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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y09
管理番号 1212998 
審判番号 取消2009-300632 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-04-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2009-05-27 
確定日 2010-02-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4720380号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4720380号商標の指定商品中、第9類「音声周波機械器具,映像周波機械器具,電子計算機」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4720380号商標(以下「本件商標」という。)は、「SoundMeister」の文字と「サウンドマイスター」の文字を二段に横書きしてなり、平成15年2月28日に登録出願、第9類「音声周波機械器具,映像周波機械器具,録音済みのコンパクトディスク,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,メトロノーム,電子計算機」を指定商品として、同年10月24日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
また、本件の審判の請求の登録日は、平成21年6月12日である。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品中、第9類「音声周波機械器具,映像周波機械器具,電子計算機」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 乙各号証について(なお、乙第1号証として提出したカタログ(2種)は、便宜上、最初のものを「乙第1号証の1」とし、2番目のものを「乙第1号証の2」とする。)
(ア)乙第1号証の1及び2
被請求人は、乙第1号証の1及び2として、商標「サウンドマイスター(SoundMeister)」のカタログ2種類(乙第1号証の2は、原本ではなくカラーコピーと思われる。)を提出する。
まず、「オーディオCDの高音質高速自動書込を実現した/オーディオCD用/高音質オートデュプリケータ/サウンドマイスターTM(SoundMeister)」と題された製品カタログ(乙第1号証の1)をみると、当該カタログ中の「サウンドマイスターTM(SoundMeister)主要諸元」欄外に「記載されている内容、仕様は2003年2月現在のもので・・・」との記述があり、これより、当該カタログは、2003年(平成15年)2月ころに印刷されたものと推測される。したがって、仮に同カタログが2003年2月ころに印刷されその時点で頒布されたとしても、商標「サウンドマイスター」が本件商標が本件審判の請求の登録日(平成21年6月12日)前3年以内(以下「本件期間内」という。)に使用されていたことの証明にはなり得ない。
また、「オーディオ重視 高品質デュプリケータ/サウンドマイスター(SoundMeister)」と題されたカタログ写し(乙第1号証の2)によると、「サウンドマイスター(SoundMeister)主要諸元」の欄外には「記載されている内容、仕様は2006年12月現在のもので・・・」との記述がある。したがって、乙第1号証の2の原本と言えるものが仮に存在するとすれば、当該カタログ原本は、2006年(平成18年)12月ころに印刷された可能性が考えられる。
しかしながら、被請求人は、上記カタログのいずれについてもその頒布時期、頒布量、頒布場所等を一切説明しておらず、本件期間内にこれらが実際に頒布されたか否かは明らかでない。
以上を勘案すれば、乙第1号証の1及び2は、2003年2月ころ及び2006年12月ころに商標「サウンドマイスター」を使用したカタログがそれぞれ印刷されたことを推測させるにすぎず、その頒布時期、頒布量、頒布場所等など、当該カタログが頒布された事実については全く明らかにされていないから、乙第1号証の1及び2によっては、本件商標が本件期間内に使用されていたと認めることができない。
(イ)乙第2号証
乙第2号証は、「新製品:オーディオ専用高音質CDデュプリケータ/『サウンドマイスターTM』発売のご案内」と題された、商標権者による報道資料(ニュースリリース)である。当該資料は、「新製品(サウンドマイスター)の特長」、「サウンドマイスターTMの外観」、「サウンドマイスターTM(SoundMeister)主要諸元」によって構成されているところ、これは、平成14年2月に各媒体誌編集長向けに発表という体裁になっているが、これが実際にホームページ上などに掲載されたのか、あるいは、いずれかの媒体誌の編集長に郵送されたのかなど、掲載時期、あて先、発表方法につき何ら説明されていない。
したがって、乙第2号証が展示、頒布又は電磁的方法により提供されたことが立証されていないため、本件商標の使用を証明するものとはなり得ない。
