式会社テクノート」という会社が、被請求人からの発注により、使用商標と社名の略号を出所として表紙に表示したものを納品しており、これを被請求人が配布している(乙第14号証及び乙第15号証)。この冊子は、平成19年版、平成20年版、平成21年版と、本審判請求登録前3年以内に発行されていることは、明らかであるし、指定商品の「印刷物」の一種であり、当該冊子の配布が使用商標を付した商品を「業として」「譲渡」する行為に該当することは、言うまでもない。
(5)商標法第50条第1項のかっこ書によれば、「社会通念上同一」の商標とは、「(a)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(b)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(c)外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」と定義されている。もっとも、「社会通念上同一」の類型は、これらの(a)ないし(c)に限られるものではない。そこで、本件と同様な類型で「社会通念上同一」が認められているケ一スについて、検討する。
本件商標は、文字(標準文字)「ルネ」のみからなる。一方、使用商標は、特殊な字体で表わされた、「ルネ」の片仮名文字を上段に配し、特殊な字体で表わされた「Renai」の欧文字を下段に配し、これらの文字を四角い枠で囲った構成からなる。
このように、文字のみの商標が登録された場合に、当該文字商標と図形とが結合した形で使用されることは、しばしば見られ、不使用取消審判の審決においては、原則として同一性を認める判断がなされている(乙第16号証)。これらは、使用商標の文字部分が他の構成要素と切り離されて独立して自他商品識別標識としての機能を有するとして、その文字部分のみからなる登録商標との社会通念上の同一性が認められている。
本件においても、使用商標の「ルネ」の片仮名文字部分は、外観上見やすく、かつ、称呼しやすいので、この商標に接した需要者・当業者に強く印象付けられるものである。したがって、「ルネ」の文字部分は、他の構成要素と切り離されて独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるといえる。すなわち、使用商標の構成中、独立して自他商品の識別標識としての機能を有する「ルネ」の文字部分は、本件商標を構成する「ルネ」と同一の綴りよりなり、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(6)結び
以上述べたとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「印刷物」について使用していることは、明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、被請求人及びその関連会社の「事業内容」であり、乙第2号証は、不動産会社ガイド「SUUMO」の被請求人のグループ会社に関する紹介記事であるから、被請求人が季刊誌「ルネライフ」を発行している。
(2)乙第3号証ないし乙第9号証は、季刊誌「ルネライフ」の一部写しであるが、それぞれ、2007年秋及び同年冬、2008年春、同年夏、同年秋及び同年冬、2009年春となっており、それぞれの時期に配布されたことが分かると共に、乙第3号証の3ページのアンケートの締切日に「平成19年10月31日」と記載されていることから、本件審判請求の登録前3年以内に発行されたものであることが推認し得るものであり、それぞれの背表紙に使用商標が付されている。
(3)乙第10号証は、被請求人の発行する冊子「RenaiClub」の写しであるが、背表紙に使用商標が付されており、発行日(平成21年1月20日)が表記されており、その後配布されたことが推認できる。
(4)乙第11号証ないし乙第13号証は、冊子「あなたの不動産 税金は」の写しであるが、これには、表面に使用商標が付されており、奥付に発行の日付(平成19年6月15日、同20年7月8日、同21年6月17日)が示されており、また、乙第14号証及び乙第15号証によって、該冊子が平成21年5月19日に発注がされ、少なくとも同年6月24日までには、被請求人に納品された。
(5)本件商標は、「ルネ」の片仮名を標準文字で表したものよりなるものであるのに対し、使用商標は、図形と文字との結合によりなるものであるところ、その構成中、ややレタリングしてなるとしても、圧倒的顕著に「ルネ」の片仮名文字を配してなるものであり、該「ルネ」が独立して取引に資される場合があるものというべきであるから、かかる構成よりなる使用商標の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用といい得るものである。
2 以上によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者又は子会社(通常使用権者)である「総合ハウジングサービス株式会社」が請求に係る指定商品「印刷物」に属する季刊誌「ルネライフ」、冊子「RenaiClub」及び冊子「あなたの不動産 税金は」について、本件商標を付したものを譲渡又は引き渡したものと認められ、かかる行為は、商標法第2条第3項第2号の商標の使用と認められるものである。
3 請求人は、季刊誌「ルネライフ」、冊子「RenaiClub」及び冊子「あなたの不動産 税金は」は、対象を「会員」、「マンション購入者」及び「分譲住宅居住者」に限定して刊行・配布しており、これらは、流通過程におかれる商標としての機能を果たしておらず、また、被請求人が販売する分譲マンションの宣伝・広告を目的とするものであるから、商標法上の商品「印刷物」には、該当しない旨述べているが、乙第9号証末尾ページに「この冊子は総合地所グループが分譲した、または管理するマンションおよび戸建て住宅のご入居の皆様、もしくは物件販売センターにて直接配布しております。」の記載に照らして、希望すればだれでも受け取ることのできる状態にあり、対象商品は、「印刷物」であり、出所表示機能を果たす目的で使用されていることは、明らかであるから、当該使用は、商標法第50条第1項の使用であるというべきである。
4 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その請求に係る第16類「印刷物」についの登録を取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
使用商標




審理終結日 2010-02-25 
結審通知日 2010-03-01 
審決日 2010-03-12 
出願番号 商願2004-105956(T2004-105956) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小俣 克巳吉野 晃弘 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 2006-05-12 
登録番号 商標登録第4951995号(T4951995) 
商標の称呼 ルネ 
代理人 特許業務法人ウィンテック 
代理人 特許業務法人太田特許事務所 

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