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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y43
管理番号 1193977 
審判番号 取消2008-300270 
総通号数 112 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-04-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-03 
確定日 2009-03-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4786283号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4786283号商標の指定商品中、第43類「うどん又はそばの提供,うなぎ料理の提供,すしの提供,とんかつ料理の提供その他の日本料理を主とする飲食物の提供,西洋及び欧米料理を主とする飲食物の提供その他の飲食物の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4786283号商標(以下「本件商標」という。)は、「登亭」の漢字を横書きしてなり、平成15年8月13日登録出願、第21類「厨房用食器類・その他の食器類(貴金属製のものを除く。)」及び第43類「うどん又はそばの提供,うなぎ料理の提供,すしの提供,とんかつ料理の提供その他の日本料理を主とする飲食物の提供,西洋及び欧米料理を主とする飲食物の提供その他の飲食物の提供,旅館・ホテル・民宿及びペンションにおける宿泊施設の提供」を指定商品及び指定役務として、同16年7月16日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成20年3月18日になされている。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、請求の理由及び答弁に対する弁駁書において、その理由を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第43類「うどん又はそばの提供,うなぎ料理の提供,すしの提供,とんかつ料理の提供その他の日本料理を主とする飲食物の提供,西洋及び欧米料理を主とする飲食物の提供その他の飲食物の提供」について、継続して3年以上、日本国内において使用された事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁書
(1)被請求人は、「商標権者は、平成12年12月から、国産鰻を使用した鰻料理について、宅配事業に進出する準備を計画しており、店舗営業用地等を検討している。」旨主張し、乙第1号証を提出している。
しかしながら、同号証に記載されている「平成12年12月吉日」の日付は証明がされておらず、他にこの日付を証明する証拠も提出されていない。
仮に、「平成12年12月吉日」の日付が証明されたとしても、商標権者は、単に、平成12年12月において、うなぎ料理全般で国産鰻を使用した商品の宅配事業の計画、店舗営業の計画を表明しているにすぎない。
そうとすれば、本件登録商標の指定商品(指定役務)の「うなぎ料理の提供」 について、本件商標の使用の事実は証明されていない。

(2)被請求人は、「商標権者は、本件商標の登録査定がなされたことから、被請求人に対する賛同企業とも検討を加え、鹿児島県産の素材を使用した鰻料理の宅配事業および店舗営業の実施の計画を進めている。」旨主張し、乙第2号証を提出している。
しかしながら、乙第2号証に記載されている「平成十四年十二月吉日」の日付は証明がされておらず、他にこの日付を証明する証拠も提出されていない。
仮に、「平成十四年十二月吉日」の日付が証明されたとしても、商標権者は、単に、平成14年12月において、うなぎ料理の宅配事業および店舗営業の実施の計画を表明しているにすぎない。
そうとすれば、本件商標の指定商品(指定役務)の「うなぎ料理の提供」 について、本件商標の使用の事実は証明されていない。

(3)被請求人は、「商標権者は、本件商標の登録がなされた結果に基づき、店舗営業を目指して営業場所の探索をするなどしながら、顧客獲得の企画を続けて来ている。」旨主張し、乙第3号証を提出している。
しかしながら、乙第3号証に記載されている「平成十六年八月吉日」の日付は証明されておらず、他にこの日付を証明する証拠は提出されていない。 仮に、「平成十六年八月吉日」の日付が証明されたとしても、商標権者は、単に、平成16年8月において、宅配事業の待機、店舗事業の計画を表明しているにすぎない。
そうとすれば、本件商標の指定商品(指定役務)の「うなぎ料理の提供」 について、本件商標の使用の事実は証明されていない。