仮に乙第2号証が実際に頒布されたものであるとしても、乙第2号証は、商標「サウンドマイスター」を付した商品(以下、請求人の主張に限り「『サウンドマイスター』商品」という。)の出荷開始予定が2003年(平成15年)2月下旬であることを示すにすぎず、前述の「主要諸元」は、同商品の内容及び仕様が2003年2月現在のものである旨を説明するにすぎない。
そもそも、本件商標の登録日は平成15年10月24日であるから、乙第2号証に示された商標「サウンドマイスター」の使用は、登録商標の使用にすら該当しない。
したがって、乙第2号証は、商標「サウンドマイスター」が平成14年2月ころに、商品に関する広告・宣伝に使用されたことを示すものにほかならず、これによっては、本件商標が本件期間内に使用されていたものと認めることはできない。
(ウ)乙第3号証
乙第3号証は、「御注文書」と「納品書兼請求書」である。このうち、「御注文書」について、その「発注日」、「希望納期」等の日付から、2004年1月29日に「サウンドマイスター」商品の注文があったこと、及び、「発送依頼日」、「発送日」の日付から、平成16年(2004年)2月10日に「サウンドマイスター」商品の発送依頼がされ、同日中に発送処理が完了したことを表しているとみるのが相当である。さらに、「御注文書」左下の「4.2.12.請求済」の印から、2004年2月12日に上記商品の請求処理が完了したものと考えられる。
また、「納品書兼請求書」の請求年月日が「04.02.13」より、2004年(平成16年)2月13日付発行の請求書であることがわかる。そして、「御注文書」と「納品書兼請求書」は、販売先が同一であり、いずれも「4.2.12. 請求済」の印が捺されていること、取引商品の型式・数量・単価が一致すること並びに「発注No.401020」及び伝票番号が共通することから、同一の取引のために作成された書類であることがわかる。
してみれば、乙第3号証は、商標権者が、平成16年1月29日から同年2月13日までの間に、「サウンドマイスター」商品を受注し、これを引渡し、その代金を請求したという事実を示すにすぎず、本件期間内に本件商標が使用されていたという事実を何ら証明するものではない。
なお、被請求人が主張するように、実際に本件商標が今日まで継続して使用され、本件商標を付した商品が販売、出荷されているのであれば、本年中の取引書類、あるいは、少なくとも2、3年前に作成された取引書類を提出することも容易なはずである。しかるに、あえて5年以上も前の取引に係る取引書類を提出せざるを得ないということは、平成16年2月以降、「サウンドマイスター」商品の販売実績が全くないことを推測させるに十分である。
(エ)乙第4号証
被請求人は、「本件商標が今日まで継続して使用されており、本件商標は商標権者ホームページ上で明示的に使用されている」旨を主張し、その証拠として、乙第4号証を提出したものと推測される。
しかし、乙第4号証には、商標「サウンドマイスター」が付されたデュプリケータ(マルチCDライタ)が掲載されているが、同商品は既に「販売終了」となっていることが明確に示され、本件商標を付した商品が現在は販売されていないことが被請求人自らにより証明されている。よって、現在では、単に商標「サウンドマイスター」がホームページ上に掲載されているというだけのことにすぎず、かかる事実をもって本件商標が今日においても継続して使用されているなどととする被請求人の主張は到底認めることができない。
乙第4号証には、上記「販売終了」の告知の後に「(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」との記載がある。しかしながら、乙第4号証は、その右下部分に記載の「2009/07/14」の日付から、平成21年7月14日時点の商標権者ホームページの内容を示すものであって、本件期間内の本件商標の使用の事実を証明し得るものではない。また、平成21年7月14日は、答弁書の差出日でもあるから、被請求人は、本件審判の請求の事実を知った後、本件商標の取消しを免れる目的のもと、急きょ「(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」の一文をホームページに加え、あたかも現在も「サウンドマイスター」商品が取り扱われているかのような外観を装った可能性が高い。
なお、現在、商標権者ホームページには、現在販売中の「ファイナルウォール」などの商品については、その写真をクリックすればその詳細情報が表示されるが、「サウンドマイスター」商品の写真をクリックしても、詳細情報は一切表示されない。インターネットを通じて商品を購入しようとする者は、実際の商品に手を触れて確かめることなどが許されない以上、画面に表示された情報のみをよりどころとせざるを得ないという制約がある。ましてやCDデュプリケータのような専門的な機器ともなれば、なおのこと、需要者は商品の仕様や使い方などの詳細を購入前に知りたいと希望するものである。よって、仮に当該商品の在庫が現在もあり、それを販売するつもりがあれば、「サウンドマイスター」商品の詳細情報がホームページ上に掲載されていてしかるべきである。にもかかわらず、そのような情報を一切掲載していないという事実は、現実には「サウンドマイスター」商品の在庫など存在せず、同商品の販売が完全に終了していることの証左とみるべきである。
以上より、乙第4号証は、平成21年7月14日時点の商標権者ホームページ上に、すでに販売中止となった「サウンドマイスター」商品がいまだに掲載されているということを示すにすぎず、本件商標が現在も使用されていること、及び、本件期間内に本件商標が使用されていたことを何ら証明するものではない。
