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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1211534 
異議申立番号 異議2009-900197 
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-03-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2009-05-21 
確定日 2010-01-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5209198号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5209198号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5209198号商標(以下「本件商標」という。)は、間隙を設けた「瑞 祥」の文字と、その各文字の上に、振り仮名様に小さく「ずい しょう」の平仮名を配置した構成からなり、平成20年8月5日に登録出願、第33類「しょうちゅう,その他の日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同21年1月19日に登録査定、同年2月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第2号、同第3号及び同法第4条第1項第13号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を次のように述べて、証拠方法として甲第1号証の1ないし7及び甲第2号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号
広辞苑第5版によれば、「瑞祥」は「めでたいしるし。瑞兆。祥瑞。」の意味を有している。これを本件指定商品との関係でとらえれば、「祝酒」の慣わしもあるとおり、めでたいことを祝って飲酒する風潮もあることから、「めでたいしるしとしてのお酒」すなわち「めでたい時にこれを祝って飲むお酒」、ないし「めでたい時にこれを祝って飲むお酒として好適なお酒」、「めでたいときの贈答品として好適なお酒」などの意味合いを理解させるにすぎない。
(2)商標法第3条第1項第2号
「瑞祥」は、商品「酒類」について複数の酒造会社が慣用的に使用しているもので、本件指定商品との関係においては、もはや自他商品識別力を喪失している(甲第1号証の1ないし7)。
(3)商標法第4条第1項第13号
引用登録第523021号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、筆風縦書きで「瑞祥福禄寿」(決定注:旧字は置き換えた。以下同じ。)と書した構成からなり、昭和29年6月14日に登録出願、第38類「清酒」を指定商品として、同33年7月4日に設定登録されたものであり、その後、商標権の存続期間の更新登録が3回にわたりされたが、当該商標権は、平成20年7月4日に存続期間満了により、その登録が抹消されている。
しかし、本件商標は、引用商標が消滅した日から1年を経過しない商標であり、引用商標はその構成からみて、「瑞祥」の文字が「福禄寿」の文字よりも小さく表されており、両文字は分離観察が可能であり、「瑞祥」のみも商標の一要部を構成し、仮に「瑞祥」に自他商品識別力が認められた場合、これに応じて「ズイショウ」のみの自然称呼も生じ、「ズイショウ」の称呼が生じる本件商標とは称呼が同一であり、指定商品についても互いに同一又は類似の商品を含んでいることから、互いに類似の商標といわざるを得ない。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第2号及び同第3号について
本件商標は、前記1のとおり、「瑞 祥」と「ずい しょう」の文字からなるところ、その構成中の「瑞祥」の文字は、「めでたいしるし。瑞兆。祥瑞。」(広辞苑第6版)の意味を有しているものであり、「ずいしょう」の文字は、該「瑞祥」の文字から生ずる読みを表したものである。
そこで、まず、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて検討するに、申立人の提出に係る証拠によれば、ウェブサイトにおいて、「瑞祥」の文字がラベルや製品名として記載された商品「日本酒」が7製品あること(甲第1号証の1ないし7)、「『瑞祥』とは、めでたいしるし、吉兆のこと、おめでたい時に召し上がったり、お贈答品としてとても最適なお酒として間違いありません。」と記載されていること(甲第1号証の2)、「瑞祥」の文字を含む引用商標及び商標登録が8件あること(甲第2号証)が認められる。
しかし、かかる事実をもって、上記意味を有する「瑞祥」の文字が「祝酒」の習わしとして、商品「日本酒」の品質等を表すものとして普通に使用されているものとは、にわかに認め難いところであるから、「瑞祥」の表示に接する取引者、需要者が直ちに申立人が主張するような「めでたい時にこれを祝って飲むお酒」ないし「めでたい時にこれを祝って飲むお酒として好適なお酒」、「めでたいときの贈答品として好適なお酒」のような意味合いを認識するものということができない。
その他、「瑞祥」の文字が、本件商標の登録査定時に、酒類を取り扱う分野において、該文字が本来有する「めでたいしるい」等の意味を超えて、申立人主張の意味合いをもって、特定の商品の品質を直接的、かつ、具体的に表すものとして、普通に使用されていたという事実を認めるに足る証拠は見いだせない。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、特定の商品の品質等を表すものではない。
次に、本件商標が商標法第3条第1項第2号に該当するか否かについて検討するに、同号にいう「その商品又は役務について慣用されている商標」とは、ある商標が同種類の商品又は役務に関して、同業者間で普通に使用されるに至った結果、自他商品又は自他役務の識別標識としての機能を失ってしまったものをいい、同号に該当するというためには、不特定多数の業者によって、相当の期間に相当の数量を反復継続して取り扱われてきたことを要するものと解される。
これを本件についてみるに、上記のとおり、「瑞祥」の文字をラベル等に記載している製品が7種にとどまること、これらの製品の販売・製造期間及びその数量が何ら示されていないことなどを考慮すると、申立人の提出に係る証拠をもってしては、いまだ「瑞祥」の文字が商品「日本酒」に係る業者間において普通に使用されるに至った結果、自己の商品と他人の商品とを識別することができなくなった商標ということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品のいずれについても慣用されている商標といい得ないものである。
したがって、本件商標は、これをその指定商品中のいずれについて使用しても、自他商品の識別標識としての機能を発揮するものであり、その登録が商標法第3条第1項第2号及び同第3号に違反してされたものということができない。
(2)商標法第4条第1項第13号について
引用商標は、別掲のとおり、同じ書体で「瑞祥福禄寿」の文字を縦書きしてなるところ、その構成中の「瑞祥」の文字がその下段に書された「福禄寿」に比してやや小さく書されているとしても、この程度の構成から「瑞祥」の文字を分離、抽出し、独立した取引標として商取引に資されるものとは認め難く、かつ、全体より生じる「ズイショウフクロクジュ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり、加えて「瑞祥」の文字は、上記のとおり、「めでたいしるし」等を意味し、「福禄寿」の文字は、「七福神の一つ。福禄人。」の意味を有するもの(前出広辞苑第6版)であることから、共に「めでたいこと」や「よいこと」を想起し印象づけるものであって、観念上も両語を特に個々独立させなければならないようなものといい難いものである。
そうすると、引用商標は、「ズイショウフクロクジュ」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。
してみると、本件商標からは「ズイショウ」の称呼が生じるとしても、これと引用商標から生ずる上記一連の称呼とは、その音構成及び構成音数における差異から明瞭に区別できるものである。
そして、両商標は、それぞれの構成に照らし、外観においては判然と区別し得る差異を有するものであり、また、観念においても引用商標には「福禄寿」文字を含むところから、両者の観念の相違は明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならないから、本件商標は、商標法第4条第1項第13号に該当するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第3条第1項第2号、同第3号及び同法第4条第1項第13号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
引用商標


異議決定日 2009-12-25 
出願番号 商願2008-64450(T2008-64450) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (X33)
T 1 651・ 24- Y (X33)
T 1 651・ 12- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 2009-02-27 
登録番号 商標登録第5209198号(T5209198) 
権利者 町田酒造 株式会社
商標の称呼 ズイショウ、ズイショー 
代理人 小原 順子 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 大島 泰甫 
代理人 後藤 誠司 

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