(4)以上のことから、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが、継続して3年以上日本国内において、指定商品(指定役務)中、第43類「うどん又はそばの提供,うなぎ料理の提供,すしの提供,とんかつ料理の提供その他の日本料理を主とする飲食物の提供,西洋及び欧米料理を主とする飲食物の提供その他の飲食物の提供」についての本件商標を使用していない。
したがって、審判請求の趣旨のとおり、商標法第50条第1項の規定により、上記指定役務について登録の取消を求める。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、答弁書、口頭審理陳述要領書、口頭弁論における陳述及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
(1)答弁書
ア 被請求人は、すでに平成12年12月から、本格的に鰻料理全般を、輸入品ではなく国産鰻を使用した商品で宅配事業に進出する準備を計画し、店舗営業用地を検討し、市場調査を検討するとともに、その事業展開を計るなど、その具体化を目指して顧客の誘引活動を開始した。

イ 本件商標に関して、登録査定が決定し、これに基づく被請求人に対する賛同企業とも検討を加え、鹿児島県産の素材使用を決定し、その鰻料理の宅配事業、および、店舗営業の計画実施の計画を進め、顧客誘引についてのさらなる展開を進めて来たものである。

ウ 被請求人は、本件商標が、平成16年7月16日に登録された結果にもとづき、好適な店舗営業を目指して、最適な営業場所の候補地を探索するなどしながら、今日に至るまで継続して、本件商標を使用して、適確な顧客獲得を企画し続けて来ており、請求人の本件審判請求は、成り立たないものである。

(2)口頭審理陳述要領書
ア 本件商標の登録出願は、企業活動の防衛の観点から行なわれたものであり、商標権者は、現在、盛業活動中である。

イ 請求人は、昭和48年5月1日設立された株式会社であり、商標法、および、商標施行規則において、先願主義、および、商品・役務区分の分類にもとづく商標制度が厳然として存在して来ているにも拘わらず、商標法の定めを軽視してきたのであって、平成20年に至り、本件商標権に気付いたとして、同年3月3日付で審判請求を申立て、本件商標登録の取消請求を強引に求めることになったのであって、この請求人の商標制度に対する企業としての軽視に対しては、厳しい審査が為されて然るべきものである。
ちなみに、このような法制度軽視をして来た企業である請求人は、本件商標の存続期間の更新時に1つの区切りとして請求してみるとするのが、法的安定性の見地からも必要であり、本件審判請求は、それ自体、失当であることを銘記すべきである。

ウ 乙第1号証によっても明らかなとおり、被請求人は、平成12年12月の段階で、うなぎ料理全般を国内産うなぎを使用した商品をもって、宅配事業に進出する準備を計画し、このチラシを10,000枚作成して、すでに平成12年12月1日以降、東京都新宿区四谷四丁目在住の川上益男をして、その店舗営業を首都圏内に展開しようとして、広く配布させ、その営業活動等の開始についての感触を探り始めていたのである。

エ 被請求人は、鹿児島県産のうなぎを宅配事業、および、店舗営業展開させたいとして、チラシ10,000枚を作成し、平成14年12月1日以降、栗原義雄をして、これを各方面に配布させ、広くその事業展開に供することの見極めを行なうべく、努力し続けたのである。

オ 被請求人は、乙第2号証のチラシ10,000枚を作成し、葛飾区東水元在住の小沼輝樹をして、平成14年8月1日以降、本件商標が平成16年7月16日に登録されたことを機に、「うなぎ料理」の宅配事業、店舗営業の展開を計画し、これを実施しようとして、その拠点たる場所の候補地の選定にかかることにし、この事業展開の成功の可能性を見極めようとして、広くこのチラシを配布させたりしたのである。

カ 被請求人は、この間、および、本件審判請求の前後、さらに、本件商標登録後も、これに基づく「うなぎ料理」の事業展開を計り続け、産地関係者との折衝、および、食材の安定調達の可能性の見極め、店舗展開可能な場所の選択準備行為、資金調達等可能な限り接点を求め、この事業目的の展開のために必要な努力工作を重ね続けて来ているのである。

