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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
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管理番号 1191014 
異議申立番号 異議2008-900216 
総通号数 110 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-05-23 
確定日 2009-01-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5112788号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5112788号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5112788号商標(以下「本件商標」という。)は、「TECNICO」の欧文字と「テクニコ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成19年6月27日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年1月10日に登録査定、同年2月22日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)登録第1713211号商標(以下、「引用商標1」という。)は、「TECHNICA」の欧文字と「テクニカ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、昭和44年4月25日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年9月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらに、平成17年3月9日に第9類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第1713212号商標(以下、「引用商標2」という。)は、「TECNICA」の欧文字を書してなり、昭和45年8月25日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年9月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回わたりなされ、さらに、平成17年3月9日に第9類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(以上の引用商標1及び引用商標2を一括していうときは、「引用各商標」という。)
2 理由の要点
(1)引用各商標の著名性
引用各商標中、「TECNICA」又は「テクニカ」は、遅くとも本件商標の登録出願時(平成19年6月27日)以前から、申立人の業務に係る商品「運動用特殊靴」(スキーブーツ)の商標として、需要者の間に広く認識されるに至っていると判断するのが相当である(甲第4号証ないし甲第157号証)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用各商標との類否
(ア)称呼について
本件商標は、「TECNICO」の欧文字と「テクニコ」の片仮名文字を二段に横書きしてなるもので、その片仮名文字に従って「テクニコ」の称呼を生ずる。
これに対して引用商標1は、その片仮名文字部分から、また、引用商標2は、その欧文字部分から、それぞれ「テクニカ」の称呼を生ずるものである。
本件商標と引用各商標の称呼は、語頭の3音が共通し、差異点はわずかに本件商標における語尾の「コ」と引用各商標における語尾の「カ」にすぎない。しかも、これら差異点は最も聴取しにくい語尾に位置するものである。
本件商標の全体が「テクニコ」と一気に称呼される場合には、引用各商標の全体称呼「テクニカ」と非常に近似して聴取されることは、審決例(甲第158号証及び甲第160号証ないし甲第166号証)及び母音「a」と「o」の発音方法の例(甲第159号証)からも明らかである。
よって、本件商標と引用各商標とは、称呼上類似するものである。
(イ)外観について
本件商標と引用商標1の欧文字部分とを比較すると、最初の3文字「TEC」までが共通しており、目立ちづらい中間における「H」の有無に続いて、「NIC」までがさらに共通し、最後尾の見逃しやすい部分における「O」と「A」のわずかな違いとなっている。
そして、本件商標と引用商標1の片仮名文字部分を比較すれば、4文字構成の片仮名文字のうち最初の3文字「テクニ」までが共通し、さらに欧文字部分の下に片仮名文字を併記する構成態様も類似している。
よって、本件商標と引用商標1とは、外観上相紛らわしいというのが相当である。
(ウ)商標の類否
本件商標は、引用商標1とは称呼及び外観において、また、引用商標2とは称呼においてそれぞれ類似する。したがって、本件商標と引用各商標とは類似する商標である。
イ 本件商標及び引用各商標についての指定商品の比較
本件商標と引用各商標とは、「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について指定商品が共通している。
ウ 以上のとおり、引用各商標は、いずれも本件商標の登録出願以前の商標登録出願であるところ、引用各商標に類似する本件商標を同一の指定商品について登録することは、商標法第4条第1項第11号に違反するものであるから、本件商標の指定商品中、「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての登録は取り消されるべきである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記(1)で述べたとおり、申立人の商標として世界的に周知著名となっている引用各商標と極めて近似する称呼、外観を有するものであるから、その指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
ア 混同のおそれ
審査基準によれば、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたっては、
(ア)その他人の商標の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)
(イ)その他人の標章が創造標章であるかどうか
(ウ)その他人の標章がハウスマークであるかどうか
(工)企業における多角経営の可能性
(オ)商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
を総合的に考慮するものとされている。
上記観点から引用商標2についてみてみると、
(ア)について「TECNICA」商標は、我が国における引用商標2の著名性の項で述べたとおり、広く広告、宣伝されており(甲第78号証ないし甲第157号証)、多くのトップスキーヤーにも使用され(甲第167号証)、本件商標の登録出願時において運動用特殊靴(スキーブーツ)に関して著名であった。
また、著名商標として商標登録出願を拒絶することができる商標には、「外国において著名な商標であることが商標登録出願の時に、我が国の需要者によって認識されており(必ずしも最終消費者まで認識されていなくともよい。)、出願人がその出願に係る商標を使用した場合、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものを含むものとする。」(審査基準)とされているところ、甲第87号証に示したように、2004年に発行された雑誌に、「テクニカ社が、ヨーロッパにおけるウィンタースポーツビジネス業界でビッグマートを築くトップカンパニーといして君臨する」との記載があることからも、本件商標の登録出願時である2007年6月27日に、引用商標が商標法第4条第1項第15号の著名商標としての要件を満たしていたことは明らかである。
(ウ)について、申立人のハウスマークであることは、前述のとおりである(甲第4号証)。
(エ)企業における多角経営の可能性、及び(オ)商品間の関連性について
申立人が、引用商標2をハウスマークとして被服(スキージャケット等)、運動用特殊衣服(スキー競技用衣服)、靴下、防寒用手袋、スキー用手袋、バッグ、帽子、靴類などに至るまで幅広く取り扱っていることは、甲第26号証ないし甲第49号証及び甲第169号証ないし甲第177号証から明らかなところである。