イ 請求人の主張
(ア)請求人は、本件商標の使用に関し、調査会社である株式会社トール(甲第2号証、以下「トール社」という。)に依頼して、平成20年4月末から同年5月にかけて調査を行った(甲第1号証)。
かかる調査は、本件に全く利害関係のない第三者により行われたものであるから、その調査結果には客観性があり、信用に値するものである。
トール社は、「サウンドマイスター」商品の販売終了時期を特定する目的で、商標権者に電話で聞き込み調査を行ったところ、商標権者の女性従業員は、(当該調査時点から)2?3年前、あるいは、2005年から2006年には販売を終了した旨の回答をした。販売終了日までは確認できていないが、同調査が2008年(平成20年)4月25日に行われたものであることからすると、2005年(平成17年)4月ころ、ないしは、遅くとも2006年(平成18年)4月ころには「サウンドマイスター」商品の販売は終了していたとみるのが相当である。そして、同従業員は、「サウンドマイスター」商品の後継機の製造・販売予定もないことを明言している。
とすれば、本件商標が使用されていたのは、遅くとも2006年(平成18年)4月ころまでということができる。そして、かかる使用が本件期間内の使用に該当しないことは明らかである。
(イ)以上を踏まえて、乙第1号証及び乙第4号証について、再度検討するに、乙第1号証の2の「2006年12月」の時点では既に「サウンドマイスター」商品の販売は終了していたものと考えられる。よって、乙第1号証の2は、被請求人が本件審判の請求の事実を知った後に、本件商標の取消しを免れる目的で急きょ作成したものである可能性が高い。
また、甲第1号証に添付の資料Cによれば、2008年(平成20年)5月13日時点の商標権者ホームページには「サウンドマイスター」商品が単に「販売終了」となっている旨のみが記載されているが、その後、平成21年7月14日になって「(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」という一文が追加されているのである(乙第4号証)。通常、在庫品は販売終了時に存在するものであるから、「(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」といった在庫処分に関する告知は、むしろ、販売終了時により近い時点で掲載されるのが自然である。しかるに、平成20年5月13日にはなかった在庫品に関する記載が、その後1年以上を経過した平成21年7月14日になって新たに追加されているのは、常識に照らして極めて不合理である。そして、前述の聞き取り調査でも、2005年(平成17年)又は2006年(平成18年)の「サウンドマイスター」商品の販売終了後、同商品がー切販売されていないことは、商標権者の従業員が認めているところである。このことからしても、乙第4号証中の「(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」の一文は、本件商標の取消しを免れる目的で急きょ加えられたものである可能性が高い。
以上より、乙第1号証ないし乙第4号証は、本件期間内に本件商標が使用されていたことの証明とはなり得ないものであり、また、本件商標が使用されていたのは、遅くとも2006年(平成18年)4月ころまでと考えられるから、本件商標は、本件期間内には使用されていなかったということができる。よって、本件商標がその登録日以後今日まで継続して第9類「音声周波機械器具」に使用されているとする被請求人の主張は到底認めることはできない。
ウ むすび
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証によっては、本件商標が、本件期間内にその指定商品中の「音声周波機械器具」について使用された事実が証明されていないから、本件商標の登録は、その指定商品中の「音声周波機械器具,映像周波機械器具、電子計算機」について、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消されるべきである。

3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、その指定商品中、第9類「音声周波機械器具」について、その登録日以後今日まで、商標権者が継続して使用している。なお、片仮名表記の「サウンドマイスター」は、ローマ字と片仮名併記の本件商標と同一のものである。
(2)本件商標は、商標権者のホームページ上で明示的に使用され、かつ、本件商標を付した商品は販売並びに出荷されている。

4 当審の判断
(1)被請求人は、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品中の第9類「音声周波機械器具」について、本件商標の登録以来継続して使用している旨主張するので、以下検討する。
ア 乙第1号証の1ないし乙第4号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証の1及び2は、商標権者の取扱いに係る商品を掲載したカタログであるところ、乙第1号証の1の表紙上段には、「オーディオCDの高音質高速自動書込を実現した」、「オーディオCD用/高音質オートデュプリケータ」、「サウンドマイスターTM(SoundMeister)」などの文字が表示され、見開き部分には、当該商品の詳細な説明が記載されている。また、乙第1号証の1の裏表紙に記載の「サウンドマイスターTM(SoundMeister)主要諸元」欄の「製品名(型名)」には、「サウンドマイスター(CDAR820AL)」と記載され、同欄外下部には、「記載されている内容、仕様は2003年2月現在のもの」と記載されている。