キ 請求人は、乙各号証に日付として「吉日」とされている点を捉えて、具体的な日付の立証が為されていないと身勝手なことを弁駁書で主張しているが、社会通念上、敢えて確定的な日付を必要としない、挨拶文、あるいは、宣伝文書において、その年月さえ特定出来れば、その具体的日付まで記入せず、この配布に要する日数を見込んで「吉日」とすることは、ごくごく普通に実行される配慮であり、請求人のこの点に関する主張事実は、単なる揚げ足取りでしかないことは明らかであり、極めて失当な主張である。

ク 以上の次第であって、被請求人会社が、本件商標を不使用であるとする請求人の主張は、全く認められないものである。

(3)口頭弁論における陳述
答弁書では、「請求に係る指定役務に登録商標の使用をしていないことについて、正当な理由がある。」旨主張している。

(4)上申書
ア 被請求人は、昭和53年10月4日、東京都江東区森下一丁目16番6号に、「株式会社登亭」を設立し、東京法務局墨田出張所の登記手続を経由して料飲店を営み、平成12年12月2日、都内、および、近郊地域を対象とする複数の店舗を保有して、事業の拡大化を計るべく、被請求人の本店を、店舗商業の一つの中心地である、現在の新宿の地に移転したものである。

イ 上記移転を契機として、被請求人の活動に伴う企業領域における権利保全を重視し、被請求人の店名・および、社名等の重要性を認識し、平成13年1月24日商標法にもとづき、平成15年3月20日登録済みとなった第16類、第35類の商標の登録申請を行い、その後、同15年8月13日、本件審判請求の対象第43類とともに、第21類の商標登録申請を行い、平成16年7月16日それが、被請求人の登録商標となったものであって、これら一連の登録出願は、その時点での、被請求人の今後の企業活動の将来に備える一環を為し、これらに依拠して、企業活動を行い今日に至っているものである。

ウ 被請求人は、口頭審理陳述要領書の記載に付加して、次のとおり陳述する。
(ア)被請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証を、各回各10,000枚を印刷し、被請求人の企業展開を目指して、(i)川上益男、(ii)栗原義雄、および、(iii)小沼輝樹に対して、乙各号証についての各配布を依嘱したのである。

(イ)この文書は、乙第4号証の被請求人の「うなぎの登亭」と太字で書いた下に商号、本店住所、電話番号、および、「営業案内書在中」と各印刷された封筒各10,000通とともに、上記(ア)記載の者に各引渡され、上記(ア)の(i)(ii)および(iii)の各自は、自己の責任で、日当1人当たり金8,000円で、アルバイトを20名使い、1人当たり500通を配布させることとし、すでに提出済みの乙第1号証ないし乙第3号証を入れた上記封筒1通当たりの、配布手数料を50銭ということで、
(a)1人当たりのアルバイト日当
金8,000円×20名分合計金160,000円
(b)配布手数料1通当たり50銭
金50銭×10,000通分合計金50,000円
(c)(a)+(b)=金210,000円
を被請求人は、上記(i)ないし(iii)の者に、各回毎に各支払って、その配布を請負わせて、配布させたのである。

(ウ)乙各号証の配布により、配布を受けた者からもたらされる意見等の通知は、被請求人の事務所内に勤務するアルバイト2人ないし3人の者が、交替でこれを受け、その内容は、被請求人代表者に報告書をもって報告が為され、被請求人の事業展開のための極めて重要な情報を、被請求人にもたらされるのである。

(エ)被請求人は、このようにして、引続き企業活動を継続して今日に至っているのである。

第4 当審の判断
1商標法第50条の商標登録の取消審判について
商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
そこで、以下、「本件商標の使用の事実」及び「本件商標を使用していないことについての正当な理由の存否」について検討する。

2 被請求人が提出した乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、「御賢台」宛の「平成12年12月吉日」付けのチラシと認められるところ、「本格的にうなぎ料理全般を輸入品ではなく、国内産うなぎを使用した商品で宅配事業に進出する準備を計画中である。又店舗営業は首都圏内に用地を検討しております。」、「登亭(新宿)通信より」等の記載がある。
上記記載より、商標権者は、平成12年12月頃、国内産うなぎを使用した商品による宅配事業に進出する準備を計画中であったことを窺うことができる。

