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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Z03
管理番号 1200582 
異議申立番号 異議2008-900238 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-06-04 
確定日 2009-06-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5116253号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5116253号商標の指定商品中、第3類「家庭用帯電防止剤,洗濯用柔軟剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5116253号商標(以下「本件商標」という。)は、「ピュアローズ」の片仮名文字を標準文字で書してなり、平成16年7月22日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,おりもの専用シート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液,食餌療法用食品及び食餌療法用飲料」を指定商品として、平成20年3月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標「ピュアローズ」は「純粋な」等の意味を有する「ピュア」の語及び「バラの花」等を意味する「ローズ」の語からなるところ、本件指定商品との関係では「純粋なバラの成分を原材料とした商品」を表す語として普通に使用され、認識されているものであって、本件指定商品の品質、原材料を表すに過ぎないものであることは明白であり、また、「純粋なバラの成分を原材料とした商品」以外の指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第43条の2第1項により取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号及び第2号証を提出した。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、登録異議申立に基づき、平成21年2月16日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
本件商標は、「ピュアローズ」の文字を書してなるところ、申立人の提出に係る甲第1号及び第2号証、同人が刊行物提出書により提出したウエブページ並びに当審職権調査による新聞報道記事によれば、本件商標にかかる審決時(平成20年1月16日)には、既に「ピュアローズ」の語が、メーカー各社により入浴剤、化粧品等に使用され、商品の色ないしは香りを表すものとして、これらに接する需要者を含め当該商品を取り扱う業界において、その使用が定着していたものということができる。
してみると、本件商標は、「純粋なバラ」程の意味合いを容易に看取させるものと認められるから、たとえ、「ピュアローズ」の語が、直ちにバラの固有品種或いは必ずしも画一的な色彩や香りを特定し得ないとしても、これが実際の商取引において商品の色ないし香りを表すものとして多数使用されているものである以上、本件商標をその指定商品中、第3類「家庭用帯電防止剤,洗濯用柔軟剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」に使用した場合には、これに接する需要者は、商品の色ないし香り、すなわち、単に商品の品質を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別機能を発揮する商標とは認識しないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。

4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は、次のように意見を述べている。
(1)本件商標は、片仮名の標準文字で「ピュアローズ」と表わしてなるもので、「ローズ」の部分から「バラ」を連想し得るとしても、「ピュアローズ」なる品種のバラは存在せず、結局、「ピュア」が与えるイメージ、「ローズ」が与えるイメージを複合した合成語「ピュアローズ」の全体が与える清純でバラのような美しさをイメージとした造語商標に係るものである。
(2)それ故に、次のような登録商標が存在するものである。
ア 登録第3090488号「Purerose\ピュアローズ」
イ 登録第3317434号「ピュアローズ」
ウ 登録第4827377号「ピュアローズ」
エ 登録第4918117号「ピュアローズ\PURE ROSE」
なお、登録第3317434号「ピュアローズ」は、商標権者の所有に係るものであり、第3類において「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き,さび除去剤,つや出し剤」を指定商品として登録されており、既に自他商品識別力ありとされており、既得権を有するものである。
(3)使用の事実について
ア 「ピュアローズ」が商品の色ないしは香りを表すものとして多数使用されていると認定しているが、せいぜい9例が示されているのみである。
イ 新聞報道記事においても然りであり、1995年4月18日付化学工業日報、1996年9月18日付化学工業日報に記載があったというに過ぎず、仮にそのような事実関係が存したとしても、その日現在において、そのような記載があったということを示すに過ぎず、これをもって一般的使用事実を証する証拠とはなり得ず、これらを除けば、高々4例の使用例が示されるのみである。
ウ 入浴剤の資料において、「色とりどりの華やかなバラの香りです。」と銘打って「ピュアローズの香り」、「ファンシーローズの香り」等と記載しているが、それぞれが何らかのバラの香りをモチーフにした商品であることが分かるものの、それぞれの香りがいかなる香りであるか、どのような香りの相違があるのか、到底認識することは不可能である。
エ ロ紅の色について、「ピュアローズ」の使用例が示されているが、バラの色数は無数に存在するところ、「ピュアローズ」といわれて特定の色彩を想定することは不可能である。
オ 「ハンドクリーム ピュアローズ」は、「商品名 ハンドクリーム ピュアローズ」と示しているとおり、「ハンドクリーム」の商品名、すなわち商標として使用されているものでる。
カ 「ピュアローズボディオイル」も同様であり、「商品名 ピュアローズボディオイル」とあるとおり、「ボディオイル」の商品名、すなわち商標として使用されているものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は「ピュアローズ」の全体が与える清純でバラのような美しさをイメージとした造語商標に係るものであり、特定の具体的な香り、色彩を想定し得るものではない。
よって、本件商標は、商品の色ないしは香りを普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ではない。