また、商品間の関連性についても、これら申立人の業務に係る商品と、本件商標の指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とは、同一か又は密接に関連する商品であることも明らかである。とりわけ、近年では、例えばスキーやスノーボード用のジャケットやインナーを街着として着ることはごく普通のことであるし(甲第178号証)、またアウトドアスポーツの専門店でさえも、例えば登山にも使用できるし、また街中でも使用できるといった汎用性のある登山用衣服や登山靴を販売していることは周知の事実である(甲第179号証)。
さらに、例えば、サッカー選手等が着用するベンチコートを、冬用のコート代わりとして普段着ることも普通であるし、一般の人々がサッカーのユニホームを試合の応援に家から着て行くこともよく見かける光景である。中には、サッカーのユニホームをパジャマとして使用している若者もいる。
また、選手用(競技用)ジャージーを、一般人が部屋着や普段着として着用していることもごく日常的なことである。
こうして見てみると、運動用特殊衣服と被服、また運動用特殊靴と靴類などは、そのボーダーラインが近年では暖味となってきており、お互い重なり合う部分があるといえるほど、非常に密接な関係を有しているといえる。
イ そうとすれば、本件商標が申立人の業務と同一の商品である「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に使用された場合、その商品に接した需要者は、直ちに申立人の業務に係る商品であると誤認することは明らかである。
また、本件商標が、申立人の業務と密接に関係する「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」に使用された場合には、その商品に接する需要者が、その商品を申立人の商品であるかのように誤認するおそれがある他、引用各商標の著名性及び引用各商標が使用された商品の多様性などに鑑みて、たとえ申立人の業務に係る商品であると認識しなくとも、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に関連する商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれが極めて高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用各商標の著名性
引用各商標は、前述したとおり、本件商標の登録出願前から、申立人の業務に係る商品「運動用特殊靴」を表す商標として、外国及び我が国において広く知られていた。
イ 本件商標と引用各商標の類似性
上記商標法第4条第1項第11号で述べたとおり、本件商標と引用各商標とは、類似する商標である。
不正の目的
本件商標の商標権者は、申立人と競合するスポーツ用品メーカーであり、申立人の引用商標2は、本件商標の登録出願以前からウインタースポーツ用品においては世界的に著名であって(甲第4号証ないし甲第77号証)、我が国の需要者にも広く知られている事実があることからすれば(甲第78号証ないし甲第157号証)、本件商標の商標権者は、引用商標2の存在を、当然のことながら熟知していたものと思われる。
にもかかわらず、申立人の引用各商標と相紛らわしい本件商標を、申立人の業務に係る商品と同一又は密接に関係する商品を指定商品として登録出願している点については、本件商標が、申立人の著名商標「TECNICA」の著名性にただ乗りする意図、あるいは申立人の著名商標に化体した名声、顧客吸引力、識別性を毀損する目的を持って登録出願されたものと考えざるを得ない。
よって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものに該当するものである。
エ 以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものに該当することから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(5)まとめ
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録された商標であるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用各商標は、上記第1及び第2のとおりの構成からなるものである。
そして、本件商標は、「TECNICO」の欧文字と「テクニコ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなるところ、下段の片仮名文字が上段欧文字の表音を表したものと無理なく認められるものであるから、これよりは「テクニコ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用各商標は、それぞれ「TECHNICA」の欧文字と「テクニカ」の片仮名文字又は「TECNICA」の欧文字のみからなるものであるから、その構成文字に相応して「テクニカ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標から生ずる「テクニコ」の称呼と、引用各商標より生ずる「テクニカ」の称呼とを比較すると、両者は、共に4音という短い音構成において、語尾の「コ」と「カ」の音に差異を有し、両者の音構成上、各音毎に、「テ」、「ク」、「ニ」、「コ」(又は「カ」)」のごとく区切って発音、称呼されるものであるから、たとえ語尾音における差異であるとしても、明瞭に聴別できる称呼上互いに相紛れるおそれのないものというのが相当である。
加えて、本件商標と引用各商標の構成・態様は、上記第1及び第2のとおりであり、欧文字部分において、引用商標1では中間部の「H」の有無及び語尾の「O」と「A」、引用商標2では語尾の「O」と「A」の差異を有するものであるから、外観上明確に区別し得るものであり、いずれも特定の意味を有しない造語と理解されることから、観念については比較することはできない。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号について
申立人の提出に係る甲第4号証ないし甲第157号証、甲第167号証、甲第169号証ないし甲第173号証及び甲第177号証によれば、引用各商標が本件商標の登録出願時には申立人の業務に係る商品「スキーブーツ」等の運動用特殊靴及び運動用特殊衣服等を表示する商標として相当程度使用されていたことが認められる。
しかし、本件商標と引用各商標とは、上記認定のとおり、十分に区別し得る別異の商標であり、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、申立人の引用各商標を想起、連想させるものではないというのが相当であるから、その商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
3 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記認定のとおり、引用各商標とは十分に区別し得る別異の商標であり、申立人の業務に係る商品に使用する引用各商標の出所表示機能を希釈化させたり又はその名声を毀損させるなど不正の目的をもって登録出願されたとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2008-12-18 
出願番号 商願2007-68366(T2007-68366) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (X25)
T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 222- Y (X25)
T 1 651・ 261- Y (X25)
T 1 651・ 271- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久我 敬史 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 矢澤 一幸
小林 由美子
登録日 2008-02-22 
登録番号 商標登録第5112788号(T5112788) 
権利者 株式会社アシックス
商標の称呼 テクニコ 
代理人 谷 義一 

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