(イ)乙第1号証の2の表面上段には、「オーディオ重視 高品質デュプリケータ/サウンドマイスター(SoundMeister)」と記載され、「CDAR8X0」及び「CDAR850」の記号が付された商品2種の写真が掲載されている。また、乙第1号証の2の裏面に記載の「サウンドマイスター(SoundMeister)主要諸元」の欄外下部には、「記載されている内容、仕様は2006年12月現在のもの」と記載されている。
(ウ)乙第2号証は、「新製品:オーディオ専用 高音質CDデュプリケータ/『サウンドマイスターTM』発売のご案内」との表題のある平成14年2月付けのニュースリリースであるところ、ここには、「・・・株式会社レクサス(カッコ内省略)は、オーディオCD専用の高音質デュプリケータ(商品名:サウンドマイスター)を開発し、2月より発売いたします・・・」の記載とともに、「新製品(サウンドマイスター)の特長」が記載され、「出荷開始:2003年2月下旬(予定)」などと記載されている。また、乙第2号証には、乙第1号証の1の裏表紙に記載された「サウンドマイスターTM(SoundMeister)主要諸元」が添付されている。
(エ)乙第3号証は、株式会社インテリジェント ウェイブから商標権者に宛てた、「発注No」を「401020」、「発注日」を「04年1月29日」、「伝票番号」を「01-00829」とする「御注文書」、及び、商標権者から株式会社インテリジェント ウェイブに宛てた、「請求年月日」を「04.02.13」、「請求番号」を「01-00829-01」とする「納品書兼請求書」であるところ、「御注文書」の「品名」欄には、「レクサス CDAR850/(サウンドマイスター5台タイプ)」と記載され、また、「納品書兼請求書」の「商品名」欄には、「サウンドマイスター5台タイプ」と記載され、同「型式名」欄には、「CDAR850」と記載されている。いずれも数量は「1」である。そして、上記「発注日」及び「請求年月日」は、それぞれ2004年1月29日、2004年2月13日と認められる。
(オ)乙第4号証は、商標権者のホームページ上の「製品情報」のサイトであって、2009年7月14日にプリントアウトされたものと認められるところ、1ページ上段右には、「Last Update 2009/03/10」と記載されている。また、紹介されている商品は、青地矩形内に白抜きの文字で表示されているものと、黒地矩形内に白抜きの文字で表示されているものとがあり、1ページに掲載されている商品のほとんどは、青地矩形内に白抜きの文字で、例えば、「ファイナルウォール」のように表示され、その下に、商品の写真が掲載されている。また、同ページ下部に、黒地矩形内に白抜きの文字で「販売終了(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」と表示され、その下に、黒地矩形内に白抜きの文字で「CD/DVD-ROMサーバ ネットワークジュークボックス」と「マルチCDライタ」と表示され、同2ページにかけて商品の写真が掲載されている。また、同2ページには、黒地矩形内に白抜きの文字で「ファイナルセイバー」と「サウンドマイスター」と表示され、その下に、商品の写真が掲載されている。
さらに、1ページ及び2ページにかけて、ページの右側には、上記青地矩形内に白抜きの文字で表示された商品についての説明が商品毎に記載され、これらの商品名は、上記と同様に、青地矩形内に白抜きの文字で表示されている。
また、これらの表示の次には、黒地矩形内に白抜きの文字で「販売終了(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」と表示され、その下に、黒地矩形内に白抜きの文字で「CD/DVD-ROMサーバ ネットワークジュークボックス」、「マルチCDライタ」、「ファイナルセイバー」、「サウンドマイスター」が順に表示され、商品毎の説明が記載されている。
イ 前記アで認定した事実によれば、以下のとおり判断するのが相当である。
(ア)乙第1号証の1は、その裏表紙下部に記載の「記載されている内容、仕様は2003年2月現在のもの」の文字より、2003年(平成15年)2月ころに作成されたものと推認することができる。
しかし、乙第1号証の1が、本件期間内においても、なお商品販売において頒布されていた、ないし、乙第1号証の1に掲載された使用商標が付された使用商品(型式:CDAR820AL)が、本件期間内に商品販売されて取引されていたと認めるに足る証拠の提出はない。
また、乙第1号証の1に関連して提出された乙第2号証は、これに添付された「サウンドマイスターTM(SoundMeister)主要諸元」における記載などから、2003年(平成15年)2月下旬に出荷開始の予定がされている使用商品(型式:CDAR820AL)についての平成14年2月付けのニュースリリースと認められる。