5 当審の判断
(1)本件商標は、前記1のとおり、「ピュアローズ」の文字よりなるところ、その構成中前半の「ピュア」の文字は、「純粋な、まじり気のない、清い、きれいな」等を意味する外来語及び英語として広く一般に親しまれているものであり、また、同後半の「ローズ」の文字も、「バラ(の花)、バラの色香、ばらの香水、ばら色、淡紅色」等を意味する外来語及び英語として、「ピュア」と同様に広く親しまれているものである。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、それが前記意味合いを有する「ピュア」と「ローズ」の文字を、結合して一連に「ピュアローズ」と表したものであると理解し、その全体より、例えば「純粋なバラ」の如き意味合いを容易に認識するというべきである。
そして、「広辞苑(第六版)」によれば、「バラ【薔薇】」は、「バラ属の観賞用植物の総称。花の王といわれる。香料用にも栽培」と記述されているとおり、香料用のバラから採った精油(香料)を原材料に使用した商品、例えば「ハンドクリーム、入浴剤、芳香剤」等が一般に販売されていることは、先に通知した取消理由からも明らかである。
また、「ピュアローズ」の文字が、口紅の色を表す語として普通に使用されている実情についても、前記と同様である。
以上のことを総合的に勘案すれば、「ピュア」の文字と「ローズ」の文字を結合してなる本件商標は、「純粋なバラの香料だけを原材料とする商品」、「まじり気のないバラの香りだけの商品」ないし「真正のバラ色をした商品」であることを表したものと理解、認識するに止まり、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないというのが相当である。
すなわち、本件商標をその指定商品中、例えば「純粋なバラの精油を原材料に用いた化粧品」に使用しても、単に商品の品質、原材料を表示したにすぎないものといわざるを得ない。
(2)なお、請求人は、前記3の取消理由に対し、前記4のとおり意見を述べているが、ある商標が、商標法3条1項3号に該当するかどうかは、取引者、需要者が、商品の品質等を表したものであると認識するかどうかに重点を置いて判断されるべきであって、その商標が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであるから(平成12年(行ケ)第76号、東京高裁平成12年9月4日判決言渡参照)、仮に、商標権者が主張する如く、申立人が提出した証拠及び同人が刊行物提出書により提出したウエブページ及び当審職権調査による新聞報道記事の使用例が9例であるとしても、化粧品等を取り扱う業界において、「ピュアローズ」の文字が、商品の品質を表示するものとして現実に使用されている以上、本件商標が商品の品質、原材料、色彩を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
また、商標権者は、指定商品が「鍋類、せっけん類、化粧品、香料類、貴金属製の商品」等で「ピュアローズ」の文字を含む商標が登録されている例を示し、本件商標についても、造語商標であって自他商品識別力を発揮し得るものである旨主張しているが、登録出願に係る商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例が存在するとしても、本件商標が同号に該当することを否定することはできないものである。
(3)したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第3類「家庭用帯電防止剤,洗濯用柔軟剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、取り消すべき理由はないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2009-04-28 
出願番号 商願2004-67909(T2004-67909) 
審決分類 T 1 652・ 13- ZC (Z03)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 大塚 順子酒井 福造 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 久我 敬史
佐藤 達夫
登録日 2008-03-07 
登録番号 商標登録第5116253号(T5116253) 
権利者 小林製薬株式会社
商標の称呼 ピュアローズ 
代理人 大島 泰甫 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 後藤 誠司 
代理人 小原 順子 

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