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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) X25 |
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管理番号 | 1208392 |
異議申立番号 | 異議2008-900372 |
総通号数 | 121 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2010-01-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2008-09-26 |
確定日 | 2009-11-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5145873号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5145873号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5145873号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年7月6日に登録出願、第25類「ブラジャー」を指定商品として、同20年5月12日に登録査定され、同年6月27日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由の要旨 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。 本件商標は、女性の上半身を円形状に抽象化した単純な輪郭内に「縫い目のないブラジャーの図形」及び縫い目のないブラジャーを認識する「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」の文字と下着等を取り扱う業界では、バストを持ち上げ、かつ大きく見せる機能を意味する「バストアップ」の文字を表示してなるものである。 したがって、本件商標は、これをその指定商品「ブラジャー」に使用しても、これに接する者に、当該商品が「バストアップ機能を持つシームレスブラジャー」であるという当該商品の品質を認識させるにとどまるものであり、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当する。 以上のとおり、本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきものである。 3 取消理由通知の要旨 当審は、平成21年6月18日付けで、商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき取消すべきものと認める旨要旨次のとおり通知した。(1)申立人の提出に係る甲第2号証ないし甲第8号証によれば、以下の事実が認められる。 (ア)「ファッション辞典」(2002年5月22日 文化出版局発行)の「シームレス・カップ・ブラ[seamless‐cup bra]」の項に、ブラジャーの使用状態の写真とともに「カップ部中心に縫い目のないブラジャー。…」の記述があること(甲第2号証)。 (イ)「増補最新版ファッション新語辞典」(2007年12月15日 繊研新聞社発行)の「シームレスインナー[seamless inner]インナー」の項に、「縫い目をなくした下着類の総称。…シームレスブラといえばカップの縫い目をなくしたブラジャーのことで、…」の記述があること(甲第3号証)。 (ウ)「広辞苑(第六版)」(2008年1月11日 (株)岩波書店発行)の「バスト【bust】」の項中に、「バストアップ(和製語?up)胸を大きくすること」の記述があること(甲第4号証)。 (エ)甲第5号証ないし甲第8号証のインターネット情報に、「シームレスブラジャー」、「バストアップ」の各語が商品を表す語として相当数掲載されていること。 (2)上記甲各号証のよれば、遅くとも本件商標の登録査定時には、本件指定商品を取り扱う業界において、「シームレスブラ」「seamless bra」が、「カップの縫い目をなくしたブラジャー」を指称する語として、取引上普通に使用され、認識されていたものと認められる。 そうとすると、別掲のとおり横長四角形と円図形を組み合わせた単純な輪郭内に、上から「ブラジャー」の図と直線を介した「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」の文字及び「バストアップ」の文字を表した構成よりなる本件商標を、その指定商品に使用したときには、取引者、需要者をして、「バストアップ」の文字は、「バストの位置を高くする」といった商品の機能を表したものとして理解され、また、図形及び「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」文字部分は、「カップの縫い目をなくしたブラジャー」であることを容易に認識、理解させるにすぎず、単に商品の品質、機能を表示したものと認識、理解させるに止まるから、自他商品の識別機能を有しないものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。 4 商標権者の意見の要旨 商標権者は、上記3の取消理由の通知に対し、要旨以下のとおり意見を述べた。 (1)本件商標の構成中外輪郭形状が、本件商標の指定商品「ブラジャー」の、産地、販売値、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産若しくは使用の方法若しくは時期等を表示するものとして普通に用いられているとの事実ついて、少なくとも商標権者は確認できない。 (2)本件商標における外輪郭形状は、上部に底辺のない横長方形状からなる突部を有する略円形状という極めて特殊な形状からなるものである。したがって、当該外輪郭形状が「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」に該当することはあり得ない。 (3)このことは、「ブラジャー」の商品分野において、本件外輪郭形状に比べると明らかに簡単で、かつ、ありふれているとみえる商標につき、多数の先登録例を認めることができることからも明らかである(乙第2号証ないし乙第7号証)。 (4)本件商標は、十分に顕著な形態からなる枠内において、文字要素と図形要素をバランスよく配置したことにより、特徴的かつ印象的なデザインに構成されてなるものであるから、取引者、需要者をして、本件商標の付された商品が明らかに何人かの業務に係る商品であることを十分に認識せしめるものである。 (5)以上のとおり、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、その登録は維持されるべきものである。 5 当審の判断 (1)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、前記3の取消理由のとおり単純な輪郭内に、上から「ブラジャー」の図形と直線を介した「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」の文字及び「バストアップ」の文字を表した構成よりなるものであるから、これを、その指定商品に使用したときには、取引者、需要者をして、「バストアップ」の文字は、「バストの位置を高くする」といった商品の機能を表したものとして理解され、また、該図形及び「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」文字部分は、「カップの縫い目をなくしたブラジャー」であることを容易に認識、理解させるにすぎないものである。 してみれば、本件商標は、単に商品の品質、機能を表示したものであるから、自他商品の識別機能を有しないものといわなければならない。 (2)商標権者は、本件商標における外輪郭形状は、極めて特殊な形状からなるものであって、その枠内に文字要素と図形要素をバランスよく配置した、特徴的かつ印象的なデザインに構成されてなるものであるから、取引者、需要者をして、自他商品の識別機能を有する旨主張している。 しかしながら、該外輪郭形状も、特殊な形状とは言い難いばかりでなく、本件商標に接した取引者、需要者は、その外輪郭形状に注目するというより、枠内に表示された「ブラジャー」の図と「Seamless Bra」、「シームレスブラジャー」及び「バストアップ」の各文字に先ず注目するとみるのが自然であって、かつ、その枠内に表示された文字及び図形部分が自他商品の識別機能を有しないことも、前記3の取消理由のとおり明らかである。さらに、該外輪郭形状も、「ブラジャー」等を扱う衣料品業界において商品タグ等に使用される形状に酷似していることから、取引者、需要者が、該タグの形状の一類型を表したものと認識される場合も少なくないといえる。 また、商標権者は、他の登録例を挙げ、該外輪郭形状がありふれた図形ではないこと、及び本件商標の登録は維持されるべきものであると主張しているが、本件商標と引用登録例とは商標の構成等において事案を異にするものである。 以上のとおり、商標権者の意見は採用できない。 したがって、本件商標についてした上記3の取消理由は妥当であって、本件商標は、その理由のとおり、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものといわなければならないから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
本件商標 |
異議決定日 | 2009-09-15 |
出願番号 | 商願2007-76225(T2007-76225) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Z
(X25)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 山田 忠司 |
特許庁審判長 |
芦葉 松美 |
特許庁審判官 |
内山 進 岩崎 良子 |
登録日 | 2008-06-27 |
登録番号 | 商標登録第5145873号(T5145873) |
権利者 | 株式会社ミタコーポレーション |
商標の称呼 | シームレスブラ、シームレスブラジャー、シームレス、バストアップ |
代理人 | 加藤 義明 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 原 慎一郎 |
代理人 | 樋口 盛之助 |