イ 乙第2号証は、「御賢台」宛の「平成14年12月吉日」付けのチラシと認められるところ、「特許庁より登亭に関する商標登録査定が決定致しました。うなぎ料理の宅配事業及び店舗運営について着実に計画進行中であります。」、「登亭(新宿)通信より」等の記載がある。
上記記載より、商標権者が、平成14年12月頃、国内産うなぎを使用した商品による宅配事業及び店舗運営について計画をしていたことを窺うことができる。

ウ 乙第3号証は、「御賢台」宛の「平成16年8月吉日」付けのチラシと認められるところ、「盛夏(丑の日)も事業計画は進行中ですが、宅配事業は各企業の賛同も得られ、現在待機中であります。店舗営業は一階の通りに面した候補地を折衝中ですが、最終段階になっております。又、今回も特許庁より追加商標登録査定が決定致しました。宅配事業及び店舗営業は開始後十年間は最低でも存続営業する事業計画です。」、「登亭(新宿)通信より」等の記載がある。
上記記載より、商標権者が、平成16年8月頃、宅配事業及び店舗運営について計画をしていたことを窺うことができる。

エ 乙第4号証は、「株式会社登亭」、「うなぎの登亭」、「営業案内書在中」等の記載がある封筒である。

3 本件商標の使用の事実について
乙第1号証ないし乙第3号証に記載されている内容は、いずれも、「事業計画」である。
商標法における(商標を含む)標章の「使用」態様については、同法第2条第3項第1号ないし第8号に限定的に列挙されているところ、「事業計画」は、上記各号所定の行為のいずれにも該当しないから、商標の使用と認めることはできない。
また、乙第4号証は、宛名も記載されておらず、使用された形跡も窺えないから、同号証によっては、商標が使用されたと認めることはできない。
したがって、乙各号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明したということはできない。

2 本件商標を使用していないことについての正当な理由の存否について 商標法第50条第2項ただし書き中の「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」とは、法律に定められた他の理由により実質的に使用できない場合、天災等の不可抗力により営業することができなくなった場合等、自己の責に帰すことのできない理由で使用できなかった場合をいうというのが相当である。
これを本件についてみるに、乙各号証より、商標権者が、平成12年12月頃より同16年8月頃にかけて、国内産うなぎを使用した商品について宅配事業に進出する準備を計画中であり、店舗営業は首都圏内に用地を検討していたことは窺うことができるのの、たとえそのような行為が行われたとしても、それらは一般的社内事情というべきものであるから、当該社内の一事情をもって本件商標の不使用の不可抗力的事情とするのは、客観性に乏しく、合理性に欠けるものといわなければならない。
また、商標法は、本来、登録商標の使用を前提としていること及び不使用による商標登録の取消審判制度が設けられている趣旨からすれば、被請求人が主張した理由のみでは、直ちに不使用の正当な理由があるものということはできないというべきであり、かかる場合被請求人に不使用の責を負わすことは酷であるともいい難い。
してみると、本件は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、被請求人(商標権者)の責めに帰すことのできない予見困難な事情があり、不使用を理由に商標登録を取り消すことが社会通念上酷であるような場合に相当するものとはいえない。
その他、上記不使用に関して述べる被請求人の主張は、いずれも妥当性に欠けるものであって、採用することができない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定商品について使用していたものと認めることはできず、かつ、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて正当な理由があるものとも認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-12-25 
結審通知日 2009-01-06 
審決日 2009-01-19 
出願番号 商願2003-73624(T2003-73624) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y43)
最終処分 成立  
前審関与審査官 榎本 政実田中 亨子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 小川 きみえ
佐藤 達夫
登録日 2004-07-16 
登録番号 商標登録第4786283号(T4786283) 
商標の称呼 ノボルテー、ノボリテー、トテー 
代理人 木村 高久 
代理人 中川 康子 
代理人 五三 雅彌 

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