しかし、乙第2号証がいかなる「媒体誌編集長各位」に宛てたものであるかは明らかではなく、しかも、商品の出荷開始予定の1年も前に新製品の情報を提供することは、商取引一般からみて考えにくいところである。仮に新製品に関するニュースリリースがその出荷開始の1年前である平成14年2月に発せれたものであるとしても、その事実をもって、乙第2号証に掲載の使用商品(型式:CDAR820AL)が、本件期間内に市場で流通していたと認めることはできず、他に、その事実を認めるに足る証拠の提出はない。
したがって、乙第1号証の1及び乙第2号証によっては、本件期間内に使用商標が使用商品(型式:CDAR820AL)について使用されていたことを証明することはできない。
(イ)乙第1号証の2は、その裏面下部に記載の「記載されている内容、仕様は2006年12月現在のもの」の文字より、2006年(平成18年)12月ころに作成されたものと推認することができる。
しかしながら、乙第1号証の2に掲載された使用商品(型式:CDAR8X0及びCDAR850)が本件期間内において取引されたことなど、使用商標が本件期間内に使用された事実を客観的に認めることができる裏付け証拠の提出はないことから、乙第1号証の2が、本件期間内に頒布されたと認めることは困難であるといわざるを得ない。
この点に関し、被請求人は、使用商品(型式:CDAR850)についての取引があった事実を証明する証拠として、乙第3号証を提出するが、乙第3号証は、前記認定のとおり、本件期間内より以前の2004年(平成16年)1月から2月にかけて、わずかに1台の取引があったことを示すにすぎないものであって、本件期間内の平成18年6月12日から平成21年6月11日までの間においては、乙第3号証をもって、使用商品(型式:CDAR850等)の取引があったと認めることはできない。他にその事実を証明する証拠の提出はない。
したがって、乙第1号証の2に掲載された「記載されている内容、仕様は2006年12月現在のもの」の文字のみをもってしては、本件期間内に使用商標が使用商品(型式:CDAR850)について使用されていたものと認めることはできない。
(ウ)乙第4号証におけるウェブサイトは、「Last Update 2009/03/10」の記載よりすると、2009年3月10日に更新されたものであり、その時点において、使用商標を付した使用商品は、黒地矩形内に白抜きの文字で「販売終了(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」と表示された下に、黒地矩形内に白抜きの文字で「サウンドマイスター」と表示されているところから、すでに販売が終了したものと認めることができる。
ところで、一般的に、コンピュータの画面上に表されている作成日やアドレス、ファイル名等は、これを書き換えたり、あるいは画面(コンテンツ)自体を差し替えることが容易であり、例えば、ウェブサイトにデータをアップロードした日時、すなわちデータの更新日時は、個々のコンピュータに連動しているため、これを操作することで容易に真実と異なる日時を表示させることができる(知的財産高等裁判所、平成18年(行ケ)第10358号)。そして、乙第1号証の1ないし乙第3号証によれば、本件商標は、本件期間内において、使用商品について使用された事実は全く存在しないことが明らかであるから、提出に係る証拠を総合的に判断すると、乙第4号証に記載された「Last Update 2009/03/10」を直ちに信用することはできない。
そうすると、乙第4号証は、「Last Update 2009/03/10」の記載以外に、ここに掲載された内容が本件期間内に掲載されたことを示す日時の記載はなく、また、他に乙第4号証に掲載された内容が本件期間内に掲載されたことを裏付ける証拠の提出もないから、結局、乙第4号証に掲載された内容は、これがプリントアウトされた日付である2009年(平成21年)7月14日時点のものといわざるを得ない。そして、2009年(平成21年)7月14日は、本件期間内の日付と認めることができない。
また、乙第4号証は、インターネット上のホームページにおいて、「サウンドマイスター」の文字及び商品の写真を掲載しているところ、当該商品については、「販売終了(ご希望の場合は在庫をお問い合わせください)」と記載されており、また、当該在庫についての取引がされたとの事実もなく、取引書類の提出もないことから、実質的に商品について商標を使用しているということもできない。
したがって、乙第4号証は、本件商標が本件期間内に、使用商品に使用されたことを証明することはできない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、被請求人が、本件期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の第9類「音声周波機械器具,映像周波機械器具,電子計算機」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-12-24 
結審通知日 2010-01-04 
審決日 2010-01-15 
出願番号 商願2003-21047(T2003-21047) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 2003-10-24 
登録番号 商標登録第4720380号(T4720380) 
商標の称呼 サウンドマイスター、マイスター 
代理人 谷 義一 

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